これは意外!クルマのキーの閉じ込みトラブルが今も頻発する原因と対策を公開

2021年11月12日

スマートキー リモコンキー インロック

JAFのロードサービス救援データでもっとも多いのはバッテリー関連なのですが、救援要請事案の第5位にランクインしているのがキーの閉じ込みです。件数は年間約13万件で、事故による出動約7万件の2倍近くになっています。キーシリンダーを使った物理キーの時代はよくあったトラブルですが、キーレスやスマートキーが全盛の現代でなぜこのようなことが起きるのでしょうか?

キーレスキーとスマートキーは何が違うのか?

キーレスは略称で、キーレスエントリーが正しい名称です。つまりカギがなくてもクルマに乗り込めるシステムで、ドアの施錠がリモコンでできるものを指します。クルマから離れた場所でもキーやキーホルダーについたボタンを押すことで、ドアの施錠、解錠が行えます。

一方のスマートキーはキーを携帯していると、ドアノブに触れたり、ドアに設置されたボタンを押したりするだけでドアを施錠、解錠できます。また、車種によっては、クルマに近づくと解錠、離れると施錠という機構をもつものもあります。

エンジンを始動するときは、キーレスは物理キーをキーシリンダーに挿し込んでひねるとセルモーターが回る方式。スマートキーはスターターボタンを押す、もしくはキーシリンダーのノブスイッチを回すといった方式になります。その中間的な機構で、カードキーなどを指定された位置に挿入するという方式もあります。

一般的にキーレスキーとスマートキーの最大の違いは、キーレスキーは使用者がボタンを押した時だけ電波を発し、スマートキーはクルマとキーが常時、微弱な電波をやりとりしていることです。このスマートキーの微弱な電波を利用して、キーがクルマの中にあることを判断することでインロックを防いでいるのですが、それでもインロックは起きてしまいます。

荷室の開け閉めによるインロックに要注意!

スマートキーにしてもキーレスにしても、今のクルマのドアロックは、カギを差し込んで回すというアクションは不要です。ボタンを押すとか、ドアノブに触れるといったアクションでドアをロックします。ではなぜインロックするのでしょうか?

スマートキー リモコンキー インロック

一番多いのは荷室に荷物を入れる時です。キーを手で持って(ここが1つ目のポイント)、キーのボタンを押して荷室のロックを解除(ここが2つ目のポイント)、リヤハッチを開けて荷物を置くために手に持っていたキーを荷室に置き(ここが3つ目のポイント)、荷物を積んでハッチを閉める。かくしてキーはクルマの中というわけです。

リモコンキーには荷室のハッチのみを開けるというスイッチが付いているものがよくあります。このスイッチを使うと“ドアは施錠されたまま”荷室のみが解錠されるので、荷室のハッチを閉めればすべてのドアとハッチが施錠された状態になってしまいます。

荷室に荷物を入れるときには、キーを手に持たない、すべてのドアとハッチを解錠するスイッチがある場合はそのスイッチを使う、キーを荷室に置かない、の3つを守ればインロックは防げます。また、ドアを閉めるときに勢いよく閉めないことも大切。車内にキーがあるときはロックしないシステムでも、勢いよくドアを閉めたときのショックでスイッチが誤作動することもあるからです。

キーレスにしても、スマートキーにしても、インロック防止は電波を用いています。その電波を作り出しているのは、キーレスのキーやリモコン、スマートキーに内蔵されている電池です。電池が弱くなれば防止システムも効かなくなったり誤作動を起こしたりします。電池が消耗してくると、ドアのロック&アンロックの反応が悪くなったり、近づかないと使えなかったり、バッグの中に入れておくとドアが開かない、エンジンが始動できないといった不具合が起きます。キーによっては警告灯が点灯、点滅して知らせるものもあります。電池交換はディーラーやカー用品店でも行えますが、精密ドライバーがあれば自分でも可能なものがほとんどなので、弱ったなと思ったら早めに交換を心掛けましょう。

インロックしてしまった時に覚えておきたい対処法とは?

インロックしてしまった場合、自分で解錠するのはかなり難しいと言えます。昔のクルマは針金を曲げてドア内部のリンク機構を動かすなどしてドアを解錠することができる車種もありましたが、今は難しくなっています。

自分で行うとゴム部品をキズつけたりすることもあるので、プロに頼むのが一番。JAFの会員ならJAFのロードサービスを利用することができます。JAF会員でなくても任意保険に加入していると、特約でJAF以外のロードサービスが利用できることがあるので、普段から保険のカバー範囲を確認しておきましょう。また、保険の連絡先を忘れてしまうとどうにもなりません。最悪でも保険会社だけでも覚えておけば、調べて連絡することができます。

赤ん坊やペットを車内に残してしまったままインロックしてしまった、など緊急の場合は119番通報するのが一番です。

119番しても到着までに時間がかかりそうなときは、自分でガラスを割るなどの対処が必要となります。近くにクルマのガラスを割るための脱出ハンマーを持っている人がいればそれを借りるのが一番ですが、なにもない場合は、できるだけ先端が尖ったものでドアガラスを割ります。フロントウインドウは合わせガラスなので割ることができませんが、一般的にドアガラスは強化ガラスなので割ることが可能です。ただ、普通に叩いたくらいでは割れません。

強化ガラスは目には見えませんが3層構造で、それぞれの層に応力が掛かっています。このため鋭利な先端をもつ道具などがガラスの厚みの3分の1まで食い込めば、ガラスがバラバラになって崩壊します。

脱出ハンマーがなく、普通のハンマーを使うときも平たい面ではなく、カドなどの面積が小さい部分をガラスに当てることが大切。また、ガラスは意外なほどたわむので、叩く時は真ん中ではなく窓枠に近い部分をねらいます。割れた際に車内にいる子供やペットに割れたガラスがかからないようにするのが基本ですが、可能ならフロントではなくリヤを割ることをおすすめします。リヤのほうがガラス面積が小さいので、たわみにくく、またフロントのドアガラスよりも修理費が安くなる傾向にあります。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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