完全自動運転は実現するのか?どこまで進んでる自動運転のいま

2022年5月11日

自動運転

一時期よりも熱が冷めた感じはしますが、自動車の自動運転に関する感心は今も高いものがあります。しかし、果たして完全自動運転は実現するのでしょうか? そして今はどの段階に達しているのでしょうか? 自動運転に関する気になるあれこれをお伝えします。

自動運転のレベルについてもう一度おさらいを

自動運転については、どのレベルで自動運転というのか? ということをまずは考えなくてなりません。

かつてのクルーズコントロールのように、指定した速度で走り続け、先行車に追いついても減速しないものを自動運転とは言わないのはおわかりでしょうが、現代のACC(オート・クルーズ・コントロール)と車線維持支援システムの組み合わせはどうなのでしょう? 

現状、一般的に自動運転のレベルは以下の0~5までの6段階に分類されていますが、自動運転と言っていいのは上位3レベルのみとなっています。

【レベル0/運転自動化なし】

概要:自動運転する技術が何もない状態。

運転操作の主体:ドライバー

【レベル1/運転支援車】

概要:システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかを部分的に行う。

運転操作の主体:ドライバー

【レベル2/運転支援車】

概要:システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を部分的に行う。

運転操作の主体:ドライバー

【レベル3/条件付自動運転車(限定領域)】

概要:決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。ただし運転自動化システム作動中も、システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなければならない。

運転操作の主体:システム(システム非作動の場合はドライバー)

【レベル4/自動運転車(限定領域)】

概要:決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。

運転操作の主体:システム

【レベル5/完全自動運転車】

概要:条件なく、全ての運転操作を自動化。

運転操作の主体:システム

このレベル分けを参考にすると、現代のACC(オート・クルーズ・コントロール)と車線維持支援システムの組み合わせはレベル2の「システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を部分的に行う」の運転支援に当たり、自動運転という領域には含まれていないことになります。

トヨタ・ミライとレクサスLSに搭載された「アドバンストドライブ」、スバル・レヴォーグの「アイサイトX」、日産スカイラインと日産アリアに搭載される「プロパイロット2.0」なども高機能ながらレベル2に分類されています。

世界で唯一、公道走行が可能となったレベル3を搭載したホンダ・レジェンド

ホンダ レジェンド

2021年3月4日、ホンダはフラッグシップセダンのレジェンドに「ホンダセンシングエリート」を搭載したモデルを設定したと発表、翌3月5日より100台限定でリース販売を開始しました。

「ホンダセンシングエリート」のなかに採用された「トラフィックジャムパイロット」と呼ばれる機能がレベル3に相当します。

「トラフィックジャムパイロット」は、高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行うもの。

制御は3次元高精度地図、全球測位衛星システムの情報をベースに、自車位置や道路状況を把握、多数の外界認識用センサーで周囲360°を検知しながら、車内のモニタリングカメラでドライバーの状態も検知し、ハンズオフ&アイズオフを実現、つまり手放しが可能で視線注視もいらなくなりました。

とはいえ、レベル3なので必要時はドライバーが運転を代わらなくてはならないので、居眠りなどで目をつむることはできません。レジェンドは2022年1月にはすべてのモデルが販売が終了しています。

レベル5は実現不可能だと思っています

筆者はレベル5の自動運転は実現できないと思っています。

レベル5は「条件なく、全ての運転操作を自動化」です。たとえば、目的地の何丁目何番地を入力すればクルマが走り出し、一時停止や一方通行を守り、歩行者や自転車に安全な距離を保ち、到着するということになります。

条件なく、なので高速道路や有料道路に限るという限定はなしになりますので、かなり厳しいと考えるのが妥当でしょう。

さらにレベル5の場合は、万が一事故が起きた際に責任を取るのは自動車メーカーとなっています。そこまでのリスクを負って、自動車メーカーがレベル5の自動運転装備を搭載することがコストパフォーマンスとして成り立つか? という疑問もあります。

走る場所が限定されている鉄道であっても、自動運転を行っているものは一部に過ぎませんので、混合交通のなかで自動車が自動運転になるのは難しいと思っています。もっとも、すべての道路に誘導用のビーコンが埋め込まれ、自動運転以外の自動車は走行できない……という時代がやってくれば話は別だと思います。

一方でレベル4やレベル3の自動運転はかなり限られた条件で実現されることになると思います。

主流となるのはレベル3でしょう。流通業界や輸送業界では人手不足が深刻化していますので、レベル3やレベル4を利用した輸送を真剣に考えています。

たとえば、高速道路のひとつのレーンを自動運転専用レーンとして拠点から拠点までの間を無人輸送するとか、1台のトラックにドライバーが乗車しそのトラックが先導して隊列走行を行うといった方式も考えられています。

ドイツではアウトバーンに架線を設置して電気の供給を受けながら電動トラックを走らせる実験も行われています。この架線給電式と自動運転との親和性は非常に高く、自動運転の実用化に拍車を掛ける要素となり得ます。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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