違法に見えても車検に通る!?意外な合法カスタマイズについて

2021年9月27日

どのカスタマイズなら車検を通せるの?

クルマ好きの多くが、愛車にさまざまなパーツを装着したり、ちょっと仕様を変更したりと、自分オリジナルの状態にして乗ることを楽しんでいます。しかし街中で見かけるクルマのなかには「えっ、あのクルマ車検通るの?」と思うような奇抜な改造が施されたクルマもあります。こんなすごい改造なのに合法?この程度なのに違法?など、今回は改造車の不思議について解説します。

この記事のPOINT
ハの字鬼キャンは問題なく車検に通るが一部条件で違法扱いになる
最低地上高は9cmを下回ると車検に通らなくなる
JASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)のバッジが付いたマフラーなら基本的に車検に合格する

鬼キャン、リフトアップ、シャコタン…足回り改造は何がOK?

正面からみるとタイヤが「ハの字」になって、タイヤの下側がボディからはみ出しているクルマを見かけることがあります。俗に「鬼キャン」(タイヤのキャンバー角が鬼のようについている)と呼ばれるチューニングですが、あのようにタイヤがはみ出しても、実は違法改造ではありません。タイヤがフェンダーからはみ出すのは違法改造ですが条件があって、サイドから見たときホイールの中心から上方に垂線を伸ばして前方30度、後方50度の範囲(つまりタイヤの上側80度の範囲)からはみ出すのが違反で、それ以外の部分がはみ出しているのは合法です。

つまり、思いっきり角度をつけてハの字にしても違反にはなりません。ただし、最低地上高には規程があるので、鬼キャン仕様で車高を下げすぎると違法改造になります。最低地上高は最低でも9cm必要。この9cmに可動部を含まないので、サスペンションアームなどが9cm以下でも大丈夫です。ホイールベースやオーバーハングの長さによって、10cmや11cmなどさらに高い最低地上高が必要な場合もあります。また、灯火類の高さにも規程があるので、最低地上高はクリアしても灯火の高さが足りずに違反となることもあります。

車高を上げた場合はどうでしょう? クロカン4WDなどでビックリするような車高になっているクルマを見かけることがあります。最低地上高の上限というものは設定されていないので、関連するのは車高になります。車高は普通自動車(1、3ナンバー)が3.8m以下、小型自動車(3、5ナンバー)と軽自動車は2m以下と規定されています。つまり、頑張れば3.8mまで車高を上げることが可能です。ただし、小型自動車や軽自動車が2mを超えた場合は普通自動車として登録する必要があります。3.8mまで車高を上げることは許されていますが、車高上げたことによって最大安定傾斜角度(左右ともに35度の傾斜で転覆しないこと)などの保安基準に適合しなくなった場合はNGです。

太い社外マフラーをつけていても規制クリアなら問題なし

太いマフラーを装着しているクルマもときどき見かけますが、こうしたチューニングが行われているクルマについても規制をクリアしていれば問題ありません。そしてどのような規制も同じなのですが、規制値はそのクルマがいつ型式認定を受けたかによって異なります。年式が古ければ古いほど規制は緩くなります。つまり、古いクルマほど大きな音が出るマフラーが装着可能です。

1980年代まで、アフターマーケットのマフラーはつねに取り締まりの対象となっていました。当時は純正品以外は違反であるというような風潮があったのですが、社外品であっても規制値をクリアしていれば何の問題もありません。そこで、1989年にアフターマーケットのマフラーメーカーが日本自動車スポーツマフラー協会(JASMA)という団体を立ち上げます。規制をクリアするマフラーについては協会が認定書を発行するとともに、認定番号が刻印されたバッジがマフラーに取り付けられるようになりました。現在はJASMAのバッチが付いているマフラーは車検で問題なく合格します。一方、純正マフラーであっても劣化や取り付け方法の悪さなどで規制値を超えるようなら車検は不合格となります。

リヤガラスに真っ黒なフィルムを貼ってもOK

リヤウインドウを真っ黒なプライバシーガラスにして、まったく車内が見えないようなクルマがありますが、じつはこれも合法です。ガラスまわりで規制されているのはフロントウインドウとフロントサイドウインドウで、可視光線透過率70%以上となっていますが、リヤウインドウについては規制がないので真っ黒にしても違反にはなりません。

逆に言えば、可視光線透過率が70%以上のフィルムはOKで、紫外線や赤外線を避けるために透明でありながら有害な光線をカットできるフィルムをフロントウインドウとフロントサイドウインドウに貼ることが可能です。また、透明なフィルムでありながら角度によっては反射して青や紫、赤などに反射するフィルムがありますが、これらも可視光線透過率が70%以上ならば違反ではありません。こうしたフィルムを販売しているメーカーのホームページには「フィルムを貼っていない透明なガラスでも角度によっては反射して車内が見えなくなることがあり、これと変わらない現象」だと説明されています。

一方、フロントガラスに貼り付けていいものは下記のものに限定されています。
・整備命令標章
・臨時検査合格標章
・検査標章
・保案基準適合標章
・共済標章又は保険・共済外標章
・故障ステッカー
・バックミラー
・公共の電波を受信するために前面ガラスに貼り付けるアンテナ

ちなみに、ドライブレコーダーを設置できるのはフロントウインドウの上部から20%以内となっています。つまりフロントウインドウの長さが1mならば20cm以内ということになります。ただし、この範囲を超えてもルームミラーの裏側など視界を妨げない部分は許されています。ただし、この範囲なら何を貼ってもいいというのは勘違いで、ステッカーやお守りなどを貼り付けることは禁止されています。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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