販売禁止までのカウントダウン、ガソリン車はなくなる?

2021年9月13日

ガソリン車はどうなるのか?

最近は世界中から内燃機関を搭載したクルマが禁止される、というニュースが流れてきます。クルマの世界は確実にEVへとシフトしていますが、明日からすべてEVというのが不可能なことも明白です。そうしたなか、ガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車などの内燃機関はどうなっていくのでしょうか? EV化に向けての過渡期、そして来たるべき未来はどんな世界になるのでしょうか?

この記事のPOINT
急速なEV転換ではなく緩やかなものになると予測される
EV化には日本のインフラ整備・生活様式の変化も必要
画期的な技術革新がある場合現在の流れは変わるかもしれない

世の中は間違いなくEVへとシフトしている

間違いなく言えるのは、クルマの動力源の主流は内燃機関からEVへと変わりつつあるということです。世界中の政府を巻き込んでの地球温暖化防止というとてつもなく大きなテーマに向かっての動きを止めることはできないでしょう。

今、内燃機関が問題になっているのは大量の二酸化炭素を排出するからです。50年ほど前、一酸化炭素や酸化窒素、硫黄酸化物などが問題視された時代に二酸化炭素しか排出しないエンジンがあったとしたら、何とクリーンなエンジンなんだ!と絶賛されたことでしょう。しかし現在は二酸化炭素が悪者なのです。そう考えると今は安全だと考えられている何かがこれから50年後には悪者になっているかも知れません。

少し前までEV化への道のりは、もっとゆっくりしたものになるだろう、という予測が主流でした。政府、メーカー、シンクタンクなどによってそのロードマップは異なりましたが、肌感として今より時間が掛かるだろうと思われていたのです。ここ数年でEV化への動きが加速度的になっている背景には、環境問題よりも政治的、経済的な動きが多く見られます。自国に自動車メーカーを持たない国や、産業の立ち上げが遅れた国などは、技術のキャッチアップに時間がかかる内燃機関を排除してEVのみを認めるようにすることで、自動車製造技術の遅れを取り戻せる可能性もあるし、従来の部品メーカーとは異なる業者の参入は経済を活性化しお金の流れを変えます。さらに言うなら、民間で使う石油の量を減らし、備蓄することは有事への備えにもなります。今まで、世界のエネルギーの切り札を握っていたOPECの力を弱めることにもなります。

全車EV化には充電と発電 2つのインフラがどう整うかが決め手

EVの使い勝手という面で見るともっとも重要なポイントとなるのが航続距離と充電時間でしょう。現リーフの62kWhバッテリー仕様はWLTCモードで458kmの航続距離があります。一般的な使用であれば、自宅で普通充電しておけば十分に使用することができるでしょう。しかし、より長距離の移動となると高速道路のサービスエリアやディーラーで充電しながら移動する必要があります。

今でもサービスエリアの急速充電器は充電待ちの列ができます。まだEVの普及率が急速充電器の配備率に対して低いためどうにか回っていますが、急激にEVが増えたら急速充電器の数が足りなくなるのは明らかです。本格的にEVを普及させていくには充電器を増やす必要があり、必要になる電力も増大します。そのためには発電を増やさなくてはなりませんが、化石燃料に頼らない発電を増やすのは容易ではありません。つまり、EVの本格的な普及には、日本のインフラや経済構造に加えて、日本人の生活様式も変えるような根本的な変化が必要ということになります。

ピュアエンジンやハイブリッドは生き残れない?

中国は2035年までに新車販売の50%をEVなどの電気自動車に、その他のモデルをハイブリッドなどの環境対応車にするという政策を打ち出しました。EUでは2035年に内燃機関車の販売を禁止するという規制案をEU委員会に提出されました。さらにこの原稿を書いている途中で、ダイムラーが2030年までにメルセデス・ベンツブランドのクルマをすべてEVにするという宣言をしました。こういう情報が流れてくると、いかにも世の中がEVだらけになりそうな雰囲気ですが、そうは簡単にいかないと私は思っています。その比率が大きく変わっていくのは間違いないとしても、今後もピュアエンジンモデルも、ハイブリッドもプラグインハイブリッドも生き残っていくのではないでしょうか。

現在、世界の新車販売台数を見てみると、ピュアエンジン>ハイブリッド>EV>プラグインハイブリッドという比率になっています。今後はEVが台頭してきて、わりと早い時期にハイブリッドを抜くことでしょう。これは中国での新車販売ボリュームが多いことが大きく影響しています。中国に限定すれば今後もEV比率はどんどん上がっていくことでしょう。

しかし、日本ではどうか?ということを考えると、そう簡単にEVシフトしないという流れも考えられます。大きな問題は電力で、クリーンエネルギーをどうやって手に入れるか?という課題は当分解決できそうにありません。EVの比率が増えるにしても、まだまだハイブリッドが主流という状況に変わりはないでしょう。

日本市場では今後はハイブリッドやマイルドイハイブリッド、そしてPHVが主流となり、発電問題が解決されるようになればEVへの移行は進むと思われます。水素については燃料電池の燃料としては使われていくでしょうが、内燃機関の燃料(ガソリンのように水素をエンジンで燃焼させて走る方法)としてはカロリーが低く、実用化は難しいと考えられます。

まとめると、日本市場からはピュアエンジンは消えていくものの、急激なEVシフトは起きず、ハイブリッドやPHVを経て、緩やかにEVにシフトしていく。しかし、その間に画期的な技術革新(たとえば二酸化炭素を酸素と炭素に分解し有効利用するなど)が起きれば、流れは大きく変わっていくことでしょう。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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