AT車のニュートラルポジションはなぜ存在するのか?

2019年5月29日

オートマチック車(AT車)のニュートラルポジション

最近のクルマの主流はAT車です。日本でのAT車の定義はクラッチペダルがない事、つまり2ペダルである事です。自動変速をしなくても2ペダルモデルならば、AT車ということになります。さて、今回問題にするAT車はそうした特殊なATではく普通のAT車です。自動変速するものを差しています。そうしたATに果たしてニュートラルポジションは必要なのでしょうか?

そもそもニュートラルポジションとは?

オートマチック車(AT車)のギアチェンジ

ニュートラルポジション(N)とはギヤボックスの中でギヤがかみ合っていない状態のことです。一般的なATの場合、エンジンの出力軸→トルクコンバーター→トランスミッション→ドライブシャフトという出力の流れです。FRの場合はトランスミッション→ドライブシャフトの間にプロペラシャフトが存在、4WDはさらに複雑になります。

ニュートラルポジションでは、ギヤがかみ合っていないので坂道でブレーキペダルを緩めればそのまま滑走していきます。パーキングモード(P)は、前後に動かないようにギヤを固定していますのでこうした滑走はおきません。

ATのニュートラルポジションは緊急時や整備用に存在する

通常の運転ではニュートラルポジションは使用しません。信号待ちなどではDのままブレーキを踏んだ状態で待機します。ですから、ニュートラルポジションを使う機会はないのです。ニュートラルポジションを使うときは、エンジンが止まってしまって押して動かさないとならない場合や、整備の際にタイヤを回さなくてはならない場合など特殊なときです。ただ、雪道でスタックした時にけん引ロープを使って引き出してもらう際はニュートラルポジションを選びます。故障でけん引するときは短距離ならニュートラルポジションでも構いませんが、ちょっと長距離になる場合はレッカー車などを使いタイヤが回転しないようにするべきです。けん引によるタイヤの空転では油圧の発生などに問題が生じることがあり、別の故障の原因になるからです。

ニュートラルポジションでの空走は危険

燃費を稼ぎたいためなのか?坂道などでニュートラルポジションを使う人がいますが、これは危険なのでやめましょう。ニュートラルポジションにしなくてもアクセルペダルを完全に戻せば、燃料カットが行われるので燃費は向上します。ニュートラルポジションでは万が一のときに再加速ができないのと、Dレンジに戻した際にエンジン回転とミッションとのシンクロができず、大きなショックが起きることがあるので危険です。

また、最近のクルマではコースティング機構といって、アクセルをオフにした際にはミッションを調整して空走できるようにしているものもあります。そうしたコースティング機構を備えるものでは、ニュートラルポジションを選ぶような状態が自動的で行われているので、ドライバーの操作は不要なのです。

非常に扱いやすいところに存在しているだけに、いつか使う機会があるだろうと思うニュートラルポジションですが、実はほとんどの場合は使わないモードなのです。クルマの故障がほとんど無くなった今は、納車から廃車まで使う事の無いポジションかもしれません。


(諸星陽一)

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