2019年10月19日
ワイン仕込み
・ワイン仕込みです、植えてから結構かかったけれど、表に出せるワインがやっと仕込めました。が、今年の収穫量はなんと12kgでした。普通に考えてあの面積なら軽く10倍取れてもおかしくないんですが、栽培の失敗です。一つはストレプトマイシンの種抜き効果が出てしまった可能性で、これはまあ薬液選択のミスですね。もう一つは樹勢問題で、今年はさらに馬鹿みたいに伸びました。途中で一応刈ってますが、この品種は垣根はコルドンは無理みたいですね。ギヨーなら可能か?あるいは超密植か?って感じですが、一番は棚かな。もう一つは収穫時期で、糖度上がるの待ってたらバンプが結構出ました。まあ欧州系としてはこの程度で済むんだ・・・って感じでもありますが。私はシンプルでクリーンなスタイルを狙っているので、レイトハーベストはあんまり興味ないです。
さて、久々に委託ワイナリーに行って挨拶とか色々話しますが、こっちが醸造の知識がないので相手が何を聞いているのか分からない部分も多く、それは後で解説して頂きました。その前のピノブラン飲みましたが、やっぱりここはおかしい。おかしいのはご本人も分かっているのでアレですけど、還元的というか二次発酵というか、So2だけじゃないへんな臭いがします。メルローは買ってきたので、そっちが正常である事を祈りますが、なかなか上手に発酵させるのは難しいみたい。でも、私はあんまり失敗した事ないんだよなぁ、SO2添加しないから酢酸にはなるんだけど、こういう感じにはならない。一つにPHがあるみたいですが後述。
私がやる事は12kgを絞ります。バケットプレスすら使えない容量なのでボールと手と水切りボールでチマチマと握りつぶします。これ、人力でやる時は遠回りに見えますが一番いいのです。大きい容量でやるとつぶして出た果汁が皮や軸など絞りかすの間に担保されちゃって出てこない。遠心で取れるなら別ですが、握りつぶして汁だけ落とさないとびっくりするほど絞れません。来年はバケットぐらいは使いたいですけどね、これだけで1時間以上かかったはず。これを洗浄殺菌したボトルにためたらおおよそ6~7リットルになりました。歩留まりも悪いんですが、軸や乾燥して絞れない病害果もあるのでこんな物かなと。ただ、今年は絞り汁がえらく緑緑しています。まるで青汁で、エグイのではないか?と心配になりましたが、飲んでみるとスッキリした味でした。恐らく今年のは果皮がとても厚い感じなので、そこらへんでしょう。ただ酸味も抜けちゃってますね。
ここから分析に入ります。私も人のワイナリーでなんぞやってるのは見てましたが、はじめて化学分析をちゃんと見ました。で、「そんなの必要なのか?」って思ってた理由が分かりました。ワイナリーでやってる分析は同じ事象を複数の方法でクロスチェックくれてるようです。果汁分析で知りたい事は4つです
1;糖度
2:酸度
3;PH
4:チッ素量
で、大抵のはセンサーとか分析機があるので、簡易的には計れるんです、一瞬で。でも、センサー類は校正しないと分からないし、信頼性もない。屈折計も糖じゃなくて酸でも反応する。そこで比重計や試薬による滴定検査でも計る訳です。比重からは溶けている糖の量が大まかに出ますし、滴下で中和していく(フェノールフタレインだったか)とPHが出ました。ちょっと忘れましたが。あ、チッ素はやりませんでした、どうやるんだろ?チッ素が少ないと酵母の培養が上手く行かないでスタックする事があるそうですが、うちのは繊維とか結構入ってるので大丈夫かな。
さて、それぞれの数字と意味を聞いていきます。糖度はそのまんま糖度で19度ちょっとありました。まあ思った数字に近いですね、ちょっと薄いけどそんな物かな。これはアルコール度数と残糖に関連します。うちは度数9ぐらいで残糖があるスタイルを狙っているので、これでもリッター30gぐらい残糖出来る計算でした。国によってワインによって違いますが、大体辛口は5g~10gらへん、中辛口が10g~18g、中甘口が45g以下、甘口はそれ以上みたいな感じです(計算として糖の19%はアルコールだと55%に減るので全部発酵させると10.45%です。13%のワインだと原料に23%もの糖が必要です。で、アルコールを9%とすると、残りのアルコール1.45%を糖として残すので2.63%になります・・・つまり残糖は1リットルなら26gって事ですね。個人的には料理に合わせるなら12gぐらいが良く、30g超えると相当酸がないときついかな。
酸度は・・・すみません忘れました。滴下が何ccでそれに0.75かけてーとかちょっと良く分からない処理してました。で、これは「酒石酸換算でどんだけ酸が入っているのか」です。酸っぱさの指標ですね、これは感覚よりは多かった。一方PHはそのまんまPHです。PHでアルカリ性だから酸っぱいという訳ではなく、こっちは土壌とかで畑毎になんとなく決まる物だそうです。うちのはPH3.2とかなりアルカリ寄りでしたが、その人のはPH5だったかかなり高いそう。このPHは何が重要かと言うと細菌の汚染のされやすさだそうです。PHが中性に近いほど雑菌が繁殖しやすいため、発酵前にSo2添加をして制菌してから酵母を入れるんだそうです。が、うちはやりませんでした、あまり少量だとSO2計れないしまんべんなく振れないんで。絞っちゃってからは意味ないそうです。だから浸漬して殺菌したりするそうな。またSO2と同じ殺菌剤で次亜塩素酸がありまして、容器もそれで殺菌してたんですが、ワインの場合塩素が反応してなんとか言う不快臭になりやすいのであまり使われないそうです。またSO2添加に似てるのがN2とかCO2ガスみたいですね。
さて、じゃあこれでレシピが決まって狙ったワインになるか?それなら苦労しませんけど、聞いて結構びっくりしたのはアルコール度数の目標の話しです。度数9度と書きましたが、それを正確に測定するには蒸留して100cc使う必要があり、短時間で決められませんから、多分飲んで「まー、こんなもんだろ」って所で止める事になります。でも、止めようと思って素直に止まってくれるかは分かりません。うちは小さいガラス容器なので止めろと言われたら止まりますが、大きいロットだとそうもいかないそうです。SO2添加はともかく、温度下げるのがきつい。ただ、残糖は後から砂糖添加でも上げられるので、甘さ調整自体は後付け出来ます。度数だけの問題ですね。
もう一つの酸度はぎゃくに後添加は普通しないし酒石酸以外も足さないとの事でした。個人的には別に後からクエン酸足してもいいと思いますけど、そこらへんは法律に問題無い範囲で試行錯誤すりゃいいと思ってます。個人的にリースリングの酸は酒石酸だけではないと思うんですよねぇ、多分リンゴ酸とクエン酸じゃないかなと。
あとは酵母、これはレッドスターの使いましたが、最近は販売が自粛っぽ。うちのは古い手持ちでちょっと心配もあるみたいですが、そもそも25リットル醸せる量あるんで多少減っても平気じゃないかな。これもお湯で活性化するのがいいのだそうです。さて、6リットルあるから6リットルワインになるかと言うとさにあらず、澱引きがあります。私は発酵工程での澱引きはしってましたが、発酵前に清澄してやって濁度とやらを適切にしてから発酵させるのだそうで、そこでもロスが出ます。これ真面目に4リットルぐらいにならね?って感じですんで、小瓶に入れる事になりそ。発酵は1週間から2週間で終わるそうで、糖度を見るためにとりあえず一週間後に見に行きます。そこで発酵停止のタイミングを計る事になります。うーん、ほんと小ロットすぎてきつい。巨峰とかパープルのハネだしもやってもらうか・・・そういや、発酵停止してから瓶詰めまでは何してるんだろ?まだまだ知らない事だらけです。
・色々やってたら3時間ほどかかり、その後塩尻で細々した事してたら帰ったのは日没後でした。雨降りすぎ。ちょうど花卉試験場が一般公開でオープンだったので入ったら閉鎖10分前でしたが、トマト栽培の人がいたので色々聞けました。やっぱり「なつのしゅん」は機械収穫出来るギリギリの硬さですが、DRのなんぞの方がいいとの事。そして海外だと平畝だから機械収穫出来るけど日本の改良マルチ栽培だと無理で、大手は人力ハーベスタあるけど・・・みたいな感じでした。運搬も海外だとトレーラーでやってますけど、日本だと軽トラですからね。
・もう一つ、塩パークは図書館スペース含め入ってきましたが、若い人の割合がとても多く、実用書や起業書が多い。でも高齢者のバードカービングの発表会とかもやってて、文化的かつ先鋭的でした。でも、塩尻って中心があやふやで、今の駅前は元は原っぱで新しい町、元は洗馬宿と塩尻宿でそれぞれ中心があり、今は国道19号側がもっとも広がっているという感じです。それぞれがコンパクトなんだけど、いわゆる町おこしは駅前商店街なんで、温度差があるかもな。
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Posted at
2019/10/19 20:20:13
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