はじまりへの旅

カンヌの「ある視点」監督賞受賞とか、アカデミー賞の主演男優賞ノミネートとか、結構その方面では話題になっていた作品。
原題Captain Fantastic。

森の奥深くで社会と交わらずに生きる一家が、死んだ母親の葬儀のためにアメリカの北西部から南西部へと旅をしながら騒動を巻き起こす、というお話。
ヒッピー風のオヤジと、その偏った世界観の下で育った一般社会をまるで知らない子供たちの家族のお話。
家族愛とかヒューマンドラマ風な感じだけど、個人的には全くこのオヤジのものの考え方に共感できず、観ていて苛立ってきた。

ストーリーとしてもあまり考えが足りないというか、ずいぶん薄っぺらな感じだった。
「普通ってなんですか？」っていうキャッチコピーからは、自分の考えている「普通」とは違うことがあるってことを理解する大切さ、とかがイメージできる。
「普通じゃない」家族を描くことで違いを受け入れる寛容さを気づかせてくれる物語(よくありそうないい話)ではなくて、考えが偏っておかしなことになってる家族が最終的にやっと一般的普通を受け入れてなんとかハッピーエンド、普通側にいる観客が安堵する、という展開。
こうやって書くと奥が深いような気もするけど、そうじゃないか。
子役の演技は素晴らしかった。
73点。ある意味アメリカ的映画、原題の意味するところがわかる。