ムーンライト

2017アカデミー賞 作品賞受賞の本作(脚色賞と助演男優賞も獲った)。

ある意味白人の映画賞だったアカデミー賞で、黒人だけのキャスト・監督・脚本家による作品が獲った作品賞。

LGBTQをテーマにしたラブストーリーも初めて。

LGBTQ…Qって？
知りませんでした。
性的志向が定まっていないQuestioning(つまり はてな？ の意味)、もしくはもともとは変わり者って意味のQueer(蔑称じゃなくて、ポジティブな意味でのセクシュアルマイノリティの総称らしい)、LGBTにカテゴライズできない「Q」。
これからはLGBTQって使おう、勉強になった。

話が逸れちゃったけど、すごく詩的な静かな美しい作品だった。

フライヤーには顔の色が変な黒人男性が写っているように見えるけど、これは少年期、青年期、そして成人した主人公の顔のモザイク。
弱くちっぽけなリトルと呼ばれていた少年時代、ナイーブで傷つきやすいシャロン青年、故郷を離れヤクの売人として生計を立てているブラック。
ブラックの生活というのは、いわゆるステレオタイプとして日本人が想像するような「ひどい生活をしている黒人」。
子供、青年、大人と観ているから、ブラックの心模様が際立ってみえる。
シャロンが同級生ケヴィンへの気持ちに気づいた月明かりの浜辺のシーン。
そして、成長して再開したブラックとケヴィンが静かに語る。

観終わって、しばらくして(1週ぐらいして)ジワジワとその美しさがわかってきた。
黒人でLGBTQとかっていうキワものじゃなくて、人種とか性別とか関係ない普遍的な気持ち。
美しい映画という表現がぴったり。
93点。こういう映画を作品賞に選んだあたり、まだアカデミー賞も捨てたもんじゃない。