サクラが保険修理扱いだからかディーラーのクルマではなくレンタカーということでか?「ガソリンは給油しなくて良いですよ」とのありがたいお言葉。もちろんロングドライブは控えて、自宅周辺をドライブしてみました。
デイズとしては初ドライブでしたが、デビュー時の三菱ekクロスのT(ターボグレード)を試乗しており、出来の良さから次期候補と考えたこともあるクルマ。今回はノンターボ、そしてMC後、というのが大きな違いですが、ekクロスのときの良好な印象そのままに終始運転を楽しめました。むしろ、ノンターボであることで良さが倍増されて、現状の新車購入できる軽のハイトワゴンの、いや軽自動車全体でみてもベストの一台では、と思わせる内容。総じて、ハイトワゴン系軽自動車の完成形! といって良いのではないでしょうか。
■良かったところ
・ノンターボでも十分と思わせるパワートレーン
・高い剛性感のボディー
・ブラシレスモーターでしっとりきめ細やかなハンドリング
・しつけの良いCVTセッティング
・高い静粛性、広く(広過ぎず)快適な車内空間
・MCで改善、ギリギリ座れるレベルになったリアシート
・ストップの機会が少ない(気がする)ストレスの少ないアイドリングストップ機構
日産の軽であるデイズやルークスは最上級グレードは、ターボとモーターの協調制御となりますが、これが結構微妙なときがあり、停止から加速していくと初期のモーター補助が切れてターボに切り替わる、といった制御。そこで場合によっては微妙にギクシャク感が出てしまうことがあります(自分はあんまり気にならないけれど家人は慣れるまでに時間を要した)
一方、このXグレードはターボもモーター制御もなく、結果としてシームレスでスムーズ。またフロント廻りの軽さを強く感じられ、街中から少し郊外のドライブなど、とても快適です。
それでいてプラットフォームやパワートレインは普通車クラスまでを前提にしているせいか、とにかく高い剛性感、ガッチリ感。足回りのしなやかさも別格。もちろんハイトワゴンに属する車内は必要十分以上の広さを確保されていて快適。
そんなデイズ・ekワゴン・ekクロスのデビュー時のネガはリアシートの出来でした。
(MC前のデイズ リアシート)
座面が床からの高さが低い上にほぼ水平、膝のあたる部分が斜めにカットされている、など、成人男性には非常に座りにくい形状。
これが、今回代車で使用したMC後は形状が見直されています。
(MC後のリアシート)
座面に前上がりに角度が設けられ、結果的に床からの高さも改善、縁の形状も変更、と大きく手が入り、それでも座面高さは低めながら、ギリギリ使えるシートになりました。ここはサクラのリアシートで既に把握していたところですが、MCで真摯に改良してくれたことが嬉しいですね。
■残念なところ
・MC前よりコストカットされたフロントシート
上述のように相当にコストをかけた現行は、その後の社会情勢や日産自体の経営のピンチで、MCでは見えるところ見えないところコストカットがなされたようです。
その最たるものがシート。・・・というのはルークスでも初代デリカミニのときも書いてますが、デイズもやっぱりそうでした。
フロントシートは中のクッションの素材が変更されたのか、表皮の素材の都合なのか、コシがなく、身体を支えてくれず、落ち着いたポジションがとれません。
全く座れないか、というと幸いそうではなく、非常に狭い範囲でギリギリ及第点な角度・高さがあるような感じ。とはいえ、ドライブ中にクッションがどんどん潰れて体勢が変わるなかで調節するので設定が大変です。
うーん、惜しい。そうはいってももちろんデイズは高級車ではなく所詮軽自動車。日常の足グルマと考えれば十分及第点なのかもしれません。
ちなみにサクラでは中のウレタンはかなり密でクッション圧高め、表皮ともあいまってかなり法外に硬めなシート。少し沈みこんだところで身体をしっかり支えてくれて、その意味では軽自動車としては出来の良いシートと思います。
■デジタルVモーションの数少ない成功例
MCでデイズ(特にハイウェイスター)もフロントフェイスがデジタルVモーションのモチーフに変更されたわけですが、なんだかどれもこれも評判の悪いデジタルVモーション顔にあって、デイズのそれは奇跡的に成立していると思います。
MC後のルークスのフロントフェイスでも書いたのですが、自動ブレーキ関係の安全性の再テストを回避するため?にライトやセンサー類の位置(形状も)そのままが前提。その上でコスト削減のためメッキの使用量を少なく、かつパーツ分割も少なく・・・という、デザイナー泣かせのギチギチの要件に対する回答が、メッキと樹脂でゼブラ状にデザインした意匠なのだと思います。
デイズの場合、ヘッドライト下のゼブラ部分がライトの幅いっぱいでなくて少し絞り、かつヘッドライトが大きく吊り目に跳ね上がっているため、シルバーのパーツの並びが単純な平行でなく上に向かって角度がついています。このデザイン処理がむしろボディ造形とマッチしていて良かったんだと思います。
(セレナ)
(ルークス ハイウェイスター)
(ノート)
ルークス、セレナ、(ノートも)、このシルバーパーツの配置がどちらかといえば平行な、文字通りの横断歩道のゼブラ状に並んでいるような印象になってしまっているのがクルマのデザインとして単調かつ強引な変更、ありていにいって「取ってつけた」感が強すぎて違和感を持たせるのではないでしょうか。
ゼブラ状にするなら、アリア・サクラのようにデイライトパーツでもっと細分化した細かいゼブラ(かつ幅を細く)にする、というのが良かったと思います(あれはEV用として用意しているのかもしれないけど)
ところで、個人的にはリアバンパーのデザイン変更は残念でした。ここもいかにも部品点数削減や製造コストの都合の変更のように見えます・・・というのは穿った見方なのかな(^^;;
MC前のリアバンパーは以下
■トータルバランスの高さはピカイチ
フロントシートのコストカットを除けば、気軽に長く生活を共にできる、ハイト系の軽自動車の1つの完成形と思いました。日産の経営状況だけでなく、世界的な経済状態も考えれば、ここまで技術を潤沢に投入できることもしばらくないでしょう。その意味で、もし1台所有で小さいサイズのクルマを探しているのであればデイズはお勧めの一台と思いました。