2019年12月01日
壮大なる失敗作
中曽根元首相がお亡くなりになられました。
現在の安倍首相の任期が長いとは言うものの、私の中での「総理大臣」というワードでトップに出てくる顔は中曽根氏か田中角栄氏が思いだされます。私の知る方で中曽根氏と親交のあった方は親しみを込めてか若干のジェラシーも含めてかは謎ですが中曽根氏を「大勲位さん」と呼称されていましたが、今になって思えばその「大勲位」の呼称が似合う方は今後出て来ないような気がします。小泉元首相の郵政民営化に関して今になって思えば?な部分もありますが、中曽根氏の電電公社と国鉄の民営化はやはり正しかったのではと考えます。
哀悼の意と共に思う事は、これでいよいよ自分の生まれた昭和という時代も遠くになったんだという感慨と、これからの時代への不安でありました。
話は変わりますが…
ウチを担当して下さるレクサスの営業さんは「レクサススペシャリスト」の肩書をお持ちの方で、自社製品のみならず他社や輸入車に関しての知識も相当な方であります。以前の担当営業氏が偉くなって担当が変わるというお話の際、差し出がましく思いましたが新人や女性の営業さんではなく、キチンとした方でとお願いしました。
女性は比較的短期間に結婚などで退社するケースが多く、新人営業世代とは共通の言語を持たないので会話が噛み合わないのはご遠慮という事です。
その方に「その後LSは売れてます?」と振ったところ、『都心の法人ユーザーの乗り換えが一巡したら全然売れていません』という正直なお話でした。
結局車の性格が大きく変わった事で一部の法人需要にはソッポ向かれ、個人ユーザーには大きくなり過ぎたサイズで車庫に入らないという理由でESやRXに乗り換える人が増えたり、「もうクラウンでいいや」となる方も多かったようです。「この車はもっとコンサバで良かったのにね」と言うと、多くの販売会社でも同じ意見で、次期LSのフルモデルチェンジは意外と早いかもしれないとのお話でした。
今のLSが登場した時、私は平成初期に日産から登場したインフィニティQ45と同じ匂いを感じました。当時ハンドリング至上主義をぶちあげた日産が大型サルーンでも徹底的に走りに拘った結果、このマーケットのお客さんにはホイールベース3mのスカイラインを欲しておらずに壮大な失敗作となった認識を持っています。
色々と試乗してみる事が好きな私ですが、今のLSに関しては少し乗っただけで「これはもういいや」と再び乗ってみたいと思えず、その理由を自分なりに考えてみると…
・スタイルが好きになれない
・運転席のスイッチが先代からガラリと変わり使いづらい
・乗り心地がイマイチで音がうるさい
・大きくなった車体寸法の割には室内が広くない
・やっぱりこのクラスにはV8が必要
・値付けに割高感を感じる
と、先代LSを買った者からすると再び1500万円を出す気になれなかった訳です。
先代LSはそこそこ売れたモデルで、その後をどうするかはトヨタとしても相当に悩んだ事は確かなのでしょう。しかしその結果がコレだった訳で、ユーザーが求めるLS像とは乖離があった結果が2年後の販売数に表れていると思います。
最初、V8からV6というダウンサイジングにはある程度納得したのですが、その後アウディA8や他のモデルのV8搭載車にも乗ってみると、このクラスには記号性も含めた色々な意味でマルチシリンダーエンジンが必要不可欠だと感じました。これまたメーカーに言わせれば「もうそんな時代じゃありませんよ」となるのでしょうが、そもそもこんな大きなクラスのスポーティーサルーンに個人で乗る事自体が時代錯誤であり、先代の滑らかさを犠牲にした説得力を現行型から感じないのも大きなマイナスポイントです。それでもダウンサイジングを唱えるのであれば次期ジャガーXJのようにV8から一気にEVに移行するくらいの変革が必要で、今のV6からはお茶を濁した感を感じます。
レクサスLSには他のライバルと決定的に違うのは、仕事関係の都合でこの車以外に乗る事が許されないユーザーが少なからず存在するという所だと思います。今のLSを作るにあたって「今までに無いLSを作る」というテーマがあったそうですが、その結果既存のLSユーザーからも不評で販売店を苦労させるようなモデルになった事はただただ残念で、私が第一印象で感じたQ45と同様に「壮大な失敗作」だったように思うのです。今後はマイナーチェンジなどで何らかの手入れをすると思いますが、登場後2年で雌雄を決した訳で、この次が果たしてどうなるかを見てみたいと思います。
これに対し、ここ最近の皇室関連の行事で登場した新型センチュリーが比較的好評である訳で、この結果を踏まえた上で次のLSには御縁があるといいなと待ちたいと切に願います。
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Posted at
2019/12/01 14:02:31
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