
【まえがき】
例えば、ある仕事人は、アジア・西欧の近現代史から、現代世相や地政学を語ることを得意としておられる…ようだ。
例えば、あるバイク乗りは、近代史と現代社会情勢を絡め考察、独自の政局観を持っておられる…ようだ。
例えば、ある単身赴任者は、含蓄ある修辞のなかに、自然科学的見地からの文明論と人文科学のミクスチャを得意としておられる…ようだ。
諸氏のエントリーを拝読すればするほど、或いは実際に会話を重ねていくと、つくづく人には、夫々固有のスタンスがあるものだ、と感心させられる。
翻って私といえば、経済思想史と政治思想史をもとに、現代マクロ経済学、とりわけグローバル金融と地政学の視点に立脚して、最近は“グローバル経済と安全保障”について考察することが日々のテーマとなっている。
私のスタンス、それは
“マクロ経済学的見地からの現代国際関係考察”
それは私のライフワークでもある。
私のライフワーク、そのベクトルはやはり
“日本を保る(まもる←当て字です)”
こと。
“保る”とは、個人的定義で言えば、日本の国家としての、自立・自律・自尊を促すこと。
先達が守り続けてきた故郷、自分が生きている日本という国…この国から産まれ、先人が誇りにし、そして育んできた“やまとごころ”と“風土”と“文化”…これを大切にしたい。後世に遺していきたい。
そんな思いで、私はエントリを綴っている。
今回も、その思いのもと、つまんない話を書かせていただく。決してアニキネタではない(あれは『何シテル?』専用)。
そして以下の文は、諸氏に於かれては反発を招くことも覚悟している。友達なくすかもしれない。それはとても残念なことではあるけれど、自身の信念に基づいた独白ゆえ、後悔はしない。
【私の考え】
最初に書いておくが、(知ってる人は知ってると思うけど)私は財政再建論者だ。
相変わらず日本の国家財政健全化について絶望視してはいるけれど、それでも(開き直ることもできない諦めの悪さから)依然増税派だ。それもリフレ派ではなく、
池田信夫先生を支持する、均衡論者だ。
私は日本経済というものは、根本的転換…パラダイム・シフトを迎えないと、もう行き場が無くなりつつあるとさえ思っている。友人からは「800兆円のじいちゃんばあちゃん資金を運用できれば、まだ何とかなる」とも言われている(前エントリ
『【Mad Social Scientist】公僕とは何か知っているか!?(発動編) 』参照)が、ではその先は?、と考えると、どうにも明るい未来を描くことができない。
だから、私のいう財政再建論とは、現状からのソフトランディングを着地点としてはいない。今の日本にとっては相当な痛みを覚悟せねばならない
ハードランディングの、その“後”に、私は財政のやり直しを見出している。
私たちは備えねばならない
その日はもう遠くはない…私はそれを念頭に、本文を綴っている。
しかしそれでも、私は現時点での金融緩和停止は支持しない。
立場的に否定すべきリフレーションは、決して特効薬ではないとは断言する。それでもそれは、来るべき日に備え、私たちが“時間を稼ぐため”唯一の、必要不可欠の“危機管理戦術”のひとつだとは思っている。
そして依然私は、大規模金融緩和、すなわち『第一の矢』については、中期(2013年~2016年)にわたる“戦術”展開のひとつとして、その効果に期待し続けている。
尤もここで強調したいのは、金融緩和それ自体は(経済政策上は一見戦略的に見えるが)“日本を保る”ためにはひとつの“戦術”であるべきであり、それは
“いまふたつの戦術(後述)とワンセットで一体運用”
されるべき、と私は考える。
大切なのは、その先にあるもの。それこそが、日本を守るための“政略”だと私は考える。
【政略】
日本を守るための“政略”について、私は以下のように考えている。
それは簡単に書くと、
経済活性化→安部政権基盤の安定→衆参両院における保守(創生「日本」あるいは神道政治連盟)勢力の拡大→憲法改正発議実現→憲法改正→日本の自立→日本を取り戻す→美しい国へ。
というシナリオ。
そこにおいて
経済の活性化は一丁目一番地。自国を守るには景気が一番、という政略がそもそも情けないけど…仕方ない、そう いう国になっちゃったんです、現代日本は。
【プレッシャー】
実はこのエントリー、書こうとしたのは先々週日曜日の未明のことだった。
しかし、それは私の思いに反してまったく実行に移されず・・・まあ、公人として私人として急にいろいろ糞忙しくなって、エントリ成立させるのに2週間もかかってしまった…ああ、半年振りの単車旅、楽しかったなあw
で、そうこうしているうちにも世界は色々と動いていたわけで…
例えば、
『米海軍制服組トップのジョン・リチャードソン作戦部長は17日、中国がフィリピンと領有権を争う南シナ海のスカボロー礁周辺で活動しているのが確認され、新たな岩礁埋め立てに向けた動きの可能性があると指摘した。(17日付ロイターより)』
とか、
『北朝鮮軍は29日午後5時40分ごろ、日本海に面した江原道・元山付近から北東方向に短距離の飛翔(ひしょう)体1発を発射した。(29日付時事通信より)』
とか。
大小問わず中華主義はとどまるところを知らず、東アジアの安全保障は日を追って脅かされるばかりだ。そのようななかでの安保法制施行、まずは当たり前に目出度い。
しかしやはり、その先に進もうとすれば、何をするにも
憲法改正は不可欠。
而して何度もいうように、その政略的着手点である経済はどうかというと…2月の家計支出は大幅に伸びたものの、決算期を迎えても投資家心理がなかなか回復しない。
( `ハ´)志向からなかなか転換できない鉱工業生産指数も、パッとしそうにない(だからあれほど
トンズー運動やれ、といってるのに)。
株価は( `ハ´)の崩壊に端を発する世界的デフレ(供給過剰)と金融不安に引っ張られ、17000円で頭打ち。じいちゃんばあちゃんの800兆円は箪笥から出てこない。
そして賃上げは2.12パーセント…一昨年の消費税アップ率より少ない。
円高或いは国内需要の将来的な悲観論…すなわち内需の低迷で、経済は伸びない。
確かに国内需要については、あの天下の悪法『男女雇用機会均等法』の産物たる構造的問題…つまり生産年齢人口の絶望的な縮小、或いは異常な労働機能偏重が生み出す富の細分化から悲観的になるのはわかる…が、それは長期的な話だ。
大切なのは“憲法改正実現”までの時間を、何とするか。
現状のままでは経済の回復→堅牢な保守政権基盤の保持→衆参同日選→憲法改正、という政略は、残念ながら覚束ない。
日本を“保る”ためには日本の自立は不可欠であり、政略的に憲法改正は重要要素。それを現実のものとするためには、
(短期的でもいいから)“経済の活性化”
は、再重要の橋頭堡だ。
まずは経済回復、何とかせんと。
【解決への道】
前述【私の考え】において、私は、金融緩和は『いまふたつの戦術(後述)とワンセットで一体運用されるべき』と綴った。
ふたつの戦術…それは、
財政政策と民間主導の経済イノベーションだ。今回は特に前者について、私の思いを綴っていこう。
既に常識的に言われていることではあるが、昨今の中央銀行主導の経済政策だけでは、( `ハ´)が産み出した膨大な問題(後始末)に落とし前をつけることはいまや不可能だ。特に“流動性の罠(=緩和してもお金が遣われない)”に陥った日本において、それは顕著だ。
確かにアベノミクスにおいては『第2の矢』たる『国土強靭化』や『戦略的イノベーション創造プログラム』といった財政政策も実行され続けて入るものの、例えばアメリカの“シェールガス革命”や“3Dプリント生産体制確立”に較べたら、前者はその開拓製において劣り、後者は民間に預託するところが大きすぎる。
民間は民間に任せて、現在の日本において政府には
“即効性に満ちたインパクトの大きい財政政策”
の実行が急務!
勿論そんなことは、優秀な日本の官僚たちはとうに解っている筈。
“即効性に満ちたインパクトの大きい財政政策”
それは消費増税再延期!
これをもって景気浮揚行い、圧倒的な支持率から衆参同日選、そして憲法改正へ。
衆院解散のテーマについては勿論、センシティブな憲法改正ネタは、敢えて避ける。
幸いして消費税再増税ネタについては、2012年の3党合意を敢えて反故にするのだから、民意を問うにはよいネタになる。
“消費税増税再延期”解散
私は常々「ゴールデンウイークを越えたら、動きがあるよ」といい続けてきた。
折から、上海G20協調介入で大義は整った。
アメリカ利上げ回数減
欧州マイナス金利拡大
大義さえあれば、あとは
“タイミング”だ。
そう、政略は時系列的に、段階的に展開する必要がある。
内実は憲法改正、しかし表向きは消費税増税を問う衆参同日選・・・衆院解散をやるなら、事前告知考えたら
6月初旬までがタイムリミット。
その時期世界的には、同月にイギリスでEU離脱を巡る国民投票がある。離脱可能性は僅か3割とはいえ、これが現実化すれば、極短期的には欧州経済に対して巨大なマイナス要因になる。それは再び欧州金融危機を再発しかねない。
これら課題とリスクを考えると、
政府は6月までに、為替や株価、失業率といった経済指標を“目に見えて”よくしておかねばならない。
対外的にも5月24日のサミット前に、国際貢献の姿を見せる必要がある。
そうなると、消費税増税再延期と、その実行可否をかけた衆院解散宣言は、
4月から5月中旬にかけてか?
しかしこの時期にはゴールデンウィークがある。
その前に手を打ってみても、国民の意識はレジャーに、ラーメンに、オフ会に、LEDにいくだけだ。
だから、時期はGW明け、
そう、大企業の決算発表や配当告知の来るGW明け
が一番いい。
蛇足だが
マイナス金利効果が出始めるのも、発動後3ヶ月から4ヶ月のちょうどこの頃…ひょっとして黒田総裁、安倍戦略知ってた?
いずれにしろGW明け、自民優位が確信されるなかでの消費税増税なし解散、となれば…
①まずは株価が反応、特に内需株。
②リスクオンマインド高まる+日本の国家財政に対する信認がゆらぐ→円売り
③インフレ圧力強くなる
そして選挙結果で自民勢力が現状以上、となれば安倍政権の信任すなわちリフレ政策が継続されることとなり、
④株価は更に伸びる
となる(これで原発動いてくれれば・・・ねえ)。
消費税増税延期による消費活性化
↓
国内需要のたかまりから内需株価上昇
↓
リスクオン円安
↓
外需株上昇
↓
需要増
↓
投資意欲拡大+マイナス金利
↓
内部留保取崩
↓
設備投資+賃上げ
↓
トリクルダウン!
…私はこんなシナリオを描いていた。
【的中!…と思った】
そのようななか、こんなニュースが入った。
曰く 『安倍晋三首相が5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の準備会合と位置づける国際金融経済分析会合は22日、首相官邸でノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン米プリンストン大名誉教授を招き、第3回会合を開いた。これまでに出席した有識者からは政府に
積極的な財政出動を求める意見が相次ぎ、消費増税の延期論も出た。政府は経済対策策定もにらんだ検討に入る。(3月23日付日経)』
曰く『2016年度補正予算案は7月の参院選後、秋までに予定する臨時国会に出す。今後の景気状況によっては17年4月の
消費増税再延期も視野に入れる。(27日付日本経済新聞)』
曰く『安倍晋三首相が平成29年4月に予定していた
消費税率10%への引き上げを見送る方針を固めたことが27日、分かった。(28日付産経ニュース)』
・・・ヽ(*⌒∇^)ノヤッホーイ♪、と思った。!
さらに曰く『民進党の岡田克也代表は28日の日本テレビ番組で、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げについて、「財政健全化は次の世代に責任を果たす意味で非常に大事だ。条件を整えた上で上げていくべきだ」と述べた。(28日付時事通信)』ブーメラン放ちやがったwww
何度も言うが、安倍先生が憲法改正発議で2/3賛成を獲得させるとしたら、その一歩目は、経済指標で人心を前向きにさせることだ。
具体的には、株価を昨年初頭の1万6000円から18000円以上上乗せにしたい。そして失業率は3.8%以下の完全雇用、有効求人倍率も現状以上を維持したい。
マクロ経済総体の向上が実質経済成長率を押し上げる、所謂トリクルダウン効果を出すには、まずは
株価上昇による人心鼓舞と賃上げが必須。
前者はじいちゃんばあちゃんのお金800兆円を消費に向かわせ、後者は耐久財購入により裾野を開く。マイナス金利で金も借り易いしね。
これで日本経済の活性化は(とんでもないことが起きない限り)年内くらいは可能な筈。
それは安倍政権の支持率上昇にも繋がり、
ひいては憲法改正発議2/3
も可能になる。
しかし、調子くれて小躍りしたのも束の間…
『安倍晋三首相は29日の記者会見で、来年4月に予定される消費税率の10%への引き上げについて、「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り引き上げることに変わりはない」と述べた。衆院解散に関しては、「頭の片隅にもない」と語った。(29日付ウォールストリートジャーナル)』
『2016年度予算案は29日夕の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立する。一般会計の歳出総額は96兆7218億円に上り、4年連続で過去最高を更新。年金や医療を含む社会保障費も31兆9738億円と過去最大に膨らむ。(29日付日経)』
どっちなんだよ!?
ま、解散ネタについては最後の最後までポーカーフェイスやるのが方便だから、この時期のお話は眉唾としておこう。
【問題は、その後】
ただね、これは
ラストチャンス。経済的にも政治的にも。
その先・・・憲法改正発議成立のあと、経済は・・・もう、打つ手はなくなるよ。
金融政策はもうこれで打ち止め。
残ってるのは、僅か2兆円のGPIFリスク資産買い入れ枠と外債購入、そしてマイナス金利拡大くらい。いずれもインパクトは弱い。あとは欧州の更なる緩和とアメリカの利上げ幅に希望を残すのみ。
必要なのは、短期的には財政政策。それも即効性のある、日本の国益を高めるやつ。
そして中長期的には、民間にはイノベーションの開花と内需高揚…その意味では( `ハ´)の手先にシャープを渡したのは最悪。
それでも来るべき日に備え、道は再び開けつつある。
今はハードランディングに至る前の、
最後の時間稼ぎだ。
そう長くは無いが、その間、我々は何をすべきか?
それはズバリ、
お金を遣うこと。
今、日本人がお金を遣わないと、マネーは錬金術に回るだけ。
皆の懐を温かくするには、皆がお金を遣わないとダメです。
不本意ながら、この数年で我々はグローバル金融経済下に完全に飲み込まれてしまった。特にリーマン以後の中央銀行主導の経済体制下では、一経済ブロックの浮沈が世界中に影響してしまう。
だから、国産外国産拘らず我々は、まずはモノを買わないとダメ。
富がその場で消えるサービスは、富の偏重を重ねるだけ…それは再び、マルクスの亡霊を呼び覚ます。尤も、それが何より大切な国も、すぐ近くにあるんだけどねwま、あの国は4000年とやらの歴史を持ってる、なんてほざいてますが、王朝変わるたびに文化伝承を拒んできた国だから、実質歴史は40年くらいしかないので、サービス業なんてまともに成り立つわけがないw
ま、( `ハ´)という厄物から少しでも方違えするためにも、
お金を遣おう!
カネは天下の回りもの…それを忘れないで!
次は佐世保基地訪問ネタ書くわ。
どんとはれ