まとめ記事(コンテンツ)

2025/06/19

旧車のブレーキテストから見えること


以前、「日本車のブレーキが効かないと言う人は、単に踏めていないだけ」だと結論しましたが、これに対し「理論ではそうかもしれないが、理論と実際は違う」と主張する人が必ずいると思うので、面白いデータを紹介します。
※因みにですが、物理法則が間違っていない限り、理論と実際が違うという事は起こり得ません。違う場合は、単なる誤差を正しく評価できていないか、理論自体が間違っているだけです(物理法則が正しく適用できていない)


昔のカー雑誌では、毎号新型車をJARIに持ち込んでフルテストし、自動車評論家だけでなく大学教授や開発担当者、JARIの研究員も交えたところで、数値結果を踏まえながら車を論評するという真面目なコーナーがありました。

車の性能が上がったことで、90年代に入る頃にはほぼ無くなりましたが、今から40年ほど前の84年のモーターファン「TEST&REPORT」より、ブレーキテスト(100キロからの制動距離)の結果を10台分ピックアップします。


1 テスト結果

・42m台 1台(シビック3ドア25iの42.3m)
・43m台 1台(ミニカエコノターボGの43.8m)
・45m台 4台
・46m台 2台
・49m台 2台(ゴルフ3ドアCi左ハンドルの49.1m、セドリックセダンV30Eブロアムの49.8m)

この結果から、軽はブレーキがプアーで止まれないとか、ドイツ車はブレーキがよく効くので止まれるという、
カーマニアが抱く一般的なイメージが、誤りである事が解ります。

なお、試験の時期と天候は、1位のシビックが1月の晴れ(0-5℃)、2位のミニカが6月の曇り(15-16℃)、9位のゴルフが7月の曇り(26-28℃)、10位のセドリックが9月の曇り/雨(21-25℃)でした。


2 シビック VS セドリック

栄えある1位と10位の比較です。

まずタイヤですが、シビックが185/60R14のアスペック(現在のアドバンdBに相当)なのに対し、セドリックは185SR14のGTスペシャル(一番安いラジアル、現在で言うならES32辺り)です。

一方、シビックは試験時重量1,089kg&WB2,380mmに対し、セドリックは1,725kg&2,730mmのため、この数値だけで荷重移動の指数を取ると、シビック0.458に対し、セドリック0.632です。
更に、セドリックの方が重心が高いのは明白であり、おそらくシビックの1.5倍くらいの荷重移動量と思われます。

つまり、
タイヤのグリップ力と荷重移動の差が、そのまま結果に出た形です。

なお、セドリックは曇り一時雨という状況での結果であり、多少割り引いてみる必要はあります。


3 ブルーバード VS サンタナ

同じ小型車で、WBが2,550mmと全く同じ、タイヤも重量もほぼ同じ2車ですが、ブルの45.7mに対し、サンタナが45.6mと似たような結果でした。

なお、座談会ではブルはブレーキの話題は出なかった(可もなく不可もなく・・・で恐らくカットされた)のに対し、サンタナは「(ドイツ車らしく)非常によく効く」(影山日大教授)、「パワフル」(山口京一氏)といった意見が上がっていた。

つまり、
フィーリング(初期制動力)と制動距離は、無関係であると証明されました。

なお、このサンタナは日産製であり、右ハンドル化に伴いサーボを右側に移動させていますが(左サーボのままだと、リンクが増えるのでフィーリングが悪化するとの理由から)、それ以外はオリジナルを忠実に再現しています。


4 全般に数値が悪いのは?

タイヤ性能の差と(当時は小型車でも175/70R13辺りが標準)、あとはABSを装着した車が1台もなかったことが影響していると思われます。

事実、2年後の86年12月に行われたルーチェ(HTV6ターボロイヤルクラシック)のテストでは、試験時重量とWBが1,785kg&2,710mmとセドリックと同等であるにもかかわらず、42.6mを記録していますが、タイヤが195/65R15のレグノでABSが標準だったからです。
※00年式ミレーニアだとマツダの社内テストで39mだそうですが、タイヤは215/55R16、EBD付ABSに進化しています。

つまり、
ブレーキ自身の制動力が、低かった訳ではないのです。
※今も昔も、ブレーキがローターの回転を止める能力(保安基準)自体は変わっていない。

以上より、今まで考察してきた内容を、そのまま裏付けるものとなりました。
※制動距離は、主にタイヤと荷重移動に従う【不動の事実】


余談ですが、清水和夫氏などは、未だにようつべで日本車とドイツ車の制動距離を比較してあーだこーだ言っているようですが、カーマニアに「高性能なブレーキほど、制動距離が短い」と信じる人が多いのは、この手の自動車評論家の影響が大きいと思う。
昔のように、本物の専門家(大学教授やメーカー技術者等)を交えたところで、正しい情報を伝えるべきですね。

Posted at 2025/06/19 08:41:11

イイね!0件

はてブに送る
はてブに送る

オススメ関連まとめ

マイページでカーライフを便利に楽しく!!

ログインするとお気に入りの保存や燃費記録など様々な管理が出来るようになります

まずは会員登録をしてはじめよう

ニュース