ご無沙汰しております。以前から乗ってみたかったNISMOのマニュアルモデルに気まぐれで試乗してみました。CVTモデルはマイナーチェンジ前に試乗したことがありましたががっかりでしたので、エンジンの違うマニュアルモデルを試してみたかったのです。
試乗車 ノートNISMO S (1.6リッターFF、5MT) 価格 232.848万円
試乗車オプション レカロシート 27.67万円
ナビゲーション 18.53万円
ETC2.0 4.75万円(セットアップ料込)
●外観デザイン
マイナーチェンジでだいぶかっこよくなりましたね。自分の中でNISMOは白のイメージだったのですが、今回試乗した黒はかなり気に入りました。LEDになったライトやグリルのデザインの変更、スポイラー類のデザインの変更やアクセントの赤色が効果的に配されているのと相まって、個人的には外観だけで「欲しい!」と思わせるデザインになりましたね。

是全長4165mm×全幅1695mm×全高1515mm、ホイールベース2600mm
車重1080kg、前軸重660kg、後軸重420kg(車検証記載値、前後重量配分61:39)
ホイールのデザインもシンプルで品がよくていいですね。
サイドステップのデザインも写真では見ずらいですが、凝ってます。

リアはバンパー下部センターのリアフォグが独立してディフューザーが強調されたデザインになり、こちらもかっこよくなってます。テールランプのデザインも変更されていてよくなっています。
●エンジン
HR16DE型1.6リッター直列4気筒DOHCで、専用ヘッド、専用ピストンによる高圧縮比化(11.2)、カムのハイリフト化、専用の吸排気システム、専用ECUチューンを施し、140ps(103kW)/6400rpm、163Nm(16.6kgm)/4800rpmのスペックとなっています。
燃料噴射はポート噴射だし、ハイオクガソリンのおかげで高圧縮化できているという、特別新しさのないエンジンですが、今となってはこういったモデルは貴重です。
レッドゾーンは6500rpmと控えめですが、トルク重視でちょっとした押し出し感があり、街乗りでも回して楽しめます。回転の上昇もスムーズで6500rpmまで一定の吹き上がりで、ふん詰まり感もありません。音も低音が効いていて、いかにもスポーツモデルといった感じでよかったです。
1つ残念なのはエンジンマウントが柔らかく、アクセルのON/OFFを小刻みに繰り返すとスナッチ(エンジンの前後の揺すられ)が発生することです。たぶん普通に固めると振動がもろに伝わってきたりするのでしょうか、VWの見事なマウントチューニングを知る者としては、もうちょっと頑張ってほしいと思いました。
●ミッション
5MTです。節度感はありませんが、特に引っ掛かりもなくスムーズにシフトできます。ペダルはストロークが少なく、繋がるポイントもわかりやすいので、普段マニュアルに乗っていない自分でも問題なく楽しめました。
●ハンドリング
電動パワーステアリングで、NISMOの専用チューンとなっています。
センターから左右2cmくらい動かしても全く反応がありません。それ以上切り込んでいくとそれなりに反応は出てきます。そして切り込んだ後に戻すときに、通常はステアリングの自然に戻る力に任せて軽い力で操作できるのですが、このステアリングは戻ってくる力がなく、自分で戻さなければならなかったので、ちょっと違和感がありました。
●足回り
フロントがストラット、リアがトーションビームです。NISMO S専用に強化してあり、フロントのスタビライザーも強化品です。
タイヤはブリジストンポテンザS007で、サイズは前後とも205/45R17 84W
正直足は固いです。またオプションのレカロシートの座面が固いので、余計に固い印象を受けます。
我慢できないというほどではなく、近所をチョコチョコ走って楽しむ分にはいいのですが、長時間の走行では疲れそうです。レカロシートのほうが見た目かっこイイので選びたくなりますが、長時間走行を頻繁にする方はノーマルシートのほうがいいかもしれません。
ボディは足に負けておらず、乗っていてヤワな印象を受けることはありませんでした。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。
他のNISMOはリアがドラムですが、NISMO Sだけはリアがディスクになっています。
ペダルタッチは剛性感が高く、ストロークは少ないですが踏み込む量に対して自然な効きで申し分ないです。
●静粛性
さすがにゴルフ並みとはいきませんが、国産コンパクトの中では静かなほうではないでしょうか。
●シート
フロントにオプションのレカロシートは適度な包まれ感で、スポーツシートにありがちな窮屈感がなくいいですね。ただ座面も背もたれもクッションに厚みがなく固いので、若い人にはよいと思いますが、私はもうちょっとソフトなほうがよいと思いました。

リアシートはノーマルの表皮を変えたものですが、ソフトでありつつ適度に体を支えてくれて、マイナー前のものよりもよくなっているのではないでしょうか。
●内装(インパネ)
今回のマイナーチェンジでインパネは一番変更が少ないかもしれません。ステアリングが最近の日産車に共通のものになっています。インパネのデザインはどうにも好きになれません。特にエアコン操作部の丸くデザインされたスイッチ類がかっこ悪さを醸し出していると思いますが、今回はクルマが楽しかったせいか、あまり気になりませんでした。
メーターはいたってシンプル。せっかくNISMO専用にしているのなら、もう少し気持ちを高ぶらせる演出があっても良いのではないかと思いますが、老眼の私の目でも見やすいことは見やすいです。
●安全・快適装備
このNISMO Sには最新の安全装備・快適装備は一切ありません。ミッションがマニュアルでは制御ができないそうです。
●ラゲッジスペース
容量は不明ですが、一般的なBセグメント車よりも見た目は広そうです。
久々に軽量で楽しいクルマに乗りました。昔のEP71スターレットあたりを思い出すような走りでした。こういう振り回せるクルマが最近は減りましたよね。しかも残念なのが値段。楽しいには楽しいのですが、このクルマに300万円かぁって感じですね。我々の時代には100~150万円くらいで乗れたことを思うと、若い人たちがクルマ離れするのもわかりますよね。
とはいえノートにはe-POWERがあるように、今となっては時代遅れな乗り味のクルマではありますが、売っているだけでもありがたいと思うべきでしょうか。値段が高いとはいえ昔ながらの楽しさが味わえるこのようなクルマはこれからも作り続けてほしいものです。
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試乗記 | クルマ
Posted at
2017/06/17 12:59:01