今回はフルモデルチェンジした11代目トヨタカローラについて考えてみたいと思います。新型カローラの特長を歴代モデルと比較して一言で述べよと問われれば、その答えは、「小さくなったこと」と答えるのが正解であると考えますが、その辺りを含めてより明確に理解するために、過去のカローラも含めてデータに基づいて分析を試みます。
まず、以下の表を御覧ください。歴代カローラの全長、全幅、全高、それらに基づいて容積を計算しました。さらに車体重量も合わせて掲載しました(データはすべてwikipediaより引用)。以降に述べる考察の助けとなるように前のモデルより数値が大きくなった項目を網かけで表示しています。
以前のブログで、クルマがモデルチェンジを経るごとにサイズを拡大する傾向があることを、複数メーカーの複数車種を例にあげて指摘しましたが(
こちら)、カローラもその典型で、容積的には初代から一貫して、ひとつの例外もなく拡大を続けてきたことが表から読み取れます。特に全長と全幅の拡大傾向は明確で、それに比べると全高の増加はそれほどではありません。おそらく全高が全長と全幅とのバランスの問題であり、全高が低い方がスタイリング上は有利なこと、また車庫等の利用上の制限からも拡大傾向に歯止めをかける力が働きやすいのであろうと考えられます。
一方、全幅は9代目で5ナンバー枠一杯の1695mmに到達してしまい、その後はもはや拡大せず、全長だけが拡大し続けることになりました。スタイリングのバランスの面から早晩、全長も拡大を止めることになることは容易に想像がつくのですが、実際、11代目では縮小方向に転じた訳です。車体重量に関しては、サイズよりも明確ではないのですが、やはり一貫した増加の傾向が認められます。
しかし、データからもはっきり分かりますが、全長の縮小だけではなく、11代目となる今回の新型は、50年近くにも及ぶカローラの歴史のなかで、重量を含めた全ての面においてその数値を縮小させたはじめてのモデルであり、このことが大きな特長と言えるのです。一般的に、ある車種の長いモデルライフの中でサイズがこれほどまでに明確に縮小に向かうことは(私の知る限りでは)極めて珍しく、近年では他には思い当たりません。新型カローラは、エクステリアデザインはもとより、性能的にもこれといった華がなく、メディアでの評価も複雑なものがありますが、こうやってデータを分析してみると、そのユニークさがはっきり理解できるのです。
カローラについては、もう少し考察してみたいことがあるので、このテーマでのブログは続きます。あしからず。
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日本車 | クルマ
Posted at
2012/06/05 23:27:24