今回が「その5」まで続けたカローラの話題の最後になります。一連の考察を始めたのは、最近登場した11代目カローラがあまりに華がないデザインであったためで、その辺りの感想をポルシェのモデルチェンジと比較するかたちで239回目のブログに取り上げたことがきっかけでした(
こちら)。
何故そんなモデルチェンジをしたのだろうと、初代からの11台のカローラの比較分析をはじめて、その中でいろいろと発見もあり、4回に分けてブログでも書かせて頂きました(こんなに長くなるとは思ってませんでしたがw)。そして一連の考察の最後として、最初の疑問に対する自分なりの答えを出すべく考えてみたいと思います。
繰り返しになりますが、E160 型カローラの特徴はダウンサイジングであり、これは先代までのプラットフォームを捨て、下位車種であるビッツのプラットフォームを利用したことによります(wikipedia参照)。このような方向性の根本には、トヨタの販売の主力がプリウスを筆頭とするハイブリッド車に移るとともに、カローラの販売数が減少し続けたことを踏まえて、ラインナップの「将来構想」から外れたことにより、できるだけ開発製造コストはかけたくないという思惑があったからだと思います。
しかし、だからといってこのように明らかなダウンサイジングとなるモデルチェンジを行うことは、サイズの増大(
参考)や装備の改善を伴うグレードアップに向かう強固なトレンドが存在することを考えると、通常モデルチェンジではやはり稀なことであると言っても良いでしょう。今回のモデルチェンジを業界マスコミが受け止めかねて、おかしな(苦し紛れな)提灯記事を連発していることからもそれが伺われます。
言い換えると今回このようなモデルチェンジは行わず、カローラという車種をディスコンティニューする選択肢があったのではないかということです。コロナやカリーナ、別メーカーですが、サニーやブルーバードといった過去の主力車種は、そうやってひっそりと姿を消していきました。そして車種によっては(技術的に刷新されたか否かには係わらず)、一部は新しい名前のクルマとして改めて市場に投入されたのです。
では何故そうしなかったのか?現在もなお多く存在するカローラオーナーの、特に年配オーナーで歴代のカローラを乗り継ぎ、「カローラじゃないとダメ」という層の確保を図ったというのが、最もあり得る理由でしょう。将来的にも力を入れていく車種ではない、ならば最後の1世代(あるいは2世代)を、現オーナー層の維持のためだけに(費用はできるだけ抑えて)開発する価値はあるだろう、ということです。だからこその”高齢者へ配慮した設計”や”省燃費設計”であり、”ダウンザイズ”であり、”新しさを感じさせないデザイン”なのです。
しかし、本当にそれだけなのでしょうか?トヨタを半世紀に渡って支えてきたブランドである「カローラ」というクルマに対する感謝の思いや尊敬の念が、冷静なビジネス上の判断とは別にあったと思いたいのです。そのことが、ややイレギュラーに映る今回のモデルチェンジの一つの要因であるともし考えることができるなら、そしてトヨタという会社が敢えてそのようなことを考慮して今回の決断を行ったと信じることができるのであれば、新しい11代目カローラの地味なスタイリングもまた違って(輝いて)見えてくるのではないかと思うのです。
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2012/06/10 08:13:23