
某プレの掲示板にアンダーガードに蜘蛛の巣状の亀裂が発生すると言う書き込みがありました。
そこで、ちょっと調べてみました。
(ここから先は、私の個人的な調査の結果のメモです。必ず正しいと言う確認は出来ていません)
アンダーガードなどに良く使われている「ポリプロピレン 」と言う材料は
略記号:「PP 」と表記され、車以外にも、家庭用保存容器など
多方面で使われている、いわゆる汎用プラスチックです。
難しく言うと、プロピレンの重合体で結晶性樹脂であり、メチル基の配列で立体規則性が現れています。
で、思いっきり解りやすく言えば、耐熱性・強度・剛性は大きいが耐衝撃性は小さい汎用樹脂です。
また、比重が0.9~0.91で汎用樹脂の中ではきわめて軽いと言う特徴があります。(水に浮きます)
このため、車のバンパーやアンダーガードなどに使用されるわけです。
更に、常温では硝酸、鉱物油を除き耐薬品性は良好である。結晶性であり有機溶剤には耐性があり、ソルベントクラック現象はほとんど起こさない。と言う大きな特徴があり、車両用に有効で多用される大きな理由となります。
もうひとつ、 流動性が良好で、薄物や複雑形状物が成形できる。成形収縮率はポリエチレンより小さく、また、縦、横の成形収縮率の差が小さくバランスが良好である。と言う点が、工業化に弾みをつけています。
そして、融点が165℃で、蒸気消毒をする衛生器具にも使用でき、また沸騰水中での使用も可能である。と言うことで、家庭用の食器類にまで使われるのです。
反面、耐候性は他の汎用樹脂と比較してよくない。つまり、太陽光に弱いのです。が、この点は光安定剤や紫外線吸収剤の添加で容易に対策できるので大きな問題になりません。
耐衝撃性については樹脂単体での対策は不可能であるのに、車のバンパーなどに使われるのはフィラーと呼ばれる鉱物質や、植物質の強化材を練りこむことで、対策可能だからです。
そのうえ、他の樹脂に比べて、きわめて安価だと言う特徴が採用を促進しました。
成形バンパーの出始めの頃は、バンパーカバーと呼ばれ、材質がウレタンだったことを覚えている方は少ないと思います。
しかし、当初は樹脂バンパーといえばウレタンだったのです。今やウレタンバンパーなどは希少です。
さてここまで調べて、この材料の弱点を見つけました。(最初から知っていたのですが・・・そこから調べたのにね)
銅およびその合金に接触した状態で高温になると劣化が促進される。いわゆる「銅害」です。
もちろん、この銅害対策にも有効な添加剤はあります。しかし、高価になってしまうのです。
つまり、車で言うところの、アンダーガードなどは、PPがむき出しで、そこの何らかの銅または銅合金が接触すると、そこから、樹脂表面を放射線状に亀裂が走ってしまうのです。車に銅・・・電線の大半が銅製ですし、ワッシャーなどにも銅製は多いですね。
だから、おそらくアンダーガードの亀裂はその性だと思うのですね。
おまけに、
日本におけるポリプロピレンの2007年の生産量は309万トンで対前年比1%増で過去最高でした。
(社)自動車工業会の発表による2001年における日本の四輪車の材料別構成比によると、合成樹脂の構成比は8%で、その内PPが半分の4%を占めています。
また、ガラス長繊維強化グレードがその高剛性、高強度の性質を活かして、自動車のモジュール化部品の鋼鉄代替材料として採用が進んでいます。
Posted at 2008/07/30 00:35:38 | |
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