
ちょっと前の時計は、決まったように3針式で、秒が滑らかに動くとか
ステップ運針とかを競っていました。そして今は、おしゃれな時計には
秒針はありません。テジタル時計も最近は秒の表示を隠している物が多くなりました。
電波時計の普及で時刻あわせが不要になってきたこともあるのでしょう。
しかし、時計の多くは「時・分・秒」が刻めるようになっています。
たいていの人は「時・分」を知るためで、「秒」は気にしません。
せいぜい、時刻合わせの時に気にするくらいでしょう。
だから、最近は必要なくなったと言うのでしょう
では、この「1秒」はいつ頃からあるのでしょうか?
なんと、少なくても紀元前4000年頃の、古代バビロニアか、エジプトで
「1日の8万6400分の1」を1秒とする考え方が生まれていました。
この頃の日本といえば縄文時代
時間といえば、夜明け、昼間、日暮れ、夜位の感覚で「秒」なんてとてもとても・・・
この「8万6400分の1」と言うのは1日=24時間、1時間=60分、1分=60秒
という1日を基準にした考えです。
もっと凄いのは、古代バビロニアでは、この頃すでに「1年が365日と4分の1日」と言うことが知られ
ていたらしいのです。また、月の満ち欠けから1年を12等分していました。そこから、1日も12等分し
ていたらしいのですが、やがて24等分するようになりました。
しかし、当時の時計は「水時計」や「蝋燭時計」でした。
日の出から次の日の出までの水や蝋燭の減り方を24等分すれば1時間を割り出せると言う考えです
。また、1時間を60分割して1時間の60分の1を「1分」としていました。
そんなものですから、正確さなんて望めません。しかし、「1秒」と言う概念はあったのです。
正確に測れないから、理論として存在したのです。
この、「1秒」は天文学者や占星術師が使っていました。
占星術師さんは言い訳用かな。
同じ年月日時間分に生まれると同じ運命になってしまいますからね。(爆)
話は変わって、1583年ごろ、有名なガリレオ・ガリレイさんが、「振り子の等時性」を発見します。
右に振れた錘が戻ってくる時間と左に振れた錘が戻ってくる時間は同じと言う法則です。
この頃、正確な時計が無い時代ですから、ガリレオさんは自分の脈を使って振り子の時間を計ったと
いわれています。脈って、そんなに正確でしたっけ?
さらに時が変わり1657年頃、この「振り子の等時性」を応用して
ホイヘンスさんが「振子時計」を発明しました。
天体観測において正確な時刻測定が必要な為生み出されたようですが、
この頃それほど正確な機械は生産できませんでした。
そして、1673年、クレメントさんが振子の振幅を秒針に反映させる仕組み
「アングル脱進機」を発明します。
簡単に言えば、1mの長さの振子を揺らすと、錘が一方の端から、
他方の端までゆれる時間が約1秒と言う原理を機械的に
時計の秒針の動きにつなげたものです。
当時の時計は1日10分程度ズレるのは当たり前でしたので、
この仕組みは画期的だったわけです。
そして、大航海時代。
長~い期間航海を続ける船には、さらに正確な時計が必要になります。
星の位置で南北の確認は出来ますが東西の確認が出来ないからです。
そこで、大英帝国は太っ腹で2000ポンド(現在の価値で2億円くらい)の賞金を掛け、
正確な時計を募集しました。
そして、見事に賞金を獲得したのがイギリス人のジョン・ハリソンさん
「クロノメーター」と名づけられた今の時計に近い構造の時計を作り出したのです。
この時計、1週間で1秒程度の誤差だったようです。何気に凄いかも!
しかし、バカでかかったようです。
さて話は戻って、正式に「1秒」が定義されたのは1799年
フランスで「メートル法」の制定にあわせて決められました。
「1秒を平均太陽日の86400分の1とする」
紀元前の古代バビロニアで理論として考えられた「1秒」が現実の「1秒」になりました。
地球の自転を基にした考えです。
しかし、正確な時刻を測定する機械が次々に発明されると
「1日」の長さが少しずつ変わっていることが発見されてしまいます。
そうなると「1秒」も少しずつ変わることになり、これな不味いと言うことになります。
「1日」は少しずつ変わってもいいのに、「1秒」は変わってはいけない?と言うのも
なにやら変ではありますが、そう言うことになったらしいのです。
そこで、1956年に、「1秒」の基準を「1日」から「1年」に置き換えた基準を制定します。
「1秒は1900年1月0日12時の太陽年の3155万6925.9745分の1とする。」
となったわけです。地球の自転から地球の公転に切り替えたわけです。
それでも、移動からの割り出しですから、天体観測上ではどうしても誤差を生じます。
そして、1967年、以下のように改訂されました。
「1秒はセシウム原子が91億9263万1770回振動する時間」
ここに来て、天文学から物理学への変更になるわけです。
しかし、セシウムって何?といっている我々庶民にはどのように92億回も振動を
数えるのかすら理解できません。
この考え方は、今もって変わっていません。
電波時計などに使われている標準時計はセシウム時計のようです。
今の時代、個々の時計が正確でなくても、元となる時計が正確ならば、
個々の時計がその情報を得て修正してゆけば良いのですから、
昔より楽になったのかもしれません。
どうですか、「1秒」というあっという間の時間にも、このように長いお話があったのです。