
ここ2~3年で急に使われるようになった言葉ですね。
「ロバスト設計」「ロバスト推定」などのように使われています。
もともとこの言葉の意味は、
robust:強壮な、精力的な、 力のいる、と言う意味のようですが、 粗野な、(料理などが)こくのあると言う意味もあるようです。
「ロバスト設計」は最近の車の設計者の間では良く使われますが、簡単に言えば強靭な設計。
3Σが標準的な品質指標であった時代から、今は6Σを目指すような時代となりました。
6Σ、簡単に言えば製品100万個あたり不良品が3~4個と言うようなもの。
ロバスト設計とはその手法の一つなのです。
機能性設計とも呼ばれますが、製品や工程のシステムを改善したいときに、たくさんの設計条件を選んで,内側の直交表に割りつけて、外側には信号因子や振れを割りつけて、 両者の交互作用実験をおこないます。
市場における品質トラブルを未然に防止してしまう設計法です。
従来設計は最初から、実際の製品について、標準条件で機能設計を行い、試作品を何台か作って、
信頼性試験や寿命試験で問題点を抽出して設計変更を行い、企画仕様で決められた目標値に調整する方法です。別名、「モグラ叩き」といって、問題が発生する度に処置していきます。
一見確実に見えますが、極めて効率が悪く際限がない方法でした。
もうひとつ、ロバスト推定とは何か?
パラメータを推定する代表的な方法の一つとして最尤推定があるのはご存知と思います。しかしながら、最尤推定は、しばしば外れ値に強く引きずられて、結果的に奇妙な推定値を見せる、という問題があります。たとえば、以下のデータを例にして、その平均を推定してみます。
4.87, 4.29, 5.51, 5.11, 3.58, 5.54, 6.96, 4.92, 4.28, 4.94 標本平均は5.00
例えば標本平均を考えて見ましょう。標本平均は適当な場合の平均パラメータの典型的な最尤推定です。上記の10個のデータの標本平均は5.00です。これは平均の推定値としては妥当ですね。
ところで、最後のデータが、ミスで44.94と最初に4を2回打ってしまっていたらどうなるでしょうか。この場合の標本平均は9.00となり、本当に推定したかった平均とは完全にずれてしまっています。
4.87, 4.29, 5.51, 5.11, 3.58, 5.54, 6.96, 4.92, 4.28, 44.94 標本平均は9.00 ?
データが発生している中心部分から大きく外れているようなデータを「外れ値」と言います。外れ値は、もちろんタイプミスに限らず、サンプリング時のノイズがある場合や、観測状況に一時的な大きな変化があった場合などにも観測されます。このような外れ値がデータに混じっていたとしても妥当なパラメータ推定を行うことができる推定をロバスト推定と言います。(ロバスト推定には他の意味もありますが、簡単でわかりやすいのがこの例なんです)
先ほどの例では,外れ値を目で見て外せばいいじゃないか、という話になります。しかし,データが多次元だと簡単には目で見えませんし、大量のデータを次々と処理しなければならない場合には一々、目で判断するわけには行きません。そういう意味で、データから自動的にロバストな推定を行うことに意義があるわけです。
この方法、最近の統計学ではよく使われますね。
ここのところ聞くようになった「ロバスト」の雑学はここまでです。
私の個人的な解釈が多く含まれていますので、参考にだけしてくださいね。
って、こんな言葉使わないかな?普通
Posted at 2007/12/15 03:22:29 | |
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