
連休前の出勤最終日,今日でお仕事終わり…どうせなら今日休んでしまいたいなと怠けることばかりを考えつつ,朝,
グリマーさんから携帯に届いたメールを見てみると…なんと懐かしいメーター.このメーターは,以前グリマーさんが乗っていた
ヴィッツ ユーロスポーツエディションにタコメーターがなかったので,ヤフォークで買ってきて,配線を全部つなぎ変えて取り付けていた,ファンカーゴのタコ付きメーターです.この時は,エアバッグかなんかの警告灯が点滅状態から消えず,仕方なしに警告灯本体のLEDをペンチで握りつぶしたような記憶…
夜中に会社の寮で,手回しの天井穴からハンダゴテぶら下げて作業したのが懐かしいです.
さて,メールの文章見てみれば,相変わらずゴキゲン斜めの
志都呂苑DS3が入院したため,その代車で借りているとのこと…ここの代車は,以前の
金プラや
アレックスなど,外車ディーラーですが,代車はちょっと古めの国産車を使っているようですね.まぁ,下取りの有効活用なのかもしれませんが,詮索するのはやめましょう.
で,仕事終わりにグリマーさんに試乗させて〜とメールしたらば,先週入院した
シローラを引き取りに行くとのこと…晩飯前ぐらいの時間に,いつもの牧場に集合すると,スギレン様のニヤニヤマシンが登場して,いちはやくそのお姿を拝見することが出来ましたが,細かな部分までのこだわりがいいですね.特に分厚いアレは,雰囲気たっぷりです.
さて,肝心の試乗,息子が寝てしまったので,そのままA
SSYでサニカリさんからファンカーゴに移植.そして,ファンカーゴのリヤに乗ってシローラを引き取りに某ディーラーに向かいました.
リヤシートですが,前期の格納シートはデビュー時に奈良競輪場の横に展示されていた時に,雨宿りしていましたが,格納状態でこそメリットはあるものの,マトモに人が乗れるシートではなかったので,後期型で普通のシートに戻されたんでしょうね.その分,ファンカーゴとしての特徴はなくなってしまいましたが,前期のリヤシートは4ナンバーなら許されるかもしれませんが,乗用車のリヤシートとしては失格.あれに高い乗用の税金は払えません.
今回のファンカーゴは後期型で,リヤシートは前期の一番のうりになっていた,床下格納を諦めて,その分座面も背もたれもマトモになったシートでした.チャイルドシートもスムーズに固定でき(ファンカーゴのリヤシートはISO FIX対応のようですが,うちのはISO FIX非対応),大人が乗っても快適な座り心地…前席との空間は,ものすごく広くて,例えるならばアーバンライナーNEXT級.何が言いたいかというと,前席に足がぶつかるビスタカーじゃないってことです.わかる人だけわかってください.座面と床の高さも,観光バスや鉄道車両のクロスシートに近く,背が高いこと,前席よりも視点が上げられていることも加えて,開放感はたっぷりです.
なるほど,
この車自体タクシーとしてもよく使われていますし,開発中との噂の
JPN TAXIも
シエンタベースながら,実質このクルマと同様のコンセプトですから,やはりこの広さとアップライトに座る楽さを体験すると,
コンフォートのような旧来のタクシーよりは快適そうです.

リヤシートからの眺め
シローラを引き取って牧場駐車場に格納したら,ココから飯&風呂に向かうことにしました.ここからは,流れの速い幹線国道&高規格県道なので,今回は山岳ルートは体験できませんでしたが,やはり1tを越えているクルマで1300ccでは山道はきついでしょうし,本来の使い方ではないと思いますので,適正な試乗コースかなと…
【運転席】
センターメーターと奇抜な形状のインパネが目を引きます.この感じ懐かしいなと思ってみれば,コラムシフトとインパネシフトの違いはあれど,エスカルゴにそっくりなんですよね.このセンターメーターですが,2代目ヴィッツなどと違い,きちんと運転席側に向けられているのが特徴で,運転手から見ればきっちり真正面を向いているので非常に見やすく,位置も高い場所にあるので視線移動が少なく済みます.昔のように大きなステアリングであれば,ハンドルの向こうにメーターがあっても問題ないですが,このNBCプラットフォームぐらいから,全車パワステが標準になってこともあり,ステアリングが小径化されて,この奥にメーターをつけると,ステアリングホイールにメーターがケラレて,見にくくなってしまいますし,アップライトに座らせると,どうしてもステアリングコラムが立ってしまうので,その奥にメーターを配置すると,メーター面が水平側に寝てしまい,手前を見下ろすようにしないとメーターが見えなくなってしまいますが,このセンターメーターの配置であれば,そのような不都合は置きません.
ただし,エスカルゴと違ってインパネアッパーが高くなっているので,座高が低い人は,見にくいかもしれません.そのへんは,NBC以前のインパネの低い車には敵いませんね…なお,座高3桁手前の私の場合は,ステアリングチルトを最上,シートリフターを一番下げて調度良い感じ.
シフトノブはこの時期流行っていたコラムATですが,シフトノブ自体は順手で握りやすい形状にされています.ゲート式になっていて,NからRや2に入れるには手前にレバーを引くスタイルですが,慣れないと目的のポジションから行き過ぎてしまう…そのくせ,動き出しは結構重いので,思ったようにシフトポジションを選びにくいです.この辺は,次の世代がインパネシフトになっていった要因の一つかもしれません.
インパネアッパーの素材はわかりやすいプラスチックですが,表面のシボがエレベータの内装をベースにしたという噂の模様で,きちんとプラスチックながら,プラスチックなりの味を出しています.へんな皮シボなんかより,このほうがよっぽど好感がもてますね〜
あと,いいデザインなのがこの吹出口.ぐるっと回すと完全シャットアウト.機能とデザイン性を両立しています.

デザインあ的いいデザインだねぇ〜
【後席&荷室】
この車の特徴的な前期型の格納できるリヤシートや,後期型の視界の良さですが,その秘密はボディー形状と床構造に工夫があります.まずは床構造.


左・前席,右・後席
写真で見ると一目瞭然,リヤシートは上げ床構造になっているんですよね.前席はヴィッツ由来の低い床面ですが,リヤシートはそこから100mm近くも上げ床されており,サイドシル上のステップ部は同じ高さですので,構造がよく解ると思います.最近はこういう斜め床のクルマが多く,特に新型ノアヴォクやビアンテなどが視界の良さをアピールしていますが,これをやると,床面と座面の角度が鈍角になってしまい,座った時に足先が下を向いてしまい,座りにくくなってしまいます.ファンカーゴはそこも抜かりがなく,足が乗る部分は水平にされているので,大丈夫.
そして,上げ床にされた部分も無駄にはしません.これぞ後期型にリフォームした匠の技.

何という事でしょう〜(by室井滋)
結構な容量の床下収納です.ここに漬物のツボを入れておくもよし,埋蔵金を隠すのもよし,何したってあなたの勝手です.この床板,樹脂製ですがきちんとリブが設けられており,強度面の不安はありません.
リヤシートの居住性は,上に述べたとおりですが,床面をステップアップさせてあるおかげで,視界も広いです.ただし,床面を上げているというのは,幼児にとっては結構な障碍で,身長90cmの息子には,1段目のサイドステップまで上がるので精一杯なので,一発で後席の床面に上がることは出来ませんでした.まぁ,ちゃんと親が面倒みろってことです.この段差,案外足腰弱ると大人でも辛いかもしれません.そういう人には,Bピラーに手すりがあると便利かもしれませんが,そういうあたりは後年スライドドアになったクルマで改良されているようですし,ドアの内張りを支えにすれば代わりになりますしね.スイングドアはスライドドアよりも掴まる場所が多いう言う意味で便利なんですけどね.近頃あまり評価されないのが残念です.
で,リヤの床を上げると当然頭上空間が狭くなる…もちろんこの車自体はかなりのハイルーフなので高さの余裕がないわけではないですが,実は2段ルーフになっているんですよね.

Bピラー部の上部から少し屋根が盛り上がっています.
(見難くてゴメンね)
続いて,この車の本来のウリの荷室.(しつこいですか?そうですか.)
まず,特筆すべきはリヤゲートがはね上げ式ではないこと.この形式とこの車体形状の組合せは,既に三菱がミニカトッポでやっていました.
ハッチバックにはハッチバックの良さが,スイングドアにはスイングドアの良さがあるわけで,このような垂直に立ったリヤゲートの場合,はね上げ式にするとどうしても車両後方にスペースがないと開けられないことと,車両後方に建物の張り出し(例えば駐車場の梁とか)があると,リヤハッチを開けるとぶつかってしまうことなんかが起きてしまいます.要は,後ろにたっぷりスペースがないと,リヤゲートが開け閉めできず,床面が低いとその分開閉時の姿勢もかがみがちになって面倒になって,終いには開閉が億劫になってくるんですよね.
それが,リヤゲートがスイングドアの場合には,スペースに合わせて開く寮を調整できるので,このタイプのクルマにおいては便利さが光ることになると思います.雨の日に屋根がわりにならないというデメリット,あとは,ドアを開けた方向に荷物の出し入れがしにくいというのもありますが,ちゃんと日本仕様ですから,路肩側の左側に出し入れがしやすいようになっています.観音開き?あれはどっちにも出し入れしにくいんですよ(元バイト先のAD MAXで体験済…あれは不便極まりない)リヤゲートは,内側からでも開閉できるよう,ドアハンドルがついていますが,これはAE92と同じ部品ぽいらしいです.
で,荷室の広さですが,左の写真がリヤシートをたたんだ状態ですが,前期型の完全に床下収納できるリヤシートに比べれば,かなり荷室スペースを潰していますが,それでも普通の自転車なら前輪外せば余裕で乗るし,スクーターでも前輪外せば乗るはず.(チャリほど簡単に外せないけどね)内装には色々とフックがありますので,これらを使って上手く固定すれば,高さのある荷物も倒れにくそうです.何より,車内に乗り込んで作業出来るだけの高さがあるのがいいですね.後期型の荷台の広さは,実質エスカルゴとトントンな感じです.室内長の差は,前席のスペースのゆとりと,リヤシートの厚みの差になっていると思います.
【走行性能】

強引に引き回されたアクセルワイヤーがポイント
しかし何でこんなレイアウトに…?
今回のファンカーゴは1.3Lの2NZ-FEで,近頃のNZ系と違い,まだワイヤー引きのメカニカルスロットルで,ヘッドは多分直打式.トランスミッションはSuperECTという名の4AT.このメカスロNZ+SuperECTの組み合わせは,近年の国産車では最高の組合せで,マツダのSKYACTIVエンジン+SKYACTIV-DRIVEの組合せが出てくるまでは,右に出るものがないです.
電子制御スロットルになってしまったクルマは,どれも応答遅れ(アクセル踏んでるのに反応しなかったり,反応に遅れがある)や過剰反応(踏んだ分以上にアクセルが開いて元気そうに見せる制御…)が気になるんです.ごく最近のクルマこそ,この辺の制御がマトモになってきたようですが,初期の電スロのクルマは,そりゃーもう乗りくいもんです.社有車で1NZのヴィッツRS(2代目)がありますが,MTなのに乗りにくくて仕方がない…クラッチつなぐときにはブワーンになるし,反応遅れで吸気量が追いつかずエンストしやすいし…人間が対応できてないだけだろうって?その通りなんですが,人間のほうが機械に合わせるってなんか本末転倒で,これはやはり自動運転(ry
メカスロの場合はそういう具合の悪さは皆無.きちんとアクセル踏んだ分だけの加速をしますし,アクセルを戻したら,きちんと吸気を絞るのでエンブレがかかります.そりゃ確かに安価にクルコンが設定できないとか,ブレーキオーバーライドが設定できないとかいう先進性のなさという建前
(工場で
スロットルワイヤー引き回すのが面倒だとか,CVTとのマッチング制御でアクセルペダルの動きとエンジンの吸気量を切り離す必要があるというのが本音)はありますが,ドライバーは何をするためにアクセルペダルを踏んでいるのかといえば,加速状態のコントロールではなくて,エンジンに求める出力を制御しているので,それが物理的なワイヤーでつながっていて,右足とエンジン出力が直接反応するというのは,それだけで現代の電スロ車に比べれば,ドライビングプレジャーになるわけですね.もちろん,キャブ車の素直さ,反応の滑らかさには敵いませんけどね.
あと,NZエンジンは吸気側にVVT-iがついていますので,エンジンの性格としては低速域のトルクと,高回転での吹け切りを両立しています.ただ,ホンダの切替式VTECや旧型のVVTと違って,変化が無段階でわかりにくいので,乗った感覚としては低回転のトルクがあって乗りやすいけど,気持よく回るのではなく,なんとなく回って行くという感覚になりがちです.これは,高回転型と言われるエンジンが,低回転のトルクを犠牲にして回転数の上昇と共にトルクを盛り上げているから,押し付けられるような加速が続くのであって,性能に優れた製品は,感性にはひびきにくいという難しさでもあります.
ATについては,上でも書きましたがSKYACTIV-DRIVE(今のところ,私の中で最上の2ペダル式トランスミッション)に次ぐ,スムーズさと運転のしやすさを兼ね備えた,素晴らしいATです.これを早々に引っ込めて,残念なCVTにしてしまったのは残念でならないです.
このATも先日のプロボックス・サクシードのMCでなくなってしまい,トヨタで新車でいいなと思える車が本当になくなってしまいました.
具体的には,フル電子制御式のATで,ECU司令によって油圧制御ではできない一呼吸速いシフトアップ・シフトダウンをすることと,フレックスロックアップというロックアップクラッチの半クラで,滑りすぎ(トルコンのみ)とロックアップによるトルク不足(ロックアップ直結状態)の間の状態を作ったり,ロックアップクラッチがつながる際の衝撃を防止したりしています.
この制御が非常に優秀で,シフトショックはキックダウンやレバー操作で意図的に2速に落とさないと発生しませんし,その時にも一瞬3速を通すので,油圧式ATに比べるとショック自体も小さくなっています.
近頃のCVTは,出始めの頃の原チャリ的変速パターンからは脱却して,比較的エンジン回転と速度変化がついてくるような制御になっているものが多いですが,これではCVTの『一番エンジンの効率の良い回転数で走る』という事が出来ず,プーリの同じ場所ばかり使うので,耐久性にも問題が出るし,ステップATとの差があまり無いような使い方になってしまっていますね.これもエンジンのVVT-iと同じで,効率良く走らせるとユーザーには不満が出る…というドライバー側がついてきていないパターン.言い換えればメーカー側が求めている理想と,ユーザーが求めているドライビングプレジャーにはまだまだズレがあるという事でしょうね.
もうひとつ,この車で重要なのはパワステ.この頃には電動パワステも出てきていますが,まだこのクルマには油圧パワステが採用されており,やはり近頃の残念カーで感じる,中立付近のガクガク感と,ハンドルを回した時の無理矢理発生させている抵抗トルク(摩擦感)は皆無です.この残念さは,電動パワステ(EPS)の特徴でもあるのですが,特に某サプライヤのコラムアシスト型EPSはその傾向が強く,近年のトヨタ小型車はこぞってこれを採用しているのでハンドリングがマトモではないんですよね.
油圧パワステは,旧来からの技術ですが,ステアリングのラック部分にエンジン動力で駆動する油圧ポンプから引きこまれた油圧がかかっており,ハンドルを切ると,ピニオンギヤの根元のところに設けられたトーションバースプリング(ねじり棒ばね)がたわむことで,油圧がバネのたわみ量に比例してハンドルを回すのをアシストするので,無段階の油圧アシストが得られます.また,ねじり棒バネ自体は比較的硬く設定され,たわみ量も小さいので,ハンドルが回転方向にガクガクブルブル((((((((τ))))))))ガタガタブルブルする感覚はありません.
対する電パワのいけない奴の場合,トーションバースプリングのたわみ量でアシスト量を決めているのは同じなのですが,このトーションバーのねじり量をかなり大きめに取っており(この理由はアシスト量検出を容易にすることと,路面からのキックバックを緩めるため)トーションバースプリング自体も柔らかいものになっているため,ハンドル自体が回転方向にブルンブルンします.普段ハンドルを切るときには,基本的にアシストモーターがステアリングシャフトを回していて,ハンドルはねじり量によってアシスト量を支持しているような感じです.こんな状態なので,極僅かなハンドル操作には車体は追従できず,また,電気的にトーションバーのたわみを検出してから,ECUから司令を出してアシストモーターを駆動するので,どうしても反応遅れがでます.そう,電スロと同じ話.さらにいけないのは,高速走行時には『どっしりとした重さが良い』という,イマイチ理由のわからない理論によって,回転方向に対してブレーキがかかるようにアシストモーターを制御する動作が入ること…クニャクニャの棒の先でステアリングを回しているにも関わらず,その途中にあるモーターが操作の邪魔をするという最悪の組合せになっているので,こういうEPSのクルマで高速走行すると,車線内を維持するための微妙な修正舵が当てにくいことが多いのですよね.(油圧パワステなら,実際にハンドルを動かすレベルではなく,わずかにハンドルに力を加えるレベル)
これも,重ステの素直さの比では無いですが,すえ切りの辛さとキックパックの大きさを考えると,油圧パワステが無難な線だと思います.(私は重ステ大好きですけどね)
前置きが長くなりましたが,実際の走行感覚.
まず幹線道路に出るまでの住宅街ですが,ここはファンカーゴのホームグラウンド.停止線で止まり安全確認をして,ブレーキをゆるめ軽くアプセルに足を乗せると,踏み込み量に応じてエンジンが軽く回転を上げます.この時に不自然な応答遅れや開き過ぎの感じはなく,回転数が上がりすぎる前にフレックスロックアップが仕事をして,エンジンのトルクを上手くタイヤに伝えていきます.なかなかにエンジンとタイヤが一体になって仕事をしている感じがします.ステアリングフィールにも同じことが言え,ハンドルは軽すぎず,重すぎず,そして無駄な遊びなくタイヤの向きを変えます.路面の凹凸については,比較的車内に伝わってくる方です.タイヤが固いのではなく,全高が高いのでロールを抑えるために足が硬いのが影響しているのだと思います.その分,ロールは比較的小さいですが,ロールをシッカリ抑えこむトヨタ車にしては大きめのロール…日産車的といえばいいでしょうか?最初にグラッとロールが始まって,安定域でグッと粘る感じ.マツダほど硬くないので,万人向けといえばそうでしょうね.
幹線道路に出ると,やはり1.3LのNZエンジンで1tオーバー&1700近い前項は辛くなります.特に全高はペースを上げると空気抵抗として感じられ,エンジンは元気になってくる3000r/min以上でもアクセルを大きめに踏んでやらないと速度維持が困難になります.この辺が1.5Lとの余裕の違いなのでしょうが,少なくとも80km/hまでは何の不満もなく走るし100km/hまでも動力は必要十分,定員乗車で登り坂エアコンONという状況でもない限り,ベタ踏みにはなりません.この速度域になると,EPSではハンドリングの不自然さが目立つのですが,ファンカーゴは自然に運転できるので,ストレスがたまりません.
今回の試乗フィールドはそんなかんじでしたが,一つ残念だったのはドアミラーが天地方向に小さいので,車線変更時に後方確認がしにくかったこと.大きなミラーにすると空気抵抗が増大するのは仕方ないのですが,エスカルゴの時に縦長ミラーで見やすかったのと比べてしまうので,やはりちょっとつらいです.ただし,後方確認はリヤワイパーも付いているので,かなりしやすい部類に入ると思います.
例の温泉に閉店までいて,すっきりした後はコンビニでデザートを買って,リヤ席の息子とはんぶんこ…と,ここで問題発生.リヤシートが遠くて,前の席からリヤのチャイルドシートの幼児に手が届かないんですね.これは広い室内がもたらす数少ないデメリット…そういう時には隣に座れば問題ないですね.リヤシートのスライド機構か,助手席が回転対座など出来ればそういう問題も解決できそうですが,多分使う人少ないので,付けないのが正解ですね.
【最後にデザイン】
デザインですが,全体のフォルムは,一菱自動車(仏)のアイツを彷彿とさせますね.このタイプの車の元祖はフルゴネットでしょうから,アッチのクルマに似てしまうのは仕方がないでしょうね.外見はミニカトッポやワゴンR,ムーヴなどにも類似していますが,これも元祖を考えれば仕方がない.元祖?AD MAXやアルトハッスルですよネー
で,そんな外形の中に,ヴィッツ的な小物を配置してみたという感じ.ヘッドランプの涙目はヴィッツと同じく後期型の共通ポイント.前後とも,バンパーを違う色にしても違和感のないデザインとしているところは,何でも白一色にしてしまう日本人にはできないデザインセンスですが,そこがオシャレ.
サイドビューはちょっとFドア中央部が間延びして見えますが,これは色違いでモールが用意されているとのこと.今回の車両のようなツートンカラーを選ぶと,リヤタイヤ前側のシルバーのパネルと,フロントホイール周りのフェンダーアーチがついてきます.これもヨーロピアンな雰囲気でステキ.
このシルバーの部分が無塗装の梨地黒樹脂パーツなんかだと,一層欧州風味になりますね.
小物パーツとして,リヤコンビランプ.こちらはサイドのクオーターウィンドウから続くラインとバックドアのガラスから続くラインが上手くつながるように曲線でデザインされています.このデザイン,前期も透き通ってはいないものの同じコンセプトになっており,初代道路スターのテールランプでは無いですが,博物館に収蔵されてもいいレベルだと思います.(でも,反射板はついてないし,ガラスと一体じゃないと意味がないからMOMA収蔵はちょっとつらいかも)
ここまでオシャレに飾っておきながらも,欠点を挙げるとすれば,残念なエンブレム…ファンカーゴの頭文字Fを,兄弟車ヴィッツのエンブレムと同じ枠に収めてみたんでしょうけど,正直ボンネットの先端のRとエンブレムのRが一致していないし,Fの文字を構成している各パーツの太さが一定かつ太いので面白みにかけるし,シャープさもスマートさも感じさせない,
なんかホームセンターで売ってる輸入中華家電のような雰囲気…正直トヨタのエンブレムって牛丼マーク以降,どれも感心するデザインのものが本当にない…そもそも頭文字好きなのは仕方ないとして,昔はもう少し細かなモチーフ(コロナの中央の光とかカローラの上の花とか)があったもんですが,NCVカローラの3文字をかぶせたのも妙に太くてバランス悪いし,ネッツ店の共通エンブレムもムニュムニュしてるし…無理やり牛丼マークに合わせさせられた日野やダイハツも気の毒なもんですわ…
ましてレクサスなんて頭文字のLをトヨタ楕円に収めただけという…そりゃーエンブレムのかっこ良さだけでも欧州のライバルには敵わないし,INFINITIの名古屋の地下鉄にすら負けてます.
【総評】
出た当時としては,奇抜なデザインだったり,ひどすぎるリヤシートだったりが目について,このクルマの本質に気づいていませんでしたが,今乗ってみれば結構いい車であることがわかりました.
というか,最近のクルマがひどすぎるだけなんですけどね.前期型に4ナンバーが設定されていれば,そっちはすごく高評価にしたかもしれません.
実際に乗ってみると,この時期のトヨタは当たり年で,以降はそこからのVAと法規対応設計が主体になっているのが,残念な限りです.願わくば,このコンセプトを引き継いでJPN TAXIやAQUAのハイルーフ版のような,より使い勝手がよく,現代の乗り味でも許せるなと思わせてくれる車両が出てくれば,いいんですけどね…