自作した、真空管式 6550A ULPP パワーアンプ
投稿日 : 2011年10月21日
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自作アンプのフロントパネル部分です。
今は無き鈴蘭堂の大型の自作用アンプケースのフロントパネル部分は、シャンパンゴールド色の3mm厚の分厚いアルミパネルで出来ていて、さらに頑丈な取っ手も付いていて、自重30kgもあるアンプをたまに取り出すのに重宝しています。
でも、このままでは大きなパネル面がノッペリとして寂しいため、電源スイッチの上に電源ON時にオレンジに光るネオン管を、右半分には出力5W表示と50W表示に切り替えられるワットメーターを取り付けました。
ただ貼り付けただけのインレタが一部はげていて、直していないので少し見苦しいですね。メーカー製ならシルク印刷なのではげないのだけど。
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GE(米国のゼネラルエレクトリック社)製の大型ビームパワー管6550Aの4本をULPP方式(ウルトラリニアー接続)の回路で自作した、真空管アンプの全容です。
ここの写真は、撮影用にシールドを兼ねた鉄製の天板の保護カバーを外した状態で撮影です。
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オーディオ専用ラックのスライド式床板を最大に引っ張りだした状態で撮影。
普段はこの写真のように、多数の放熱穴の開いた鉄製のふたをネジでアンプ本体に固定して、ラックの中に入れています。
普通、真空管アンプは電源を入れると真空の管の中で電子を飛ばすためにヒーターが設けられているのでこれが朱色に光るのと、電子が飛ぶとわずかに青色ぽく見えるのが美しいため、画像5のように放熱も兼ねて丸出しにするのが一般的ですが、
当方の自作アンプはどうせ大型の専用ラックに入れてしまうのと、落下物による真空管の破損防止、及び不用意に手を触れたりしてやけどをするのを防止するため、あえて天板付ケースを購入しました。
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ここの写真はその自作アンプの裏側、つまり電気回路の部分です。
画像下部の真ん中付近にはステンレスのL金具2個が取り付けられていますが、このアンプケースは、もともと出力トランスが不要なトランジスターアンプ用の自作ケースです。
よって、タマアンプ用の超~重たい2個の出力トランスを取り付けると、重さは1個あたり7kgぐらいあるので(真ん中下と右下の2個)、電気回路を組み込んでいる銀色に光っている平たい1mm以上あるアルミ板がしなってしまうので、ステンのL金具2個で補強しています。
左下の大きなトランスは、今は無きタンゴ(平田電機製作所)の真空管アンプ用の大型電源トランス「MS-450D」で、これは容量最大級で重さはなんと10kgほどもあります。
ちなみに出力トランスは同じタンゴの大型出力管向け出力トランスの 「FW100-3.5」で、これは30Hzで100Wまでの電力に対応しています。
見る人が見れば分かるのですが、画像左上の黒い丸っこい部分=ブロック形アルミ電解コンデンサーが一度新品交換したものの、それからすでに10数年以上も経て再び劣化してしまい、封をしているゴム部分が一部浮き上がっています。
もう寿命なので新品交換が必要ですが、ここは耐圧500V以上の大容量のコンデンサーが必要な場所で、現在では製作当時と違いあまり部品がなく思案しているところです。
幸いコンデンサーメーカーの指月から、どうやら同形状のアルミ電解コンでなしに、大容量のフィルム型のコンデンサーが出ているらしいので、調査の上規格が合えばこれに交換したいと思っております。
フイルム型コンデンサーならアルミ電解コンと違い、寿命を気にしなくて済みそうです。
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この自作アンプの元となった、近年お亡くなりになられたらしい金田幸之助さん著 『タマアンプ Hi-Fi名器の再現を』 誠文堂新光社刊 (現在この単行本は絶版らしい) の、6550A ULPP方式のアンプの製作記事の1ページ目です。左上にちょっと落書きをしています。
製作年月日の1988年 6月の書き込みと、2004年 1月にハンダが熱による劣化でボロボロになりかけていたので再度ハンダの流し込みと、予防保全として出力管のバイアスコンデンサーの交換をしたとの落書きをしています。
もしこのバイアスコンデンサーが破損すると、出力管に過大な電流が流れて、一瞬にして真空管が赤熱しお寿命を迎えます。
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画像4のスペースに書ききれないのでこちらに書きますが、
真空管は電圧増幅素子で(バイポーラトランジスターは電流増幅素子)、音声信号のアンプ入力電圧1~2V弱を、わずか3段の増幅回路構成で、出力管に印加している400Vの電圧を利用して電圧増幅していきます。
よって電流変化は少なくて済むのですが、高電圧が増幅回路にかかっているのと、真空管を含む増幅回路全体が高インピーダンス回路となっており回路抵抗が非常に大きいので、スピーカーのわずか8Ω前後の低負荷をかけても変化がなく音が出ないため、出力管から出る音声信号をそのままではスピーカーにつなぐことができません。
そこで出力トランスを介して、高インピーダンス回路による高電圧・低電流の音声信号を、電磁誘導の法則を利用して、低インピーダンスの低圧・大電流へと無接続で変換させていきます。こうしてようやく出力トランスの2次側をスピーカー端子につなぐことにより音が出ます。
電気回路的には、真空管回路の高圧1次側回路とスピーカーにつなぐほうの2次側回路が、全く接続されていないためスピーカーの保護回路が不要で、トランスの絶縁破壊か、もしくはアンプが異常発振を起こさない限り、たとえアンプ回路が故障してもスピーカーは守られるので、意外と安全性は高いです。
いちおうトランス製造メーカー側で2000V・1分間の絶縁耐圧試験をしています。
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自作アンプに使っているGE社製の6550Aという名がつけられた、大型ビーム管です。外径46φmm×高さ101mmもある大型管です。
フル出力を求めれば、この球は100W近くも出せるそうですが(ULPP接続では70Wぐらい)、ここではあえて40W程度に抑えてアンプの安定性と長寿命化を狙った設計となっています。
またこの大型管を生かすため、出力トランスの銘柄選びはアンプの性能を大きく左右します。
当アンプに使用したタンゴのFW100-3.5という品番のトランスは、30Hzで100Wの出力まで耐えられる大きな容量を持った出力トランスです。
出力特性を最大限追求するために、鉄心に巻きつけるコイルに太い銅線を使い、かつ巻き数は極力少なくしていて、そのため逆に不足しがちな低域特性を良くするために大量のトランス用鉄心を使用しています。そのためにかなり重くなっています。自重7kg/1個ぐらいあります。
現在は、残念ながらこのタンゴ(平田電機製作所)は廃業してしまい、このFWシリーズとかの出力トランスのように高性能で大容量の管球用出力トランスは、オークション以外まず入手不可能となっているようです。
現在他の製作メーカーでは、このタンゴを越える製品はなかなか作れないようです。
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ここの画像はほかのところの画像を借用いたしましたが、GE社製の6550Aの新品らしき球の画像です。
球内部でどうしても発生する不要なガスを吸い取るため、球の頭の内部に銀色に塗られた部分(ゲッターと呼びます)が綺麗ですね。
ここの画像の真空管に比べて当方のアンプは20年以上の使用で、画像6の写真のように、だいぶん頭の銀色の部分が禿げてきているのが分かります。
ゲッターがだいぶん少なくなっていて、これが完全になくなれば真空管はもう寿命となります。
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当方の使用している(使用していた)真空管の外箱です。
一番大きな箱がGE製6550Aの箱、もちろんペアーチューブで買ったので、2本の真空管の流れる電流値がほぼ同じものを販売側であらかじめ選別してくれています。
0Vをはさんで+側の増幅と-側の増幅を担当する2本の真空管の特性が違いすぎると、いびつな増幅波形となるので、PP(プッシュプル)用の出力管は特性のそろったペアーチューブにするのが一般的です。
あと欧州のフィリップスとか日本の松下電器や東芝とかも大昔は真空管を製造していました。ちなみにテレビのブラウン管も電子銃を持った巨大な真空管ともいえますね。
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