
今週末は良い
ツーリング整備日和でしたね。
当方は諸事情があり、銀VR号、トライ号共に3年以上未交換だった冷却水を、この週末でようやく交換出来ました。
Ken138は割といい加減な性格なので、クーラントは次の手順だけで交換します。
1.ラジエータードレンから一度水を抜く。
2.サーモスタットを抜く。
3.真水を注水してヒーター全開で30秒から1分ほどアイドリング。
4.エンジンを止め、ドレンから排水してまた真水を注ぐ。
5.3と4を五、六回ほど繰り返した後、サーモスタットを元に戻す。合わせ面には液体ガスケット代わりにバスコークを塗布。
6.95%LLCを規定量原液でぶち込んだ後、ラジエーターキャップの口まで真水を注ぎ、リザーバーにもFよりも気持ち上位まで真水を入れる。
7.後はそのまま普通に車を運用して時々リザーバーを覗き、リザーバーの水が空になっていたらキャップの口とリザーバーに注水。
肝となるのは2のサーモスタットを抜く作業。補機外さないと取れないような車以外は、必ず抜くようにしてますが、これをやるのとやらないのとで、真水で濯ぐ作業時間が大幅に変わってきます。通常なら、真水を入れる都度、サーモスタットが開くまで少なくとも5-6分はアイドリングしないといけない訳ですから・・・。
本当に拘るのはここくらいで、本来整備書で指示のあるようなエア抜きプラグの操作やら、キャップを開けたままで長時間エア抜きをしたりなんて事は、
基本やりません。エア抜きはリザーバーに満水でお任せ、多少水温計が無茶苦茶な動き方をしようとお構いなしです。殆どの車はラジエーターキャップとリザーバーへの分岐点が冷却系統の一番高い位置に来るようになっているので、リザーバーの水さえ切らさなければ、その内エアは全部リザーバーへと抜けていくもんだと思ってますので。普通に乗っていれば、ヒーターコアからもその内エアは抜けます。
(勿論、ディーラーやモータースでは上記のような状況になってはお客さんからクレームものでしょうし、かといって余り長々アイドリングやら試験走行やらやってもやはりクレームに遭うでしょうから、
最短の作業時間で完全にエア抜きを終わらせる為に、様々な箇所にエア抜きプラグが用意されているのだと思いますが。)
・・・昔は、私も冷却水には拘りがありました。LLCはホルツの青一択。
モトクロッサーは冷却効率を重視して真水しか入れないらしいという話を真に受けて、クーラント濃度10%(凍結0℃)という命知らずな値にしてしまい、季節外れの大雪警報の夜に涙目になったり
とか、色々なアホな経験を致しまして。今ではモノタローの激安緑LLCで濃度は50%(凍結-36℃)という、
羮に懲りて膾を吹く結果になりました。。。
エア抜きには案外無頓着なのですが、例外があるとすれば、こういう構造の場合でしょうね。

1はVGエンジン等で見た覚えがあります。理論上は停車中はこのエア抜き部分に一番エアが集まってくるので、冷却水交換後は冷間時に時々開いて注水してやれば丁寧でしょうね。2はサンバートラック特有のもので、水回りの構造上、ラジエーターに注水する際にはこのエア抜きプラグを抜いた状態でキャップに注水しないと、エンジン側に全然水が入っていきません。
では、トライ号はどうなっているかというと・・・

こんな感じです。トライ号の世代のバンは、なんとラジエーター本体にはキャップが無く、車体の正反対のリアゲートの右側にキャップがニョキッと飛び出しています。大変に部品点数と手間の掛かった構造ですが、トラックにおけるエンジン側のエア抜き経路がキャップへのリターン経路を兼ねる形で接続されているので、TV以降のバンのように複数のエア抜きプラグを操作する必要がありません。注水後の走行中にエアが抜けるのが他の車より多少時間が掛かる程度で、特に違和感なく交換作業を行う事が出来ます。ただ、コスト的には不利だったようで、TV以降は一般的な形状のラジエーターに変わってしまったようですが・・・。
さて、3年ほどぶりの交換作業、前回同様に上記のような工程で作業を進めていきます。銀VR号は1時間も掛からずに作業終了、次いでトライ号の作業に掛かったところ、何か違和感があります。ドレンから抜けた水の量ほど、どうにも真水が入っていかない・・・。最後にクーラント原液を注ぐ段階で、明らかな異常に気付きました。1Lも入らないうちにキャップの口まで満水になってしまうのです。冷却水の規定量は6Lで、少なくとも4Lほどはドレンから抜けているはずなのですが、それで新液が1Lも入らないのは明らかにおかしい。前回の交換の時はそんなに苦労はしなかったはずだけど・・・?

整備記録を調べてみると、異常の原因らしきものがわかりました。2011年に最後のクーラント交換をしているのですが、その数ヶ月後に、
水冷オイルクーラーを後付けしていたのです。分岐の形状から、ここが原因と判定。試しに左側の分岐のL字ジョイントを外してみると・・・、
ブシューッというタイヤから空気が抜けたような音と共にエアが抜け、あれほど入らなかった新液がどんどん入っていくようになりました。ひとまず、オイルクーラー側はメクラ栓で塞いでおき、エンジン側から新液が出てくるまでクーラント原液と真水を注いで、最後にL字ジョイントを元通り接続、リザーバーに注水して作業完了・・・・。
水冷オイルクーラーの追加で、なんでこのようなトラブルに至るのかを改めて考えてみます。

通常、ヒーターコアやスロットルの温水予熱など、エンジンの冷却とは直接関係のない分岐は、大体が
冷却配管に対して上向き(最低でも水平)に、そして取水経路と排水経路をそれぞれ別系統の配管に接続するか、やむなく取水と排水が同じ場所になる場合であっても、分岐箇所にバイパスを設ける事で、
流路に対して並列になるように分岐が作られている事が多いと思います。サンバー純正の水冷オイルクーラーも、基本はシャーシの下を這っているラジエーターのアッパー&ロワー配管から上向きに分岐されていたはずです。このような形状であれば、ドレンから水を抜いた際に中の水がある程度は抜けますし、注水の際に多少エアポケットが残るとしても、注水自体に悪影響を与えるような要素にはなりにくいとは思います。

しかしトライ号の場合、本来の水冷オイルクーラーへの分岐が存在しない為仕方ない事ではあるのですが、リアゲート下のエンジンからラジエーターキャップへのリターン経路から
下向き且つ直列に分岐する形で水冷オイルクーラーへ冷却水を分岐しました。このような形状では、ドレンから水を抜いても水冷オイルクーラー周辺に水が残ったままになってしまいます。

ノーマルの状態では、このリターン経路を伝って空気が抜けるので、特に問題なく新液の注水が出来たのですが、現在の状態では水冷オイルクーラーの位置で空気が圧縮されるだけで殆ど通気しないので、分岐を外してエアを抜くまでなかなか新液が入っていかない結果となったのです。
これを改善する為には、L字ジョイントを2つともT字に変えてバイパスを設けるか、最低限片方だけでもT字にしてエア抜きプラグを設ける必要があるのですが、冷却水の流入量を考えるとバイパスは余り設けたくないし、スペースの都合上エア抜きプラグを併設するのもちょっと・・・という感じです。
いずれは、GX号にもこの手の水冷オイルクーラーを付けるつもりなのですが、その際には分岐をどこから取ってどこへ戻すのかは十分熟慮する必要がありそうです。
水冷オイルクーラー以外にも、車種によってはオプション品のリアヒーターを付けたり、温水予熱付きのキャブレターに交換したりなど、この手の冷却水分岐は行う事があるかとは思いますが、その際には
分岐の向きと配列には十分ご注意を・・・。
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サンバー | 日記
Posted at
2014/04/28 00:35:14