
今更ながら水抜剤です(^^;
しかし、オイル添加剤などと違って、ガソリンスタンドでも勧められるので、カー用品店に行かない人でも知っている有名品ではないでしょうか?
以前は、メチルアルコールが使われていましたが、燃料の低硫黄化が進められて、対応出来なくなったことから1997年以降の使用を規制し、いまではガソリン用とディーデル用で別の物が使われています。
ガソリン用は、ほぼイソプロプロピルアルコールが100%で防錆剤が少し入っています。
一方、ディーデル用は、イソプロピルアルコールが約70%に、イソブチルアルコールが30%の割合で、後は防錆剤とガソリン用には入っていない潤滑性向上剤が入っています。
他には、エチレングリコールモノブチルエーテルを使用している者もあるようですが、少ないです。
しかし、ホームセンターで安売りされている粗悪品や、海外の製品ではいまだにメチルアルコールを使用している物がありますので、注意が必要です。
イソプロピルアルコールは、医療用では50%程度の水溶液を、注射時の消毒に使ったりする、比較的毒性の弱いもので、工業用でもインク落としやヘッドの清掃に使います。
しかし、溶剤、可塑剤であり、長時間皮膚に触れると脂肪を溶かして、皮膚の毛穴から吸収されやすくなるし、吸入すると低濃度でも頭痛やめまいが起こり、水抜剤みたいに高濃度のものは麻酔作用があって意識がなくなることもあるものです。
性質は吸湿性があって、水にも油にも良く溶けるので、ガソリン中の水分とガソリンを親和させる働きを持ちます。
イソブチルアルコールも、イソプロピルアルコールとほとんど同じ化学的性質を持ちますが、ディーデル用にだけ含まれている理由は、セタン価を維持するためと、潤滑剤を溶かすために必要だったためと考えられます。
ディーデルのインジェクターは燃料の硫黄分などによって潤滑していましたが、硫黄分の低減によって別途潤滑剤が必要になったためです。
それで、水抜き剤は入れた方が良いか?ですが...
特に必要無いと思います。
タンク中の水分は、梅雨時や温度差の大きい夜間などにタンク内に凝縮して溜まると考えられています。ですから、いつもガソリンを満たしている方が溜まりません。
そして、タンクの下部に溜まって錆の原因になるため、水抜剤が必要と言われます。
確かに、古い金属製のタンクは錆びる事があるようですが、今はメッキも良く、燃料フィルターによって濾過されるので、エンジンには問題無いようですし、プラスチック製のタンクなら錆びる事は無いでしょう。
アルコール燃料は、アルミエンジンなど腐食させやすいので、使用しない方が良いと言われて、ガイナックスは見なくなりましたが、たまに少量の水抜剤を入れるくらいでは、パッキンなどへの影響も少ないでしょうから、あまり車に乗らない人や、旧車などを大切にされている方は、たまに入れてもいいと思います。
でも、実際はタンクに溜まった水は振動によって撹拌されて、エンジンに送られて水蒸気として排出されてしまうようです。
冷戦時代のソ連では、オクタン価の高い燃料が手に入らず、ジェットエンジンに水を噴射してオクタン価を上げていたくらいです。
また、以前に廃車で行った実験では、ガス欠のタンクに1リットルくらいの水を入れると、タンクの底や配管中のガソリンが押し出されて走れて、そこにガソリンを補給すると水分は水蒸気として排出されるようで、また問題なく走れました。
まあ、スタンドにとってはガソリンを売るよりも、水抜剤やオイルを売った方が利益率が高いので、無くなることは無いと思いますが、以前よりも水抜剤入れませんか?と言われる事は無くなったように思います。
水抜剤は、燃料タンクがプラスチックに変わっても、生き残っていくのでしょうか...
Posted at 2005/05/11 18:03:34 | |
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