
フロントサスセッティングとは、
1 ,
2 ,
3 で書いたように、ステアリングフィール、復元性に影響を与える要素は、「キャスター角」、「キャスタートレール」、「キングピンオフセット」、「キングピン傾斜角」になります。
しかし、前輪が駆動力を路面に伝えている状態では、多くの要素の影響が弱まること、またFF車ではキャスターを大きな値に設定できない(0度~2度)ことから、キングピン傾斜角によってステアリングの復元性を持たせているようです。
そのため、レガシィをはじめとするAWD、FF車のサスの写真を見ると、ストラットが内側に大きく倒れているものが多いみたいです。
また、FFは元来の性質で安定性が高いことと、駆動力による姿勢の変化を嫌ってキャスターを付けないようですが、FRではフロントのサスジオメトリによって、安定性を出す必要があるので、キャスター角は3度~10度くらいと大きい値に設計するのが普通のようです。
FFではこのように、駆動力によってサスジオメトリの影響が薄れるため、路面からの情報が減ったり、ステアリングトルクが変わるのでフィールが変化します。
写真は、最新FF車で左手前が後方になり、ステアリングのタイロッドは、前方側になります。
ストラット式サスでは、ハブとストラットの取付点と、ロワーアームの取付点(流行のダブルジョイントなら仮想転舵軸が変化する)の2点を軸としてタイヤが切れるので、どこに取り付けるとどのようにタイヤが寝るのか分かり易いと思います。
FRの場合、キャスターを大きめにして、キャスタートレールもある程度設けるため、ふつう転舵軸はキャスター角方向に寝ることになり、切ったときにタイヤは寝る傾向が強くなると思います。
FR車は、このようなサスジオメトリの影響をステアリングフィールとして受けるので、各社によって色々な味付けが存在します。
情報も、駆動力がないため伝わり易いのですが、ハンドルを握る手に情報が伝わるためには、その経路の剛性が高くギアボックスのなどの精度が高いことが重要になります。
Posted at 2005/05/18 12:44:12 | |
トラックバック(0) |
技術解説 | クルマ