
今回の記事は、オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27(最初期出荷分・2016年夏発売)についての用品レビュー、および台湾ヘルメット・THH TX-27に関する備忘録的なメモの投稿。
元になったものは、「パーツレビュー」に記録していた感想文。VOID TX-27をご検討中の方や、同型品に興味を抱かれている方のお暇つぶしになりましたら、幸い。
■はじめに オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27とは
この商品は、台湾ヘルメット・ブランドのTHHヘルメットが2014年から販売している『THH TX-27A』をベースとするもの。
TX-27系は様々なブランドから世界各国で提案されており、日本におけるVOID版も言わば、そのうちのひとつ。こういった、ひとつの製品を複数のブランドから提供する手法は中華民国や中国のヘルメット・メーカーに散見するもので、有名どころの例としてはTX-27の前身となるTX-26系デュアル・スポーツ・ヘルメットを挙げることができる。
参考画像:世界的な人気を博したデュアル・スポーツ・ヘルメット TX-26系
なお、2015年以降のTX-27系を含む現行THHヘルメットの製品は、THH(トン・ホー・シン、東和興實業)の製造・販売ではなく、Heng Da Racing(ヘン・ダ・レーシング、恒大實業)による代理製造販売の体制へと移行している。閑話休題。
参考画像:旧体制時代のTHH・東和興實業ヘルメット版のラベル
こちらは、古いTHHヘルメットの内装ラベルの様子を撮影した画像。
2014年までの製品には、こちら(に近いもの)が添えられている。
余談ながら、製造年月の99/10は、国歴(中華民国歴)99年の10月の製造ロットを意味する印字で、右上の991002が詳細。ちなみに台湾における国歴99年は西暦で2010年、日本の年号で言うところの平成22年。
■はとや VOID TX-27の仕様と価格の変化について
はとやが提供するVOID TX-27には、販売中の現行品と仕様の異なった初期販売品(いわゆるアーリーモデル)が存在する。その特徴は、以下の通り。
・ヘルメット本体
初期 → VOIDのロゴあり
改修 → VOIDのロゴなし
・鼻先にあるダクト固定ネジとネジ穴
初期 → 正面に露出(丸出し)
改修 → 平坦なカバーで覆われている
・バイザーオフ(モタードタイプ)パーツ
初期 → 付属
仕様違い → 付属しない(※注)
改修後の現行品 → 付属する
・販売期間と販売価格
初期ロットのみ
2016年 夏(6月~9月)
9,980円(税込)送料無料
※初回分の完売後は、次のような流れで現行モデルの販売へと繋がっている。
※これ以降は、価格変動が頻繁に行われていくことになる。
2016年秋(9月~)インターネット受注を開始
『早期予約特価』
10,480円(税込) 送料別・756円(税込)
↓
受注価格変更
10,840円(税込)+送料無料
2016年秋(11月~)出荷・販売再開
14,800円(税込) 送料別・756円(税込)
↓
販売価格変更
10,980円(税込)+『今だけ送料無料』
2017年春(3月~)
販売価格変更
10,580円(税込)+『今だけ送料無料』
↓
商品名に販売促進を追加
10,580円(税込)+『3/31まで価格!!』 『今だけ送料無料』
2017年春(4月~)
販売促進の部分を改訂しつつ販売継続
10,580円(税込)+『〇月〇日まで価格!!』 『今だけ送料無料』
↓
10,580円(税込)+『大感謝価格!!』 『今だけ送料無料』
↓
10,580円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 送料別・756円(税込)
2017年初夏(6月上旬)
9,800円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 『送料無料!』
↓
2017年初夏(7月上旬)
9,800円(税込)送料無料
↓
2017年初夏(7月中旬)
9,680円(税込)送料無料 +『7/31まで特価』
2017年夏(8月)
販売価格変更
10,980円(税込)+『送料無料』
↓
2017年初夏(8月中旬)
9,700円(税込)送料無料 +『8/31まで特価』 ←
NEW!!
現行モデルは、ヘルメット本体にプリントされていた「VOID」ロゴが削除された(※)ことにより、バイザーを取り外した際のモタードタイプ(いわゆるターミネーター・スタイル)のイメージが初期型と大きく異なる。また、正面のネジ穴が塞がれたことにより、第一印象が向上している。
※バイザー関連の付属品について
一時期、VOID TX-27の在庫の中には、サイド・カバーおよびバイザー固定ネジの穴を塞ぐゴム栓×3個などのオプションパーツが [付属しないもの] が存在した。
これは製造ロットによる仕様の違いに起因するもので、欠品や不良品というわけではない(販売ページ上には「※商品は予告なく仕様の変更や販売を終了している場合がございますので予めご了承下さい。」との案内文が添えられている)。
モデル改修後はオプションパーツ類の同梱が再開されたものの、仕様の内容に関する正式な案内は行われていない。
※2017年5月追記
姉妹品『VOID TX-27グラフィック』が発売され、同販売ページにて、付属品の存在および用途を初めて明言。あわせてサイド・カバーから工具まで、全ての部材を紹介。
従来の単色モデル販売ページは更新されず、そのままの状態。
※2017年8月追記
単色モデル販売ページも更新。
「バイザーを取り外し、商品に付属されてる(原文ママ)パーツでモタードタイプにも変更可能」との案内文が追加され、文字だけではあるものの、“グラフィック”同様にモタード・スタイルへの組み換えが可能な旨が紹介されている。
※2017年8月追記
単色モデル販売ページ上が更新されているが、そのすべてに、「ヘルメット本体にVOIDロゴあり+本体正面のネジ穴が露出している(カバーが無い)仕様」の製品画像が用いられている。上述の通り、VOID TX-27には「本体にロゴが無いもの」「ネジ穴が塞いであるもの」が間違いなく存在するのだが、公式でそれが案内されたことは(恐らくは)一度も無く、今回の更新も含めて、細かい仕様に関する差分(=バラつき)は今後も続くと理解した方が無難かも知れない。
■VOID(ボイド)というヘルメット
『VOID(ボイド)』は、日本のバイクショップ『はとや』が展開するプライベートブランド(登録商標)のひとつ。これは同店が「より良い商品をリーズナブルな価格で」というキャッチフレーズで提案する安価路線のオリジナル・ブランド『SUM-WITH(カタカナ表記不明)』内のヘルメット・カテゴリーにあたるもので、上述のTHHヘルメットの他、リード工業や台湾のクオン・チェン(KWON CHEN MANUFACTURERS/坤成實業廠)社から供給されるジェットヘルメットなどでラインナップを構成する。
■VOIDヘルメットの素性
ラインナップには『はとやオリジナル』の文字が掲載されている物が含まれるが、前述のとおり、それぞれの商品にはベースとなったモデルが存在し、また、海外での流通が先行しているものも少なからず存在する。型番がTから始まる恒大レーシングのTHHブランド製品や、Gから始まる坤成GP-5ブランドの品物が、それに該当する。
■TX-27の特徴
TX-27は、シールドを装備するオフロードデザインのフルフェイスヘルメット。充実した換気機能の他、昨今人気の内蔵式サングラス(インナーサンシェード)を装備する点が、最大の特徴。
内装は、着脱が可能な構造。抗菌や冷感などの機能素材は用いられていないものの、生地は凝った質感に仕立てられている。
VOID版のネック・ストラップ(あごひも)は、ワンタッチバックル式。あごと喉に触れる部分には、摩擦を緩和するフラップが用意されている。
■はとや版のカラー設定
単色の4種類(白・銀・艶黒・艶消し黒)を設定。艶消しを除く各色には、パール調の塗料が用いられている。
参考画像:購入品 マットブラック
※2017年5月追記
グラフィックモデル・計4種の販売が開始(税込15,120円)。
※2017年7月追記
グラフィックモデル・計4種の価格が改訂(税込12,800円・送料無料)。
※2017年8月追記
グラフィックモデルの価格変更(税込15,120円に復帰)。
■同型品の存在について(抜粋)

・AFX Helmets AFX FX-41DS
・Alltop AP-8853
・Cyber UX-33
・Nikko N-722
・O'NEAL(オニール) SIERRA Adventure Dual Sport Helmet
・Raider Elite Eclipse
・THH TX-27A
・VOID TX-27
・W-TEC AP-885
・etc(unknown)
TX-27系は、アジア、北米、欧州など世界各地の販売店にて同型・仕様違い(※)のヘルメットが案内されているが、なかには電熱シールドバイザーやブレスガードなどの耐寒機能を備える“スノー・マスター(Snow master、降雪環境下におけるスノーモービルなどの用途向け)”といった異質な製品も存在する。
上記の抜粋のうち、本家本元に相当するのは他でもない、THH版。
Alltopの製品は、その中国法人・中国工場版に相当。
Nikkoは、THH(東和興實業)の家族企業であるTONG I ZHAO(東億兆實業)のヘルメット・ブランド。東億兆は、確か東和興の会長さんの息子さんが立ち上げた会社――だったような(うろ覚え)。なお、はとやが取り扱いを始めたNikko Helmets(ニッコー・ヘルメット)は、正に、このNikko。話が脱線。
※仕様違いについて
分かりやすい例は、ネック・ストラップ(あごひも/chin strap)の構造。VOIDのようなワンタッチ・バックル式の他に、ラチェット式もしくは二重Dリング式のものが製造されている。
冒頭の項でも触れた通り、型番自体が同じ“TX-27”同士であっても仕様が同一であるとは限らず、また、同じ販路であってもバイザーの取り付け基部の形状や、ヘルメット両脇の換気口の樹脂カバーの有無が異なるなど、なんとも微妙な亜種が実在する。
■帽体の素材と外観の印象
定番の、ABS系帽体。
内臓部品の影響か、装備重量は1.8kgを超える。
衝撃吸収材の厚みにより、帽体は大型。
標準的な日本人男性が着用した場合、いわゆる「頭でっかち」な姿となる。
参考画像:身長174㎝・体重80㎏前後の洋梨ヒョロデブ体型が着用したときの様子
参考までに、着用例。
肩幅や胸囲などは標準的な寸法で、おおよそLサイズ相当の体格。
頭(ヘルメット)だけが一回りほど大きく見える雰囲気が、伝わるだろうか。
原動機付自転車クラスのメットインスペースに収まらないことは言うに及ばず、リアボックス(トップケース)への収納においても、40リットル程度の容量では、蓋が閉まらないことがある。
■サイズ…帽体と緩衝材(Shell & EPS)の形状
設定は、M、L、XL。
それぞれが57~58cm未満、59~60cm未満、61~62cm未満に設定されている。
これは台湾仕様とも北米仕様とも設定が異なっており、はとや独自の寸法だと判断できる。
[参考寸法:ハットサイズ準拠(cm)・数値は販売店およびメーカー公式サイトからの引用]
台湾XLサイズ(58~59㎝) TX-27A 台湾本島流通品
台湾XLサイズ(59~60㎝) TX-27A
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 日本代理店取扱品 ※小型シェル
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 はとや VOID
※大型シェル
北米XLサイズ(62~63㎝) FX-41DS AFX Helmets
※同じサイズ表記であるにも関わらず帽体が異なっている点に注意
台湾仕様は、帽体(Shell)が小型。果たして全重量も軽く、1.65kg。台南を中心に販売されている品物はサイズ表記が特別に小さいが、これは前身のTX-26系でもあったことで、どうやら台湾独自の慣習・文化の類と推測する。XXL以上向けの大型帽体も存在する様子だが、詳細未確認。
北米仕様は、その頭部の大きさに合わせた2シェル(2shell)設定で、緩衝材(EPS)は4サイズが用意される。加えて、数種類のライナー&パッドの組み合わせによる大小様々なフィッティングが可能。全重量は、小さい方(XS~LG)が、1.68㎏。大きい方(XL/XXL)が、1.823㎏。
国内THH日本代理店の取扱品は特殊で、2シェルながらXLまでの帽体が小型、XXLのみが大型帽体と、北米仕様とは異なる設定になっている。2014年の新発売当時、台湾本島のTX-27A系はハットサイズ60㎝(サイズ表記自体は~XL)までの小型帽体が先行して流通し、その後、遅れるかたちで大型帽体対応サイズがショッピングサイトに登録されていたことから、この「XLまでが小型、XXLのみ大型」という2シェル設定が、台湾THH版TX-27A系の仕様なのかも知れない(※詳細未確認)。
はとやVOIDのTX-27は、帽体に関する表記は公表されていないものの、実物の形状から推測可能なシェルは大型帽体一種類のみ(※詳細未確認)で、重量は大型基準の1.80㎏。59cm-60cmのLサイズは、アライヘルメット的な丸形状の59cm-60cm(Lサイズ相当)を着用している自分にとって、痛みの無い快適なジャスト。
参考画像:前出のおっさんが正面を向いてみたときの様子
着用例その2。
レンズの効果でこう写っているのではなく実際に、このくらい頭が大きく見える、という例。
口元に向かって絞り込まれるデザインの通り、ほっぺた(チーク)は狭くタイトで、いわゆるアッチョンブリケ(※)になりがち。ぽっちゃりした顔つきのライダーだと、狭く感じるかも知れない。
※アッチョンブリケとは
「左右からの圧迫により両ほほの肉が鼻に向かって隆起した状態(の間抜け面)」を端的に表す、日本の独自表現。手塚治虫『ブラック・ジャック』参照。
■内装について
ライナー・内装は、取り外し洗濯が可能。
接触冷感や抗菌などといった特殊機能こそ用意されていないものの、造形や質感は良好。
起伏のある衝撃吸収パッドや、模様入りの布地、一部に施されているカーボン調の意匠など、凝ったつくりとなっている。
■基本操作
ダブル・シールドのヘルメットとしてはオーソドックスなつくりで、特殊な構造は無し。
頭部正面、前方、および上部/後方のベンチレーションの開閉も、ピンやレバーをスライドさせる仕組みで、取り扱いは容易。
バイザーおよびシールドの取り外しは、付属品ないし一般工具を用いることで簡単に行える。
内装の着脱は、やや面倒。その原因は、説明書の無い状態で目の前の実物だけを頼りに、手探りで分解と組み合わせを確かめていくことにある。接着面や縫合部の破損には、十分な注意が必要。
■換気能力…頭頂部・外周
頭頂部のダクトは機能的で、冬季は冷たい空気の流入を体感できる。
加えて、寒冷期に入ると両耳の裏~真下付近に冷気の通過を感じるようになるのだが、これはベンチレーションによるものではなく、純粋に「ヘルメットと頭(首)の間に隙間がある」ことが原因。天然ベンチレーションと解釈できなくはないが、メリットなのかデメリットなのか、判断に悩む。
■換気能力…口元・顔面
真正面の大型ダクトの換気能力は、見た目相応に高い。排気ガスや粉じんなどが目立つ環境下では、その豊富な空気の流入量に対して、思わず防じんマスクの類を装着したくなるほど。
左右の小型ダクトも、正面ダクトとは別のルートを通じて口元(えくぼ辺り)に空気を流し込む、凝った構造となっている。上の参考画像でリフレクターが白くぼやけている原因は、吐息による曇り。このクリアパーツの真裏に、ヘルメットの内側への通気経路が続いている。
■補足:帽体の大小について
サイズ・寸法・数値に関しては、各社の製品案内、画像、情報を根拠に投稿。
シェルの大小に関する記述は、各ブランド公式サイトにて公開されている情報、画像を根拠に記載。
参考画像:国内外の帽体の違いに関するメモを画像化したもの
例とした商品は、THH TX-27SP ”鋼鐵英雄”。
北米版は”Venture/ベンチャー”、同仕様のグラフィック・パターンを用いている日本代理店の販売商品名は、”Men of Metal/メン・オブ・メタル”、また、パターンを踏襲した色違いが、はとやVOIDの”graphic/グラフィック”と、それぞれ商品名は異なる。
TX-27SPのようなシェルの大小が顕著に表れる意匠とは真逆の製品、つまり色柄の無い単色モデル同士であっても、チン・ストラップの基部の位置や帽体の後頭部上方にある横幅ダクト直下の面が上下に広いか・狭いか、といった外観的な要素から判別できなくもない。
シェルの大小によって大きな影響を受ける要素は、見た目と重量、そして着脱性。特に被り易さ・脱ぎ易さは重要で、小型シェル+Lサイズ相当の内装の組み合わせなどは、「被ってしまえばジャストサイズ」であっても「被るときに耳が擦れてしまう(着用に痛みを伴う)」「脱ぐ際に耳が擦れてしまう(拭度に痛い思いをする)」といった、地味ながらも支障をきたしかねないネガティブ要素となり得るため、注意が必要。
■内装についての補足…厚みとクッション性について
TX-27の被り心地は、決して良くは無い。例えると、被り心地が「固い」。
これは、充分な厚みのあるチークパッドとは対照的に、頭部の外回り(※『西遊記』で孫悟空が被らされている頭の輪のイメージ)を包む内装が薄めで、クッションが底突きを起こしがちなため。
参考画像:THHヘルメット THH T-72の極薄クッション内装
サンプル画像のT-72は、事実上のフリー・サイズ(57㎝~60㎝)ヘルメット。手指でめくっているのは、頭部の側面(こめかみの上あたり)に接する面の内装。TX-27のライナーは、ここまで極端にペラペラというわけでは無いものの、かと言って、柔軟性や弾力性に富んだ厚みのあるものという訳でもない。つまり何を伝えたいのかと言うと、TX-27は
「やや小さめのサイズの(きつめの)ヘルメットを選んでおけば、被っているうちに(内装のクッション性能が減退することによって)適度なきつさになり、丁度良い具合になる」といった有名な逸話には、まず当てはまらないヘルメットのうちのひとつ、ということ。国内2大メーカーのような(クッション性と厚みが十分に確保された)内装を有するヘルメットではないため、被っているうちに内装はへたる(≒縮む)といった期待(≒思い込み)は、決して良い結果をもたらすとは限らない。
■装備面…ネックストラップ/あごひも
ワンタッチバックルの脇には、ヘルメットホルダー用の小型Dリングが用意されている。
ある意味で中華圏ヘルメットのお約束と言える『妙に長いネックストラップ』は、やはり健在。それほど極端では無いものの、この類を初めて手にする方は、その長さを目の当たりにして不良品かと不安になるかも知れないが、大丈夫。これらのネックストラップは文化として、正しく長い。
■装備面…シールドバイザー
アウターシールドバイザーがライトスモーク(ソフトスモーク)、インナーサンシェードがスモーク、という組み合わせ。どちらもアンチフォグでは無いため、閉め切りでの使用では曇りがち。
外側のシールドは「ライトスモーク」と銘打たれているものの、これは「クリアー」と言われても通じるのではないかと思える程度の、ほのかな濃さ。日本において「濃い・薄い」と区別するシールド・バイザーの色味を、台湾では「深い・浅い」という文字を用いて “深茶” ”浅茶” と表現するのだが、THHヘルメットに限って見た場合、 “浅茶”は、かなり透明に近い。「商品説明にライトスモークと書いてあったが実物はクリアーだった」的な誤解は、ここに起因する。
参考画像:THHヘルメットにおけるライトスモーク(ソフトスモーク) “浅茶”
対するインナー側の「スモーク」も、アウター同様に決して濃い色味では無い(※)ものの、こちらに関してはサングラス的な部品として十分に機能するレベルのスモークは施されている。惜しむらくは、偏光(へんこう)の機能が無い、おもちゃ同然のバイザーであること。
アウターシールド、およびシールド・ベースなどの関連部品は、同型品であるTHHおよびAFXから提供されるオプション・パーツが、共有可能(2016年夏現在)。
参考画像:AFX FX-41DS ミラーシールド(ゴールド・ミラー)
※インナーのスモークの濃さについて
これは、光線の透過率の確保のため。基準値(≒スモークの濃さ)を超えるものには"DAY USE ONLY(昼間限定)"の警告が必要となり、常用を想定したヘルメットへの採用は許されない。製造元である台湾のヘルメット規格(CNS)にも、このインナーサンシェードの検査項目が定められており、全ての組み合わせ [外側のみ・内側のみ・外側と内側の同時使用] の安全が、確認されている。
余談ながら、この二重シールド構造の透過率で不合格となった過去を持つヘルメットのひとつに、OGKカブトの"〇〇〇-II"が存在する。
参考画像:バイザー展開状態・インナーサンシェードの透け具合に注目
■装備面…顔面両脇のリフレクター
飾りのように見えるが、実は、しっかり機能する交通安全部品。ライトで照らしてみると、その光を反射する様子が確認できる。
■装備面…ヘルメットバイザー取り外し
製品同梱の工具を使用してアルミビスを着脱+頭頂部の樹脂ビスを着脱するだけで可能。
■付属品……説明書、ヘルメット収納袋
VOIDシリーズで悪評を買っている「不親切な取扱説明書」は、健在。
注意書き程度の内容が印刷された紙が添付されるのみであり、具体的な取り扱い方法版は、記載されていない。
ヘルメット収納袋は、無地の化学繊維で出来た簡素な雰囲気。向こうが透けて見える薄手のタイツのような生地で伸縮性があり、起伏のある製品の収納にも対応している。
■ネガティブ要素あれこれ
・品物の説明をする気が全く無い説明書
噂の通りの内容で、実物は、まさに目を疑う代物。具体的な使い方に関する案内が全く、ない。
それまで抱いていた『はとや』へのイメージがガラッと変わる瞬間があるのだとしたら、それは正に、この説明書を手にした時。
※2017年5月追記
新たに追加された姉妹品『TX-27グラフィック』の販売ページには、おざなりになっていた製品の取り扱い方法、および付属品の用途と注意事項などが、画像付きで掲載されています(TX-27無印の単色カラー販売ページは、未更新)。
・浅い被り心地と希薄なホールド感と走行時の寒さ
帽体の大きさの割に、被りが浅め。
これはオフロード寄りの設計によるものなのか、アライやショウエイのデュアルスポーツヘルメットに備わっているロードスポーツ寄りの(顎の両脇の下部から襟足までを包み込むような)ホールド感は、まるで無い。
両耳の下の辺りに出来る内装の隙間から吹き抜ける冷気や、そこからガンガン漏れ聞こえてくる環境音(※含むエンジン音+排気音)などの点も含めて、この浅い被り心地には好みが分かれそう。
・気にならないようで気になる重量
装着していれば大して気にならない1.8kg級の重量だが、着脱時や持ち運びの際には、その重さを痛感させられる。
・メガネ殺しの内装
アイポートの幅などとの兼ね合いで、メガネの着用が、難しい。
メガネの素材や形状よってはテンプル(つる)がスルリと容易に入る場合もあるのだが、入ったら入ったで、今度は耳たぶにテンプルをかける事がうまくいかない――などといった、じれったくも面倒な事態に陥ることも。
フルフェイスヘルメット向けのストレート・テンプル(耳にかける丸みが無く、つるが後ろに真っすぐ伸びている格好のメガネ)などを所有しているライダーはともかく、普通のメガネを愛用している方は、注意が必要に思う。
・ゆとりのある品質管理
アイポートのフチゴムが歪んでいたり、シールドバイザーを閉めた際に隙間が生じたり、傷やムラがあったり、その他いろいろ。
■好印象あれこれ
・風通しの良さを体感できる口元
口元ベンチレーションの性能が低いフルフェイスヘルメットなどを着用した後にTX-27を被ると、その快適さに感心させられる。
・思っていた以上に広い視界
危惧していたよりも、視界は広い。
左右両端にシールドバイザーの起伏による鋭角な歪みが生じるが、メガネ利用者の場合は眼鏡のツルが被る領域であり、運転への影響は感じ難い。
■2017年5月14日 投稿&修正
■2017年5月15日 同型品について&帽体の大小について加筆
■2017年5月16日 誤字など修正 一部加筆修正
■2017年5月17日 一部加筆修正
■2017年5月19日 タイトル変更 一部加筆修正 参考画像追加
■2017年5月29日 一部修正
■2017年6月04日 はとやVOID 価格推移追加
■2017年6月05日 参考画像追加
■2017年7月05日 はとや VOID TX-27 価格変更追記
■2017年7月23日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月05日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月23日 一部編集 価格変更追記
■2019年5月22日 一部編集 再UP