
今回の投稿は、これまた整備手帳に投稿するには微妙に筋違いな印象が否めず、しばらく放置したままとなっていた、海外ヘルメット関連の記録。先に、経緯と結果を書くと、おおよそ次の通り。
・海外ECサイトのAliExpressにて海外ヘルメットの部品を注文
・商品到着 → キズのある不良品と判明
・販売店に連絡 → 店「ごめんなさい。輸送中に傷がつくことがあります。返品・返金の手続きをしてください」
・
AliExpressにおける返品は返送料が購入者負担になることが多い ← ※重要※
・返品ではなく代金の一部払い戻しを提案 → 店「できます。手続きをしてくだい」
・手続き開始 → 運営が採決 → 一部払い戻し決定 → 返金を確認
――という流れ。
この記事の内容が、海外通販サイトを通じた海外製品の購入に興味をお持ちのお方や、海外ヘルメットおよび、その別売品に関心をお持ちのライダー各位の後学の種にでもなれば幸い。
・AliExpressにてLS2 HelmetsのShield visorを注文 → 不良品が到着の巻
発端は、中国の有名ECサイト・AliExpress内での買い物。
注文した商品は、海外ヘルメット好きの間では比較的、知名度が高めのブランドのひとつであるLS2ヘルメットのフリップアップ・モデル、FF900 Valiant II(バリアント2)向けの交換用シールドバイザー、イリジウムクロームのゴールド。
■参考画像:LS2 Helmets Iridium chrome shield visor for FF900 Valiant II (Valiant 2)
FF900は、2021年初夏時点で日本未発売のモデルのひとつ。
本体は言うまでも無く別売品も海外から入手することになるが、ここで問題となり得る要素が、送料。最安で1,000円台の前半、高額な場合は5,000円台に達するところも珍しくない状況なので、所要時間の長さと事故の発生率の高さといった不安要素には目をつぶり、価格面で優位にあるAliExpressからの入手を選択した次第。
支払はPaypal(ペイパル)の日本円払いで、お値段は31.99USドル≒3,660円。
当該商品の世界的な実売価格は、日本円換算3,500円~。送料&手数料込みで見るならば、まず安い。参考までに。
注文から、約3週間強で日本に到着。
その日のうちに開封し、点検してみると、これが傷の入った不良品であることが発覚。
■参考画像:イリジウムミラーコートの表面の小傷
問題の傷は、製造元の保護フィルムシートで覆われていた範囲の中にあり、見つけた際は異物――ゴミか、もしくは単なる汚れか何かと考えたのだが、レンズ拭き用のクロスを用いても変化がなく、よくよく観察すると、ただの傷。
残念ながら損傷は表層を突破しており、イリジウムクロームの被膜が剥がれてしまっている。
■参考画像:ミラーシールド表面の小傷の位置※保護フィルムを戻した状態
前述の通り、傷の位置は保護フィルムシートで覆われていた範囲内。
しかも、このシールドバイザーは冒頭のタイトル画像に示す通り、フィルムシートに加えて保護紙でも覆われていたため、配送中の接触・衝撃によって被った破損でないことは明白。
言わば、メーカーから製品として出荷された時点で傷が存在していた=不良品であった可能性が高く、即、販売店へ連絡を取ることに決める。
AliExpressには、購入者と販売店との連絡をチャット形式で行うことができるメッセージ機能が用意されている。商品の傷に関する報告と、交換ないし返金を含む対処を求める旨を英文で送信したところ、約2時間という僅かな所要時間で販売店からの返信を受信。
> so sorry , it may be scratched during the shipping way
> please open a dispute to ask for return and refund
販売件数の多さに相応しい迅速かつ誠実な提案はありがたいが、AliExpressでの買い物におけるreturn and refundという不良品への対処は「返送料を購入者が負担する返品」を意味することがあるので、それは、こちらが望むところではない。
考えた末、その晩に「こちらが送料を負担するのであれば返品は希望しない」「支払った代金の一部払い戻しを希望することは可能か」と返信。
翌朝、販売店からの返信を受信。
> then you can open a dispute , choose the reason of "Scratched Item", to get a partial refund
販売店からの承諾を得ることが出来たため、partial refund(一部払い戻し)を目的とするdispute(議論)の手続きを開始する。
・AliExpressでのdisputeの手続き → 商品を返さず一部返金を希望するの巻
AliExpressの利用者の間でdisputeという言葉と行為は「紛争」という翻訳で広く知られており、それは実に物騒な印象が否めない表現だが、disputeの実態は中立の第三者=AliExpressを伴う議論であり、売買上の問題を解決する目的で行われる論争。Yahoo!ショッピングや楽天市場などよりも遥かに購入者保護という運営の概念を実感できるという点で、このdisputeというシステムは代え難いものに思う。閑話休題。
disputeの申請を行うにあたり、まずはAliExpressにおける購入履歴を閲覧し、当該商品の注文詳細を画面に表示させる。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(1)
表示の右端に設置されているものが、手続きへの入り口であるOpen Disputeボタン。このOpen~というのは、
・Open War → 開戦(戦争をはじめる)
・Open Dispute → 紛争をはじめる(≒開く)
――のOpen~。
余談だが、日本向けAliExpressにおける謎翻訳システムは、この「Open Dipute」を「公開紛争」と表記することがある。そのため、一部の日本人ユーザーの間では今も、Open Disputeは公開紛争と語り継がれていたりもするのだが……、じゃあ、その紛争は全体に公開されているのか?というと……うん…うん?
そのほか、諸々のまとめ系サイトで見かける「Open Disputeのやりかた」という表現についても、
・「Open Dispute」のやりかた → 「紛争をはじめる」のやりかた
――といったカタコトな日本語みたいになってしまうと思えるのだが……。ニホンゴの書き方のヤリカタ、ベリーとても難しい。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(2)
disputeをopenするボタンをクリックすると、まずは購入者(buyer/バイヤー)として何を望むのか、「払い戻しのみ」もしくは「返品」の二択を通じて、AliExpressへと申告することになる。
冒頭に記した通りAliExpressにおける「返品」とは返送料の自己負担を意味する行為となる場合もあり、また、今回は返品は考えないことに決めたため、ここでは「品物を受け取る」ことを大前提とした「払い戻しのみ」を意味するRefund Onlyを選択し、disputeの手続きを進めていく。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(3)各種申告の内容とRefund Amountを決める
ここからは、画面に用意された選択肢を介しつつ、Refund Onlyに至った経緯をAliExpressへと申告していく。今回は、販売店からの指示に従い、
Refund (払い戻し) の
Request (依頼) の
Reason (理由) として
「破損した商品」 → 「擦り傷がついた商品」を選択する。
この前後の画面はAliExpressの仕様として日本語と英字表現が混在し、意味合いがメチャクチャに表示される項目が発生することもあるため、ブラウザの表示を任意に切り替えテキストボックスの確認を、ひとつひとつ行っていった方が無難。
なお、このdisputeの手続きの初っ端で「販売者が送ってきた指示には従うな」といった助言・苦言を呈(てい)するAliExpress上級者も存在するが、これは場合によるものなので、どの言葉も鵜呑みにせず、落ち着いて検討することをオススメしたい。仮に、それが「
荷物が届きません。返金してくれますか?」というdisputeにおいて「分かりました。では
Did you receive the item?の項目にYesのチェックを入れてください」といった指示を送ってくるような販売者のメッセージであったとしても(※)。
※……AliExpressでのトラブルにまつわる都市伝説のひとつ。まるでコントのネタ。
客:荷物が届かないよ。返金してくれる?
店:OK!じゃあ運営から「荷物を受け取りましたか?」と聞かれたら「YES」と答えてあげてね!
然る後、払い戻しとして要望する金額を任意に考え、入力を行う。今回は、
(1)損傷の度合いは軽微(傷は小さく、事実上、一か所のみである)
(2)シールドバイザーとしての機能に、差し障りは無い
(3)しかし傷の位置が悪い(真正面、外からも内からも視界に収まる)
(4)新品のシールドバイザーとしては、許容しかねる品質
といった明確な根拠を伴う主張をしつつ、欲張るつもりは無い≒折半(15.99USドルの払い戻しを提案)で痛み分けを望む――といった形を取ることを決断。
このあたりで出てくるproposalとは、自分(buyer)ないし相手(seller)が運営(AliExpress)に行う提案――噛み砕くと「今回の話し合いの場における自分からの提案」を指す言葉。
・sellerの提案 → return and refund(返品を受け付ける、その品物が戻り次第、払い戻しを行う)
・buyerの提案 → partial refund(返品したくないが不満がある、15.99USドルの返金で手を打たないか)
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(4)用意したEvidenceを送信
残す工程は、実際の損傷の度合いをAliExpressに伝えるべく具体的な状態の申請、およびevidence――すなわち「証拠」となる静止画(上限3枚)ないし動画ファイルといった素材の送信、となる。
当該項目はAliExpressのヘビーユーザー、特に商用を目的とする利用者にして「受領品の開梱作業を動画で撮影しておかないなんて考えられない」とまで言わしめる、AliExpress上での売買で特に重要とされる要素のひとつ。その理由は「後で、大変な目に遭うかも知れないから」なわけだが、事例によっては「開ける前から開けたあとまでノンカット(ワンカット)で撮影したビデオ映像がevidenceとして認められなかった」という報告例もある(※)ので、何事も過信は禁物。
※……海外での都市伝説的な報告例のひとつ。どう考えても自分が注文した品とは思えない重量の荷物(※文脈から察するに「異常に軽かった」模様)が届いた海外のバイヤーが、念のために動画を撮影しつつ開梱したところ、危惧した通り、その箱の中には望んでいない別の品物が収められていた。早速、そのバイヤーは記録した動画ファイルを根拠にdisputeを申請したのだが――運営からのproposalは「返品なし・返金0円」という予想外の内容。そして、そこには「提示された動画では、届いたとされる荷物と、その品物の寸法が確認できない。」といったアンビリーバボォな回答が添えられていたという。
話を戻すと、evidenceで意識したいのは「上限3枚」に設定された、静止画の投稿数の制約。不明瞭な申告で第一印象を損なうことは避けたいので、可能な限り、物品の撮影方法やファイルの選抜は、慎重に行いたい。高性能なスマートフォンを所有している購入者であれば、無理に静止画にこだわる必要は無く、明るい場所で不良個所を撮影した方が手っ取り早く、かつ、確実。
――というわけで、各項目に誤りや不適切なものが含まれていないかを点検し終えたのならば、ここでdisputeをAliExpressに送信、submit(提出)ボタンを押下する。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(5)Dispute in progress
すべての項目を正しく申告することが出来たならば、disputeのproposalはAliExpressへと伝わり、画面はAliExpressの処理待ちを意味するDispute in progress――議論の進行・待機状態へと移行される。
今回の場合は、
(a)購入者 → 商品に傷があるので15.99USドルを払い戻して欲しい
(b)販売店 → 購入者が返送料を負担して返品してくれたら返金で対応する
といった互いの要望&対処の提案に対し、AliExpressがどれだけ擦り合わせをしてくれるか――そこが焦点となる。
揉め方によっては数日を要することもあるらしい待機期間だが、今回はあっさり、半ば即日とも言える早さで、AliExpressからのproposalが到着する。それが、次の画像。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(6)紛争拡大――両方の返事を待つ
「紛争拡大」――ますます物騒な表記になっているが、この段階でAliExpressによる各提案の調査・精査が行われ、運営としての解決案が、購入者、そして販売者へと提示されることとなる。では、実際にどのような内容が提示されることとなったのか、それは詳細表示から確認できる。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(7)紛争拡大――承諾するか否か
こちらが、詳細画面。前述した(a)と(b)のproposalが、そのままAliExpressによって汲み取られた格好となっている。提案された内容が不適切だと見なされた場合、ここで購入者ないし販売者のproposalがAliExpressに汲み取ってもらえないこともあるようで、例としては「全額払い戻し」のproposalが受け入れてもらえず「半額の払い戻し」といった減額が行われた――などという事例が挙げられるようだが、今回は無事に提案を承諾していただけたようで、一安心。
さて、AliExpressから提示された二つのproposalのうち、そのどちらかを承諾し、採決を求めることになるのだが、こちらとしては無論、自身の提案である「15.99USドルの一部払い戻し」のproposalを、Acceptすることになる。必要項目を選択し、Acceptボタンを押下すると、次の画像の通り、大きなダイアログが出現するのだが、カタコトの英語力でも何となく理解が出来そうな――お察しのとおり、これは「一度Acceptしたら、もう戻れないよ?それでも続ける?」という、警告的な内容。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(8)英字とカタカナのマリアージュ
片や英字、片やカタカナというマリアージュ状態のダイアログの内容を確認し、あらためてAcceptを実行すると、こちらの意思の伝達が確定する。詳細画面は更新され、残すところは先方――つまり、販売店が、どのような選択をするかにかかってくる。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(9)相手の出方次第、結果待ち
――ただし、詳細画面の意味するとおり、今回のdisputeは販売店の主張(≒反論)が無く、また、どちらかと言えばAliExpress任せとも解釈できる内容であり、恐らくはAliExpressのjudgmentですの任せになるのではないか――と勘ぐっていたのだが、結果として、その妄想は当たり、週末を挟んだ三日後にはAliExpressによる採決が下されるかたちとなった。
結果は、こちらのproposalが通り、15.99USドルの一部払い戻しが確定。
■参考画像:AliExpressのOpen Dispute(10)半額相当のpartial refundでFinishedです
新品のヘルメットに傷がついたシールドバイザーを付けるというのも、ちょっとアレな気分な訳だが、約50%OFFのアウトレット相当の品を購入したと考えれば、それはそれで納得できなくもない――かも知れない。考え方次第かな。
ちなみに、PaypalによるUSドル → 日本円への換金手数料(正しくは通貨換算手数料=4%)が差し引かれることから、15.99USドルの払い戻し処理が行われた場合、純然たる50%OFF相当にはならず、若干ながら自身が損をする格好となる・なった。手練れの方などは、そういった手数料分を差し引きに加算するそうだが、自分は心証の点も含め、proposalは折半で良かったと考えている。
それにしても、LS2のシールドバイザー絡みの不良品との遭遇は、これで四度目。NUVOブランドのアンチフォグスモークシールドの表面に小傷×1、交換してもらった同等品に小傷×1、FF900用のピンロックシートに傷×1、そして今回のFF900用イリジウムミラーに小傷×1。しかも、ここには投稿していないが、今回のシールドバイザーは、なんと内側にも小傷がついていた。もう、なんとかしていただきたい。本当に。
■参考画像:おまけ:AliExpressのOpen DisputeからFinishedまでの流れ
参考までに、経緯と結果を示す履歴表示を添付。