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2024年10月06日 イイね!

2024年度 国内外ヘルメットあれこれ 改訂版

今回は、数年ぶりに国内外のヘルメットに関する知ったかぶりをする記事を投稿。国内外における安価寄りのヘルメットに関する調べものをしておいでの方々にとって、何かしらのお役に立つことが出来れば、幸い。

なお、この記事は日本国内におけるオートバイ乗車用のヘルメット・ブランドについて
・国内メーカーと呼べる企業は『Arai』と『SHOEI』の2社のみであること
・上記2社以外の自動二輪車向けヘルメットは主に海外企業が生産・製造している製品であること
――といった現実を品選びのための予備知識として、頭の片隅に留めていただくことを目的しており、特定の銘柄や会社に対する主張などを(皮肉とか冗談とかを抜きに)したいわけではないので、念のため。

※おとこわり※

ご閲覧の際は、以下のふたつの点に、ご理解とご協力をいただきたく。
・記事の内容を鵜呑みにしない
・記事の内容に関する問い合わせを(どこに対しても)しない
興味・ご関心を抱かれた方には、インターネット検索を、おすすめ。



■マルシン工業のヘルメットと同型の製品

現行ラインナップ――と言うには月日が経ちすぎた感も否めない、マルシン工業の『ドリル』と『エンドミル』は、2018年から2019年にかけてリリースされたヘルメット。

それぞれ、『ZEUS HELMETS』で有名な台湾『隆輝ヘルメット(ロン・フェイ・ヘルメット/Long Huei Helmet Co., Ltd.)のZEUS ZS816系、および『VR-1』『M2R』『Lazer』ブランドなどを台湾にて取り扱う得安ヘルメット(ディーン・ヘルメット/TE AN Helmet Ind. Co., Ltd.)のM2R F9系と同型の製品ではあるが、シェルや内装などの仕様の一部はマルシン工業が提案する独自の特別仕様(いわゆる別注品)となっている。

・参考画像:ドリル(左)とZEUS ZS816系(右)
引用元:マルシン工業、ZEUS HELMETS

※口元の吸気スリットの有無など「シェルに明確な差異がある」のは珍しい

・参考画像:エンドミル(左)とM2R F9系(右)
引用元:マルシン工業、M2R HELMETS


・参考動画:Oroshi: The Mission(M2R F9系、エンドミル同形状モデル)
(Lazer Helmets)※音声注意

※宇宙飛行士をイメージさせる演出は二輪業界における定番ネタのひとつ

この文章を書いている2024年現在、ドリルもエンドミルも初期ロット品のリリースから5年が経過しようとする製品であるため、仮に在庫が残っていたら、そろそろモデル末期かな――、といった印象。



■KOMINE/コミネのヘルメットと同型の製品

以前にも投稿したことがあるが、コミネの現行ヘルメットの一部は、スペイン・FASEEDブランドの供給元である中国『ダフェイマ・オートモバイル・テクノロジー/Jiangyin Dafeima Automobile Technology』のODM系モデルをベースとする、特別注文品。コミネ最新モデル(※2024年現在)であるHK-190 ネオレトロフルフェイスヘルメットを例にとると、その帽体は、FASEEDが提供しているFS-V6系と同じ型となっている。

・参考画像:FASEED FS-V6系(左)とコミネ HK-190ヘルメット(右)
引用元:FASEED HELMETS、KOMINE


独自仕様として、HK-190の内装には、コミネ社オリジナルの『立体メッシュ構造』を採用しているのだそう。自社のノウハウをもとに快適性を追求しているところは、好印象。

FASEEDブランドの品物は日本国内では(出所不明の並行輸入品くらいしか)収取手段が無いため、海外ヘルメット・ブランド好きのひとりとしては、コミネ版の国内リリースは、ありがたい。

ちなみに、このヘルメットは、フランスのヘルメット・ブランドであるASTONE HELMETS(※アストン・レトロ)からも同型モデルがリリースされているが、これは単純に「ASTONE HELMETS(主にヨーロッパ)が複数のサプライヤー(上述のダフェイマ社も、そのうちの一社)から製品の供給を受けている」という現実によるもの。

参考画像:ASTONE RETRO GT4
引用元:ASTONE RETRO


参考動画:極度吸睛,挑戰目光停留的極限(非常に目を引く、視線保持の限界に挑戦) - GT4
ASTONE HELMETS(音声注意)


念のために補足しておくと、『ASTONE RETRO/アストン・レトロ』は、ASTONE HELMETS(アストン・ヘルメット・アジア)から派生した、台湾発の新ブランド。どうもASTONE HELMETSは、ヨーロッパとアジアで販売権が分割されたような気配がするのだが、詳しい所は不明。



■期待の新ブランド・FUKUSEIヘルメットと同型の製品

2024年現在、Amazon.co.jpや楽天市場などにおいて、新型のフリップアップ・ヘルメットの供給を始めた新ブランド・『FUKUSEI HELMETS』を、ご存じだろうか。

・参考URL:FUKUSEI HELMETS
(株式会社新光興産:楽天市場店)
※アフィリエイトリンク類は仕込んでいないのでご安心を

FUKUSEIヘルメットは、千葉県船橋市の新光興産という会社が立ち上げたブランド。現在は『FUKUSEI システムヘルメット FF868』といった商品名のフリップアップ・ヘルメットが、送料・税込みで、11,900円(+ポイント還元)といった低価格で提案されている。

その近代的な外観、かつ機能性を併せ持った数々のギミックなどなど、販売ページ上の商品画像を眺めていると、価格帯に相応しくない価値を感じさせる魅力的なヘルメットに仕上げられている――ようにも見えてくるわけだが、実は、この製品、知る人ぞ知る中国のOEM/ODMヘルメット・メーカー『JDS HELMETS(ジェイ・ディー・エス・ヘルメット/Foshan Nanhai Jiujiang Jiadeshi Helmet Co., Ltd.)』の手による、FF-868フリップ・アップ・ヘルメットと同型の製品となっている。

更にインターネット検索を進めていくと、FF-868と同型の製品としてJDS HELMETS(以下:JDS)から派生した『NENKI HELMETS(ネンキ・ヘルメット/Foshan Nengjie Imp. & Exp. Trading Co., Ltd)』の手による、『NENKI NK-868』というモデルが昨今、世界的に流通している様子がうかがえる。

参考画像:FUKUSEI FF-868(左)とNENKI NK-868系ヘルメット(右)
引用元:FUKUSEI HELMETS、NENKI HELMETS


このブログのなかで過去に触れたことがあるが、もともと”NENKI”は、JDS(GDR HELMETS)が供給していた製造ラインの一つ。そのブランドを、2008年に子会社として独立させたものが、現在の”NENKI”。いわゆる“のれん分け”みたいなもので、事務所の住所は母体であるJDSの敷地のなかにある(※ODMブランドあるあるネタ)。

OEM/ODMヘルメットの世界においては、あるタイミングで突然、あか抜けた製品が供給され始めたりすることがあるのだが――、NENKIの現行品も、これがまた、様変わりしたかのように格好良いヘルメットとなっている。くだんのNK-868系も正に、そのひとつ。

参考URL:NENKI Capacete de motocicleta integral capacete modular dobrável com proteção para o queixo, capacete de motocicleta homologado ECE 22.06 com viseira dupla para mulher homem adultos
(スペインAmazon、NENKI NK-868販売ページ)
※環境によってはクッキー設定表示が出るのでご注意
※商品ページ左のサムネイルから2種類の動画が閲覧できるのでオススメ

10年ほど前までは、「中華圏のヘルメット=大陸産特有のぼってりとした輪郭のヘルメット」という図式で間違いなかったわけだが、今となっては精悍なものが決して珍しくなく、まるで別物。昨今は競合の同業各社(YEMA、YOHE、SOMANなどなど)も見違えるほど現代的なデザインに化けてきているため、もしかすると中国ヘルメット業界では、何かが起こっているのかもしれない。



■みんなだいすき・WINS JAPANのヘルメットと同型の製品

ここのブログにウインズのヘルメットのことを書いたのが、今から10年ほど前のこと(※2014年5月)。あれから随分な月日が流れたのだが、あらためてここで、WINS JAPAN(以下:WINS)のヘルメットについて、触れておくことにする。

WINSの人気商品と言えば、ズバリ、これ。
「3フォーム・チェンジ!!(C)WINS公式」と銘打たれたデュアル・スポーツ・ヘルメット、WINS X-ROAD(エックス・ロード)。

2014年のリリース以降、非常に息の長いモデルとなっているX-ROADは、中国の『VISTA HELMETS(ビスタ・ヘルメット/Zhejiang Vista Sports Goods Co., Ltd.)』が供給する、MP02系デュアル・スポーツ・ヘルメットと同型の製品となっている。

参考画像:VISTA HELMETS MP02系ヘルメット(左)とWINS X-ROAD(右)
引用元:VISTA HELMETS、WINS JAPAN


VISTAは、スイスの用品ブランド『IXS(イクス)』の供給元として、その名を知られている企業。MP02系もIXSヘルメットのラインナップに存在しており、WINSのX-ROADの帽体デザインはHX-207・デュアル・スポーツ・ヘルメットとして公開されている。

・参考画像:IXS HX-207 Camouflage(後年追加されたカモ柄仕様)
引用元:IXS

せっかくの機会なので、X-ROAD以外のモデルについても触れておく。

WINSのFF COMFORT(エフエフ・コンフォート)も、X-ROADと同様に、VISTA供給モデルと同型の帽体が使用されている。VISTAブランドでは、FP04系インナー・バイザー搭載フルフェイス・ヘルメットが、同系列となる。

・参考画像:VISTA HELMETS FP04系(左)とWINS FF COMFORT(右)
引用元:VISTA HELMETS、WINS JAPAN


このFF COMFORT――と同系であろうFP04系も、もちろんIXSのラインナップに存在する(IXS HX-215系)。樹脂パーツの色合わせなどが若干、異なるが、そのあたりの差異も、ODM系ヘルメットならでは。

X-ROADは、いつの間にやら第三世代へと突入しているが、どこまで進化し続けるのか、楽しみ。



■リード工業のヘルメットと同型の製品

マルシン工業と並び国内の老舗ヘルメット・ブランドの一角を担う、リード工業。その製品ラインアップの多くは、香港特別行政区に本社を置く巨大中国企業・H&H Sports Protection(エイチ・アンド・エイチ・スポーツ・プロテクション)が販売する製品がベースのODMヘルメットを中心に構成されている。

H&H――、このブランドは『ヘーフイ・セーフティ・プロダクツ・マニュファクチャー(Shanghai Hehui Safety Products Manufacture Co., Ltd.)』が製品を供給しているが、そもそも『H&H(エイチ&エイチ)』という二つのHは、母体である『He-Hui』の子音が由来。

この企業は供給先の多さが特徴で、
・TANKED RACING/タンク・レーシング
・Vcan(ヴィーカン)
・TORC/トルク
・ORIGINE/オリジネ(オリジン)
・Nitek/ナイテック
・JUST1/ジャスト・ワン
などのサプライヤーとして、一部のヘルメット愛好家に知られている。

リード工業が市場に投入しているヘルメットの一部はH&H系の製品から構成されており、フルフェイスもジェットも、海外向けにweb検索をかけると、いくつかのベース・モデルの姿を見つけることが出来る。「あのフルフェイスも、そのジェットも、Hehuiの製品だったのか」――となるくらい、色々ある。

参考画像:リード工業 STRAX SF-12(左)とVcan HYPE(右)
引用:リード工業、Vcan HELMETS


話を現行モデルに移すと、コロナ過の真っ最中であった2020年に新発売となったシステム・ヘルメットのreise(レイス)とREIZEN(レイゼン)は、どちらもVcan V271系フリップアップ・ヘルメットをベースとしたODM系ヘルメット。reiseは女性向けのMサイズシェル+グラフィック、REIZENは男性向けを想定したLサイズシェル+ロゴマークの配置で、それぞれが棲み分けがされる格好となっている。

参考画像:リード工業 REIZEN(左)とVcan V271系(右)
引用元:リード工業、Vcan HELMETS


V271系は、ちょうど2020年頃から高い人気を誇っていた製品。
・Vcanブランド V271
・TORC(トルク)ブランド T271
・ドイツの二輪用品販売店・FC-motoのBOGOTTO(ボゴット) V271
その他、世界各地のブランドから、100ドルメットの価格帯にて様々な提案がされており、その多くは今も、世界で手に入れることが出来る。

日本においては、福岡県の輸入雑貨の取り扱い店・クレストジャパンが、リード工業の販売と被る時期に、オリジナル・ブランドのCREST名義にて『ALPHA II(アルファ・ツー)』という商品名で、格安の販売を行っていた。

クレストジャパンは、H&Hの古くからのブランド『TANKED RACING』時代から、その製品を日本に輸入し、国内のユーザーへ向けて格安での販売を行っていた良心的なショップだったが、残念ながら2024年の夏に、その営業を終了。

・参考画像:国内販売されていたV271系ヘルメット・CREST ALPHA II


余談ながら、リード工業のREIZENのメーカー希望小売価格は、27,500円(税込)で、実売価格帯は16,000円前後(税込)。
対するCRESTのALPHA IIの販売価格は、安い頃は送料・消費税込々で、8,800円を下回っていた。
実に、惜しまれる。



■2024年11月4日:一部追記、誤字修正
■2024年11月5日:NENKI HELMETSに関する部分を改訂
■2024年11月6日:マルシン工業のヘルメットの発売時期を修正(2018年 → 2018年~2019年)
■2024年11月10日:一部改訂、リード工業の項にSTRAXを追加、など
■2024年11月12日:一部改訂
Posted at 2024/11/04 11:38:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記
2017年05月14日 イイね!

2017年度 台湾ヘルメットあれこれ番外編 THH TX-27のメモ

2017年度 台湾ヘルメットあれこれ番外編 THH TX-27のメモ今回の記事は、オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27(最初期出荷分・2016年夏発売)についての用品レビュー、および台湾ヘルメット・THH TX-27に関する備忘録的なメモの投稿。

元になったものは、「パーツレビュー」に記録していた感想文。VOID TX-27をご検討中の方や、同型品に興味を抱かれている方のお暇つぶしになりましたら、幸い。



■はじめに オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27とは
この商品は、台湾ヘルメット・ブランドのTHHヘルメットが2014年から販売している『THH TX-27A』をベースとするもの。

TX-27系は様々なブランドから世界各国で提案されており、日本におけるVOID版も言わば、そのうちのひとつ。こういった、ひとつの製品を複数のブランドから提供する手法は中華民国や中国のヘルメット・メーカーに散見するもので、有名どころの例としてはTX-27の前身となるTX-26系デュアル・スポーツ・ヘルメットを挙げることができる。

参考画像:世界的な人気を博したデュアル・スポーツ・ヘルメット TX-26系


なお、2015年以降のTX-27系を含む現行THHヘルメットの製品は、THH(トン・ホー・シン、東和興實業)の製造・販売ではなく、Heng Da Racing(ヘン・ダ・レーシング、恒大實業)による代理製造販売の体制へと移行している。閑話休題。

参考画像:旧体制時代のTHH・東和興實業ヘルメット版のラベル


こちらは、古いTHHヘルメットの内装ラベルの様子を撮影した画像。
2014年までの製品には、こちら(に近いもの)が添えられている。
余談ながら、製造年月の99/10は、国歴(中華民国歴)99年の10月の製造ロットを意味する印字で、右上の991002が詳細。ちなみに台湾における国歴99年は西暦で2010年、日本の年号で言うところの平成22年。



■はとや VOID TX-27の仕様と価格の変化について
はとやが提供するVOID TX-27には、販売中の現行品と仕様の異なった初期販売品(いわゆるアーリーモデル)が存在する。その特徴は、以下の通り。

・ヘルメット本体
初期 → VOIDのロゴあり
改修 → VOIDのロゴなし

・鼻先にあるダクト固定ネジとネジ穴
初期 → 正面に露出(丸出し)
改修 → 平坦なカバーで覆われている

・バイザーオフ(モタードタイプ)パーツ
初期 → 付属
仕様違い → 付属しない(※注)
改修後の現行品 → 付属する

・販売期間と販売価格
初期ロットのみ
 2016年 夏(6月~9月)
 9,980円(税込)送料無料

※初回分の完売後は、次のような流れで現行モデルの販売へと繋がっている。
※これ以降は、価格変動が頻繁に行われていくことになる。

2016年秋(9月~)インターネット受注を開始
『早期予約特価』
 10,480円(税込) 送料別・756円(税込)
 ↓
受注価格変更
 10,840円(税込)+送料無料

2016年秋(11月~)出荷・販売再開
 14,800円(税込) 送料別・756円(税込)
 ↓
販売価格変更
 10,980円(税込)+『今だけ送料無料』

2017年春(3月~)
販売価格変更
 10,580円(税込)+『今だけ送料無料』
 ↓
商品名に販売促進を追加
 10,580円(税込)+『3/31まで価格!!』 『今だけ送料無料』

2017年春(4月~)
販売促進の部分を改訂しつつ販売継続
 10,580円(税込)+『〇月〇日まで価格!!』 『今だけ送料無料』

 10,580円(税込)+『大感謝価格!!』 『今だけ送料無料』

 10,580円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 送料別・756円(税込)

2017年初夏(6月上旬)
 9,800円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 『送料無料!』

2017年初夏(7月上旬)
 9,800円(税込)送料無料

2017年初夏(7月中旬)
 9,680円(税込)送料無料 +『7/31まで特価』

2017年夏(8月)
販売価格変更
 10,980円(税込)+『送料無料』

2017年初夏(8月中旬)
 9,700円(税込)送料無料 +『8/31まで特価』 ← NEW!!

現行モデルは、ヘルメット本体にプリントされていた「VOID」ロゴが削除された(※)ことにより、バイザーを取り外した際のモタードタイプ(いわゆるターミネーター・スタイル)のイメージが初期型と大きく異なる。また、正面のネジ穴が塞がれたことにより、第一印象が向上している。

※バイザー関連の付属品について
一時期、VOID TX-27の在庫の中には、サイド・カバーおよびバイザー固定ネジの穴を塞ぐゴム栓×3個などのオプションパーツが [付属しないもの] が存在した。
これは製造ロットによる仕様の違いに起因するもので、欠品や不良品というわけではない(販売ページ上には「※商品は予告なく仕様の変更や販売を終了している場合がございますので予めご了承下さい。」との案内文が添えられている)。
モデル改修後はオプションパーツ類の同梱が再開されたものの、仕様の内容に関する正式な案内は行われていない。

※2017年5月追記
姉妹品『VOID TX-27グラフィック』が発売され、同販売ページにて、付属品の存在および用途を初めて明言。あわせてサイド・カバーから工具まで、全ての部材を紹介。
従来の単色モデル販売ページは更新されず、そのままの状態。

※2017年8月追記
単色モデル販売ページも更新。
「バイザーを取り外し、商品に付属されてる(原文ママ)パーツでモタードタイプにも変更可能」との案内文が追加され、文字だけではあるものの、“グラフィック”同様にモタード・スタイルへの組み換えが可能な旨が紹介されている。

※2017年8月追記
単色モデル販売ページ上が更新されているが、そのすべてに、「ヘルメット本体にVOIDロゴあり+本体正面のネジ穴が露出している(カバーが無い)仕様」の製品画像が用いられている。上述の通り、VOID TX-27には「本体にロゴが無いもの」「ネジ穴が塞いであるもの」が間違いなく存在するのだが、公式でそれが案内されたことは(恐らくは)一度も無く、今回の更新も含めて、細かい仕様に関する差分(=バラつき)は今後も続くと理解した方が無難かも知れない。




■VOID(ボイド)というヘルメット
『VOID(ボイド)』は、日本のバイクショップ『はとや』が展開するプライベートブランド(登録商標)のひとつ。これは同店が「より良い商品をリーズナブルな価格で」というキャッチフレーズで提案する安価路線のオリジナル・ブランド『SUM-WITH(カタカナ表記不明)』内のヘルメット・カテゴリーにあたるもので、上述のTHHヘルメットの他、リード工業や台湾のクオン・チェン(KWON CHEN MANUFACTURERS/坤成實業廠)社から供給されるジェットヘルメットなどでラインナップを構成する。

■VOIDヘルメットの素性
ラインナップには『はとやオリジナル』の文字が掲載されている物が含まれるが、前述のとおり、それぞれの商品にはベースとなったモデルが存在し、また、海外での流通が先行しているものも少なからず存在する。型番がTから始まる恒大レーシングのTHHブランド製品や、Gから始まる坤成GP-5ブランドの品物が、それに該当する。

■TX-27の特徴
TX-27は、シールドを装備するオフロードデザインのフルフェイスヘルメット。充実した換気機能の他、昨今人気の内蔵式サングラス(インナーサンシェード)を装備する点が、最大の特徴。
内装は、着脱が可能な構造。抗菌や冷感などの機能素材は用いられていないものの、生地は凝った質感に仕立てられている。
VOID版のネック・ストラップ(あごひも)は、ワンタッチバックル式。あごと喉に触れる部分には、摩擦を緩和するフラップが用意されている。

■はとや版のカラー設定
単色の4種類(白・銀・艶黒・艶消し黒)を設定。艶消しを除く各色には、パール調の塗料が用いられている。

参考画像:購入品 マットブラック


※2017年5月追記
グラフィックモデル・計4種の販売が開始(税込15,120円)。

※2017年7月追記
グラフィックモデル・計4種の価格が改訂(税込12,800円・送料無料)。

※2017年8月追記
グラフィックモデルの価格変更(税込15,120円に復帰)。




■同型品の存在について(抜粋)

・AFX Helmets AFX FX-41DS
・Alltop AP-8853
・Cyber UX-33
・Nikko N-722
・O'NEAL(オニール) SIERRA Adventure Dual Sport Helmet
・Raider Elite Eclipse
・THH TX-27A
・VOID TX-27
・W-TEC AP-885
・etc(unknown)
TX-27系は、アジア、北米、欧州など世界各地の販売店にて同型・仕様違い(※)のヘルメットが案内されているが、なかには電熱シールドバイザーやブレスガードなどの耐寒機能を備える“スノー・マスター(Snow master、降雪環境下におけるスノーモービルなどの用途向け)”といった異質な製品も存在する。

上記の抜粋のうち、本家本元に相当するのは他でもない、THH版。
Alltopの製品は、その中国法人・中国工場版に相当。
Nikkoは、THH(東和興實業)の家族企業であるTONG I ZHAO(東億兆實業)のヘルメット・ブランド。東億兆は、確か東和興の会長さんの息子さんが立ち上げた会社――だったような(うろ覚え)。なお、はとやが取り扱いを始めたNikko Helmets(ニッコー・ヘルメット)は、正に、このNikko。話が脱線。

※仕様違いについて
分かりやすい例は、ネック・ストラップ(あごひも/chin strap)の構造。VOIDのようなワンタッチ・バックル式の他に、ラチェット式もしくは二重Dリング式のものが製造されている。
冒頭の項でも触れた通り、型番自体が同じ“TX-27”同士であっても仕様が同一であるとは限らず、また、同じ販路であってもバイザーの取り付け基部の形状や、ヘルメット両脇の換気口の樹脂カバーの有無が異なるなど、なんとも微妙な亜種が実在する。



■帽体の素材と外観の印象
定番の、ABS系帽体。
内臓部品の影響か、装備重量は1.8kgを超える。
衝撃吸収材の厚みにより、帽体は大型。
標準的な日本人男性が着用した場合、いわゆる「頭でっかち」な姿となる。

参考画像:身長174㎝・体重80㎏前後の洋梨ヒョロデブ体型が着用したときの様子


参考までに、着用例。
肩幅や胸囲などは標準的な寸法で、おおよそLサイズ相当の体格。
頭(ヘルメット)だけが一回りほど大きく見える雰囲気が、伝わるだろうか。

原動機付自転車クラスのメットインスペースに収まらないことは言うに及ばず、リアボックス(トップケース)への収納においても、40リットル程度の容量では、蓋が閉まらないことがある。



■サイズ…帽体と緩衝材(Shell & EPS)の形状
設定は、M、L、XL。
それぞれが57~58cm未満、59~60cm未満、61~62cm未満に設定されている。
これは台湾仕様とも北米仕様とも設定が異なっており、はとや独自の寸法だと判断できる。

[参考寸法:ハットサイズ準拠(cm)・数値は販売店およびメーカー公式サイトからの引用]
台湾XLサイズ(58~59㎝) TX-27A 台湾本島流通品
台湾XLサイズ(59~60㎝) TX-27A
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 日本代理店取扱品 ※小型シェル
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 はとや VOID ※大型シェル
北米XLサイズ(62~63㎝) FX-41DS AFX Helmets
※同じサイズ表記であるにも関わらず帽体が異なっている点に注意

台湾仕様は、帽体(Shell)が小型。果たして全重量も軽く、1.65kg。台南を中心に販売されている品物はサイズ表記が特別に小さいが、これは前身のTX-26系でもあったことで、どうやら台湾独自の慣習・文化の類と推測する。XXL以上向けの大型帽体も存在する様子だが、詳細未確認。

北米仕様は、その頭部の大きさに合わせた2シェル(2shell)設定で、緩衝材(EPS)は4サイズが用意される。加えて、数種類のライナー&パッドの組み合わせによる大小様々なフィッティングが可能。全重量は、小さい方(XS~LG)が、1.68㎏。大きい方(XL/XXL)が、1.823㎏。

国内THH日本代理店の取扱品は特殊で、2シェルながらXLまでの帽体が小型、XXLのみが大型帽体と、北米仕様とは異なる設定になっている。2014年の新発売当時、台湾本島のTX-27A系はハットサイズ60㎝(サイズ表記自体は~XL)までの小型帽体が先行して流通し、その後、遅れるかたちで大型帽体対応サイズがショッピングサイトに登録されていたことから、この「XLまでが小型、XXLのみ大型」という2シェル設定が、台湾THH版TX-27A系の仕様なのかも知れない(※詳細未確認)。

はとやVOIDのTX-27は、帽体に関する表記は公表されていないものの、実物の形状から推測可能なシェルは大型帽体一種類のみ(※詳細未確認)で、重量は大型基準の1.80㎏。59cm-60cmのLサイズは、アライヘルメット的な丸形状の59cm-60cm(Lサイズ相当)を着用している自分にとって、痛みの無い快適なジャスト。

参考画像:前出のおっさんが正面を向いてみたときの様子


着用例その2。
レンズの効果でこう写っているのではなく実際に、このくらい頭が大きく見える、という例。

口元に向かって絞り込まれるデザインの通り、ほっぺた(チーク)は狭くタイトで、いわゆるアッチョンブリケ(※)になりがち。ぽっちゃりした顔つきのライダーだと、狭く感じるかも知れない。

※アッチョンブリケとは
「左右からの圧迫により両ほほの肉が鼻に向かって隆起した状態(の間抜け面)」を端的に表す、日本の独自表現。手塚治虫『ブラック・ジャック』参照。

■内装について
ライナー・内装は、取り外し洗濯が可能。
接触冷感や抗菌などといった特殊機能こそ用意されていないものの、造形や質感は良好。
起伏のある衝撃吸収パッドや、模様入りの布地、一部に施されているカーボン調の意匠など、凝ったつくりとなっている。

■基本操作
ダブル・シールドのヘルメットとしてはオーソドックスなつくりで、特殊な構造は無し。
頭部正面、前方、および上部/後方のベンチレーションの開閉も、ピンやレバーをスライドさせる仕組みで、取り扱いは容易。
バイザーおよびシールドの取り外しは、付属品ないし一般工具を用いることで簡単に行える。
内装の着脱は、やや面倒。その原因は、説明書の無い状態で目の前の実物だけを頼りに、手探りで分解と組み合わせを確かめていくことにある。接着面や縫合部の破損には、十分な注意が必要。



■換気能力…頭頂部・外周
頭頂部のダクトは機能的で、冬季は冷たい空気の流入を体感できる。
加えて、寒冷期に入ると両耳の裏~真下付近に冷気の通過を感じるようになるのだが、これはベンチレーションによるものではなく、純粋に「ヘルメットと頭(首)の間に隙間がある」ことが原因。天然ベンチレーションと解釈できなくはないが、メリットなのかデメリットなのか、判断に悩む。

■換気能力…口元・顔面
真正面の大型ダクトの換気能力は、見た目相応に高い。排気ガスや粉じんなどが目立つ環境下では、その豊富な空気の流入量に対して、思わず防じんマスクの類を装着したくなるほど。

左右の小型ダクトも、正面ダクトとは別のルートを通じて口元(えくぼ辺り)に空気を流し込む、凝った構造となっている。上の参考画像でリフレクターが白くぼやけている原因は、吐息による曇り。このクリアパーツの真裏に、ヘルメットの内側への通気経路が続いている。



■補足:帽体の大小について
サイズ・寸法・数値に関しては、各社の製品案内、画像、情報を根拠に投稿。
シェルの大小に関する記述は、各ブランド公式サイトにて公開されている情報、画像を根拠に記載。

参考画像:国内外の帽体の違いに関するメモを画像化したもの


例とした商品は、THH TX-27SP ”鋼鐵英雄”。
北米版は”Venture/ベンチャー”、同仕様のグラフィック・パターンを用いている日本代理店の販売商品名は、”Men of Metal/メン・オブ・メタル”、また、パターンを踏襲した色違いが、はとやVOIDの”graphic/グラフィック”と、それぞれ商品名は異なる。

TX-27SPのようなシェルの大小が顕著に表れる意匠とは真逆の製品、つまり色柄の無い単色モデル同士であっても、チン・ストラップの基部の位置や帽体の後頭部上方にある横幅ダクト直下の面が上下に広いか・狭いか、といった外観的な要素から判別できなくもない。

シェルの大小によって大きな影響を受ける要素は、見た目と重量、そして着脱性。特に被り易さ・脱ぎ易さは重要で、小型シェル+Lサイズ相当の内装の組み合わせなどは、「被ってしまえばジャストサイズ」であっても「被るときに耳が擦れてしまう(着用に痛みを伴う)」「脱ぐ際に耳が擦れてしまう(拭度に痛い思いをする)」といった、地味ながらも支障をきたしかねないネガティブ要素となり得るため、注意が必要。



■内装についての補足…厚みとクッション性について
TX-27の被り心地は、決して良くは無い。例えると、被り心地が「固い」。
これは、充分な厚みのあるチークパッドとは対照的に、頭部の外回り(※『西遊記』で孫悟空が被らされている頭の輪のイメージ)を包む内装が薄めで、クッションが底突きを起こしがちなため。

参考画像:THHヘルメット THH T-72の極薄クッション内装


サンプル画像のT-72は、事実上のフリー・サイズ(57㎝~60㎝)ヘルメット。手指でめくっているのは、頭部の側面(こめかみの上あたり)に接する面の内装。TX-27のライナーは、ここまで極端にペラペラというわけでは無いものの、かと言って、柔軟性や弾力性に富んだ厚みのあるものという訳でもない。つまり何を伝えたいのかと言うと、TX-27は「やや小さめのサイズの(きつめの)ヘルメットを選んでおけば、被っているうちに(内装のクッション性能が減退することによって)適度なきつさになり、丁度良い具合になる」といった有名な逸話には、まず当てはまらないヘルメットのうちのひとつ、ということ。国内2大メーカーのような(クッション性と厚みが十分に確保された)内装を有するヘルメットではないため、被っているうちに内装はへたる(≒縮む)といった期待(≒思い込み)は、決して良い結果をもたらすとは限らない。



■装備面…ネックストラップ/あごひも
ワンタッチバックルの脇には、ヘルメットホルダー用の小型Dリングが用意されている。
ある意味で中華圏ヘルメットのお約束と言える『妙に長いネックストラップ』は、やはり健在。それほど極端では無いものの、この類を初めて手にする方は、その長さを目の当たりにして不良品かと不安になるかも知れないが、大丈夫。これらのネックストラップは文化として、正しく長い。

■装備面…シールドバイザー
アウターシールドバイザーがライトスモーク(ソフトスモーク)、インナーサンシェードがスモーク、という組み合わせ。どちらもアンチフォグでは無いため、閉め切りでの使用では曇りがち。

外側のシールドは「ライトスモーク」と銘打たれているものの、これは「クリアー」と言われても通じるのではないかと思える程度の、ほのかな濃さ。日本において「濃い・薄い」と区別するシールド・バイザーの色味を、台湾では「深い・浅い」という文字を用いて “深茶” ”浅茶” と表現するのだが、THHヘルメットに限って見た場合、 “浅茶”は、かなり透明に近い。「商品説明にライトスモークと書いてあったが実物はクリアーだった」的な誤解は、ここに起因する。

参考画像:THHヘルメットにおけるライトスモーク(ソフトスモーク) “浅茶”

対するインナー側の「スモーク」も、アウター同様に決して濃い色味では無い(※)ものの、こちらに関してはサングラス的な部品として十分に機能するレベルのスモークは施されている。惜しむらくは、偏光(へんこう)の機能が無い、おもちゃ同然のバイザーであること。

アウターシールド、およびシールド・ベースなどの関連部品は、同型品であるTHHおよびAFXから提供されるオプション・パーツが、共有可能(2016年夏現在)。

参考画像:AFX FX-41DS ミラーシールド(ゴールド・ミラー)


※インナーのスモークの濃さについて
これは、光線の透過率の確保のため。基準値(≒スモークの濃さ)を超えるものには"DAY USE ONLY(昼間限定)"の警告が必要となり、常用を想定したヘルメットへの採用は許されない。製造元である台湾のヘルメット規格(CNS)にも、このインナーサンシェードの検査項目が定められており、全ての組み合わせ [外側のみ・内側のみ・外側と内側の同時使用] の安全が、確認されている。
余談ながら、この二重シールド構造の透過率で不合格となった過去を持つヘルメットのひとつに、OGKカブトの"〇〇〇-II"が存在する。

参考画像:バイザー展開状態・インナーサンシェードの透け具合に注目


■装備面…顔面両脇のリフレクター
飾りのように見えるが、実は、しっかり機能する交通安全部品。ライトで照らしてみると、その光を反射する様子が確認できる。

■装備面…ヘルメットバイザー取り外し
製品同梱の工具を使用してアルミビスを着脱+頭頂部の樹脂ビスを着脱するだけで可能。

■付属品……説明書、ヘルメット収納袋
VOIDシリーズで悪評を買っている「不親切な取扱説明書」は、健在。
注意書き程度の内容が印刷された紙が添付されるのみであり、具体的な取り扱い方法版は、記載されていない。
ヘルメット収納袋は、無地の化学繊維で出来た簡素な雰囲気。向こうが透けて見える薄手のタイツのような生地で伸縮性があり、起伏のある製品の収納にも対応している。



■ネガティブ要素あれこれ
・品物の説明をする気が全く無い説明書
噂の通りの内容で、実物は、まさに目を疑う代物。具体的な使い方に関する案内が全く、ない。
それまで抱いていた『はとや』へのイメージがガラッと変わる瞬間があるのだとしたら、それは正に、この説明書を手にした時。

※2017年5月追記
新たに追加された姉妹品『TX-27グラフィック』の販売ページには、おざなりになっていた製品の取り扱い方法、および付属品の用途と注意事項などが、画像付きで掲載されています(TX-27無印の単色カラー販売ページは、未更新)。


・浅い被り心地と希薄なホールド感と走行時の寒さ
帽体の大きさの割に、被りが浅め。
これはオフロード寄りの設計によるものなのか、アライやショウエイのデュアルスポーツヘルメットに備わっているロードスポーツ寄りの(顎の両脇の下部から襟足までを包み込むような)ホールド感は、まるで無い。
両耳の下の辺りに出来る内装の隙間から吹き抜ける冷気や、そこからガンガン漏れ聞こえてくる環境音(※含むエンジン音+排気音)などの点も含めて、この浅い被り心地には好みが分かれそう。

・気にならないようで気になる重量
装着していれば大して気にならない1.8kg級の重量だが、着脱時や持ち運びの際には、その重さを痛感させられる。

・メガネ殺しの内装
アイポートの幅などとの兼ね合いで、メガネの着用が、難しい。
メガネの素材や形状よってはテンプル(つる)がスルリと容易に入る場合もあるのだが、入ったら入ったで、今度は耳たぶにテンプルをかける事がうまくいかない――などといった、じれったくも面倒な事態に陥ることも。
フルフェイスヘルメット向けのストレート・テンプル(耳にかける丸みが無く、つるが後ろに真っすぐ伸びている格好のメガネ)などを所有しているライダーはともかく、普通のメガネを愛用している方は、注意が必要に思う。

・ゆとりのある品質管理
アイポートのフチゴムが歪んでいたり、シールドバイザーを閉めた際に隙間が生じたり、傷やムラがあったり、その他いろいろ。

■好印象あれこれ
・風通しの良さを体感できる口元
口元ベンチレーションの性能が低いフルフェイスヘルメットなどを着用した後にTX-27を被ると、その快適さに感心させられる。

・思っていた以上に広い視界
危惧していたよりも、視界は広い。
左右両端にシールドバイザーの起伏による鋭角な歪みが生じるが、メガネ利用者の場合は眼鏡のツルが被る領域であり、運転への影響は感じ難い。



■2017年5月14日 投稿&修正
■2017年5月15日 同型品について&帽体の大小について加筆
■2017年5月16日 誤字など修正 一部加筆修正
■2017年5月17日 一部加筆修正
■2017年5月19日 タイトル変更 一部加筆修正 参考画像追加
■2017年5月29日 一部修正
■2017年6月04日 はとやVOID 価格推移追加
■2017年6月05日 参考画像追加
■2017年7月05日 はとや VOID TX-27 価格変更追記
■2017年7月23日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月05日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月23日 一部編集 価格変更追記
■2019年5月22日 一部編集 再UP
Posted at 2019/05/21 20:46:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記
2014年05月04日 イイね!

2014年度 台湾ヘルメットあれこれ

2014年の春までに書き溜めていた(保存していた)メモを備忘録として投稿。
ヘルメットをご検討中の方にとっての暇つぶしになれば幸い。

※※※おことわり※※※

当該記事は平成末期のもので、その作成・投稿から少なからずの時間が経過したものとなっております。本文の中には、数値的にも感覚的にも令和の時代と大きく異なっている様々な要素・表現が含まれております(例:商品価格帯、各国為替事情など)。ご閲覧いただく皆様におかれましては、それらを読み替える、もしくは読み飛ばしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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■東単 OWL(アウル) OWL3000A HYBRID HELMET (TT-3000A)
2010年の発売以来、息の長いモデルとして販売の続く東単のOWL。供給元の株式会社東単は、二輪用品卸売りの老舗。Arai(アライ)ヘルメットの強力な代理店としても知られる。

・参考URL
VIRGIN HARLEY.com 東単のOWL ジェットヘルメット 開発秘話 掲載日/2014年01月29日
http://www.virginharley.com/harley-tieup/tohtan/index.html

その東単が世に送り出したOWLシリーズのHYBRID TT-3000Aは、台湾ヘルメットを見回る上で不可避の存在・ZEUS(ゼウス)ヘルメットの商品、ZS-3000系と同じ外観をもつ。

・OWL TT-3000Aと同型のZEUS ZS-3000系の例

ZS-3000系は、3000/3000A/3000B/3000F(※供給先によって型番と仕様との間に違いあり)などのバリエーションを誇る定番商品のひとつ。現地では日本円換算でおおよそ9,000円前後のお手頃プライスで流通している。これに対し、外観が同じ日本国内仕様OWLの価格は、その倍以上となる23,000円弱。いかに日本のヘルメットが高くついているか、そんな一面を垣間見る事ができる存在となっている。

因みに、このZS-3000系の後継が同ZS-3100系。日本では、NANKAI(ナンカイ/南海)が販売するオリジナル・ヘルメット、NAZ-310 GAIA(ガイア)に相当。

・OWL TT-3000A ハイブリッド・ヘルメットと、NANKAI NAZ-310 ガイアの比較


両者共に1.8kg級の重量モデルだが、3100は全体が刷新され、より現代的な輪郭が形成されている。比較すると3000系のぽってりとした輪郭線は、旧来のモジュール・ヘルメットのフォルムを体現するものとして印象深い。日本国内で両者間には相当な価格差が生じているが、後発となる南海側が価格面で優位に立ってる点は特筆に価する。

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■ウィンズジャパン WINS CROWN HELMET 
外箱に大きく印字されるU.S.A.のロゴ、タグにプリントされるCHINAの文字、そして日本語で印刷された取り扱い説明書と製品の警告。

輸入販売者:ウインズジャパン
発売元:WINS USA
生産地:中国

これは一体どの「国」のヘルメットなんだ?

購入者でなくとも戸惑いを禁じえない、その三段構えの販売形態で知られる、WINS。
経済系新聞の紙面に成功を祝う賞賛記事が掲載された事もある企業だが、この集団が提供する品々の多くは「日本国内製」ではなく「中国・台湾製」であり、かつ、「新開発した最新のヘルメット」ではなく「あらかじめ中国や台湾の庶民に向けて製造・販売されていた低価格帯ヘルメットの類似品」であるといった現実くらいは、知っておいた方が良い(※注:記事作成投稿当時の状況)。

・WINS A-FORCEと同型のカーボン・フルフェイス・ヘルメットの例

かの中国製スポーツバイク・Megelli250Rの国内販売とほぼ同時期にWINSから供給が開始されたカーボン・ヘルメットA-FORCEは、Made2Race(メイド・トゥ・レース/M2R/エム・ツー・アール、台湾ディーン・ヘルメット提供ブランドのひとつ)のXR-1と同型の製品。台湾では安価なカーボンルック・ヘルメットがひとつの定番で、XR-1は、いわゆる「中の上」のランクに位置する商品としてショップのラインナップに常時加えられており、これは数年が経過した今でも変わらない。

M2R XR-1は、その実売価格が日本円換算で、おおよそ16,000円~17,000円ほどのヘルメット。スタンダードなフルフェイス・ヘルメットが9,000円~10,000円で流通する台湾では、やや高価な品物だが、それでも33,000円で提供されるWINS版の半分程度のプライスで流通している。もちろん、A-FORCEを含む国内販売品を台湾の現地仕様と単純に比較する事は適切では無いが、カーボン・ヘルメット最大の魅力となる重量面に大差が無く、また、ほぼ同じ外観から受ける印象として、日本国内版の割高感は否めない。

重量面に着目した場合、見逃せない存在となるのが画像掲載の同型ヘルメット、ヨーロッパ方面に供給されているPAULO S-990。該当ブランドにおけるスタンダード・モデルS-900から派生したカーボン・モデルがS-990なのだが、こちらも重量は僅か1,200g±50g(1,250g±50gの表記もあり)なうえ、やはり実売価格は低く、日本円換算で18,000円前後。PSCとSGという販売国の都合を無視した場合、XR-1とS-990の買い得感は、強い。

■カーボンヘルメットに見る日本仕様と台湾(海外)仕様との相違点
ブランド名
商品名
重量
価格(円換算)
Made2RaceXR-11,150g ±50g16,000円~17,000円
PAULOS-9901,200g ±50g
1,250g ±50g
17,000円~18,000円
WINSA-FORCE1,250g ±50g33,000円

上の表は、重量を観点に単純な比較をしただけに過ぎないため、A-FORCEにのみ含まれる要素、つまりは専用の内装と特別な装飾というWINSならではの特典、そして日本国内で乗車用ヘルメットを販売するために必要なPSCおよびSGの取得といった素人には知る由の無いコストの都合などは、まったく加味されていない(=私はそのような専門的な要素を加味できるような知識も情報も持っていない)。あくまで素人が勝手に書きとめている、裏付けの無いメモとご理解いただきたく。

なお、この項の冒頭に記述した通り、フラッグ・シップとなるA-FORCE以外も、WINSブランドのラインナップ(の多く)は、中国~台湾系ODMモデルで構成される。

・アジア圏内で見る事が出来る類似品とWINSシリーズの比較


製品の賞味期限切れ的な意味合いを連想させる謎の在庫処分セールで販売店から一気に放出されたCR-1を筆頭に、現行モデルのMODIFY(CR-1 MODIFY/CR-1 モディファイ)も、アジア諸国に安価なヘルメットを数多く提案するJDSヘルメット(Jiadeshi Helmet※)の製品と同系列の外観をしているが、それはそのはず、こちらの製品群も供給元は日本国内ではなく中国である。冒頭で触れた「輸入販売者:ウインズジャパン」「発売元:WINS USA」「生産地:中国」というのが、これにあたる。

※JDSヘルメット(Jia de shi Helmet/佳德士头盔)…ジェイ・ディー・エス・ヘルメットは、中華人民共和国を代表するヘルメット供給業者。中国本土での表記“佳得士”は、アルファベット(J・D・S)の中国読みであり、続く“头盔”という言葉は、ヘルメットを意味する中国語。中国には企業登録に用いることが許される文字は漢字のみという絶対の制約があるため、『JDS HELMET』は『佳得士头盔』となる。JDSは中華圏におけるヘルメット・サプライヤーの大手のひとつであり、GDR/Masei/NENKIといったブランドをはじめとする様々な銘柄の供給元として知られる。

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因みに「300個から生産の受注が可能」といわれるJDSヘルメットのラインナップは多種多様で、かつ、生産した製品は世界各地に出荷されている。その中で特に目立つ存在が、スーパー・モト・スタイルのフルフェイス・ヘルメット、MX311。オフロード・スタイルのヘルメットにシールド・バイザーを搭載する、いわゆるデュアル・パーパス・モデルの類は相当な需要を見込まれているようで、MX311は、文字通り世界中に散らばっている。

実は、このヘルメットは意外なほど日本国内のwebショップやwebモールに散見する(※2014年春時点)。シールド付きのオフロードヘルメットやダブルレンズヘルメットの類をwebショッピング・モールなどで探した経験がおありの方は、恐らくどこかで1度くらい目にした事があるのでないだろうか。

・GDR MX311と同型のデュアル・スポーツ・ヘルメット

・GDR MX311
・ACERBIS ACTIVE DUAL SPORT HELMET
・SPIRIT DUAL SPORT HELMET
・TUZO ADVENTURE DUAL SPORT HELMET
・WULFSPORT PRIMA SPEED
・DUCHINNI D311
・NITRO MX650 DVS
・SNAIL MX311

それぞれの製品画像はアングルやカメラレンズの広角具合により、異なる印象となっている。
いわゆる『写真写り』という言葉を示す意味では、とても分かりやすい、ひとつの例。

本家は恐らくJDS直下(との印象を受ける集団)のブランド・GDRの、MX311。真骨頂の低価格ゆえに、検索エンジンやインターネット・ショッピング・モールにおいて、目に入りやすい品物のひとつ(同じく低価格帯の製品を構成するLS2のヘルメットと並んで表示される機会が目立つ)。

オフロード嗜好の世界のライダーに“アチェルビス”の名前は高い販促効果を発揮し、「GDR?知らない。しかしアチェルビスの(その形の)ヘルメットなら、知っている」というライダーは、少なからず存在する。それはヨーロッパにおけるアチェルビスグッズと、そのODMモデル・DUCHINNI(ドゥッチーニ、画像右下)D311の間でも発生しており、ヨーロッパ方面のオフ車乗りのコミュニティ(イギリスの模様)の中で『アチェルビスのヘルメットと、ドゥッチーニのD311、これ、どこが違うんだ???』(※意訳)というスレッドが立つほど。

同様の質疑は日本でも北米でも台湾当地でも行われているものであり、果たして世界のどこへ行ってもODM/OEM同士は似た混乱を引き起こすことを表す、ひとつの例と言える。

画像に登場するSNAIL(スネイル)、TUZO(ツゾー)、NITRO(ニトロ)、WULFSPORT(ウルフスポート※イギリスのブランド=単数形)といった供給先は、どれも日本に馴染みのないブランドながら、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなど、世界各国に製品が流通する様子を確認できる。
一見して誤字と思いがちな“WULFSPORT”の“ウルフ”のスペルは、そのままUが正しく、これは古英語読みだそうで、「ウルフ=WOLF」が定着している日本では馴染みの無い独特の表記。“カタツムリ”という意味のSNAILも、日本の感覚では理解し難いネーミング・センスのひとつだが、現地の文化で別の意味を含む・別の解釈ができる言葉である可能性は否めない。
TUZOとNITROは、チューゾー/ナイトロとも読む。これはヨーロッパ・ブランド特有の現象。同様のものとしては、AIROH(アイロー/エアロー)、GIVI(ジビ/ジーヴィー)、CABERG(カッバーグ/ケイバーグ)などが挙げられるが、意識しない方が賢明らしい。スーパー・マーケットでビニール袋が欲しいときに「バイナル袋ありますか」と店員に尋ねる人がいない(※)ことからも、その様子がうかがえる。閑話休題。

そんな訳で、中国起源の組織・JDSの製品は、アジア、オセアニア、インドネシア、アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカにまで広く流通している。しかし何より驚くべきは、それだけの販路を持つJDSヘルメットの歴史は浅く、創設より10年ほどしか経過していない、と言う事実にある。わずか数年の間に世界の各地に製品を流通させるその勢いは、計り知れない。

※…意図しない限り「バイナル袋」という言葉は現実に存在しない表現ですので、念のため。適切な英訳は、「プラスティック・バッグ」になります。

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■バイクブロス
台湾に同形状の製品が存在するフリップ・アップ・ヘルメットをBH-0001として売り切ったプロトコーポレーションのバイクブロスは、2014年4月に、その後継モデルとなるBH-0002をリリース。この新商品も例に漏れず、台湾のARC/GP-5系で言うところのA677/678/GM-1/722系インナーバイザー搭載型フリップ・アップ・ヘルメットの型(形)にそっくり。一連の製品の製造元は台湾大手のQUEEN KWAN ENTERPRISE(台湾名:坤成実業、ARC/GP-5ブランドの母体)という企業なのだが、今回の製品も委託されているのかな、と勝手に妄想する。

その要因のひとつが、昨年の秋(2013年9月)からバイクブロスが販売する『オリジナル・ヘルメット』BH-1001と酷似する、台湾ARCのA720の存在。

・参考URL:
[採訪] 2013台灣國際機車展(2) 【THH / ZEUS / ARC / HLS】
http://forum.jorsindo.com/forum.php?mod=viewthread&tid=2401834
感謝:wildspirit (小老婆汽機車資訊網首頁超级版主/Jorsindo Motor Club Super Moderator)

2013年度の春、台湾のモーターショーに展示されたA720参考出品モデルはインターネット上での露出の機会がまるで無く、2014年春現在まで(バイクブロスのBH-1001を除き)ショップで販売された形跡も無い訳だが、台湾ヘルメットは、参考出品から実際の販売までに1年以上のスパンが置かれる事もある(最近だとTHH T-315が、このケース)ようなので、その内、台湾市場にA720が登場する事になるのでは無いかと考える。

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何はともあれ台湾ヘルメットの躍進は、これからも続くことと信じる。
台湾のメーカーにおかれては、すべての良い意味で、頑張っていただきたい。

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おまけ。

口の悪い人と海外ヘルメットの話をすると、中国・中華民国のブランドに対する「中華」「パクリ」といった揶揄や偏見を耳にする(目にする)機会が少なくないのだが、中国・台湾・韓国のヘルメットを追いかけていると、その国に対する心証を損なう、もしくは民族への偏見の助長に繋がるであろう要素を少なからず目の当たりにする機会は確かに、存在する。ここに、露骨な例を追記しておく。

・イタリアンメーカーAIROH SV55-S Sportと、JDS系ヘルメットの代表2種


画像左側は、イタリアのAIROHが提供するフリップ・アップ・ヘルメット、SV55-S スポルト。
画像右側は、本文でも散々触れたJDSヘルメットのフリップ・アップ・モデル、803系。

AIROHの製品は、これ以外にも数種類が、中国・中華民国のメーカーに模倣されている。

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そんなわけで著作権うんぬんの意識は中国はもちろんのこと、かの中華民国・台湾であっても、決して高くないことが分かる。

・ARC(台湾) 公式ウェブサイト (引用:ARC 公式サイト)


・ベスパ(伊) 公式ウェブサイト GTSのギャラリーの1枚 (引用:ベスパ公式サイト)


・ARC(台湾) 画像を拡大


ベスパ(伊)のサイトに使用されている人物の部分のみが切り抜かれ、ARC(台湾)のサイトに転用されている。それどころかご丁寧に、モデルが手に持っている安全帽が、しっかりと自社(ARC)製品に切り貼りされている様子も見て取れる(※同様の手法でPAULOというヘルメット・ブランドは、なんとAraiヘルメットの上に自社ブランドロゴを切り貼りした画像を公式サイト上で使用している)。

ここまで堂々としていると、何か意図があるのかと疑わしくもさえ思えてくる。
もしくは、そういう文化なのだろうか。

※2018年追記:ARC公式サイトの更新に伴い、上記画像は消滅。
※件のPAULOのArai切り貼り画像も、いつの間にか消滅。

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■2014年5月5日 一部追記、誤記訂正
■2014年5月6日 改訂
■2014年5月7日 改訂、おまけ加筆
■2014年5月8日 表現見直し、誤字修正
■2014年5月12日 改訂、表現見直し、誤字修正、追記
■2014年5月14日 一部改訂
■2014年10月21日 一部改訂
■2016年9月21日 一部改訂
■2016年10月25日 一部改訂、画像修正
■2017年5月5日 ARC A720 参考URL表記追加
■2018年4月16日 一部改訂、追記
■2021年6月13日 一部改訂、台湾企業名を追加
■2023年9月26日 一部改訂、冒頭に「おことわり」を追加、など
Posted at 2014/05/04 19:47:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記
2013年04月04日 イイね!

2013年度 台湾ヘルメットあれこれ

2013年度 台湾ヘルメットあれこれ海外メーカー製のヘルメットに魅力を感じるようになって久しい今日この頃、日課のごとくwebであちこちを見回っていたところ、ふと某掲示板で気になる情報に遭遇。通信販売サイトなどで知られるバイクブロスが、オリジナルのシステムヘルメットの販売を2013年4月1日から開始したという。商品名はBH-0001。価格は税込で1万2千円弱。

日本国内における量販店・用品系の低価格帯システムヘルメットと言えば、MHR JAPAN/MOTOR HEADが提供するLS2系の製品が思い浮かんだりもするが、それらを遙かに上回る、もとい、遙かに下回ると表現すべきだろうか、とにかく低価格だという事は紛れも無い事実。このご時世には魅力のある提案だなあ、と思いそうにもなった訳だが、果たして実際の販売画面を見た瞬間、落胆。

このヘルメット、間違いなく、見覚えがある。

率直な指摘をさせて頂くと、このBH-0001というバイクブロスオリジナルヘルメットは、どこをどう見ても、台湾のARCヘルメットに代表されるA676系システムヘルメット(※注意・便宜名)の類似品であり、また、その類の商品は日本で1万円を大きく下回る価格で販売された実績が過去にある。つまり、BH-0001の1万数千円という価格設定に驚く必要は無かったのだ。落胆。

そんな訳で今回はBH-0001の購入を検討中の方がweb検索でこのページに辿り着く事を想定し、バイクブロスオリジナルと銘打たれたBH-0001と世界各地で販売され続けるA676系システムヘルメットの一部が、どれほど酷似しているか、その現状を備忘録として投稿しておく。



左上:PROSPEED SP-676
上中:SPEEDPIT Phantom TOP PT-1
右上:GP5 A676
左下:ARC A676
下中:バイクブロス BH-0001
右下:NEO RIDERS NR-8W(絶版)

ぱっと思いつくものが、計5種類。
新発売となるBH-0001を加えると、6種類となる。
それぞれの製品は外見こそ酷似するが、肝心の内装などに差異がある模様。

A676系は庶民向けのシステムヘルメットで、安価が何よりの真骨頂。世界的に見た場合の価格帯は日本円で8千円前後が相場の様子だが、こと日本国内の場合、SG及びPSCの取得に関わる費用、そして生産地からの輸送費用が盛り込まれる結果なのだろうか、果たして販売価格は1万円台前半~中盤程度の価格帯に落ち着く。2013年現在、TNK工業のヘルメットブランド・SPEEDPITから既に販売されているファントムトップ・PT-1と、新発売となったバイクブロスのBH-0001は、真っ向から同価格帯でぶつかる格好となっている。

これほど似通った商品が複数同時に存在する光景は一見して異様なものに思えるが、実は、上図にも掲載したARC及びGP5ヘルメットを製造する台湾の坤成実業(こんせい-じつぎょう、台湾名:坤成實業廠股份有限公司、英字表記:QUEEN KWAN ENTERPRISE → KWON CHEN MANUFACTURERS & CO., LTD.)は、かの地で知られる大手ODM企業であり、様々なヘルメットを同時多発的に世界へ向けて提案し続ける事を商売としている会社。工場のショーウインドーにはラベル違いのヘルメットが陳列されており、ヘルメット好きからするとカオスな空間となっている。

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なお、坤成実業の他にも台湾系企業は活発に活動しており、上述したA676系製品の他にも「同じ型のヘルメットが複数同時に存在する」という例は後を絶たない。昨今人気のデュアルスポーツモデルは枚挙に暇が無く、AFXブランドのFX-39デュアルスポーツヘルメットに端を発する混沌とした同型品の登場は、記憶に新しい。

■AFX FX-39DS タイプFX-39デュアルスポーツヘルメットと同型モデルの一部

左上:AFX FX-39DS
中上:FLY Trekker
右上:MSR Xpedition
左下:SPADA Sting
中下:THH TX-26
右下:Cyber UX-32

北米および日本のwebショップにおいてFLY版やAFX版を取り扱っている様子を散見するが、さかのぼると2011年のFX-39DSの以前に台湾で発表されていたTHHブランドのTX-26こそが、いわゆるオリジナルと解釈することが出来る。

(2013年4月23日追記)
2013年の春に開催された台湾の国際モーターショーにおいて、THHからTX-26の後継・TX-27が発表されている。そう遠くない未来、TX-26がそうであったように、AFX・FLYといった北米向けのブランドから仕様の異なるTX-27型の製品が発売される事は、想像に難くない。

(2013年5月30日追記)
AFXブランドより、2014モデルのラインナップとして新製品の画像が公式サイトに掲載されている。モデル名はFX-41DS、イメージカラーはハイビジ系統のオレンジ。販促の文字が製品を隠している事もあり仕様の差異は不明な状態ながら、外殻の意匠は台湾・THHが提供するTX-27の、それ。

(2014年5月12日追記)
TX-26系比較一覧画像に、SPADA Sting を追加。

(2016年7月25日追記)
日本のバイクショップはとや(株式会社はとや)が、2016年7月、上述のTX-27・FX-41DS型ヘルメットの国内販売を実施。カラーラインアップおよび細かい部位こそ、はとや独自のものが用いられているが、ヘルメットの仕様そのものはTX-27・FX-41DSの、それとなっている。
驚くべきは販売価格で、消費税込み、なんと9,980円送料無料(※追記記載現在)。
台湾におけるTX-27の実売価格は3,300台湾ドル前後であり、実質1万1千円弱。
北米におけるFX-41DSの実売価格は140ドル前後であり、実質1万5千円弱。
それが、9,980円。
後述のTS-41もそうなのだが、はとや恐るべし。


※買いました。感想文は、そのうち投稿の予定。

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こんな駄文を書いていたら今度は、あのナンカイ(NANKAI/南海部品)が、台湾・ゼウスヘルメットの最新モジュールヘルメットを日本で商品展開すると言う。

ここ数年で南海部品から提供されたオリジナルのヘルメットと言えば、フルフェイスヘルメットのCYBER DYNA(サイバー・ダイナ)シリーズやインナーバイザー装備のフルフェイスヘルメット・ZEUS(ゼウス)シリーズが知られているが、それらも例に漏れず台湾由来。なお、CYBER DYNA-MAX/MONO/NEO/DJの4種類の帽体の型はAFXのFX-16型であり、これはつまり、オリジナルであろうTHHのTS-41が該当する。

■NANKAI NCH-101 CYBER DYNA-MONOと同型モデルの一部

左上からAFX、THH、NANKAI、そして左下からAFX、Cyber、Cyberの提供する製品。ここで言う『Cyber Helmet』はAFX/THHのモデルと同型の製品を供給しているブランド。ナンカイの提供するヘルメットブランド・『CYBER』とは、また別なので、念のため。

このサイバー・ダイナシリーズは、発売を知った当時の台湾ライダーが自身のブログに「日本の南海部品からTHHのTS-41(AFXのFX-16)が発売されますよ(意訳)」と日記に投稿していた様子からも分かる通り、外殻自体は、北米および台湾で既に流通していたヘルメットがベースの模様。TS-41系は、台湾では定番モデル化している息の長い製品で、2013年現在(追記:2014年現在)も、世界各地で様々な意匠違い及び後継商品が販売されている。

ここから脱線~~~

なお、日本におけるTS-41系ヘルメットの販売として知られるものは、ナンカイの他にバイクショップはとや(株式会社はとや)の提供したオリジナルヘルメットブランド・VOID(ボイド)シリーズのフルフェイスヘルメット、Void TS-41が存在する。2013年の秋に税込6,930円という驚異的な価格で提供されたVoid TS-41は、見事に完売。その後、好評に応えるかたちで再入荷&定番商品化されてからの数年間で相当数が出荷されたと聞き及ぶが、そもそも、TS-41系は6,000円~8,000円が実売価格のヘルメット。PSCとSGが付いて7,000円弱(※新発売当時。消費税増に伴い価格変更済)というのは、正に絶妙な価格設定だったと考える。言っては難だが、ナンカイが提案したサイバー・ダイナシリーズのダイナ・モノ(単色モデル)の税込12,600円(!)とは、比べるまでも無い。

とは言えVoid TS-41にも、それなりに困ったところはあったようで、THH仕様のネックストラップ(あごひも)のまま日本に導入した事により、その異様なストラップの長さ(※)に戸惑った購入者の声は、今も楽天のレビューで確認できる。

※異様なストラップの長さ…
中国および中華民国には、二輪乗車用ヘルメットのネックストラップの丈に余分な長さを設ける、という独特の文化がある。裁断が適当だとか、個体差が生じているとか、そういう事ではなく、純粋に「ヘルメットのネックストラップとして正しく長く設計されている」。この点は本家であるTHH版に触れると、はっきり体感できる。

~~~ここまで脱線

そんなサイバー・ダイナに対し、新発売となるインナーバイザーモデルのZEUS/ARTEMISの方は?と言うと、そのアルファベットのZを模した特徴的なロゴや商品名から、自然と台湾・ゼウスブランドの既存モデルを連想しがちだが、実はそうではなく、南海ゼウス/アルテミス両モデルの帽体は、ご丁寧にも、わざわざ同ブランドのヨーロッパ・フランス向けの銘柄『アストン』(※)に準じた仕様で商品化されており、外観の印象が大きく異なっている。

※ヨーロッパ・フランス向けの銘柄『アストン』…
ゼウスヘルメットを供給する台湾のヘルメットメーカー・隆輝安全帽は、欧州市場におけるZEUSブランドへの二輪用品の提案・供給を行っている。

今回、予約販売が開始されたZEUSシリーズの最新モデルは、台湾仕様のZA-3100系をナンカイ独自のオリジナル商品名「NAZ-310 GAIA」として商品化する物の様子。こちらwebの告知画像を拝見する限り既存の既存モデルと同様の仕様のようで、日本での販売価格は税込1万7千円強(※新発売当時。消費税増に伴い価格変更済)。

NAZ-310 GAIAも、商品画像からの参照程度では、その差異は感じられない。内装などを除き、おおよそ同一の仕様である事は想像に難くない。とすれば帽体の外殻はABS、シールドバイザーはアンチスクラッチ&アンチフォグ、内装取り外し式、安全の規格はECE22-05、DOT、NBR、CNS、そしてSG。

発売は今夏という事だが、価格差を鑑みても、A676系とZA-3100系とは役者が違いすぎると思う。それはそのまま、B○-0001とNAZ-310 GAIAの差になるのではないだろうか。そんな気がする。

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あっちもこっちも新発売、新発売。
どうやら2013年は台湾ヘルメットの台頭の年なのかも知れない。

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■2013年4月23日 一部追記 修正
■2014年3月1日 一部追記
■2014年5月12日 一部追記
■2014年10月21日 一部改訂
■2016年5月4日 一部改訂
■2016年8月3日 一部改訂
■2020年9月9日 編集
■2021年9月9日 台湾ブランドの供給元を記載(某企業 → 実名)
■2024年2月18日 すっぽかしたままだった坤成實業(坤成実業)の英字表記を更新(KWON CHEN MANUFACTURERS & CO., LTD.)
■2024年10月17日 隆輝安全帽に関して一部修正
Posted at 2013/04/04 04:19:46 | コメント(0) | トラックバック(1) | ヘルメット | 日記
2011年09月18日 イイね!

マットカラー(艶消し)仕上げヘルメットの清掃・メンテナンスについて (引用あり)

今回は、マット塗装/フラット(艶消し)仕上げヘルメットの手入れ方法を紹介している記事(※)を見つけた記念に、備忘録を投稿。

・バイクのブログ・YSP大分 2008-09-04 22:22:42
ユーザー必見。マットカラーヘルメットのお手入れ法(ヤマハ・YSP大分)

■2018年10月11日 追記~
当該記事(上記:YSP大分のブログ内)は移籍の際に削除された様子で、過去ログを含め、現在は閲覧・確認不可。ここから下の文章においては、引用元の上記ブログが存在していた当時のものと、後日あれこれと追記したものとが混在している点を、ご了承いただきたく。~追記ここまで。


このメモが、自分と同じく艶消し仕上げ(マットカラー)のヘルメットや外装などの清掃・お手入れ・メンテナンスでお悩みの方にとっての後学の種のようなものになれば幸い(※ということで、上記ブログが閲覧できなくなった後も、この記事&メモの投稿は残しておく)。



(1)ヘルメットのお手入れ方法:メーカー推奨のそれは『水拭き』?
大前提として、大手ヘルメットメーカーの推奨するお手入れ方法はズバリ、『水拭き』。細かいところを言えば、[a] 水(ぬるま湯)を固く絞った柔らかい布で拭く、[b] 中性洗剤を含ませた水(ぬるま湯)を固く絞った柔らかい布で拭く、の二択となっている。

化学繊維対応の洗剤・漂白剤・柔軟剤は勿論のこと、様々な樹脂類に対応する家庭用クリーナーは、昭和~平成の時点で一般家庭に広く普及していた。にも関わらず、なぜヘルメットメーカーは徹底して水拭きを指示し続けていたのか?――その理由は、「万が一にも洗剤などの液剤がヘルメットの内部に浸透して緩衝材(EPS)や帽体(Shell/シェル)に影響を及ばせる事態を招かないように」という、メーカーの配慮による。

(1')マット・ペイントの特徴:艶消し仕上げヘルメットの特徴とは?
マット・ペイント製品には製造方法により、いくつかの種類が存在する。多くの場合、その表面は特別な塗装が施されており、きめ細やかなデコボコ面で構成されている。学校などで使用されている黒板を連想すると分かりやすいのだが、このデコボコこそが光の反射を抑制し、果たして艶を抑えている、という仕組み。表面に凹凸がある=良くも悪くも異物(汚れなど)を取り込みがちで、油脂類においてはシミのようになる(&落とし難い)ところも、黒板のそれに通ずる。

そんなこんなで、そういった汚れやアブラ染みの除去方法として何か便利で良いものは無いものだろうか――?と調べようとした矢先、冒頭の引用記事に辿り着いた――というのが、この記事の発端。



(2)アブラ染みにどう対処するか:その答えは『アルコール』?
本当であれば、この項目で冒頭に掲載したブログの記事を紹介(引用)したいところなのだが、冒頭の記述の通り当該記事は削除されており、また、詳しい内容を書くことが出来ない(やったらやったで無断転載になってしまう)ため、ざっくりと勝手に要約させていただくと、次のような内容が紹介されていた。

≪工業用アルコール/燃料用アルコール(メチルアルコール)を製品の表面に噴霧(スプレー)し、布で拭き取ると、マットブラック塗装のヘルメットも簡単に綺麗にすることができます≫

念のために、お断りしておくと、私たち素人にとってメチルアルコールを含むアルコール類はガソリンなどと同様に相当な危険物であり、かつヘルメットに対するアルコール類の使用は禁忌として広く知られている訳だが、見ず知らずの素人であればともかく、かのYSPが自店ブログで(顧客&同業者向けに)紹介している(いた)のだから、これは間違いなく効果的かつ推奨度の高いケア方法なのだろう――オートバイに関わるプロが提供した情報として。いや、皮肉でなく。



(3)アルコールやシンナーはヘルメットのケアでは御法度の類のはずなのだが――大丈夫か?
記事を熟読後(略)、自分でも、その方法を試してみる。用意したものは、工業用アルコール、海外製のマット・ブラックのヘルメット2種類(2個とも安物)、そしてマイクロファイバークロス。お試し清掃の犠牲となるであろう2つのマット仕上げヘルメットは、表層が痛んでも構わない、使い古しの安物。2個ともにブランドはネオライダース、その正体は台湾ブランド(GP-5/ARC)のODMヘルメット。後で重要になる話だが、この頃のGP5/ARCの艶消しヘルメットは、いわゆるラバータイプ(※便宜名、正式な呼称は不明)のフラット・ブラック仕上げ。

ここで言う『ラバータイプ』とは、パソコン向けのマウスやペンタブレットの滑り止め部分や合皮素材の一部に見られるものと同義で、対象の表面をゴム(のような)素材で塗装のごとく(全体ないし一部分を)覆う手法によって製造されたもの、の意味。「滑り止め」という機能性の高さや「艶消し」という優れた質感ゆえ、幅広い分野に用いられる(※海外ヘルメットでは、かのシンプソン・ヘルメットのマットカラーもコレだったりする)製法な訳だが、その半面、年月を経るにつれて徐々にネチョネチョ・ベタベタと変質(劣化)することで悪名高い。閑話休題。

ということで、アルコールvsラバータイプのフラットカラー(艶消し)・マットブラック・ヘルメットの対決だが、いきなりオチを書くと、次のような結果が出た。
・素材の表面を覆っている艶消しラバー素材が、ハゲる。剥げ落ちる。



(4)ひとり反省会:ラバータイプにアルコール類は厳禁であることを学ぶ
結論を急ぐと、どうやらアルコール式の清掃法でラバータイプ(と、それに似た類)の艶消し仕上げのグッズを拭くと、えらいことになる(ハゲる)ことが分かった。後々になって『ゴム(※ラバーの英語表現)は水に溶けずアルコールに溶ける』という大前提(概念)を知り、なるほど納得、とあいなった訳だが、つまるところ今回の失態は『事前に素材を見極めるべきだった――』という肝心かなめなところを疎か(おろそか)にしてしまったことに起因する。自身の安易・安直すぎた選択と行動を、反省せざるを得ない。



(5)アルコールがマットペイントに有効――そんな風に考えていた時期が僕にもありました
上述のとおり盛大な失敗をやらかした後ではあるが、一応は、アルコール類を用いたヘルメット清掃方法に関するフォローも。



ラバータイプでない艶消し仕上げの製品に限って言えば、アルコール(ケンエー燃料用アルコール)を用いた清掃によって当該YSP記事通りの効果を体感することは、確認できている。実施回数は10数回、その後、清掃を止めてから現在(~2018年)までの経年の変化を観察しているが、見た目で判別できるレベルの変質は、認められない。じゃあどんどんやって良いのか――という話になる訳でもないが「付着した指紋をピンポイントで拭き取る」ような使い方であれば、アルコール清掃にも、それなりのメリットがあるのかも知れない。時に、刹那的な費用効果の意味で。



(6)後日談~某有名ブランドから発売された某万能洗剤(クリーナー)を試す
2011年に作成した当該ブログ記事ではあるが、その後、オートバイ向けのグッズを販売する各メーカーからは、マット・ペイントへの使用が可能案な万能クリーナーの類がいくつか提案されていることを知る。

ひとつは、和光ケミカルのフォーミングマルチクリーナー A402。容量380ml、実売価格は1,000円前後。マット仕上げの素材にも使用可能で、価格相応の確かな品質(≒確かな安全性)が約束されている様子なので、ヘルメットのメンテナンスに対して、よりリスキーなメタノール清掃を行うよりも確かな用途の洗剤を選択した方が賢明である事は、想像に難くない。フォーミングマルチクリーナー(FMC)は、弱アルカリ性の界面活性剤入りアルコールのエアゾール(スプレー)。バイクはバイクでも、自転車の方のバイク乗りの間で広く親しまれるクリーナーの一種、らしい。

この類では、同様のケミカルとして(オートバイの方の)バイク乗りに古くから知られるメンテナンスグッズ・ブランド、TANAX(タナックス)が提供するヘルメット向けのケア用品、シールドクリーナー・PG-211(100ml、1,188円)を挙げることができる。実は、こちらの商品は、気付かぬうちに購入&使用経験済み。デリケートな素材の洗浄をする機会の多いヘビーユーザーであれば、ほぼ同価格帯ながら容量比が約4倍となる前述のワコーズ・FMCの方が費用対効果が高く、買い得感も強い訳だが、タナックスの方も、見た目からくる印象以上に(失礼)優れた利便性を誇る。

以下、実際のマットペイントヘルメットの清掃風景の例。



画像は冒頭でも一例として挙げた、台湾製ヘルメットの操作レバー周辺に広がるシリコーングリースの類と思われる液剤の滲み。届いた品物を確かめた時点で、この状態だった。



このような油脂類の滲みも、TANAX PG-211であれば、数秒で清掃できる。PG-211の液剤を吹き付けた眼鏡拭きを用いて、滲んでいる部位周辺を拭うだけ。もちろん、ワコーズのフォーミング(略)でも同様の洗浄は可能。



潤滑剤の脂ぎった滲みが除去され、かつ、余計な艶などが生じることなく、製品本来のマットブラックの質感が取り戻されていることが分かる。シールドバイザーやベンチレーションを操作した際に付着した頑固な皮脂なども、すっきり除去できる。安全、簡単、確実、言うことなし。

非常にコンパクトなスプレー缶であるPG-211ではあるが、シールドバイザーの清掃の他、ヘルメットの縁やチンガードないしベンチレーション周辺などを拭く程度の清掃であれば、100mlの液剤が簡単に底をつくということは、無い。



専門の用品店のみならず一般的なホームセンターでも取り扱いが見かけられるタナックスのPG-211は、マット仕上げのヘルメットに対しては意外なほど重宝する&小型&比較的安価&入手が容易、という点で、おすすめ。
置き場所に困っている人や持ち運び性が重要という方には、コンパクトなPG-211が良いかも。自分は手元のPG-211が、なかなか減らず、FMCへスイッチするに至っていない。



(7)番外:強力クリーナー・プレクサスを用いてマットカラーのヘルメットを清掃するのは――?
正規代理店の公式ウェブログから提供されている(いた)、プレクサス(Plexus)によるマットペイントヘルメットのケア方法について、すこしだけ。プレクサスは、その高い洗浄力と保護艶出しの効果から「これ一本で何でもこなせるのではないか?」と思えてくるくらい優れた使い勝手を誇る便利な製品のうちのひとつだが、大原則として「使う相手(素材)を考慮しなければならない」という制約も、確かにある。

噛み砕いて言うと、「プレクサスには使ってはマズイもの・ダメなものが存在する」。これは、文中でラバータイプのグッズとアルコール類との相性について触れたとおり。はっきり言ってプレクサスは強力すぎるので、うっかりラバータイプのマット製品に吹き付けると、大切なラバー層が、あっさりハゲることもあるのだ。公式の製品紹介にもある通り、汚れの除去&保護艶出しに効果を発揮してくれるとい点で頼もしい商品であることは、間違いない。だからこそ、誤った使い方をすると大事な品物を台無しにしてしまうことも、十分にあり得る(※経験者)。

繰り返しになるが、マット仕上げ・フラット仕上げの製品のうち、いわゆるラバー・コーティングの類が施されている部位へのプレクサスの使用は、とても危険。グズグズ・ネチャネチャ状態の 表 面 だ け をキレイにしようとしても、その一帯を丸ごと・根こそぎ・ハゲさせてしまう可能性が十分に考えられる(※実体験談)。その特性を理解したうえで、逆に、洗浄力の高さを利用する(例:ベタベタに劣化したPCマウスの滑り止め部分を根こそぎ除去して綺麗にしたいetcために、あえてプレクサスなどのソルベント系クリーナーを用いた清掃を行う)ことも確かに可能ではあるが、そうではない or 素材との相性が確かめ難い場合、プレクサスやアルコールのような強力な液剤を使用することは、なるべくは避けておいた方が無難に思う。

下の参考画像は、玩具の箱の紙シールの糊(のり)を溶解させるために、プレクサスを利用している様子。



なんでもできちゃう不思議な液剤・プレクサスではあるが、これに気をよくしてアレもソレも洗浄しようとすると、痛い目に遭うこと必至。海外の高級グッズやイクイップメントに用いられているフェイク・レザーやラバータイプの艶消し素材などは、いとも簡単に台無しになる(する)可能性があるので、心底、気を付けた方が良い。




■2016年5月4日 一部改訂
■2017年1月17日 一部改訂
■2017年8月1日 一部編集
■2018年5月6日 一部編集
■2018年12月16日 編集
■2019年04月09日 編集
■2020年09月07日 編集
Posted at 2018/12/16 19:28:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記

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