
『アイ・アイ・アイ・愛して~アイス~』
という異様にキャッチーな販促の歌が忘れられないタートルワックスのICE(アイス)シリーズから、今回はシンセティックスプレーワックスを購入。商品外観の画像はwebから拝借。青と白の清涼感溢れるパッケージと、ICEというシリーズ名は印象的。
ICEは「シンセティック」という名前の通り、化学合成を全面に押し出した保護艶出し剤が主力のシリーズ。正直なところ、この方向の商品はマグアイアーズ(Meguiar's)のネクストジェネレーション・テックワックス(NXT Generation Tech Wax)の方が馴染みがあり、実際、自分はスクーターにNXTジェネレーションのスプレーとリキッドを愛用してきたのだが、そろそろ後発の製品も試してみたくなり、果たして、衝動買いに近い格好で購入した次第。
ICEシリーズは『従来の天然成分であるカルナバロウを使用せず、(中略)数種類の化合物のみから成り立っています』(公式サイトより一部要約引用)と説明されており、おおよそ各店頭やwebサイトでも同様の説明文が提示されている。しかし、それはペーストポリッシュワックスとリキッドワックスのことであり、今回の購入品・スプレーワックスには、当てはまらない。
あえて書くと、こちらの「スプレーワックス」にはカルナバロウが含まれている。カルナバロウ嫌いの自分としては、購入前に、この点に気付くべきだった。
なぜカルナバロウを嫌うのか、それは自分が貧乏人で面倒臭がりだからに他ならず、決してカルナバロウの価値や存在を否定するつもりは無い。ただ純粋に、貧乏で面倒臭がりの自分にはカルナバロウの含まれている保護艶出し剤は性に合わない、という事実があるだけ。閑話休題。
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今回の使用対象は、アドレスV125S(UZ125SL0)。青メタリックの外装部分を中心に、透明部品にも塗布するつもりで作業開始。
まずは、軽く洗車したアドレスV125Sのフロントレッグカバー(いわゆるフロントカウル)に、液剤を吹き付けてみる。するとびっくり、形容し辛い粘度の液剤。もう少しネットリとした液かと思っていたが、むしろシャバシャバに近い。そして、白濁はしているものの、無色に近い。同シリーズのリキッドワックスが無色という時点で予想しておくべきだと言われてしまうとそれまでだが、なるほど、これがICEという製品らしい。
使い心地は、なんとも微妙。「液剤の粘度が低くて塗り伸ばしが簡単」と書く事も出来なくは無いが、それと同時に粘度の低さが災いし、塗布に用いる布をしっかり選んでおかないと、「拭き伸ばす」のではなく「拭きあげる」という格好になってしまう。普段から愛用しているマイクロファイバータオルをそのまま使ってみたら、ほとんどの液がタオルに拭きとられてしまい、あらためてスプレーし直す羽目へと陥った。これはシャバシャバな粘度のスプレーワックスやコート剤では付いて回るお馴染みの問題でもあるのだが、それにしてもICEの粘度は低いかな。塗布と同時の拭き取りが前提のソフト99のフクピカトリガー級か、それより水っぽいかも?という印象。
気を取り直し、マグアイアーズのアプリケーターを取り出して、あらためて塗布。
うーん、やはり、ゆるい。氷(アイス)という名前だが、それこそ感触は水(ウォーター)のよう。伸ばし加減も水のそれに近く、何より手応えが希薄で、頼り無い。前述した通り、この粘度の低さは昨今の主流のひとつとなっている「塗り伸ばしに全く力が要らない優れた商品」そのものなのだが、その感触の軽さ加減は、悪く言うと「これ水(で薄まってる)?」という域。下地を作らずに(既存の保護艶出し剤を除去せずに)施工している影響があるとはいえ、この手応えの無さには「これちゃんと塗れてる?」という不安を感じざるを得ない。
そして、拭き取り。これもまた、妙な感じ。「粉が出ない」とうたわれているだけあり、なるほど、確かに乾燥した液剤の粉塵は出ない。しかし、どうもホコリが乗る。そして、乗ったホコリが離れない。静電気によるものだろうか、これは困る。
また、塗布の時の無抵抗な感触から一点、拭きあげが重い。この独特な感触に嫌な予感がし、ボディ表面を観察してみると、案の定、マイクロファイバーの繊維がボディ表面に持っていかれた(※)痕跡がそこらじゅうに残っていた。これも地味に困る。既存のトリガータイプの保護艶出し剤の類では遭遇しなかった現象なので、ICEスプレーワックスの液剤は癖があるのかな?という気持ちが強まる。
※マイクロファイバーの繊維がもっていかれる:日本語的におかしな表現だが、要は「抜けた糸(繊維)が対象物の表面にこびりついてしまう」の意。この現象は対象物(の表面)の状態に起因する。クリンビューなどで知られる曇り止めが塗布してあるガラスやメガネのレンズなどをマイクロファイバータオルで拭く事で再現可能。因みに現状復帰には相応の手間を要するので要注意。
(追記:2012年9月3日)
上述の拭き取りの重さに関しては、液剤の乾燥が原因の様子。作業の工程として「放置」をしたつもりは無いのだが、「乾燥」には恥ずかしながら心当たりがある。どうやら液剤が乾き始めてから拭き取るようでは既に手遅れ、という事らしい。
[1] 液剤の塗り広げ + 液剤の拭き取り → [2] 乾いたマイクロファイバータオルで表面を乾拭き、これが正しい手順であり、吹きながら拭き取るというスタイルになる。文中でも触れているが、正にフクピカトリガー達と同じような使い方。今回は、ある程度の価格帯の保護艶出し剤として丁重にアプリケーターで塗り伸ばしてから拭き取るように心掛けたのだが、これが仇となった感。
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なんだかんだで右往左往したが、施工は終了。
全体として見れば、作業の手間や難易度は普通か低め、楽な部類。文中で「重い」と書いた拭きあげについても、それはあくまで「液体ワックス・スプレーワックスとしては重め」という感想であって、固形ワックスを苦も無く拭きあげる洗車好きには「これのどこが」と笑われてしまうだろう、という水準。
やり直しが求められるような油ムラが出る事は無く、パネルやくぼみなどの隙間に入り込んだ液剤が白く乾燥・固着するような事態も見当たらないため、扱い易さは結構なものだと思う。
とは言え、やはり拭きあげに癖がある点は気になる。気温や湿度を含む天候などの条件や、塗布に際しての下地作り、また、拭き取りに用いる布地などといった様々な条件に左右される事なのかも知れないが、そんな事を気にする必要が無いくらい気楽に拭きあげられる寛容さがあれば、使い勝手は、まるで別物になるはず。食事の後のデザートと同様、塗布の後の拭き取り工程は保護艶出し剤そのものへの印象に直結すると考えているのだが、その観点で言うと、塗布のし易さと相反するかのようなこの拭き取り時の手間は、決して良い印象に繋がるものではなかった。
(追記:2012年9月3日)
商品に貼付されている説明の通りに扱えば、拭き取り時の作業性に問題は無い。
ICE シンセティックスプレーワックスを塗布したボディの様子。
膜が張られたような雰囲気ではなく、むしろ表面を磨き上げたような雰囲気。
重ね塗りをしてみないと判断がつかないけれど、一度塗りに限った場合、ベットリと油を塗りつけたようなテロテロ・ヌラヌラの艶ではなく、何もしていない新車の樹脂のような印象。これはこれでアリだけど、保護についてはどうなのかな。率直なところ、心配。
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因みに透明部品への塗布は良好。今まではNXTジェネレーションとプレクサスとを使い分けていたが、面倒なときはICEひとつで済ませてもいいかも。
なお、ウインドスクリーンに塗布したところ、前方を走行している乗用車のUVカットガラスの模様がくっきりと浮かんで見えた他、太陽光がスクリーンに当たると虹色の光が映り込むという症状に見舞われた。これらはプレクサスでは起きなかったものなので、ICEの保護成分の影響によるものだと考える。前者は構わないが、後者は目障り。