今回の投稿は、海外ECサイト・Aliexpressで遭遇した、通信販売トラブルに関するメモ。海外通販、特に中国のAliexpressに興味・ご関心をお持ちの方々にとって、お暇つぶしにでもなれば幸い。
本題。
2025年秋の11月某日、中国のインターネット・ショッピングモール『Aliexpress』のセラー(販売者)から謎の不具合品が届く、という問題に遭遇。
注文した品物は、『黒い反射シール』。商品自体は、ありふれた「光を反射するシール」の一種なのだが、その名前の示す通り「見た目が黒い(のに光線が当たると銀色の光を反射する)」という要素が、最大の特徴。Aliexpressユーザーで、バイク乗りの方や、変わった日用品・雑貨・小物の類を見て回るのがお好きな方々にとっては、お馴染みの商品のひとつかもしれない。参考までに、商品販売ページの一部を下に掲載。
■参考画像:今回の注文品の販売ページのキャプチャ画像
当該商品は、Aliexpress内においては同型品・類似品が数多く流通している、人気アイテムのひとつ。ちょっと検索すると、同じ画像が用いられた販売品が、ごっそり候補にあがる。いくつかのセラーの販売実績を加算していくと、その小計は軽く1,000件は超えており、なかなかに売れている様子が、うかがえる。閑話休題。
話を戻すと、この時の買い物は『よりどり(※詳しくは後述)』での注文であったため、画面に表示されたセラーの販売品を選択し、まとめ買い注文を実行。後日、大型ビニール袋に封入された複数商品の同梱状態での納品を受けたわけだが――、実際に手元に届いた品物を確認すると、これがなんと「反射シールなのに光を反射する気配がまるで無い」という、分かりやすい不具合品であることが発覚。
■参考画像:まったく光を反射する気配のない黒い反射シールの様子
画像は、LEDライトで表面を照らした状態での撮影。
正直なところ、本物(正規品)の黒い反射シールであっても廉価品は反射状態の確認にコツがいるもので、光源と反射素材をしっかり正対する角度に合わせない限り黒い反射素材が銀色に光っているところを見ることは難しかったりもするのだが――、この不具合品は何をどうしようが「クロ」にしか見ることはできない。
こういった際、一般に予備知識のない購入者は目の前の現実を受け入れ難く、軽いパニックに陥ったりもするのだろうが、正直なところ、この手の品物に遭遇するのが今回で3度目になる自分にとっては、一瞬で脳裏を過る心当たりがあった。
何を隠そうAliexpressには、商品説明に”反射”や”Reflective(リフレクティブ、光を反射するの意味)”といった文字列を並べ、かつ商品画像に「光を反射している様子」を写したものを掲げておきながら、
・表面側はただの単色のシール
・裏面(糊面)側が銀色の反射素材
という、真面目にギャグなのか詐欺なのか理解に苦しむ謎仕様の品物が出回っていたりするのだ。
”何を言ってるのか わからねーと思うが”
という有名な少年漫画の名セリフの一部を引用したくなるレベルで意味不明な話だが、これが現実として目の前にあるのだから、笑えない。――案の定、届いた商品の裏面を確かめると、正にその類であることが確定。
■参考画像:光を反射しない黒い反射シールの裏面側の様子
表は、ただの黒いシール。
裏は、銀色の反射シール。
確定。
うん。
やらかした。
この類の”役に立たない反射素材系アイテムの類”は数年前から出回っており、例としては「Reflective White Vinyl Stickers(リフレクティブ・ホワイト・ビニール・ステッカー)」として販売されている品物が
実際には「表面は単色ホワイト」「裏面に反射素材を使用」といった詐欺的な仕様となっているものが挙げられる(※艶有り白、艶なし白、艶有り銀、艶なし銀/Gloss White、Matt White、Gloss Silver、Matt Silverなど亜種多数)。
それらは販売ページ内の既存の低評価レビューを閲覧することで見分けたり回避することが出来るわけだが、今回は「よりどり(※)」という特殊カテゴリーからのオーダーで、レビューの確認を怠ったまま決済まで進んだことが、失敗の原因。だめだった。
※よりどり…一定以上の同時注文により送料無料と割引サービスの利用が可能となる、Aliexpress独自の販売手法のひとつ。恐らくはAliexpressのセラー達の在庫処分を主目的とするカテゴリーで、「サイズやカラーが限られている」「個数に限りがある」といった制限のほか「商品検索が一切、行えない」という不便さがあるのだが、よりどり登録の全商品は「レギュラープライスから更に値引きがされている(注:販売店ごとの価格差も異常に多い)」という恩恵があるので、時間に余裕があるときは是非とも利用したいサービスとなっている。
そんなわけで、いくら安価だろうが、このような品物は受け取れない。これまでに何度も実行していることで累計回数など既に数えてもいないのだが、あらためてAliexpressの返品・返金申請を行うことにした。
さて。
ここから返品・返金の申請の話に入るのだが――ここで自分は、Aliexpressの返金・返品申請の手続きが一新されていることに気づく。去年から今年にかけてAliexpressでの購入機会が乏しく今回の買い物は今春(2025年3月)以来の注文であったわけだが、この半年ほどの間にシステムの仕様変更があったようで、返金・返品の申請方法が更新されているのだ。
一言で表すと、Amazon(Amazon.com、Amazon.co.jp)っぽくなっている。画面に表示される案内・説明を目で追い、表示された項目と自身の置かれた状況を照らし合わせつつ、事実や要望に合致する選択肢を選びながら入力を続けていくと、自然と申告が完了する、といった仕組み。
■参考画像:Aliexpressの返金・返品手続きシステムの様子
必要事項を決定していくと、「問題について詳しく教えてください」という欄への入力が行える状態となり、手続きの進行が可能となる。Aliexpressではお馴染みの証拠画像や動画の投稿といった必要項目は、この先での出現となる。
いやはや、動線(導線)の引き方も上手だと思うが何より、日本語による円滑な進行を見事に実現しているところが、実に凄い。数年前まで「公開紛争」だなんて文字列を表示させていたとは思えない勢いの進化で、今や未見の方に「Aliexpressは日本の通販だよ」といった嘘を吹き込んでも、そのまま通用しそうな水準にまで達している。Aliexpressのアップデートの速さには心底、驚かされる。
んで。
一昔前の手続きを想定していた自身としては、既に実物の不具合品の様子の画像撮影などは済ませているため、申告の手続きは数分間ほどで完了。
その後の流れは、既存のシステムと大きくは変わっていない模様。
大きくは、運営側が申し立ての受理 → 審査 → バイヤー(購入者)へ審査結果の提示 → 結果を許諾するか拒否するかの選択、といった流れ。運営の提案を拒否するような事態ともなれば、あれこれ話がこじれることになるわけだが、自身の場合は今回も数時間ほどでAliexpressの運営から連絡があり、満額での返金処理が行われることが確定(こちら側での確認は不要)。
履歴は、こんな感じ。
■参考画像:2025年秋現在のAliexpressの返品・返金申請の手続き履歴
時系列としては最新の情報が最上段に掲載される、昇順表示。上から順に読み進めるクセが染みついていると、これは戸惑う。
手続きの完了が、木曜日の10時半すぎ。
審査の結果報告が、同日の19時半ちょい前。
「1営業日も要していない」という観点で見れば十分に早い処理だが、純然たる不具合(破損、汚損、故障、機能不全、仕様違いなど)商品の返金・返品申請であれば、更に早く審査を終えることも珍しくない。Aliexpressの運営による見えないところの処理能力は、地味に優れている。
次いで、審査結果を伝える画面を確認。
こちらはオーソドックスな降順表示で経過と結果が示されており、目で追いやすく、理解も早い。
グリーン調のフォントと画面のデザインに、どこかユーザーフレンドリーな印象がある。黒や赤に比べたら確かに、緑は目に優しい。
■参考画像:2025年秋現在のAliexpressの返品・返金申請の手続きの様子
すべての確認が済んだところで、手続きは終了。
自分は安全のためにAliexpress関連の支払いは全てプリペイド式で行っているが、こういった返金処理が発生するとプリペイド残高が戻る(増える)ので、確認が行いやすい。プリペイド式の、思わぬ長所のひとつだと考えている。
余談。
Aliexpressからの返金処理に関しては、これまでに数円~数十円程度の差額が発生していることが何度かあったように思う。これは為替の変動によるものか、もしくはAliexpressの独特な割引計算(※まとめ買いでの割引率の反映&返金時の割引率の反映の間に差が生じる様子)による影響と考える。
高額商品に際しては、結構な差額が発生する場合もあるが、その点は勉強代・必要経費・手数料などという名目へと脳内で変換し、納得している。
Aliexpressでの買い物はバイヤー(購入者)側が用心をしていようとも、20件~に1件くらいの割合で、不良品や不具合品に遭遇する。今回のような安価な品物でも返金・返品処理をするように心がけていれば、仮に1万円を超えるような高額商品でトラブルに見舞われた時にも、そこそこ落ち着いた対応ができるようになるので、運悪く「不良品・不具合品を引いてしまった」といった方には、普段から返金・返品処理に慣れておかれることをおすすめしたい。
最後に、100円ショップで購入済みの「ちゃんとした黒い反射シール」の様子も、載せておく。このシリーズ、贅沢を言わせていただくと大きな円状のカッティングが施されたものが増えたりすると、オタク心的に嬉しい。三つ貼れば、出渕裕。
■参考画像:しっかり光を反射する黒い反射シール(画像右)

販売:株式会社ルミカ(福岡県)
※ルミカの『黒い反射シール』は、日本国内の100円ショップ・キャンドゥやセリアにて、好評販売中。