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2017年05月14日 イイね!

2017年度 台湾ヘルメットあれこれ番外編 THH TX-27のメモ

2017年度 台湾ヘルメットあれこれ番外編 THH TX-27のメモ今回の記事は、オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27(最初期出荷分・2016年夏発売)についての用品レビュー、および台湾ヘルメット・THH TX-27に関する備忘録的なメモの投稿。

元になったものは、「パーツレビュー」に記録していた感想文。VOID TX-27をご検討中の方や、同型品に興味を抱かれている方のお暇つぶしになりましたら、幸い。



■はじめに オフロード・ヘルメットVOID(ボイド) TX-27とは
この商品は、台湾ヘルメット・ブランドのTHHヘルメットが2014年から販売している『THH TX-27A』をベースとするもの。

TX-27系は様々なブランドから世界各国で提案されており、日本におけるVOID版も言わば、そのうちのひとつ。こういった、ひとつの製品を複数のブランドから提供する手法は中華民国や中国のヘルメット・メーカーに散見するもので、有名どころの例としてはTX-27の前身となるTX-26系デュアル・スポーツ・ヘルメットを挙げることができる。

参考画像:世界的な人気を博したデュアル・スポーツ・ヘルメット TX-26系


なお、2015年以降のTX-27系を含む現行THHヘルメットの製品は、THH(トン・ホー・シン、東和興實業)の製造・販売ではなく、Heng Da Racing(ヘン・ダ・レーシング、恒大實業)による代理製造販売の体制へと移行している。閑話休題。

参考画像:旧体制時代のTHH・東和興實業ヘルメット版のラベル


こちらは、古いTHHヘルメットの内装ラベルの様子を撮影した画像。
2014年までの製品には、こちら(に近いもの)が添えられている。
余談ながら、製造年月の99/10は、国歴(中華民国歴)99年の10月の製造ロットを意味する印字で、右上の991002が詳細。ちなみに台湾における国歴99年は西暦で2010年、日本の年号で言うところの平成22年。



■はとや VOID TX-27の仕様と価格の変化について
はとやが提供するVOID TX-27には、販売中の現行品と仕様の異なった初期販売品(いわゆるアーリーモデル)が存在する。その特徴は、以下の通り。

・ヘルメット本体
初期 → VOIDのロゴあり
改修 → VOIDのロゴなし

・鼻先にあるダクト固定ネジとネジ穴
初期 → 正面に露出(丸出し)
改修 → 平坦なカバーで覆われている

・バイザーオフ(モタードタイプ)パーツ
初期 → 付属
仕様違い → 付属しない(※注)
改修後の現行品 → 付属する

・販売期間と販売価格
初期ロットのみ
 2016年 夏(6月~9月)
 9,980円(税込)送料無料

※初回分の完売後は、次のような流れで現行モデルの販売へと繋がっている。
※これ以降は、価格変動が頻繁に行われていくことになる。

2016年秋(9月~)インターネット受注を開始
『早期予約特価』
 10,480円(税込) 送料別・756円(税込)
 ↓
受注価格変更
 10,840円(税込)+送料無料

2016年秋(11月~)出荷・販売再開
 14,800円(税込) 送料別・756円(税込)
 ↓
販売価格変更
 10,980円(税込)+『今だけ送料無料』

2017年春(3月~)
販売価格変更
 10,580円(税込)+『今だけ送料無料』
 ↓
商品名に販売促進を追加
 10,580円(税込)+『3/31まで価格!!』 『今だけ送料無料』

2017年春(4月~)
販売促進の部分を改訂しつつ販売継続
 10,580円(税込)+『〇月〇日まで価格!!』 『今だけ送料無料』

 10,580円(税込)+『大感謝価格!!』 『今だけ送料無料』

 10,580円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 送料別・756円(税込)

2017年初夏(6月上旬)
 9,800円(税込)+『ウルトラ大決算セール』 『送料無料!』

2017年初夏(7月上旬)
 9,800円(税込)送料無料

2017年初夏(7月中旬)
 9,680円(税込)送料無料 +『7/31まで特価』

2017年夏(8月)
販売価格変更
 10,980円(税込)+『送料無料』

2017年初夏(8月中旬)
 9,700円(税込)送料無料 +『8/31まで特価』 ← NEW!!

現行モデルは、ヘルメット本体にプリントされていた「VOID」ロゴが削除された(※)ことにより、バイザーを取り外した際のモタードタイプ(いわゆるターミネーター・スタイル)のイメージが初期型と大きく異なる。また、正面のネジ穴が塞がれたことにより、第一印象が向上している。

※バイザー関連の付属品について
一時期、VOID TX-27の在庫の中には、サイド・カバーおよびバイザー固定ネジの穴を塞ぐゴム栓×3個などのオプションパーツが [付属しないもの] が存在した。
これは製造ロットによる仕様の違いに起因するもので、欠品や不良品というわけではない(販売ページ上には「※商品は予告なく仕様の変更や販売を終了している場合がございますので予めご了承下さい。」との案内文が添えられている)。
モデル改修後はオプションパーツ類の同梱が再開されたものの、仕様の内容に関する正式な案内は行われていない。

※2017年5月追記
姉妹品『VOID TX-27グラフィック』が発売され、同販売ページにて、付属品の存在および用途を初めて明言。あわせてサイド・カバーから工具まで、全ての部材を紹介。
従来の単色モデル販売ページは更新されず、そのままの状態。

※2017年8月追記
単色モデル販売ページも更新。
「バイザーを取り外し、商品に付属されてる(原文ママ)パーツでモタードタイプにも変更可能」との案内文が追加され、文字だけではあるものの、“グラフィック”同様にモタード・スタイルへの組み換えが可能な旨が紹介されている。

※2017年8月追記
単色モデル販売ページ上が更新されているが、そのすべてに、「ヘルメット本体にVOIDロゴあり+本体正面のネジ穴が露出している(カバーが無い)仕様」の製品画像が用いられている。上述の通り、VOID TX-27には「本体にロゴが無いもの」「ネジ穴が塞いであるもの」が間違いなく存在するのだが、公式でそれが案内されたことは(恐らくは)一度も無く、今回の更新も含めて、細かい仕様に関する差分(=バラつき)は今後も続くと理解した方が無難かも知れない。




■VOID(ボイド)というヘルメット
『VOID(ボイド)』は、日本のバイクショップ『はとや』が展開するプライベートブランド(登録商標)のひとつ。これは同店が「より良い商品をリーズナブルな価格で」というキャッチフレーズで提案する安価路線のオリジナル・ブランド『SUM-WITH(カタカナ表記不明)』内のヘルメット・カテゴリーにあたるもので、上述のTHHヘルメットの他、リード工業や台湾のクオン・チェン(KWON CHEN MANUFACTURERS/坤成實業廠)社から供給されるジェットヘルメットなどでラインナップを構成する。

■VOIDヘルメットの素性
ラインナップには『はとやオリジナル』の文字が掲載されている物が含まれるが、前述のとおり、それぞれの商品にはベースとなったモデルが存在し、また、海外での流通が先行しているものも少なからず存在する。型番がTから始まる恒大レーシングのTHHブランド製品や、Gから始まる坤成GP-5ブランドの品物が、それに該当する。

■TX-27の特徴
TX-27は、シールドを装備するオフロードデザインのフルフェイスヘルメット。充実した換気機能の他、昨今人気の内蔵式サングラス(インナーサンシェード)を装備する点が、最大の特徴。
内装は、着脱が可能な構造。抗菌や冷感などの機能素材は用いられていないものの、生地は凝った質感に仕立てられている。
VOID版のネック・ストラップ(あごひも)は、ワンタッチバックル式。あごと喉に触れる部分には、摩擦を緩和するフラップが用意されている。

■はとや版のカラー設定
単色の4種類(白・銀・艶黒・艶消し黒)を設定。艶消しを除く各色には、パール調の塗料が用いられている。

参考画像:購入品 マットブラック


※2017年5月追記
グラフィックモデル・計4種の販売が開始(税込15,120円)。

※2017年7月追記
グラフィックモデル・計4種の価格が改訂(税込12,800円・送料無料)。

※2017年8月追記
グラフィックモデルの価格変更(税込15,120円に復帰)。




■同型品の存在について(抜粋)

・AFX Helmets AFX FX-41DS
・Alltop AP-8853
・Cyber UX-33
・Nikko N-722
・O'NEAL(オニール) SIERRA Adventure Dual Sport Helmet
・Raider Elite Eclipse
・THH TX-27A
・VOID TX-27
・W-TEC AP-885
・etc(unknown)
TX-27系は、アジア、北米、欧州など世界各地の販売店にて同型・仕様違い(※)のヘルメットが案内されているが、なかには電熱シールドバイザーやブレスガードなどの耐寒機能を備える“スノー・マスター(Snow master、降雪環境下におけるスノーモービルなどの用途向け)”といった異質な製品も存在する。

上記の抜粋のうち、本家本元に相当するのは他でもない、THH版。
Alltopの製品は、その中国法人・中国工場版に相当。
Nikkoは、THH(東和興實業)の家族企業であるTONG I ZHAO(東億兆實業)のヘルメット・ブランド。東億兆は、確か東和興の会長さんの息子さんが立ち上げた会社――だったような(うろ覚え)。なお、はとやが取り扱いを始めたNikko Helmets(ニッコー・ヘルメット)は、正に、このNikko。話が脱線。

※仕様違いについて
分かりやすい例は、ネック・ストラップ(あごひも/chin strap)の構造。VOIDのようなワンタッチ・バックル式の他に、ラチェット式もしくは二重Dリング式のものが製造されている。
冒頭の項でも触れた通り、型番自体が同じ“TX-27”同士であっても仕様が同一であるとは限らず、また、同じ販路であってもバイザーの取り付け基部の形状や、ヘルメット両脇の換気口の樹脂カバーの有無が異なるなど、なんとも微妙な亜種が実在する。



■帽体の素材と外観の印象
定番の、ABS系帽体。
内臓部品の影響か、装備重量は1.8kgを超える。
衝撃吸収材の厚みにより、帽体は大型。
標準的な日本人男性が着用した場合、いわゆる「頭でっかち」な姿となる。

参考画像:身長174㎝・体重80㎏前後の洋梨ヒョロデブ体型が着用したときの様子


参考までに、着用例。
肩幅や胸囲などは標準的な寸法で、おおよそLサイズ相当の体格。
頭(ヘルメット)だけが一回りほど大きく見える雰囲気が、伝わるだろうか。

原動機付自転車クラスのメットインスペースに収まらないことは言うに及ばず、リアボックス(トップケース)への収納においても、40リットル程度の容量では、蓋が閉まらないことがある。



■サイズ…帽体と緩衝材(Shell & EPS)の形状
設定は、M、L、XL。
それぞれが57~58cm未満、59~60cm未満、61~62cm未満に設定されている。
これは台湾仕様とも北米仕様とも設定が異なっており、はとや独自の寸法だと判断できる。

[参考寸法:ハットサイズ準拠(cm)・数値は販売店およびメーカー公式サイトからの引用]
台湾XLサイズ(58~59㎝) TX-27A 台湾本島流通品
台湾XLサイズ(59~60㎝) TX-27A
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 日本代理店取扱品 ※小型シェル
国内XLサイズ(61~62㎝未満) TX-27 はとや VOID ※大型シェル
北米XLサイズ(62~63㎝) FX-41DS AFX Helmets
※同じサイズ表記であるにも関わらず帽体が異なっている点に注意

台湾仕様は、帽体(Shell)が小型。果たして全重量も軽く、1.65kg。台南を中心に販売されている品物はサイズ表記が特別に小さいが、これは前身のTX-26系でもあったことで、どうやら台湾独自の慣習・文化の類と推測する。XXL以上向けの大型帽体も存在する様子だが、詳細未確認。

北米仕様は、その頭部の大きさに合わせた2シェル(2shell)設定で、緩衝材(EPS)は4サイズが用意される。加えて、数種類のライナー&パッドの組み合わせによる大小様々なフィッティングが可能。全重量は、小さい方(XS~LG)が、1.68㎏。大きい方(XL/XXL)が、1.823㎏。

国内THH日本代理店の取扱品は特殊で、2シェルながらXLまでの帽体が小型、XXLのみが大型帽体と、北米仕様とは異なる設定になっている。2014年の新発売当時、台湾本島のTX-27A系はハットサイズ60㎝(サイズ表記自体は~XL)までの小型帽体が先行して流通し、その後、遅れるかたちで大型帽体対応サイズがショッピングサイトに登録されていたことから、この「XLまでが小型、XXLのみ大型」という2シェル設定が、台湾THH版TX-27A系の仕様なのかも知れない(※詳細未確認)。

はとやVOIDのTX-27は、帽体に関する表記は公表されていないものの、実物の形状から推測可能なシェルは大型帽体一種類のみ(※詳細未確認)で、重量は大型基準の1.80㎏。59cm-60cmのLサイズは、アライヘルメット的な丸形状の59cm-60cm(Lサイズ相当)を着用している自分にとって、痛みの無い快適なジャスト。

参考画像:前出のおっさんが正面を向いてみたときの様子


着用例その2。
レンズの効果でこう写っているのではなく実際に、このくらい頭が大きく見える、という例。

口元に向かって絞り込まれるデザインの通り、ほっぺた(チーク)は狭くタイトで、いわゆるアッチョンブリケ(※)になりがち。ぽっちゃりした顔つきのライダーだと、狭く感じるかも知れない。

※アッチョンブリケとは
「左右からの圧迫により両ほほの肉が鼻に向かって隆起した状態(の間抜け面)」を端的に表す、日本の独自表現。手塚治虫『ブラック・ジャック』参照。

■内装について
ライナー・内装は、取り外し洗濯が可能。
接触冷感や抗菌などといった特殊機能こそ用意されていないものの、造形や質感は良好。
起伏のある衝撃吸収パッドや、模様入りの布地、一部に施されているカーボン調の意匠など、凝ったつくりとなっている。

■基本操作
ダブル・シールドのヘルメットとしてはオーソドックスなつくりで、特殊な構造は無し。
頭部正面、前方、および上部/後方のベンチレーションの開閉も、ピンやレバーをスライドさせる仕組みで、取り扱いは容易。
バイザーおよびシールドの取り外しは、付属品ないし一般工具を用いることで簡単に行える。
内装の着脱は、やや面倒。その原因は、説明書の無い状態で目の前の実物だけを頼りに、手探りで分解と組み合わせを確かめていくことにある。接着面や縫合部の破損には、十分な注意が必要。



■換気能力…頭頂部・外周
頭頂部のダクトは機能的で、冬季は冷たい空気の流入を体感できる。
加えて、寒冷期に入ると両耳の裏~真下付近に冷気の通過を感じるようになるのだが、これはベンチレーションによるものではなく、純粋に「ヘルメットと頭(首)の間に隙間がある」ことが原因。天然ベンチレーションと解釈できなくはないが、メリットなのかデメリットなのか、判断に悩む。

■換気能力…口元・顔面
真正面の大型ダクトの換気能力は、見た目相応に高い。排気ガスや粉じんなどが目立つ環境下では、その豊富な空気の流入量に対して、思わず防じんマスクの類を装着したくなるほど。

左右の小型ダクトも、正面ダクトとは別のルートを通じて口元(えくぼ辺り)に空気を流し込む、凝った構造となっている。上の参考画像でリフレクターが白くぼやけている原因は、吐息による曇り。このクリアパーツの真裏に、ヘルメットの内側への通気経路が続いている。



■補足:帽体の大小について
サイズ・寸法・数値に関しては、各社の製品案内、画像、情報を根拠に投稿。
シェルの大小に関する記述は、各ブランド公式サイトにて公開されている情報、画像を根拠に記載。

参考画像:国内外の帽体の違いに関するメモを画像化したもの


例とした商品は、THH TX-27SP ”鋼鐵英雄”。
北米版は”Venture/ベンチャー”、同仕様のグラフィック・パターンを用いている日本代理店の販売商品名は、”Men of Metal/メン・オブ・メタル”、また、パターンを踏襲した色違いが、はとやVOIDの”graphic/グラフィック”と、それぞれ商品名は異なる。

TX-27SPのようなシェルの大小が顕著に表れる意匠とは真逆の製品、つまり色柄の無い単色モデル同士であっても、チン・ストラップの基部の位置や帽体の後頭部上方にある横幅ダクト直下の面が上下に広いか・狭いか、といった外観的な要素から判別できなくもない。

シェルの大小によって大きな影響を受ける要素は、見た目と重量、そして着脱性。特に被り易さ・脱ぎ易さは重要で、小型シェル+Lサイズ相当の内装の組み合わせなどは、「被ってしまえばジャストサイズ」であっても「被るときに耳が擦れてしまう(着用に痛みを伴う)」「脱ぐ際に耳が擦れてしまう(拭度に痛い思いをする)」といった、地味ながらも支障をきたしかねないネガティブ要素となり得るため、注意が必要。



■内装についての補足…厚みとクッション性について
TX-27の被り心地は、決して良くは無い。例えると、被り心地が「固い」。
これは、充分な厚みのあるチークパッドとは対照的に、頭部の外回り(※『西遊記』で孫悟空が被らされている頭の輪のイメージ)を包む内装が薄めで、クッションが底突きを起こしがちなため。

参考画像:THHヘルメット THH T-72の極薄クッション内装


サンプル画像のT-72は、事実上のフリー・サイズ(57㎝~60㎝)ヘルメット。手指でめくっているのは、頭部の側面(こめかみの上あたり)に接する面の内装。TX-27のライナーは、ここまで極端にペラペラというわけでは無いものの、かと言って、柔軟性や弾力性に富んだ厚みのあるものという訳でもない。つまり何を伝えたいのかと言うと、TX-27は「やや小さめのサイズの(きつめの)ヘルメットを選んでおけば、被っているうちに(内装のクッション性能が減退することによって)適度なきつさになり、丁度良い具合になる」といった有名な逸話には、まず当てはまらないヘルメットのうちのひとつ、ということ。国内2大メーカーのような(クッション性と厚みが十分に確保された)内装を有するヘルメットではないため、被っているうちに内装はへたる(≒縮む)といった期待(≒思い込み)は、決して良い結果をもたらすとは限らない。



■装備面…ネックストラップ/あごひも
ワンタッチバックルの脇には、ヘルメットホルダー用の小型Dリングが用意されている。
ある意味で中華圏ヘルメットのお約束と言える『妙に長いネックストラップ』は、やはり健在。それほど極端では無いものの、この類を初めて手にする方は、その長さを目の当たりにして不良品かと不安になるかも知れないが、大丈夫。これらのネックストラップは文化として、正しく長い。

■装備面…シールドバイザー
アウターシールドバイザーがライトスモーク(ソフトスモーク)、インナーサンシェードがスモーク、という組み合わせ。どちらもアンチフォグでは無いため、閉め切りでの使用では曇りがち。

外側のシールドは「ライトスモーク」と銘打たれているものの、これは「クリアー」と言われても通じるのではないかと思える程度の、ほのかな濃さ。日本において「濃い・薄い」と区別するシールド・バイザーの色味を、台湾では「深い・浅い」という文字を用いて “深茶” ”浅茶” と表現するのだが、THHヘルメットに限って見た場合、 “浅茶”は、かなり透明に近い。「商品説明にライトスモークと書いてあったが実物はクリアーだった」的な誤解は、ここに起因する。

参考画像:THHヘルメットにおけるライトスモーク(ソフトスモーク) “浅茶”

対するインナー側の「スモーク」も、アウター同様に決して濃い色味では無い(※)ものの、こちらに関してはサングラス的な部品として十分に機能するレベルのスモークは施されている。惜しむらくは、偏光(へんこう)の機能が無い、おもちゃ同然のバイザーであること。

アウターシールド、およびシールド・ベースなどの関連部品は、同型品であるTHHおよびAFXから提供されるオプション・パーツが、共有可能(2016年夏現在)。

参考画像:AFX FX-41DS ミラーシールド(ゴールド・ミラー)


※インナーのスモークの濃さについて
これは、光線の透過率の確保のため。基準値(≒スモークの濃さ)を超えるものには"DAY USE ONLY(昼間限定)"の警告が必要となり、常用を想定したヘルメットへの採用は許されない。製造元である台湾のヘルメット規格(CNS)にも、このインナーサンシェードの検査項目が定められており、全ての組み合わせ [外側のみ・内側のみ・外側と内側の同時使用] の安全が、確認されている。
余談ながら、この二重シールド構造の透過率で不合格となった過去を持つヘルメットのひとつに、OGKカブトの"〇〇〇-II"が存在する。

参考画像:バイザー展開状態・インナーサンシェードの透け具合に注目


■装備面…顔面両脇のリフレクター
飾りのように見えるが、実は、しっかり機能する交通安全部品。ライトで照らしてみると、その光を反射する様子が確認できる。

■装備面…ヘルメットバイザー取り外し
製品同梱の工具を使用してアルミビスを着脱+頭頂部の樹脂ビスを着脱するだけで可能。

■付属品……説明書、ヘルメット収納袋
VOIDシリーズで悪評を買っている「不親切な取扱説明書」は、健在。
注意書き程度の内容が印刷された紙が添付されるのみであり、具体的な取り扱い方法版は、記載されていない。
ヘルメット収納袋は、無地の化学繊維で出来た簡素な雰囲気。向こうが透けて見える薄手のタイツのような生地で伸縮性があり、起伏のある製品の収納にも対応している。



■ネガティブ要素あれこれ
・品物の説明をする気が全く無い説明書
噂の通りの内容で、実物は、まさに目を疑う代物。具体的な使い方に関する案内が全く、ない。
それまで抱いていた『はとや』へのイメージがガラッと変わる瞬間があるのだとしたら、それは正に、この説明書を手にした時。

※2017年5月追記
新たに追加された姉妹品『TX-27グラフィック』の販売ページには、おざなりになっていた製品の取り扱い方法、および付属品の用途と注意事項などが、画像付きで掲載されています(TX-27無印の単色カラー販売ページは、未更新)。


・浅い被り心地と希薄なホールド感と走行時の寒さ
帽体の大きさの割に、被りが浅め。
これはオフロード寄りの設計によるものなのか、アライやショウエイのデュアルスポーツヘルメットに備わっているロードスポーツ寄りの(顎の両脇の下部から襟足までを包み込むような)ホールド感は、まるで無い。
両耳の下の辺りに出来る内装の隙間から吹き抜ける冷気や、そこからガンガン漏れ聞こえてくる環境音(※含むエンジン音+排気音)などの点も含めて、この浅い被り心地には好みが分かれそう。

・気にならないようで気になる重量
装着していれば大して気にならない1.8kg級の重量だが、着脱時や持ち運びの際には、その重さを痛感させられる。

・メガネ殺しの内装
アイポートの幅などとの兼ね合いで、メガネの着用が、難しい。
メガネの素材や形状よってはテンプル(つる)がスルリと容易に入る場合もあるのだが、入ったら入ったで、今度は耳たぶにテンプルをかける事がうまくいかない――などといった、じれったくも面倒な事態に陥ることも。
フルフェイスヘルメット向けのストレート・テンプル(耳にかける丸みが無く、つるが後ろに真っすぐ伸びている格好のメガネ)などを所有しているライダーはともかく、普通のメガネを愛用している方は、注意が必要に思う。

・ゆとりのある品質管理
アイポートのフチゴムが歪んでいたり、シールドバイザーを閉めた際に隙間が生じたり、傷やムラがあったり、その他いろいろ。

■好印象あれこれ
・風通しの良さを体感できる口元
口元ベンチレーションの性能が低いフルフェイスヘルメットなどを着用した後にTX-27を被ると、その快適さに感心させられる。

・思っていた以上に広い視界
危惧していたよりも、視界は広い。
左右両端にシールドバイザーの起伏による鋭角な歪みが生じるが、メガネ利用者の場合は眼鏡のツルが被る領域であり、運転への影響は感じ難い。



■2017年5月14日 投稿&修正
■2017年5月15日 同型品について&帽体の大小について加筆
■2017年5月16日 誤字など修正 一部加筆修正
■2017年5月17日 一部加筆修正
■2017年5月19日 タイトル変更 一部加筆修正 参考画像追加
■2017年5月29日 一部修正
■2017年6月04日 はとやVOID 価格推移追加
■2017年6月05日 参考画像追加
■2017年7月05日 はとや VOID TX-27 価格変更追記
■2017年7月23日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月05日 一部編集 価格変更追記
■2017年8月23日 一部編集 価格変更追記
■2019年5月22日 一部編集 再UP
Posted at 2019/05/21 20:46:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記
2015年03月27日 イイね!

スズキ レッツ4 マイナーチェンジの歩み UZ50/G/D BA-CA41A JBH-CA45A/46A 改訂版

スズキ レッツ4 マイナーチェンジの歩み UZ50/G/D BA-CA41A JBH-CA45A/46A 改訂版スズキの50ccスクーター・レッツ4のマイナーチェンジの内容を備忘録として投稿する。

レッツ4は、2004年の発売から2015年の生産終了までの間に、大小あわせて、およそ9度にわたって手直しが施された。本記事および表中においては、それぞれの違いを明確にする事を目的に、部品の変更や手直しを受けた順に、レッツ4を10種類の型(1型~10型)に分けて、区別する。




■スズキ レッツ4 マイナーチェンジの歩み 最終版・改


(※表中の価格表示は消費税を含まないメーカー希望小売価格)

メーカーのモデル名に準拠しない独自の区別となるが、ここではレッツ4を次の14種類で区別する。
・通常モデル → 10種類
・上位モデル(レッツ4G) → 4種類
※共に車体色の違い(含む特別色)は除く

記事の内容について、スズキ販売店やスズキ二輪で確認が取れる部分については、確認済み。
しかし、記事の内容および記事に起因する全てを補償するものではないので、念のため。

因みに、文中に登場する独自の便宜名や括り(くくり)の全ては自分自身が勝手に表現しているものであるため、公(おおやけ)の場で意味が通じる事は無い。うっかりどこかで「レッツ4の○型なんですが――」といった発言・投稿をしたならば恐らくは、恥をかく。この点は、ご理解頂きたく。

■レッツ4の価格の推移について


価格表記は発売当時の税込み価格だが、メーカー希望価格とは別に消費税における税率の引き上げが生じている。
・2013年度までの車両価格 → 税率 5%
・2014年以降の車両価格 → 税率 8%
一見して2014年以降のレッツ4の車両価格が(理由もなく)上昇しているように見える点には、注意が必要。



■1型 UZ50/UZ50G K5(CA41A)
2004年10月:104,790円
2004年10月:124,950円(G)



最初期の販売分、初期型中の初期型。
UZ50・レッツ4、そして上位モデルとしてUZ50G・レッツ4Gの2種類が発売された。



主な特徴は図の通り。

モデル名(UZ50/UZ50G)の後に続く英数『K5』は、『2005年度の製品』であることを示すもの。以降のモデルも、2009年まではK○といった表記で、また、2010年以降はL○の表記で括られる。詳しくは、インターネット上で公開されている様々な記事を参照のこと。

レッツ4の大きな見分け方としては、やはりメーターパネルのデザインの違いに着目する方法が挙げられる。速度計の0km/hを示す位置の線画に凹み(へこみ)が設けられている点が、レッツ4の初期モデルの特徴。加えて、距離計(オドメーター)の文字盤が四桁すべて白文字となっているのは、この1型のみ(※詳しくは後述)。

バックミラーの取り付け方法が従来式かつネジ径が8mm(どちらも詳しくは後述)である点もポイントのひとつだが、こちらに関しては後述の3型同様、外見からの判別が難しい。

なお、上位モデルであるGは、次の要素が異なる。
・ボディ左右の装飾ステッカー(レッツ4Gの、「4」の文字が水色、「G」の文字が銀色)
・ボディ前面の装飾ステッカー(進行方向左側に貼付)
・メーターパネルのデザインと燃料計の有無(指針表示式のガソリンメーターを装備)
・ハンドルグリップ(ブラウンカラー)
・シート(ブラウンカラー)
・純正リアキャリア装備
・盗難抑止装置を搭載(施錠状態の車体に傾斜が生じると鳴動するアラームを内臓)

Gと通常モデルとの差額は、19,200円(税別)。



■2型 UZ50/UZ50G K6(CA41A)
2005年11月:104,790円
2005年11月:124,950円(G)



発売から間もなくマイナーチェンジが施された2型。
初期型のバリエーションとしては、判別が困難なモデル。変更内容は以下の4点。

・オドメーターの千の位の文字の色分け化(0~9の文字が白・橙・赤の3色)
・シート下の収納スペースにクッション性のある中敷きを追加
・上位モデルGの装飾ステッカーの「4」の文字の色を銀色に変更し通常モデルと差別化

距離計の色分けは、「メーターの(距離数の)文字の色が変わったらお店に来て(エンジンオイルを交換して)ください」といった、整備の必要性を視覚的に訴求する新装備。具体的な仕組みは、次の通り。

・白:0 (0,000.0km~0,999.9km)
・橙:1 (1,000.0km~1,999.9km)新車時 → 初回点検・初回エンジンオイルの交換時期の到来を知らせる
・赤:2 (2,000.0km~2,999.9km)
・白:3 (3,000.0km~3,999.9km)
・橙:4 (4,000.0km~4,999.9km)新車時 → 2回目のエンジンオイル交換時期の到来を知らせる
・赤:5 (5,000.0km~5,999.9km)
・白:6 (6,000.0km~6,999.9km)
・橙:7 (7,000.0km~7,999.9km)新車時 → 3回目のエンジンオイル交換時期の到来を知らせる
・赤:8 (8,000.0km~8,999.9km)
・白:9 (9,000.0km~9,999.9km)
・白:0 (0,000.0km~0,999.9km)新車時 → 4回目のエンジンオイル交換時期の到来を知らせる
・橙:1 (1,000.0km~1,999.9km)
・赤:2 (2,000.0km~2,999.9km)
・白:3 (3,000.0km~3,999.9km)新車時 → 5回目のエンジンオイル交換時期の到来を知らせる
・橙:4 (4,000.0km~4,999.9km)
 ・
 ・
 ・

当該機能は、車両の受け渡しの際、次のように案内されることがある。
・納車時 → 「メーターの文字の色がオレンジ色になったらお店に来てください」
・1回目のオイル交換時 → 「メーターの色が変わりますので、またオレンジ色になったら来て下さい」
・7,000km走行達成時のオイル交換 → 「次からはメーターの文字が白くなったら来てください」
中古車においては、販売する車両の状態によってエンジンオイルの交換時期も異なるため、上記の目安を根拠とせず、販売時のオドメーターの文字盤の色を基準とした個別の説明が行われる。

収納スペース用の中敷きは「荷物の傷つき防止」を目的として追加された物だったが、実質的にはヘルメット(の収納)を前提とした保護布。後年、この中敷はコストカットの観点から削除されてしまう。

上位モデルGは、この販売分からステッカーの「4」の文字色が銀色に変更されている。素材もメタリック調で、通常モデルの水色と明確な差別化が図られている。



■3型 UZ50/UZ50G K7(CA41A)
2007年1月:104,790円
2007年1月:124,950円(G)



地味ながらも明確な変更が施された車両が、3型に相当するK7。

・バックミラーの変更(8mmから10mmネジ径のターナー付きミラーへ変更)
・速度計の0km/h表示位置のデザイン変更(凹み部分が無くなり、グルリと円形の線画に変更)
・マフラーおよびエキゾーストガードの形状変更(後部取り付けボルトの方向が真上 → 真横に変更)

K7は、2007(平成19)年の新保安基準に対応すべく、10mmネジ径のターナー付きバックミラーを先行して採用したモデル。ミラー取り付け基部のターナーを覆う軟質カバーが特徴的で、既存の車両と比較した場合、ハンドル周辺の雰囲気は大きく異なる。因みに「ターナー」とは衝撃緩和装置、噛み砕いて言うと回転アダプターのことであり、転じて進行方向からの入力を受ける事でミラーの基部が車体後方に向けて回転する仕組みを意味する。

そして見逃しがちな変更箇所が、スピードメーターの0km/h表示のデザイン刷新。



一見すると違いが無いかのような両者だが、それまであった0km/hを示す部分の線画のへこみ(凹み)状のデザインが廃止され、K7からのスピードメーターは速度計の目盛りを描く白いラインが0km/hの位置から途切れる事なく円を描くデザインに変更された。この変更は通常モデルと、燃料計を装備する上位モデルGにも実施されている。

もう一点、まるで間違い探しのような新型32G20マフラーの構造変更は、エキゾーストガードの固定方向。取り付けボルトの位置と方向が改善され、ガードの着脱が容易となった。後のマイナーチェンジで用意された新型マフラー・32G21のエキゾーストガードも、この形状を踏襲する。



■4型 UZ50/UZ50G K8(CA45A)
2007年9月:124,950円
2007年9月:140,700円(G)※ファイナルモデル
2007年12月:124,950円
2008年4月:124,950円



一部の物質について80%減という脅威の削減を強いられた新しい排ガス規制に対応すべく、CDIからフルトランジスタへと点火方式が変更された新排ガス規制モデルが、このCA45A・モデルK8。この型からは排出ガス識別記号の表記がBAからJBHへと更新されているため、書類だけで、そのエンジンがCDI点火かフルトランジスタ点火か、見分けることが出来る。

BA-CA41A

JBH-CA45A

新規制への適合で知られたK8だが、そのエンジンは前年度に市場へ先行投入された最新型(当時)の姉妹車種・レッツ4バスケット(UZ50B)モデルK7のもの。自己主張である触媒内包型キャタリストマフラー・32G21も、厳密に言えばバスケット由来の部品。なお、この新規制向けエンジンの真骨頂は11.7gというウェイトローラーの設定で、翌年度のモデル統合までの期間に生産されたレッツ4/G、およびパレットとバスケットは、11.7g仕様の駆動系調整(※)が施されたエンジンを積んで出荷されている。

車体側面のステッカーの4の文字が水色である初期型モデル達は、毎年のように行われたマイナーチェンジの頻度の割に「見た目の違い」が乏しいのだが、こと、バスケットエンジンを搭載することとなった当該K8は、(1)新型バックミラー、(2)マフラーの排気管に新造された円筒状のO2センサー、(3)上下2つの排気口となった新型ベルト・クーリングダクトという3つのポイントがあり、旧型の中では判別しやすいモデル、と言う事が出来る。

車両価格は、従来の設定から19,200円(税別)の引き上げ。元々の価格帯の低さとカタログスペックの低下が災いしたのだろうか、発売当時は少なからずの批難の声が上がっていたように思う。同時に上位グレードのGも134,000円(税別)という価格変更となったが、こちらに関しては事実上の値下げであり、従来のGよりも価格差は4,000円以上も引き下げられていた。

K5とGK5の価格差=19,200円(税別)
K8とGK8の価格差=15,000円(税別)

この年を最後にレッツ4Gの販売は中止となり、GK8はGのファイナルモデルとなった。以降、“レッツ”という名称と“G”というグレード呼称の組み合わせは、2014年冬の“レッツG”の登場まで待つ事となる。

※11.7g仕様の駆動系調整…
ムーバブルドライブスペーサー&ムーバブルドライブプレート&ムーバブルドライブローラーの組み合わせによる、スズキ純正チューン(プーリーボス&ランプレ&WR)。因みに「約11.7g」というウェイトについて細かく書くと、実はバスケットの前年から新発売となったアドレスV50FI(UZ50X/XG K6~K7)のエンジンが初採用で、2006年のV50(FI) → 2007年のバスケット → 2008年~2009年のレッツ4&パレット&V50(FI)の順で採用されていった。唯一の例外が2008年に新発売となったUZ50Y/YG K8・レッツ5/Gで、このモデルのみレッツ4系のド初期型と同じ約11.3gの設定で出荷されている。



■5型 UZ50D K9(CA45A)
2009年4月:130,200円(初期出荷分)
2009年11月:130,200円(後期出荷分)



レッツ4の転換期がふたつあったとするならば、ひとつは上述のK8における平成19年9月の新排気ガス規制への対応、そして、もうひとつが、この2009年に行われた車種の統合、言うことが出来るかも知れない。

5番目の型に相当する当該K9は、上位グレード「レッツ4 G」と通常グレード「レッツ4」の統合が行われたレッツ4であり、モデル名は「UZ50」でも「UZ50G」でもない新たな呼称、「UZ50D」へと刷新された。

特筆点は、指針式の燃料メーターの標準装備化。この変更は5,250円(税込※2009年当時)に及ぶ車両価格の引き上げを伴ったが、普及モデルとしての利便性は大きく向上している。半面、Gに装着されていたリアキャリアは標準装備化されず、純正オプション設定が継続された。

このK9は、「無改造である」という前提さえ守られるのであれば、初期モデルのなかでも判別・特定が容易なレッツ4のひとつ、として挙げることができる。
・車体両脇のステッカー → 「4」の文字が水色
・メーターパネル → ガソリンメーターが「ある」
この2つが揃うと、K9で確定する。

なお、「グレードの統合を行う際、モデル名にDが付く」という手法は、かつて同社が販売していた50ccスクーター・レッツIIシリーズのモデル統合の際にも見られたもの。
・レッツⅡ → AZ50/AZ50U/AZ50L → 統合 → AZ50UD
・レッツ4 → UZ50/UZ50G → 統合 → UZ50D
恐らく『二重の~』を意味する「dual(デュアル)」もしくは「duable(ダブル)」の「D」を由来とする符号ではないかと考えるが、正式な理由や意味合いなどは不明。



■6型 UZ50 L0(CA46A)
2010年3月:130,200円



レッツ4において唯一の中国生産車両。
形としては中期型に属するモデルだが、前モデル(統合D型)からは更に仕様が異なっている。

この点に関しメーカーは、生産国以外の差異は無いと案内する。しかし同時に、中国生産車両のみを「別物」として取り扱っていたことは、事実として確かにある。具体的には、型番にJBH-CA46Aという単独のものを与えていること、また、パーツカタログなどを「CA46A」として区別していたこと、などが挙げられる。また、モデル名も直近のUZ50「D」を継いでおらず、旧型番(UZ50)が用いられている。

このモデルは細かなマイナーチェンジの多い歴代レッツ4の中にあって、その判別が、とても容易な車両と言える。その理由のひとつが、純正タイヤの銘柄。



6型のみ、独自に中国タイヤのCST(チェンシンタイヤ)C6025を装着し、工場から出荷されている。

それよりも前の時代の車両のタイヤは、IRC(井上ゴム工業)MB38指定であり、中国メーカーのタイヤを装着した記録は無い。チェンシンタイヤの溝とMB38のそれとは互いの格好が大きく異なり、加えて側面にはメーカー名も存在するため、意識さえしてしまえば、例え素人であってもタイヤの銘柄の識別は容易に可能。

更に中国生産車両固有の要素としては、車輪のエアバルブキャップの形状を挙げることができる。



この独特なバルブキャップで出荷された車両は、中国産の6型のみ、となっている。

タイヤもバルブキャップも交換されてしまった時点で識別要素として成立しなくなる事に変わりは無いが、その他にも、6型・CA46Aのみが有する固有の要素が存在する。フレームの塗装、そしてスピードメーターパネルのデザインが、それにあたる。これらは交換される事が無い部分であることから、より効果的かつ確実に判別可能なチェックポイントだと言える。

モデルL0特有の艶有りブラックフレームは、一目で違いが分かる何よりの特徴。前輪の奥や車体とエンジンの連結部など、外装から露出している部分を見るだけで判断する事が可能。

文房具の分度器のような独特の線画が施された速度計パネルも、ムギ球のように飛び出した形状の速度警告ランプも、このモデルにだけ使用されている部品。前述のK9と同じような外観のL0だが、メーターの意匠が異なるという点で、互いの差異は、はっきりとしている。

なお、黒メーターパネルのデザインの遷移は、次の通りとなる。



L1後期出荷分以降は、刷新された新型のホワイトメーターパネルとなる(後述)。

ちなみに、この中国生産モデルには、他にもいくつかの謎がある。
素朴なところで思いつくままに、いくつか書き出してみる。

謎1:完成状態の車体重量(装備重量)が70kgと公表されている。通常仕様のレッツ4は68kgとされているので、その差は2kg。おおよそ通常のレッツ4に満タンの大型ペットボトル飲料を1本積んでいるような状態にも関わらず、スズキからは、その原因や理由が説明される事は無かった。恐らくはチェンシンタイヤ前後2本および各種L0専用の樹脂部品による僅かずつの重量増が、車両1台分の総合計となった時点で2.0kgほどの差を生む結果に繋がったのではないか、という推測が妥当なところに思うが、実際に当該部品類が他モデルよりも重いのか否かまでは、確認できていない。

謎2:シート高が690mmと公表されている。レッツ4の座席の高さと言えば685mmという数字が有名だと思うが、L0は690mm。たかが5mm、されど5mm。宇宙じゃ5mmで命を落とす。こちらも原因や理由は、全く分からない。

謎3:やはり気になる4.5psエンジン。マフラーヒートガードなどはレッツ4の物に相違ないのだが、最大出力や最大トルクの発生回転数といった情報を読む限り、エンジンそのものは翌年登場の新型のそれを連想せざるを得ない。使用されている部品についても共有するものが目立ち、ウェイトローラーに至っては、後の統合エンジンの代名詞である12.25g(資料によっては12.29gとも)を内臓。見えているところだけを掻い摘んだ場合、それは先行量産車両のように思える。

謎4:個体差なのか仕様なのか、ハンドルカバーなどに用いられているグレーの無塗装樹脂のシボ加工が他モデルよりも荒めの質感の車体が存在する。確認し直したところ、当時のスズキの公式画像でも明らかに見た目が異なっている。



画像については拡大などは加えたものの、細工などは行っていない。
実車(中古車)についても画像と同様の車体が存在するが、全車に及ぶ仕様か否かは不明(※)。

※継続して観察を続けているが、どの車体もシボは大きい(荒い)。L0固有の仕様だと考える。



■7型 UZ50D L1 (前期)(CA45A)
2010年11月:134,400円



従来のものから細かく様変わりしたモデルが、この2010年冬に発売となった7型。
公式に案内された変更点と、実車で確認できる変更点は次のとおり。

・搭載エンジンを、シリーズ全車で部品の共用化・統合(※)
・純正オプションのリヤキャリアを標準装備化
・車体の装飾の意匠を変更(※)
・ブレーキレバーをバフ仕上げのものに変更(※)
・シート下収納スペースのインナーマット中敷きを廃止(※)
・シート表皮を側面に継ぎ目の無いものへ変更(※)
・シートベース(座席の基礎部分)を白い樹脂に変更(※)

※…UZ50レッツ4シリーズ共通の変更(部品統合)

搭載エンジンの統合は2010年のレッツ4シリーズすべてのモデルに実施されたもので、この時をもってバスケット、パレット、そしてレッツ4(および姉妹車種のレッツ5/GおよびアドレスV50のFIモデルを含む)シリーズ全車が、同じ仕様のエンジン搭載となった。インジェクションやマフラーを含む機関一式丸ごとが共用化された影響で、丸みを帯びたシルエットとマッチしていた楕円形のマフラーヒートガード(やけど防止の樹脂カバー)は姿を消し、レッツ5の特徴でもあった鋭角なパーツへと更新されている。このヒートガードの変更は良くも悪くも、統合前後のレッツ4の分かり易い見分けポイントとなっている。

変速の要となるウェイトに関しては、新たな規制への対応により、11.7gから12.25g(約12g)への重量増という、細かな再調整が施される事となった。レッツ4/G、パレット、V50(FI)、バスケット、そしてレッツ5/Gと、ここにきてモデルUZ50シリーズのウェイトローラーの更新履歴は相当に複雑な状況と化しており、もはやパーツカタログなしで仕様を判断する事が困難な領域に達している。

・参考メモ:UZ50シリーズのウェイトローラーの歩み



画像引用:デイトナ2013カタログ(低解像度)

装備面の更新としては、純正オプションのリアキャリアが標準装備に変更された点も挙げられる。実用的な観点からは待望と言えるが、後述する再度の変更を鑑みる(かんがみる)に7型のキャリアは事実上の在庫処分と解釈する事も出来なくは無く、ある種、残念なものとも言える。

外観上の変更点としては、車体側面の装飾のデザインの変更が著しく目立つ。従来の水色から一転、Let's『4』の文字を彩り豊かな黄色とし、車名の下に添えられていた「Fuel Injection」の部分を線画ごと削除したことで、よりシンプルなものとなっている。この新エンブレムの登場でレッツ4バスケット/パレットの専用装飾は廃止され、以降は全モデルに『Let's4』エンブレムが貼付される。

その他の変更は、ブレーキレバーをバフ仕上げによる鏡面のものへと変更した点、シート表皮を側面に継ぎ目・縫い目の無い新しいものへと変更した点、シートベースの樹脂の色の変更、そしてシート下収納スペースに収められていた中敷きの削除となっているが、上述の新エンブレムの統一と同様、それらは2010年に施されたレッツ4シリーズ全モデル共通のマイナーチェンジであり、部品統合によるものとなっている。

既存モデルからの価格の引き上げは4,000円(税別)。当時の純正オプションのリアキャリアの価格は2,000円(税別)であったため、引き上げの半分程度はキャリアの代金と解釈する事が出来る。



■8型 UZ50D L1 (後期)(CA45A)
2011年5月:134,400円



モデルL1発売から半年後の2011年5月、同じモデル名称(UZ50DL1)のままマイナーチェンジと呼ぶに相応しい仕様の変更が行われた。その内容は歴代のモデルの中でも目立つものだが公式に発表された形跡が無く、果たしてスズキ・ニュースリリースの二輪製品ニュースでは該当情報が欠落している(※)。当然の事かも知れないが、販売店の従業員も把握できていない様子がうかがえる。

※該当情報が欠落
スズキ・ニュースリリースの二輪製品ニュースは、全てのモデルの全てのマイナーチェンジが記録されている訳では無い。型式の変更などが伴わない仕様変更は情報として発表される事が無く、果たして該当記録が掲載される事も無い。これは同社小排気量モデルに散見するもので、具体的にはレッツII(レッツ2)シリーズ、そしてレッツ4シリーズが挙げられる。この種の記録は自動車専門誌及び出版社の提供するポータルサイトが詳しく、閲覧や確認も可能。閑話休題。

以下に、モデルL1後期の変更点を列記する。

(1)グリップ付きリアキャリア
センタースタンドをかける際に手で掴む事が出来るフックの付いたリアキャリア。源流はUZ50B・レッツ4バスケットの標準装備品で、マイナーチェンジによりレッツ4パレット及びレッツ4も部品統合される事に。結果、レッツ4シリーズ3種のリアキャリアは全てフック付きリアキャリアに統一された。

(2)ホワイトメーターパネル
こちらも基礎はレッツ4バスケットの装備。線画の刷新などを経て部品統合に用いられている。色調、書体、文字の大きさや配置などの変更により視認性が向上しているが、一見してロマンチックで女性的なその雰囲気は、正に主婦向けのバスケットに由来する。このメーター統合は兄弟車種のUZ50X・アドレスV50FIにも及んでいるが、どちらかと言えば男性的で、よりスポーティーなデザインだった既存のV50FIのメーターパネルと新型のホワイトパネルは趣が大きく異なり、果たして浮き気味な印象。

(3)ウインカーインジケーター
上述のメーターパネルの変更に合わせて、ウインカーインジケーターがメーターパネルに搭載された。ウインカーに合わせて明滅するランプのおかげでウインカーの動作が分かりやすく、消し忘れの防止にも貢献する。

(4)固定式バックミラーターナーカバー
構造上の都合で固定ができず、位置がずれてしまうなどといった扱い難さの目立った従来型のターナーカバー(※切り株のような形のもの)を廃止。新しいものは肉厚があり、丈も充分にあるため、ターナー&ナットをしっかりと包むように固定できる。

L1後期販売分は、これだけの変更が及んでいても販売価格は変更されていなかった。恐らくは部品の統合による恩恵、むしろ実質的なコストダウンの一環と解釈するのが妥当に思う。



■9型 UZ50D L2 (前期)(CA45A)
2011年11月:134,400円 黄色を追加 (黄・銀・黒・白)
2012年4月:134,400円 桃色・橙色を限定発売
2012年12月:134,400円 赤色メタリックを追加・白を廃止 (赤メタリック・黄・銀・黒)
2013年4月:134,400円 茶色・赤色を限定発売
2013年12月:134,400円 象牙色を追加・黄を廃止 (象牙・赤メタリック・銀・黒)



ボディーカラーの追加・変更を行いつつ、増産が続けられた型。各種媒体の紹介記事において「車体色の変更のみ」という明確な記述が確認できる事からも分かるとおり、2012年~2014年にメーカー出荷された販売分は、モデルL2となっている。



■9型改 UZ50D L2 レッツ4低シート(ローシート)仕様(CA45A)
2012年12月:152,280円~ (参考価格)



ごく一部の店舗にて販売されている、特別仕様扱いのレッツ4。その正体は、スズキビジネス/オートリメッサの提供する低シートを装着した車両であり、メーカーからの公式発表は行われていない。

元来、低シート高を自己主張としてきたレッツ4ではあるが、身長140cm~150cm台の女性や小柄な青年達にとっては例え地上高が685mmであっても、その幅広シートは決して足付きが良いとは言い切れず、十分な訴求に達しきれていない面は否めなかった。果たしてオートリメッサの低シートは着座位置を純正よりも13mm低くすると共に、大腿部(ふともも)の内側部分が接触する部分を削り込む事で、足付き性能の向上と、672mmという低着座位置を実現している。



(画像引用:スズキ二輪 販売店向けフライヤーより)

この低シートの商品価格は、税抜きで13,000円(消費税込14,040円)と設定されているが、特別仕様とうたわれる物件はシート交換工賃の無償化などを含めた金額的優遇が行われている様子もうかがえる(参考価格参照)。同様の販売手法は、アナザースタイル・アドレス(オートリメッサ提供のリアスポイラーを装着した状態で店頭に陳列されているアドレスV50・FIの俗称)の販促にも見る事ができる。



■10型 UZ50D L2 (後期) カウリングファン・カバー仕様 (CA45A最終モデル)
2014年-月:134,400円
2014年4月:138,240円 (消費税率変更8%・税抜価格128,000円は据え置き)



UZ50D/CA45A、レッツ4の最終生産品。
趣味性の高い乗用車や二輪車で言うところの『ファイナル・モデル』『ファイナル・エディション』などに相当するが、モデルイヤーコードが2011年秋に登録された “L2” のままである事からも分かるとおり、この時に施された手直しも、また、公式発表が行われる事は無かった。

L2後期の最終出荷分に施された変更点は他でも無い、カウリングファン・カバー(純正部品名:カバー カウリングファン)の追加装着。2014年の早春頃から全国の販売店に納入された出荷分の内、最終生産分の各色全てが、カウリングファン・カバー仕様に更新されている。

・メモ:カウリングファン・カバー
スズキ純正部品(SGP)から提供されている正規オプションパーツの一種。噛み砕いた表現をするならば「エンジンオイルの温度を短時間のうちに上昇させるための仕切り板」。

短距離走行・短時間走行というシビア・コンディションへの配慮を具現化したもので、このパーツを装着することにより(中略)空冷4ストローク小排気量エンジン搭載モデル特有のマイナートラブルの発生を抑制(※あくまで抑制。これはGなどに採用されていた「盗難抑止アラーム」におけ”抑止”と同様の概念)する。


カバー カウリングファンは税込価格1,350円相当の純正部品だが、L2後期の車両販売価格に、その金額は反映されていない。いわゆる「お値段据え置き」での提供である。



・2015年12月11日追記
カウリングファンカバーに関するメーカー公式発表に関するメモ



スズキ株式会社 > リコール等情報 > サービスキャンペーン > 二輪車 > 2015年12月10日
アドレスV50/レッツ4/レッツ5のサービスキャンペーンについて
http://www.suzuki.co.jp/about/recall/2015/1210/index.html

この公式発表によって、以降、対象通知が手元に届いた購入者の車両のうち、エンジンの暖機が不十分な状態での走行を繰り返したことによって生じたエンジン・ストール、もしくはエンジンの始動不良であると認められたものは、メーカーによる(≒車両購入店舗による)無償での対応を受けることが可能となった。

もっとも、正しく暖機を済ませられている車両、および十分な熱がエンジンに加わる程度の連続走行を繰り返すような乗り方を実現している車両には、ファンカバーは必須な部品ではなく、購入時の状態のままでも問題は無い。意識すべきはファンカバーの有無よりも、その車両の乗り方・使い方(※)にある。

※…極端な話、そこが寒冷地であっても、十分な暖機もしくは連続走行時間が確保されるという条件が満たされるのであれば、ファンカバーが無くても、問題は無い。

なお、「レッツ4のリコールでハガキが―」「レッツ4のリコールでファンカバーが―」といった発言や投稿を耳にする/目にすることもあるが、当該ファンカバー(およびVベルト)に関する対応はサービスキャンペーンによるもので、リコールでは、ない。



■追記(1) レッツ4と同型のエンジンを搭載する姉妹車種への対応


レッツ4と同型式のエンジンを搭載するモデルのうち、2014年の春以降に出荷されている製品については、レッツ4のL2後期出荷分と同様にカウリング・ファン・カバーの装着が標準仕様となっており、実際に全国各地の販売店へと納品されている。

具体的にはレッツ4バスケット、レッツ5、そしてアドレスV50(FI)の三品目の最終出荷モデルが、店頭在庫として日本各地に存在する(注:2015年秋現在)。ファンカバーの増設に関する公式な紹介や案内などはされていないが、UZ50BL2・レッツ4バスケットに限っては、2014年4月モデルにおける公式ウェブサイト上の紹介画像から、当該カバーの装着を確認する事が可能。



(参考:レッツ4バスケットL2後期出荷モデルの公式画像 引用:スズキニ輪)

なお、UZ50FL2・レッツ4パレットに限ってはカウリングファン・カバーを標準装備するモデルが存在しない。非公式な情報を根拠としても良いのであれば、レッツ4パレットのみがL2前期仕様のまま、2013年の時点で出荷を終えていたことになる。

■追記(1)補足メモ ※2015年12月加筆


2015年に発表されたスズキ公式の情報を噛み砕くと、ファンカバーを有していないレッツ4(9型)の生産は、2014年2月が最終であったと考えることが出来る。同時にUZ50FL2・レッツ4パレットの生産も、このときをもって中止(終了)した、と考えられる。

そのほか、レッツ4バスケットの中期型(※便宜的な区別)の生産がパレットに先立ち、同年1月の時点で切り上げられている様子があるのだが、こちらに限っては事前に得ていた話と合致するため、間違いないものと考える(※以降のレッツ4バスケットは最終型仕様で生産・出荷され、翌2015年に生産終了を迎えている)。


■追記(2) 低シート(ローシート)仕様について


このモデルにも、販売店提供の低シート(ローシート)仕様が存在する。そもそもレッツ4の低シートは単品で販売されているオプションパーツなので、言ってしまえば、どのレッツ4であっても(販売店が対応してくれる限りは)低シート仕様での購入が可能であり、それほど気に留める必要性は無いのだが、例えそうだとしても、あらかじめ特別仕様としてパッケージングされた物件は店頭在庫の中でも相応の説得力と訴求力をもつ。何よりも、実際に触れる事が出来る(足付き性を確かめる事ができる)という点は、大きい。小柄で足付きに不安のある方には、ぜひ低シート仕様の在庫をもつ店舗で実車に触れてみる事を、おすすめしたい。



発売から約10年を経て、生産の終了を迎えたレッツ4。既に最新設計のSEPエンジンを搭載したCA4AA・新型レッツが市場に登場し、CA46Aをはじめとするレッツ4シリーズは、商品的にも製品的にも、文字通り過去のモデルとなってしまったが、必要な機能・性能が揃っていて、なおデザイン・見た目・好み・予算と合致していると判断したのであれば、新型レッツではなく、あえてレッツ4を選ぶというのも、良い選択だと思う。




■2013年2月10日 推敲版 投稿
■2013年2月11日 一部訂正 表現修正
■2013年2月11日 図表入れ替え 本文加筆修正
■2013年2月12日 上位グレードGに関する補完 図表入れ替え
■2013年2月12日 本文大幅に加筆修正
■2013年2月17日 0型・1型に関して加筆修正 図表入れ替え
■2013年3月05日 全面的に加筆修正 図表入れ替え 参考画像追加
■2013年3月06日 表現修正 UZ50 L0のタイヤについて言及 参考画像編集
■2013年3月07日 一部訂正 表現修正
■2013年3月23日 一部訂正 表現修正 L0及びL1後期に記述と画像を追加
■2013年3月28日 一部表現修正 誤字訂正
■2013年4月14日 一部表現修正 誤字訂正
■2013年4月28日 一部表現修正 参考画像差し替え
■2013年9月2日 L0について記述を一部追加
■2014年6月4日 消費税率についての補足を追記 一部追記改訂 誤字修正
■2014年9月10日 L0におけるタイヤ銘柄に関する記述を見直し
■2014年10月21日 一部改訂
■2014年11月26日 図版変更 L0に関する記述の修正・追記
■2014年11月27日 一部表現変更 誤字修正 レッツ4低シートに関する記述を追加(暫定)
■2014年12月4日 タイヤの記述について修正
■2014年12月4日 ウェイトローラーに関する記述と引用画像を追加 各所改訂
■2015年3月7日 走行距離数計の表示に関する記述を修正
■2015年3月16日 L2後期 カウリングファン・カバーに関する記述を追加 各所改訂
■2015年3月17日 低シート(ローシート)仕様に関する記述の追記
■2015年3月27日 カウリング・ファン・カバーに関する記述の修正
■2015年4月5日 2ちゃんねる スズキ50cc原付総合スレへの書き込みに対するおことわりを追加
■2015年4月30日 一部改訂
■2015年6月8日 2ちゃんねるに関するおことわり 掲載終了
■2015年7月26日 一部表現変更
■2015年11月12日 カウリングファン・カバーに関する記述を修正
■2015年12月12日 サービスキャンペーンに関する記述を追加
■2015年12月16日 レッツ4、パレットおよびバスケットの最終型への移行に関する補足メモを追加
■2016年3月21日 K8(バスケット・エンジン)の記述を修正
■2016年3月22日 K8、K9、L0の記述を修正
■2016年4月3日 排出ガス識別記号の表記について一部加筆
■2017年1月12日 一部改訂
■2018年11月12日 一部改訂
■2021年3月7日 文字色や行間などを編集
■2022年10月22日 ウェイトローラーや部品の共用化などに関して加筆修正
■2024年11月20日 誤字修正(UZ50D L2 誤:CA46A → 正:CA45A)
■2024年11月26日 UZ50DK9/UZ50L0の出荷時期を修正・図を差し替え(6.0版 → 7.0版)
Posted at 2015/04/05 14:50:23 | コメント(3) | トラックバック(0) | スクーター | 日記
2014年10月09日 イイね!

セルスター/CELLSTAR レーダー探知機 AR-131RM リモコン購入

セルスター/CELLSTAR レーダー探知機 AR-131RM リモコン購入紛失してしまったレーダー探知機のリモコンの取り寄せ注文から、もうそろそろ1週間が経過するかな、と思っていたところで携帯電話に着信あり。販売店から入荷の知らせが届いた。

時間をみて販売店を訪問。エアキャップごしに部品番号を確認し受領。請求金額は事前の確認の通り、1,260円。8パーセント消費税込み。「実は聞き間違いで2,260円でした」といったトラブルも起きず一安心。ここで実店舗のカウンター担当の男性店員の対応に問題があった訳だが、役に立たない話なので省略。店を出る。

念のため、開封する前に自宅にて再確認。部品番号が一致していることを、もう一度エアキャップごしに確かめる。



二度見、三度見で間違いがない事を確かめて開封。



アシュラの現行品を使用中の人間にはお馴染み、開封前のリモコンの様子。
電池が入っていない点を含め、商品同梱の状態と同じように見える。



リモコンのフタを取り外し、事前に用意しておいた電池を挿入する。

使用するボタン型電池は、CR2016。
2016は、ボタン電池としては大型寄りで、かつ、薄めのもの。
量販店や大手100円ショップで簡単に入手可能だが、今回は通信販売で購入。
欲張って10個セットを注文してしまったが、残りは、LEDライトで消費するつもり。閑話休題。

ボタン電池を挿入し、フタを取り付けたら、準備完了。
車内へと持ち込み、キーを回してレーダー探知機本体へ電源を投入後、正しい動作を確認。
一時はどうなる事かと思ったが、無事に(安価に)作業完了。

今度こそ紛失などしないように、ハンドル下のポケットにリモコンを収めて、おしまい。



■2016年5月15日 追記

車内の後部を清掃していたところ、前触れなく、紛失していたリモコンを発掘。



なにゆえ、このようなところに。
2014年10月04日 イイね!

セルスター/CELLSTAR レーダー探知機 AR-131RM まさかのリモコン紛失

セルスター/CELLSTAR レーダー探知機 AR-131RM まさかのリモコン紛失自称トラブルメイカーの面目躍如と表現すべきか、そうそう起こり得ない(起こし得ない)珍しい問題を引き起こした記念に備忘録として記事を投稿。同社レーダー探知機をご愛用中、もしくは購入をご検討中の方にとって後学の種になれば幸い。

本題。
タイトルにもある通り、タントエグゼで使用中のセルスターのレーダー探知機・AR-131RMのリモコンを、まさかの紛失。3日間ほどかけて探したものの果たして、どこにも見当たらない。

当該シリーズ製品に馴染みの無い方々に向けてAR-131RMのリモコンの重要性に関して触れておくと、レーダー探知機・アシュラAR-131RM(※含む同シリーズの他製品数種)は、リモコンが無いと基本操作が行えない仕組み。メーカー出荷状態のまま稼働させる分には(電源さえ繋げてしまえば)問題なく動作するものの、各種設定の選択や機能の切り替えの類は全てリモコン操作入力に依存するため、折角の高機能が「宝の持ち腐れ」状態に陥る。

工場出荷状態でもレーダー探知機としては機能するため、良くも悪くもリモコン紛失に気付かぬ円満な日々を送り続けていた訳だが、いざ設定を変えようなどと思い立った日(※今回は実燃費の算出に必要な走行距離数と給油量の登録操作を試みようとした)に、なんだかんだ言ってもリモコンが必須である事を思い知らされた次第。

閑話休題。
そんな訳で止むを得ず、メーカーへリモコン紛失の相談の電話をかける。
ちなみに、セルスター工業の問い合わせ窓口は、丁寧、親切、親身。今まで3~4回くらい製品の相談をした事があるのだが、どの時も円滑・的確・正確な対応で好印象。フリー・ダイヤルというのも、ありがたい。

さて。問い合わせ窓口ご担当との電話での会話を経て、得られた回答は、次のみっつ。
一つ目。リモコンは部品として購入が可能。
二つ目。しかしメーカーから直接(リモコンなどの部品を)購入する事はできない。
三つ目。部品の取り寄せ注文は量販店やカー用品の取り扱い店にて受け付けている。

感謝の気持ちを伝えて丁寧に電話を切り、地元の量販店へ、相談の電話をかける。
ちなみに、AR-131RMというハーフ・ミラー型レーダー探知機に付属の、薄型カードタイプ・リモコンの型番は、AR-C14A。

■AR-C14Aの見取り図(画像引用:セルスター工業)

アシュラ・シリーズには見た目的にそっくりなリモコンが複数存在するが、何気に、それぞれは型番から異なるので、注意が必要。

さて。
電話をとってくれた量販店の担当者は手際の良い男性店員で、必要事項の確認がスムーズ。ここに至り、リモコン単体が部品として取り寄せ可能な事は前述の通りメーカーに確認済みなので、注文に関して心配するものは、ない。ただ、落ち着いて電話の保留を待っているだけでOK。

残す問題はたったひとつ、他でもない部品単価、つまり部品代。
この類の部品を取り寄せて購入しようとする際に危惧すべき事象は、ずばり、費用が高くつくか否か。「そのような(高額の)修理代を出すくらいなら、別の新品を買った方がマシ(精神的に救われる)だ」という問題は、家電を含む電子機器類とは切っても切れない。特に今回のケースは「無線式リモコン」であり、何やら高額になりそうな印象が付きまとう。どうしても、気が気で無い。
ところが。
保留が解除された電話にて男性店員の口から発せられた回答は、拍子抜けする内容だった。

店員「お待たせ致しました、お値段は、1,260円です」
自分「え」
店員「はい」
自分「えっ?!千、二百、六十、円ですか?にせん、”ふたせん”ではなく、”せん”?」
店員「はい、せん・にひゃく・ろくじゅうえん、です」

思わず聞き返してしまったが、それが正しい部品代らしい。
4,000円とか5,000円とか、そんな金額まで覚悟していたので、これは素直に嬉しい誤算。
メーカー取り寄せのため、注文後の返品不可・到着日未定という条件は、もちろん快諾。
諦めずに問い合わせた甲斐が、あった。

残すはリチウム電池の補充(※部品的にリモコンには電池は含まれない)。
これは100円ショップでも尼損でも、選択肢はいくつもあるので、特に問題ないだろう。
2014年05月04日 イイね!

2014年度 台湾ヘルメットあれこれ

2014年の春までに書き溜めていた(保存していた)メモを備忘録として投稿。
ヘルメットをご検討中の方にとっての暇つぶしになれば幸い。

※※※おことわり※※※

当該記事は平成末期のもので、その作成・投稿から少なからずの時間が経過したものとなっております。本文の中には、数値的にも感覚的にも令和の時代と大きく異なっている様々な要素・表現が含まれております(例:商品価格帯、各国為替事情など)。ご閲覧いただく皆様におかれましては、それらを読み替える、もしくは読み飛ばしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

--------------------------------------------------

■東単 OWL(アウル) OWL3000A HYBRID HELMET (TT-3000A)
2010年の発売以来、息の長いモデルとして販売の続く東単のOWL。供給元の株式会社東単は、二輪用品卸売りの老舗。Arai(アライ)ヘルメットの強力な代理店としても知られる。

・参考URL
VIRGIN HARLEY.com 東単のOWL ジェットヘルメット 開発秘話 掲載日/2014年01月29日
http://www.virginharley.com/harley-tieup/tohtan/index.html

その東単が世に送り出したOWLシリーズのHYBRID TT-3000Aは、台湾ヘルメットを見回る上で不可避の存在・ZEUS(ゼウス)ヘルメットの商品、ZS-3000系と同じ外観をもつ。

・OWL TT-3000Aと同型のZEUS ZS-3000系の例

ZS-3000系は、3000/3000A/3000B/3000F(※供給先によって型番と仕様との間に違いあり)などのバリエーションを誇る定番商品のひとつ。現地では日本円換算でおおよそ9,000円前後のお手頃プライスで流通している。これに対し、外観が同じ日本国内仕様OWLの価格は、その倍以上となる23,000円弱。いかに日本のヘルメットが高くついているか、そんな一面を垣間見る事ができる存在となっている。

因みに、このZS-3000系の後継が同ZS-3100系。日本では、NANKAI(ナンカイ/南海)が販売するオリジナル・ヘルメット、NAZ-310 GAIA(ガイア)に相当。

・OWL TT-3000A ハイブリッド・ヘルメットと、NANKAI NAZ-310 ガイアの比較


両者共に1.8kg級の重量モデルだが、3100は全体が刷新され、より現代的な輪郭が形成されている。比較すると3000系のぽってりとした輪郭線は、旧来のモジュール・ヘルメットのフォルムを体現するものとして印象深い。日本国内で両者間には相当な価格差が生じているが、後発となる南海側が価格面で優位に立ってる点は特筆に価する。

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■ウィンズジャパン WINS CROWN HELMET 
外箱に大きく印字されるU.S.A.のロゴ、タグにプリントされるCHINAの文字、そして日本語で印刷された取り扱い説明書と製品の警告。

輸入販売者:ウインズジャパン
発売元:WINS USA
生産地:中国

これは一体どの「国」のヘルメットなんだ?

購入者でなくとも戸惑いを禁じえない、その三段構えの販売形態で知られる、WINS。
経済系新聞の紙面に成功を祝う賞賛記事が掲載された事もある企業だが、この集団が提供する品々の多くは「日本国内製」ではなく「中国・台湾製」であり、かつ、「新開発した最新のヘルメット」ではなく「あらかじめ中国や台湾の庶民に向けて製造・販売されていた低価格帯ヘルメットの類似品」であるといった現実くらいは、知っておいた方が良い(※注:記事作成投稿当時の状況)。

・WINS A-FORCEと同型のカーボン・フルフェイス・ヘルメットの例

かの中国製スポーツバイク・Megelli250Rの国内販売とほぼ同時期にWINSから供給が開始されたカーボン・ヘルメットA-FORCEは、Made2Race(メイド・トゥ・レース/M2R/エム・ツー・アール、台湾ディーン・ヘルメット提供ブランドのひとつ)のXR-1と同型の製品。台湾では安価なカーボンルック・ヘルメットがひとつの定番で、XR-1は、いわゆる「中の上」のランクに位置する商品としてショップのラインナップに常時加えられており、これは数年が経過した今でも変わらない。

M2R XR-1は、その実売価格が日本円換算で、おおよそ16,000円~17,000円ほどのヘルメット。スタンダードなフルフェイス・ヘルメットが9,000円~10,000円で流通する台湾では、やや高価な品物だが、それでも33,000円で提供されるWINS版の半分程度のプライスで流通している。もちろん、A-FORCEを含む国内販売品を台湾の現地仕様と単純に比較する事は適切では無いが、カーボン・ヘルメット最大の魅力となる重量面に大差が無く、また、ほぼ同じ外観から受ける印象として、日本国内版の割高感は否めない。

重量面に着目した場合、見逃せない存在となるのが画像掲載の同型ヘルメット、ヨーロッパ方面に供給されているPAULO S-990。該当ブランドにおけるスタンダード・モデルS-900から派生したカーボン・モデルがS-990なのだが、こちらも重量は僅か1,200g±50g(1,250g±50gの表記もあり)なうえ、やはり実売価格は低く、日本円換算で18,000円前後。PSCとSGという販売国の都合を無視した場合、XR-1とS-990の買い得感は、強い。

■カーボンヘルメットに見る日本仕様と台湾(海外)仕様との相違点
ブランド名
商品名
重量
価格(円換算)
Made2RaceXR-11,150g ±50g16,000円~17,000円
PAULOS-9901,200g ±50g
1,250g ±50g
17,000円~18,000円
WINSA-FORCE1,250g ±50g33,000円

上の表は、重量を観点に単純な比較をしただけに過ぎないため、A-FORCEにのみ含まれる要素、つまりは専用の内装と特別な装飾というWINSならではの特典、そして日本国内で乗車用ヘルメットを販売するために必要なPSCおよびSGの取得といった素人には知る由の無いコストの都合などは、まったく加味されていない(=私はそのような専門的な要素を加味できるような知識も情報も持っていない)。あくまで素人が勝手に書きとめている、裏付けの無いメモとご理解いただきたく。

なお、この項の冒頭に記述した通り、フラッグ・シップとなるA-FORCE以外も、WINSブランドのラインナップ(の多く)は、中国~台湾系ODMモデルで構成される。

・アジア圏内で見る事が出来る類似品とWINSシリーズの比較


製品の賞味期限切れ的な意味合いを連想させる謎の在庫処分セールで販売店から一気に放出されたCR-1を筆頭に、現行モデルのMODIFY(CR-1 MODIFY/CR-1 モディファイ)も、アジア諸国に安価なヘルメットを数多く提案するJDSヘルメット(Jiadeshi Helmet※)の製品と同系列の外観をしているが、それはそのはず、こちらの製品群も供給元は日本国内ではなく中国である。冒頭で触れた「輸入販売者:ウインズジャパン」「発売元:WINS USA」「生産地:中国」というのが、これにあたる。

※JDSヘルメット(Jia de shi Helmet/佳德士头盔)…ジェイ・ディー・エス・ヘルメットは、中華人民共和国を代表するヘルメット供給業者。中国本土での表記“佳得士”は、アルファベット(J・D・S)の中国読みであり、続く“头盔”という言葉は、ヘルメットを意味する中国語。中国には企業登録に用いることが許される文字は漢字のみという絶対の制約があるため、『JDS HELMET』は『佳得士头盔』となる。JDSは中華圏におけるヘルメット・サプライヤーの大手のひとつであり、GDR/Masei/NENKIといったブランドをはじめとする様々な銘柄の供給元として知られる。

--------------------------------------------------

因みに「300個から生産の受注が可能」といわれるJDSヘルメットのラインナップは多種多様で、かつ、生産した製品は世界各地に出荷されている。その中で特に目立つ存在が、スーパー・モト・スタイルのフルフェイス・ヘルメット、MX311。オフロード・スタイルのヘルメットにシールド・バイザーを搭載する、いわゆるデュアル・パーパス・モデルの類は相当な需要を見込まれているようで、MX311は、文字通り世界中に散らばっている。

実は、このヘルメットは意外なほど日本国内のwebショップやwebモールに散見する(※2014年春時点)。シールド付きのオフロードヘルメットやダブルレンズヘルメットの類をwebショッピング・モールなどで探した経験がおありの方は、恐らくどこかで1度くらい目にした事があるのでないだろうか。

・GDR MX311と同型のデュアル・スポーツ・ヘルメット

・GDR MX311
・ACERBIS ACTIVE DUAL SPORT HELMET
・SPIRIT DUAL SPORT HELMET
・TUZO ADVENTURE DUAL SPORT HELMET
・WULFSPORT PRIMA SPEED
・DUCHINNI D311
・NITRO MX650 DVS
・SNAIL MX311

それぞれの製品画像はアングルやカメラレンズの広角具合により、異なる印象となっている。
いわゆる『写真写り』という言葉を示す意味では、とても分かりやすい、ひとつの例。

本家は恐らくJDS直下(との印象を受ける集団)のブランド・GDRの、MX311。真骨頂の低価格ゆえに、検索エンジンやインターネット・ショッピング・モールにおいて、目に入りやすい品物のひとつ(同じく低価格帯の製品を構成するLS2のヘルメットと並んで表示される機会が目立つ)。

オフロード嗜好の世界のライダーに“アチェルビス”の名前は高い販促効果を発揮し、「GDR?知らない。しかしアチェルビスの(その形の)ヘルメットなら、知っている」というライダーは、少なからず存在する。それはヨーロッパにおけるアチェルビスグッズと、そのODMモデル・DUCHINNI(ドゥッチーニ、画像右下)D311の間でも発生しており、ヨーロッパ方面のオフ車乗りのコミュニティ(イギリスの模様)の中で『アチェルビスのヘルメットと、ドゥッチーニのD311、これ、どこが違うんだ???』(※意訳)というスレッドが立つほど。

同様の質疑は日本でも北米でも台湾当地でも行われているものであり、果たして世界のどこへ行ってもODM/OEM同士は似た混乱を引き起こすことを表す、ひとつの例と言える。

画像に登場するSNAIL(スネイル)、TUZO(ツゾー)、NITRO(ニトロ)、WULFSPORT(ウルフスポート※イギリスのブランド=単数形)といった供給先は、どれも日本に馴染みのないブランドながら、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなど、世界各国に製品が流通する様子を確認できる。
一見して誤字と思いがちな“WULFSPORT”の“ウルフ”のスペルは、そのままUが正しく、これは古英語読みだそうで、「ウルフ=WOLF」が定着している日本では馴染みの無い独特の表記。“カタツムリ”という意味のSNAILも、日本の感覚では理解し難いネーミング・センスのひとつだが、現地の文化で別の意味を含む・別の解釈ができる言葉である可能性は否めない。
TUZOとNITROは、チューゾー/ナイトロとも読む。これはヨーロッパ・ブランド特有の現象。同様のものとしては、AIROH(アイロー/エアロー)、GIVI(ジビ/ジーヴィー)、CABERG(カッバーグ/ケイバーグ)などが挙げられるが、意識しない方が賢明らしい。スーパー・マーケットでビニール袋が欲しいときに「バイナル袋ありますか」と店員に尋ねる人がいない(※)ことからも、その様子がうかがえる。閑話休題。

そんな訳で、中国起源の組織・JDSの製品は、アジア、オセアニア、インドネシア、アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカにまで広く流通している。しかし何より驚くべきは、それだけの販路を持つJDSヘルメットの歴史は浅く、創設より10年ほどしか経過していない、と言う事実にある。わずか数年の間に世界の各地に製品を流通させるその勢いは、計り知れない。

※…意図しない限り「バイナル袋」という言葉は現実に存在しない表現ですので、念のため。適切な英訳は、「プラスティック・バッグ」になります。

--------------------------------------------------

■バイクブロス
台湾に同形状の製品が存在するフリップ・アップ・ヘルメットをBH-0001として売り切ったプロトコーポレーションのバイクブロスは、2014年4月に、その後継モデルとなるBH-0002をリリース。この新商品も例に漏れず、台湾のARC/GP-5系で言うところのA677/678/GM-1/722系インナーバイザー搭載型フリップ・アップ・ヘルメットの型(形)にそっくり。一連の製品の製造元は台湾大手のQUEEN KWAN ENTERPRISE(台湾名:坤成実業、ARC/GP-5ブランドの母体)という企業なのだが、今回の製品も委託されているのかな、と勝手に妄想する。

その要因のひとつが、昨年の秋(2013年9月)からバイクブロスが販売する『オリジナル・ヘルメット』BH-1001と酷似する、台湾ARCのA720の存在。

・参考URL:
[採訪] 2013台灣國際機車展(2) 【THH / ZEUS / ARC / HLS】
http://forum.jorsindo.com/forum.php?mod=viewthread&tid=2401834
感謝:wildspirit (小老婆汽機車資訊網首頁超级版主/Jorsindo Motor Club Super Moderator)

2013年度の春、台湾のモーターショーに展示されたA720参考出品モデルはインターネット上での露出の機会がまるで無く、2014年春現在まで(バイクブロスのBH-1001を除き)ショップで販売された形跡も無い訳だが、台湾ヘルメットは、参考出品から実際の販売までに1年以上のスパンが置かれる事もある(最近だとTHH T-315が、このケース)ようなので、その内、台湾市場にA720が登場する事になるのでは無いかと考える。

--------------------------------------------------

何はともあれ台湾ヘルメットの躍進は、これからも続くことと信じる。
台湾のメーカーにおかれては、すべての良い意味で、頑張っていただきたい。

--------------------------------------------------

おまけ。

口の悪い人と海外ヘルメットの話をすると、中国・中華民国のブランドに対する「中華」「パクリ」といった揶揄や偏見を耳にする(目にする)機会が少なくないのだが、中国・台湾・韓国のヘルメットを追いかけていると、その国に対する心証を損なう、もしくは民族への偏見の助長に繋がるであろう要素を少なからず目の当たりにする機会は確かに、存在する。ここに、露骨な例を追記しておく。

・イタリアンメーカーAIROH SV55-S Sportと、JDS系ヘルメットの代表2種


画像左側は、イタリアのAIROHが提供するフリップ・アップ・ヘルメット、SV55-S スポルト。
画像右側は、本文でも散々触れたJDSヘルメットのフリップ・アップ・モデル、803系。

AIROHの製品は、これ以外にも数種類が、中国・中華民国のメーカーに模倣されている。

--------------------------------------------------

そんなわけで著作権うんぬんの意識は中国はもちろんのこと、かの中華民国・台湾であっても、決して高くないことが分かる。

・ARC(台湾) 公式ウェブサイト (引用:ARC 公式サイト)


・ベスパ(伊) 公式ウェブサイト GTSのギャラリーの1枚 (引用:ベスパ公式サイト)


・ARC(台湾) 画像を拡大


ベスパ(伊)のサイトに使用されている人物の部分のみが切り抜かれ、ARC(台湾)のサイトに転用されている。それどころかご丁寧に、モデルが手に持っている安全帽が、しっかりと自社(ARC)製品に切り貼りされている様子も見て取れる(※同様の手法でPAULOというヘルメット・ブランドは、なんとAraiヘルメットの上に自社ブランドロゴを切り貼りした画像を公式サイト上で使用している)。

ここまで堂々としていると、何か意図があるのかと疑わしくもさえ思えてくる。
もしくは、そういう文化なのだろうか。

※2018年追記:ARC公式サイトの更新に伴い、上記画像は消滅。
※件のPAULOのArai切り貼り画像も、いつの間にか消滅。

--------------------------------------------------

■2014年5月5日 一部追記、誤記訂正
■2014年5月6日 改訂
■2014年5月7日 改訂、おまけ加筆
■2014年5月8日 表現見直し、誤字修正
■2014年5月12日 改訂、表現見直し、誤字修正、追記
■2014年5月14日 一部改訂
■2014年10月21日 一部改訂
■2016年9月21日 一部改訂
■2016年10月25日 一部改訂、画像修正
■2017年5月5日 ARC A720 参考URL表記追加
■2018年4月16日 一部改訂、追記
■2021年6月13日 一部改訂、台湾企業名を追加
■2023年9月26日 一部改訂、冒頭に「おことわり」を追加、など
Posted at 2014/05/04 19:47:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | ヘルメット | 日記

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何シテル?   07/21 19:22
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