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ひでじゅのブログ一覧

2014年04月19日 イイね!

備忘録 アドレスV125S レッツ4 メーター周辺からの異音の出所

アドレスV125S(UZ125SL0)のメーター周辺から生じていた異音の出所を特定し、原因解消および音の抑制の工作を実施したため、備忘録を投稿しておく。

まずは一つ目。
ハンドル周辺から生じていた、金属音を伴う異音の解消。

結論から書くと、こちらの音の原因は、ハンドルバーにハンドルカバーを固定している左右2本のネジの緩みだった。



画像は、左側ネジの位置を示す。

旭風防AD-19を装着してから(ハンドル周辺の重量が一気に増加すると共に)純正状態よりも明らかにハンドルバーの震えも増えていたので、その結果、このハンドルカバーの固定ネジが緩んだものと考える。

因みに、異音はエンジンブレーキ時に発生する車体の振動で鳴っていた。エンブレをかける度にメーター周辺から異音が出る場合、メーターカバー裏のネジ類を点検すると良いかも知れない。

[2016年追記]
アドレスV125Sの初期型に使用されていたハンドルカバーは密かに更新されており、現行パーツには、取り付けねじの基部&ネジの大型化と、メーターカバー(いわゆるライトカウル)取り付けツメの一部大型化といった、振動への細かな配慮が施されている。

--------------------------------------------------

二つ目。
こちらは、ハンドルの下あたりから鳴る不快な異音の抑制。
実を言うと、既にレッツ4で経験済みのマイナートラブル。V125Sにも対処の必要性を感じてきたため、今回のハンドルカバー分解作業に便乗して、工作を実施。

ハンドルを大きく切る度に、ハンドルの下あたりから「キュイ」「ギュギョ」「ギギイ」という不快な音がする場合、それは、スロットルケーブルとメーターカバー・ハンドルカバーの接触が原因。



画像の部分にあるコの字の形の切れ込みが、それ。

この合わせ目に設けてある逃がし部分にスロットルケーブルを通す構造なのだが、ケーブルの皮膜とカバーの樹脂は決して滑りやすい素材同士ではないため、擦れる度に結構な抵抗が生まれ、果たして不快な音が出てしまう。

V125Sの場合、ハンドルを大きく切らない限り、それほど派手に鳴る訳では無い。それでも取り回しの際やハンドルロックの際に嫌な音が出る事がある。気に入らない時は、スロットルケーブルにスポンジ等を巻いておけば、樹脂と擦れる事が無くなり、音も出なくなる。

レッツ4の場合、この部位から音が鳴る機会がとても多い。何せ、フロントサスペンションが動作するだけでもスロットルケーブルとハンドルカバー・メーターカバーが擦れ合ってしまい、キッキッ・ギッギッといった不快な音が出る。駐輪場などでの取り回しにおいても、優しく押し歩きするだけでギギイ・ギギッと鳴るため、買って1ヶ月でカバーを分解してスポンジを巻いた次第。

レッツ4/レッツ5/V50の三兄弟シリーズの多くは同様の構造なので、車体の押し歩きの度に聞こえてくる不快な摩擦音にお悩みの方は、この部分に工作をすると良いかも知れない。
Posted at 2014/04/19 03:15:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2013年05月02日 イイね!

スズキ レッツⅡ(レッツ2) マイナーチェンジの歩み 改訂版 AZ50/G/S/L/D/U/UD/GS/SS/UDS BB-CA1KA/KB BB-CA1PA/PC

今回は、スズキの50ccメットインスクーター、レッツⅡ(レッツ2)についての備忘録を投稿。
2016年1月追記:「Ⅱ」は環境依存文字のため、以降は「2」と表記。




■レッツ2の生い立ち 
「レッツ2」の初登場は、1996年。
新発売されたばかりの当時のスズキ最新型50ccメットイン・スクーター「レッツ」の姉妹車(廉価版)としてデビュー。

・スズキ レッツ 型式:CA1KA 1996年2月発売
機種名:AS50T 標準価格(税抜):144,000円

・スズキ レッツ2 型式:CA1KA 1996年5月発売
機種名:AZ50T 標準価格(税抜):99,800円

真骨頂は、最新型にも関わらず10万円を下回った車両価格(※)。これは「9・9・8(きゅう・きゅっ・ぱ)」というキャッチコピーにも用いられ、人気女性タレントを起用したコマーシャルフィルムなどで一般客層、特に女性への強い訴求を実現。発売直後から評判を呼び、一躍、スズキ原付スクーターのスタンダードという立場へと躍り出た。

■参考画像:スズキ レッツ2 コマーシャルフィルム

引用:スズキ二輪

※10万円以下…
厳密に言えば、CA1KA・レッツ2の新発売当時の販売価格は消費税抜きで、99,800円。上図CMキャプチャー画像下端のテロップ「保険料・税金(消費税を含む)・登録などに伴う諸費用は別途申し受けます」にもある通り。なお、1996年5月時点での日本の消費税は、3%。


■レッツ2のメカニズム
横置きシリンダーの空冷単気筒2ストローク50ccエンジン、テレスコピック式のグリース封入式フロントサスペンション、前後リーディングドラム式ブレーキなど、基本的なメカニズムはベースモデルのレッツを踏襲。外観的に全くの別物とも思えるレッツとレッツ2ではあるが、その基礎となる重要部分が同一(乗り物としての仕組みが同じもの)であるため、国土交通省に申請・受理された両者の『型式』は共に同じ、『CA1KA』のままとなっている。



搭載エンジンも基本的にAS50・レッツと同じものゆえ、6.8psの最高出力やトルクなどのスペック面における差異は無いが、実は構成部品に細かな変更が施されており、外からは見えない(スペック上に現れない)部分での違いが存在する。代表的な例がウェイトローラーで、レッツ2のウェイトは1個あたりの重量をレッツの2倍相当にすることで部品点数の削減に貢献している。

・メモ 初期型レッツ/レッツ2のウェイトローラー
初期型レッツ → 外径17mm 6.5g * 6個 = 39g
初期型レッツ2 → 外径17mm 14.0g * 3個 = 42g


■レッツ2のデザイン
レッツとレッツ2とのルックスの違いはヘッドライトの搭載位置と、その形状の違いによるところが大きいのだが、実はレッツ2に採用されたハンドルマウントのヘッドライトやウインカーなどの主要部品の大半は、かつて同社が製造・販売した50ccスクーター・セピア(N型)からの流用であり、レッツ2のために新造したものでは無かった。


■参考画像:CA1EA スズキ セピア AF50N (1992年) 引用:スズキ二輪

新発売となる最新型の「顔」に相当する重要部分にあえて生産中止モデルの部品を用いるという手法は斬新、かつ非常に稀なもの。いかにAZ50・レッツ2の開発コストが抑えられたものだったのか、その様子がうかがえる。

・メモ セピア系とのパーツ互換
上述のとおり、初期型レッツ2のヘッドライト周辺は、旧型セピアの後期生産車両・AF50N型からの流用。フロント側のサスペンション(フォークセット)やホイールなどは、新型セピアの後期生産車両(AJ50P/R型)のパーツが使用されている(一部のパーツ群は、レッツ2の生産途中で更に更新されている)。





■レッツ2の車体の大別
スズキ・レッツ2は、その生産時期と車体の仕様を根拠に、初期型、中期型、後期型の3つに大別される。更に踏み込むと、採用されている部品の違いにより、初期型は3種類、中期型が3種類、後期型を2種類に区別する事が出来る。

それぞれの判別は、車両の製造時に付与された車体番号、いわゆるフレーム・ナンバーを根拠とする方法が確実(※)だが、「工場出荷状態のままである」という確かな前提が約束されるのであれば、外観から見分けることも不可能では無い。以下に、それぞれの特徴を列記する。

※エンジンと電装部品一式まで交換されているような改造車両の場合は、この限りではない



・初期型 CA1KA/KB
(1型) 1996年販売。6.8psエンジン搭載。
(2型) 1997年販売。6.8ps。インナーラック新装備。
(3型) 1998年販売。騒音規制対応6.3psエンジン搭載。全車キーシャッター・燃料計装備。

・中期型 CA1PA
(4型) 1999年販売。排ガス規制対応6.1psエンジン搭載。前後別色ウインカー。燃料計装備。
(5型) 2000年販売開始。6.1ps。前後クリアレンズウインカー。燃料計装備。
(6型) 2002年2月販売。6.1ps。前後オレンジウインカー。燃料計は削除。

・後期型 CA1PA/PC
(7型) 2002年9月販売開始。6.1ps。給油口シート下。5.3リットル燃料タンク搭載。
(8型) 2007年販売。6.1ps。10mmターナー付きバックミラー装備。ファイナルモデル。

因みに、これら「何々型~」という表現は、このブログ内に限る便宜的なものなので、念のため。




■あれこれ出てくる意味不明な英文字について
本文中で使われている表現のうち、機種名・AZ50の後ろに付くアルファベットの意味は、次のうちのどちらか、もしくは、その両方とする。

・バリエーションモデルのコード
頭文字となる英文字(1~2文字)で、そのモデルの種類を表す。
(G) → ジー。盗難抑止装置を搭載した上級仕様車。
(L) → エル。ローシートに加えリアキャリアなどを取り付けた女性向けの上級仕様車。
(S) → エス。フロントにオイルダンパーフォークとディスクブレーキを装備したスポーツ仕様車。
(D) → デラックス(DX)。リアキャリアと専用ステッカーがおごられた特別仕様車。
(U)(UD) → コンビネーションブレーキを搭載しない廉価仕様車。
( ) → 英文字が何も無い=基本的には標準グレードを意味する。生産年によって例外あり。

・イヤーコード(年番号)
スズキのスクーターやモーターサイクルの機種名に付与される、生産開始年度を示す英文字、ないし英数文字の組み合わせによる文字列のこと。
スズキ二輪における50㏄スクーターへのイヤーコードの導入は、1989年のKから(※公式情報未確認)。当初はVINのVIS(※詳しくはweb検索をどうぞ)に則ったコード進行を続けていたが、21世紀への到達を機にローマ字一文字の形式にアラビア数字を加えた計2文字での表現に更新されている。レッツ2系では、1996年から2007年までの文字が、機種名の最後に付く。

1989年:K
1990年:L
1991年:M
1992年:N
1993年:P
1994年:R
1995年:S
1996年:T ← レッツ/レッツ2 新発売
1997年:V
1998年:W
1999年:X
2000年:Y
2001年:K1
2002年:K2
2003年:K3
2004年:K4
2005年:K5
2006年:K6
2007年:K7 ← レッツ2 生産中止(終了)

2008年:K8
2009年:K9
2010年:L0
2011年:L1
……


『AZ50GT』と表記された場合、それはレッツ2 Gの1996年販売車両(モデルT)、という意味になる。

注意:各種コードには半角スペースが含まれることがあるが、これは、いわゆる「表記ゆれ」。公式記録上でも、スペースの有無は統一されていない。




■レッツ2の初期型について

【CA1KA/KB】

※モデル例(画像引用:スズキ二輪)

最も初期に製造・販売されたレッツ2が、このCA1KA/KB。
飽きのこないオーソドックスな、角形ヘッドライトとハンドルカバーが特徴。

型式(モデルコード)は、通常のレッツ2シリーズがCA1KA、レッツ2SのみがCA1KB。

Sの型式が「KB」という個別のものである理由は、フロント側の懸架装置と制動装置が、ノーマルと全く異なるオイルダンパー&油圧ディスクブレーキ方式であるため。
「かなり見た目が違う割に型式は同一」というレッツとレッツ2の関係性については前述した通りだが、レッツ2とレッツ2Sは正に、その逆で「見た目は大して変わらないのに(肝心なところが違うので)型式が違う」という関係にある。

ちなみに、この「~A」「~B」といった区別はスズキ50㏄スクーターの伝統的な取り扱いで、後年のレッツ2には「C」も加わる(CA1PA、CA1PB、CA1PC)。

なお、上の図表中の「コンビブレーキ」とはコンビネーションブレーキの意味。左手で後輪ブレーキを操作すると(連結された鋼線により)前輪にもブレーキがかかる仕組みの事を指す。厳密なところを言えば、本来 “ コンビブレーキ ” という呼び名はホンダ独自の呼称であり、スズキ車には当てはまらない。念のため(表中スペースの都合で略した次第)。

・メモ スズキ50㏄スクーターにおけるモデルコードの末尾
型式の区別に用いられるA・B・Cのローマ字は発売順で与えられるとは限らず、また「ドラムブレーキ車がA」といった基準がある訳でも無い。顕著な例として、1987年~1988年に販売が開始された初代アドレス・シリーズが挙げられる。
・CA1CB アドレス/Address (AD50 1987年11月 トレーディングサス&ドラムブレーキ)
・CA1CC アドレスウェイ/Address Way (AD50W 1988年4月 テレスコピックサス&ドラム)
・CA1CA アドレスチューン/Address Tune (AD50T 1988年4月 ト(中略)サス&油圧ディスク)


・メモ モデル呼称「U」について
1998年に出荷された前後ブレーキが個々に作動する(一般的なブレーキ構造の)レッツ2は、その生産台数が少なく、事実上の限定車の取り扱いとなっていた。この「コンビネーションブレーキ装置が付いていないレッツ2=AZ50U」という図式は、以降のモデル(CA1PA~)へ継続される。


■初期型(1) AZ50T/GT 1996年販売
6.8psエンジンを搭載する、最も初期のレッツ2。
普及モデルのAZ50と、センタースタンドロック機構を装備するAZ50Gが、同時に発売された。
ほどなく水面下でキャブレターが変更されるが、外からの判別は難しい。

■初期型(2) AZ50T/GTの後期出荷分と、AZ50SV、およびAZ50LV 1997年販売
全車にフロントのインナーラックを新採用した、中期出荷分。
バリエーションモデルのS、およびLが市場に流通するのは、この年から。
この時期に新発売となったインナーポケット付きの後期GとLは併売の体勢が取られ、販売店では専用カタログも配布されたが、Gの出荷はここまでとなる。

■初期型(3) AZ50UW/W/LW/SW/DW 1998年販売
新たな騒音規制に対応すべく専用のチューニングが施された、6.3psエンジンを搭載したモデル。
盗難抑止装置として機能するスライド式キーシャッターを、全車に採用。逆説的にはシャッターキー付きの初期型イコールW型のみであり、特に判別しやすい存在となっている。

・メモ 初期型レッツ2の乗車シートの仕様の違い
最終W型を含むCA1KA/KBには、全部で三種類の乗車シートが存在する。
その内の二種類はローシートであり、かつ、ローシートの代名詞的モデルである「L」以外のレッツ2にも使用された経緯がある。
・通常シート(シート高710㎜)ブラック表皮 → レッツ2、レッツ2G、レッツ2S、レッツ2DX
・ローシート(シート高685㎜)ブラック表皮 → レッツ2コンビネーションブレーキ(AZ50W)
・ローシート(シート高685㎜)グレー表皮 → レッツ2L、レッツ2Lコンビネーションブレーキ


・メモ 初期型レッツ2のウェイトローラーの仕様の違い
通常モデルの14.0g * 3個に対し、レッツ2Lのウェイトは、15.0g * 3個を用いる事で変速が微調整されている。モデルごとに変速装置の調整を行う手法は後年発売のレッツ4バスケットや、アドレスV50(FI)でも見る事が出来る。


・メモ AZ50GTとAZ50LWとの関係
盗難抑止仕様のGはカタログ落ちしているが、実は、その自己主張たるセンタースタンドロック機構のパーツ群は丸ごとLW(初期型レッツ2Lの後期出荷分)に使用されている(※その影響で価格が跳ね上がっている)。この事から、LWは事実上のG統合モデルであったと考える事も出来る。


・メモ 6.8psエンジンと6.3psエンジンの見分け方
加速騒音規制への対応により、数値上の馬力が6.3psへと減少したW型のチューニングエンジンは、クラッチケースカバーを固定するボルトに一般的な六角頭が採用されている。元々の6.8psエンジンのケースボルトは丸い頭のプラスネジであったため、ボルトが交換されていない限りは、プラスネジ=6.8psエンジン、六角ボルト=6.3psエンジン、と区別する事が出来る。


・メモ 初期型レッツ2のサイドスタンド
全てのCA1KA/KBの中で、スズキ純正パーキングサイドスタンドが標準装備となったモデルは、LWのみ(1998年のレッツ2Lのみ)となっている。


それぞれの特徴を図にまとめると、次のようになる。


前述の通りレッツ2Gは途中で販売を終えており、コンビネーションブレーキ仕様の時代には生産が行われていない。そのため、“Gコンビネーションブレーキ”というレッツ2は、公式では存在しない。また、後年発売されるCA1PAの後期型にて『レッツ2G』という名前が再び登場するが、この時代の車体とは様々な部分で仕様が異なっている。

・メモ CA1KA 「AZ50UT」という謎の存在
株式会社デイトナが発行する 『デイトナカタログ(※1981年から30年以上、毎年欠かさず発刊される用品カタログ)』の適合一覧には、謎のレッツ2を意味する『AZ50UT CA1KA-131220~』という型式が掲載されている(※2017年度版では、881ページ目)。
前述のとおりコンビネーションブレーキの有無(AZ50/AZ50U)が設定されたのは、1998年・モデルWから。それ以前(1996年~1997年)のモデルTに「U」が設定されていたという事実は無く、更に言うならば「AZ50UT」という文字列はメーカー提供のパーツリスト上に存在すらしない。どうして?
ちなみにフレームナンバーの範囲は無印、および当該Gを含む最初期出荷モデルに該当する。





初期型における装備面に関する違いは以下のとおり。

レッツ2 AZ50T ¥99,800-(税抜) 1996年
・装備 なし

レッツ2 AZ50UT ¥**,***-(税抜) 199*年
・概要/詳細 共に不明

レッツ2 G AZ50GT ¥129,000-(税抜) 1996年
・メットインランプ ○
・センタースタンドロック ○
・リアフック あり

レッツ2 AZ50UW ¥119,000-(税抜) 1998年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・リアフック あり

レッツ2 コンビネーションブレーキ AZ50W ¥129,000-(税抜) 1998年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・前後連動ブレーキ ○
・ローシート(710mm → 685mm)※ブラック表皮
・リアフック あり

レッツ2 L AZ50LV ¥119,000-(税抜) 1997年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・ローシート(710mm → 685mm)※グレー表皮
・リアキャリア ○

レッツ2 L コンビネーションブレーキ  AZ50LW ¥139,000-(税抜) 1998年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・センタースタンドロック ○
・サイドスタンド ○
・前後連動ブレーキ ○
・ローシート(710mm → 685mm)※グレー表皮
・リアキャリア ○

レッツ2 DX(デラックス) AZ50DW ¥134,000-(税抜) 1998年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・前後連動ブレーキ ○
・リアキャリア ○

レッツ2 S AZ50SV/AZ50SW ¥149,000-(税抜) 1997年~1998年
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・センタースタンドロック ○
・リアキャリア ○
・前輪油圧式ディスクブレーキ ○(Sのみの特別装備)
・オイルダンパー式フロントフォーク ○(Sのみの特別装備)




■レッツ2の中期型について

【中期型 CA1PA】

※モデル例(画像引用:スズキ二輪)

マイナーチェンジにより、イメージが刷新された新型レッツ2。一部の特別装備車を除き、以降の型式はCA1PAとなる。
この時期のモデルはマイナーチェンジの歴史の半ばに位置することから、「レッツ2の中期型」という大きな括りで扱われることがあるが、細かく見た場合、このCA1PAにも「前期」「中期」「後期」が存在する。詳しくは後述。

販売当初から展開されたG(盗難抑止)、L(ローシート)、S(油圧ディスクブレーキ&オイルダンパーフォーク)といったバリエーション設定は、ここで一旦、仕切り直しとなる。

旧型スクーターからのヘッドライトパーツの流用という豪快な手法は終了し、新型レッツ2には現代的な外観と印象を備える新規造形のヘッドライトとメーターカバーを採用。『スズキ・レッツ2』として、この時期のデザインが連想される機会は、決して少なくない。

特記事項は、大きく2点。
ひとつは、排気ガス規制への対応。
仕様の違いこそあれど、以降のモデルに搭載されるエンジンの出力は、全て6.1psとなる。
もうひとつは、エンジンオイルをクランクケースに供給するオイルポンプの作動方式の変更、および、その給油経路の増設。
どちらもファンの間では広く知られており、特に後者は、熱心な愛好家の間で有名な変更点。

その他、この代において『呼称が変わる』という珍事が発生。PA中期の最終モデルとして登場したUD(イヤーコードK2)からは車名が『レッツ2 スタンダード』へと変更され、以降、その姿と内容が変化する。

なお、上の図表のモデル名においてコンビブレーキとは、コンビネーションブレーキの意味。

■中期型(4) AZ50UX/X/LX 1999年3月販売
マイナーチェンジモデルとして市場に投入された最初の販売分。
姉妹車種が当初から設定されていたが、これが非常にややこしい存在となった。

・AZ50U 廉価モデル 税抜13万9千円
最も低い価格設定で提案された、新型レッツ2。
前後のブレーキがそれぞれ独立しているオーソドックスなドラムブレーキを採用。
1998年に発売されたレッツ2同様、モデル呼称にはUの文字が付与される。

・AZ50 標準モデル 税抜14万9千円(※AZ50、の後ろに文字が無い)
前後連動式のコンビネーションブレーキを搭載。車名にも、その名が付く。
センタースタンドロック、サイドスタンド、メットインランプ、リアキャリアの追加装備を誇るが、これだけ部品と機能に差があっても、廉価モデル(AZ50U)との差は、わずか1万円であった。

・AZ50L 低シートモデル 税抜14万9千円
標準モデルに専用シートを採用した女性向けモデル。
従来のコンセプトを継承し、シート高が710mm → 685mmにダウンしている。
装備の内容は、標準モデルに準拠。価格は、標準モデルから据え置き。

念のために繰り返しておくと、モデル呼称に何も付かない(単なるAZ50)ものが標準モデル。
廉価車が、AZ50Uとして扱われる。

外観の刷新に目を奪われがちな99年モデルは、エンジンの機能面にも多数の変更が施された事でも知られる。そのひとつが、オイルポンプの作動方式の変更。電磁弁を用いたソレノイド・バルブ方式から、機械式オイルポンプへと更新されている。
更に、生産途中の変更点としてはオイルポンプのオイルラインの経路数の変更なども挙げられる。こちらに関してはクランクケース上面を覗き込む事でオイルホースおよびオイルホースの付け根に設置されるオイルホースニップルを数えることが出来るため、確認・判別は容易に行えると言える。

・メモ オイルポンプ周りの違い
改良前は、オイルポンプの吐出口が1つのみ。これは、電磁弁式も機械式も、共通。
機械式への更新直後に改良された新型は、吐出口が2つに増設されている。
この新型は、ポンプの吐出こそ2経路ではあるが、実は、その片方のホースの先が途中で2本に分岐する構造。果たして、1+(1+1)=3であり、合計、3経路となっている。


参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(1999年2月1日)
50ccスクーター「レッツ2」シリーズをマイナーチェンジ
スズキ株式会社は、「乗りやすさ」と「安心感」が特長の50ccスクーター「レッツ2」シリーズ(「レッツ2」「レッツ2コンビネーションブレーキ」)を(1999年)3月5日より全国一斉に発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b990201.htm

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(1999年9月22日)
低めのシートが特長の50ccスクーター
「レッツ2L コンビネーションブレーキ」新発売
スズキ株式会社は、「乗りやすさ」と「安心感」が特長の50ccスクーター「レッツ2」シリーズに、シート高を低くし乗りやすさを一層向上させた「レッツ2L コンビネーションブレーキ」を追加設定し、(1999年)9月22日より全国一斉に発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b990922.htm

■中期型(5)
AZ50UX/X/LX 2000年3月販売 (※1999年モデル後期出荷分)
AZ50UY/Y/LY 2000年7月販売 
AZ50UK2/K2 2001年4月販売 (※2002年モデル前期出荷分)

ウインカーレンズが前後共に透明となったPA中期型。
直前まで出荷されていたAZ50Xシリーズと同じXのイヤーコードを持つモデルであるが、わずかな出荷時期の違いにも関わらず車体の仕様は異なっており、全国各地の販売店では「見た目も値段も見分けがつかないが中身が違う」という在庫の混在が発生した。

後期モデルX出荷分以降のレッツ2で注目すべきは、デザイン面ではなく機能面の変更、オイルポンプ周辺の改善の部分に尽きる。

【スズキ・レッツ2におけるオイルポンプ周辺の度重なる仕様変更について】
1999年モデルで改良された新型のオイルポンプとオイルラインに、更なる手直しを加えたものが、この時期に登場した改善型。エンジンオイルの供給経路が見直され、注油箇所および注油目的が変更されている。

TYPE① 従来型:
初期型(1)から中期型(4)の途中までが搭載する旧式のもの。
 オイルポンプ → キャブレターへ

TYPE② 改良型:
中期型(4)の生産途中から採用された3経路分岐式のもの。
 オイルポンプ → キャブレターへ
     |
(ここで2つに分岐) → 一方はクランクシャフト右側へ
     ↓
  クランクシャフト左(オイルポンプギア)側へ

TYPE③ 改善型:
中期型(5)から以降の全てのモデルに搭載された新3経路分岐式。取り回しが改善されている。
 オイルポンプ → キャブレターを中継せずインテークマニホールドへ
     |
(ここで2つに分岐) → 一方はクランクシャフト右側へ
     ↓
  クランクシャフト左(オイルポンプギア)側へ



後述する姉妹車種を含め、この形態が、レッツ2系エンジンの完成形だと解釈することも出来る。

・メモ スズキスクーターにおける2ストロークエンジンのオイル供給経路の歩み
スズキは、このレッツ2以前の旧世代の製品において、複数経路オイル供給の実績がある。
(例:1992年にリリースされたAJ50・セピアのP型に搭載されたオイルポンプ)
しかしながら後年発売のAS50・レッツの新型エンジン設計のタイミングで、これらの豪華装備がカットされてしまった事実は、冒頭に記載した通り。
余談ながら、2経路での供給はセピアよりも更に過去のモデルの時点で、既に達成されている。
(例:1980年代に人気を博したAD50・ADDRESS/アドレス)




・メモ バッテリーの変更
2000年秋から販売されたY型以降、搭載バッテリーが2.5Ah → 2.3Ahへ変更されている。

・メモ レッツ2Lのファイナルモデル
レッツ2Lコンビネーションブレーキのファイナルモデルは、この時期に販売されたAZ50LY。
つまり、『レッツ2L』と名の付くスクーターは、どれほど新しくとも、この2007年7月以前の型。
ちなみに中期型Lに使用されたローシートは、CA1KA・初期型レッツ2コンビネーションブレーキのものだった(ブラック表皮の685mm仕様)。

・メモ 特殊な大型リアキャリア
全バリエーション中、特に異彩を放つ存在が、この時期の最後を飾ったUK2/K2。
1996年の発売以来、右肩上がりに価格上昇の一途を辿ったレッツ2の上位モデルはUK2/K2の時点で15万円台にまで値上がりしてしまったが、そんな2002年モデルの特徴はズバリ、複合素材を用いた大型リアキャリア(※)。後にも先にも、この特殊キャリアを搭載したレッツ2は当代・K2のみとなっている。

※複合素材を用いた大型リアキャリア…鉄パイプで構成された従来式のリアキャリア(荷台)を、特製の樹脂カバーで覆ったもの。『ロシア極東に代表される寒冷地での運用においてスチール・キャリアはヒトのヒフが張り付くなどといった事故の原因になり兼ねないため外殻に温度変化の少ない樹脂を用いた』、という説をバイク販売店某(※既に廃業)にて聞いた記憶があるのだが、本当のところは分からない。


■中期型(6) AZ50UDK2 2002年2月販売
CA1PA中期型の最後を飾る事となったモデルが、このUDK2。
3種類あったモデルを統合した結果、コンビネーションブレーキ設定は消滅。
機種名は「AZ50・AZ50U・AZ50L」の三種から「AZ50UD」へと一本化され、あわせて車両の通称名は『レッツ2スタンダード』にあらためられた。

このモデルは、従来比20%以上(※公式発表値)という凄まじいコストカットが施された車両。最も大胆な変更を受けたのは各部のカバー類で、構造・形状の調整によって部品点数と樹脂の面積(=材料の使用量)を削減。レッグカバーやハンドルカバーに至っては、素材自体に色が付いている着色樹脂材料を使用する事によって、塗装の行程を省略。結果、車体そのものが持つ雰囲気を大きく変える事無く、全体で2割以上のコストダウン(公式案内より引用)を実現させている。

・メモ 中期型レッツ2のウェイトローラーの仕様の違い
UDK2のコストカットは内部にも及んでおり、それまでレッツ2向けの部品で構成されていた駆動系変速装置には、この型のみCA1PB・AZ50Rインチアップスポーツ・ZZの部品が丸ごと流用されている。そのため、UDK2のウェイトローラー設定は、8.5g (注:厳密には8.6g)* 6個。駆動系消耗部品の適合においてUDK2用のみがインチアップスポーツ・ZZと共通とされる理由は、ここにある。なお、これら部品の仕様は直後のマイナーチェンジで再度、変更される。





■補足 CA1PA・レッツ2の顔の違い
CA1PAには、大きく分けてふたつの顔(ヘッドライト&ハンドルカバー)が存在する。
見分け方は実にシンプルで、ZZの顔か否か、の一言に尽きる。

丸顔……CA1PAの最初期生産分(No.143952まで)と、UDK3以降のもの。
ZZ顔……CA1PAの中期生産車両。No.143953から、UDK2のラストまで。

■参考画像:CA1PA初期出荷モデル(左)と中期出荷モデル(右)の例 引用:スズキ二輪

ZZ顔では無い仕様(便宜的に”丸顔”と呼称)は、1999年夏モデルに採用されていた、丸みのあるライトとハンドルカバーの組み合わせ。強いて例えると、どこか優しげな造形。
対するZZ顔は、2000年春に新発売となったCA1PB・インチアップスポーツ・ZZのヘッドライト&ハンドルカバーの流用で、より精悍な印象の顔つきに仕上がっている点が特徴。2000年7月発売のモデルX後期出荷分から2002年のUDK2までのレッツ2シリーズは、このZZ顔での製造が行われている。

その後、安価路線への回帰が実現した着色樹脂外装のUDK3で、丸顔が復活。一瞬で姿を消した1999年モデルとは比較にならない生産台数となり、「レッツ2スタンダードの顔」として、広く知られる事となった。

なお、本家ZZとレッツ2のZZ顔は、ライトのレンズとライトカウル(ハンドルカバー)、およびメーターカバー(リアハンドルカバー)と配線ソケット&バルブが共有部品。ライト本体ケース(ヘッドランプユニット)のみ別物の扱いで、部品番号が異なる。部品の検索や注文の際は、注意が必要。

■補足 丸顔とZZ顔の違い
インターネット上の画像や動画では判別が困難だが、同じ「CA1PA」同士であっても、丸顔のレッツ2と、ZZ顔のレッツ2のヘッドライトとカウルは、両者で形が異なる。
具体的にはライトの上下の高さ(立幅)が違っており、それにあわせて、ライトカウル(ハンドルカバー)の形状も違っている。

これを知らずにZZ顔のCA1PA(当該ページで言うところの5型・6型)に丸顔用の外装を組もうとすると、前後幅が足りず、まるでズレたカツラを被っているかのような隙間がライトの上に出来てしまう。修理やレストアで外装類を入手しようとする際は、この点に注意。

ちなみに「給油口がメットインの外にあるタイプ」「CA1PA前期型用」などといった説明でインターネット通信販売や業者向けの販路で流通する非純正の「レッツ2外装5点セット」のなかには、ご丁寧に、生産台数の少ない丸顔版で整形されたハンドルカバーが入っている商品が存在する。確かに「CA1PAの前期」には違いないため、適合案内は「合っている」わけだが、いくらなんでも、それは不親切と言わざるを得ない。

参考までに、もう少し突っ込んで書いておくと、インチアップアップスポーツ・ZZ(スズキZZ・スズキジーツー・AZ50R・CA1PB)向けの非純正外装6点セットなどは更に酷く、「ZZ用」と書いておきながら丸顔版のレッツ2のハンドルカバーが同梱されているという、悪夢のような粗悪品も存在する。

・補足メモ レッツ2のヘッドライトバルブ
レッツ2の中期型は、全モデルが12V 40/40Wのヘッドライトバルブを使用する。
「この時期のスタンダード」であるUDK2も、例に漏れず40Wバルブ。
対して、K3以降の「後から出た方のスタンダード」は、全モデルに30/30Wの電球を使用する。
「レッツ2スタンダードの電球」で一括りにすると間違え兼ねないので、注意が必要。

CA1KA前期:25/25W T/GTのみ(※セピアN型と共通)
CA1KA中期:30/30W V/LV
CA1KA後期:30/30W W/UW/LW/DW
CA1KB全種:30/30W SV/SW

CA1PA前期:40/40W 丸顔のX/UX/LX
CA1PA中期:40/40W ZZ顔のX/UX/LX、Y/UY/LY、K2/UK2、UDK2
CA1PA後期:30/30W UD/UDS全種(K3/K5/K6K7)、G/GS全種(K4/K5/K6/K7)
CA1PB全種:40/40W AZ50Rシリーズすべて(AZ50R・RR・SR・RS・RZの各年式)
CA1PC全種:30/30W SK3/SSK3

中期型ヘッドライトのベースとなったインチアップスポーツ・ZZのヘッドライトバルブは、全年式を通じて40/40W。
CA1KAの初期生産車両のみ25/25W電球だが、これは元になった旧型セピア(N型)のパーツ流用が原因。時代に合わせたのだろうか、発売から間もなく30/30Wに更新されている。

(※「丸顔」「ZZ顔」はこのブログ内でのみ通用する便宜的な呼び方なので、念のため)





参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2002年1月25日)
国内生産で低価格を実現した
機能版スクーター「レッツ2 スタンダード」発売
スズキ株式会社は、通勤や通学、買い物など日常の足として使われる50ccスクーターに必要な機能を絞り込み、価格を11万円台に抑えたベーシックなスクーター「レッツ2 スタンダード」を(2002年)2月23日より全国一斉に発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b020125.htm

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2002年6月21日)
50cc スクーター「レッツ2 スタンダード」に車体色追加
スズキ株式会社は、国内生産で低価格を実現した機能版50ccスクーター「レッツ2スタンダード」に、青と黒の車体色を追加し、(2002年)7月8日より全国一斉に発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b020621.htm

それぞれの特徴を図にまとめると、次のようになる。


手軽で判り易い見分け方は、やはりウインカーの仕様の違い。
前後のレンズの組み合わせで、PAは前期/中期&後期/最終が明確に区別される。

中期型(4)PA前期販売分 → フロントがクリア・リアがアンバー
中期型(5)PA中期販売分 → フロントもリアもクリア
中期型(6)PA中期最終販売分 → フロントもリアもアンバー (※以降の全モデルがこの仕様)




中期型における装備面に関する違いは以下のとおり。

レッツ2 AZ50UX/AZ50UY ¥139,000-(税抜) 1999年~2000年販売
レッツ2 AZ50UK2 ¥144,000-(税抜) 2001年販売

・燃料計 ○
・メットインランプ ×/○ 2001年販売分に装備
・センタースタンドロック ×/○ 2001年販売分に装備
・サイドスタンド ×/○ 2001年販売分に装備
・リアキャリア ×(リアフック装備)/○ 2001年販売分に樹脂カバー付きリアキャリア装備

レッツ2 コンビネーションブレーキ AZ50X/AZ50Y ¥149,000-(税抜) 1999年~2000年販売
レッツ2 AZ50K2 ¥154,000-(税抜) 2001年販売

・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・センタースタンドロック ○
・サイドスタンド ○
・前後連動ブレーキ ○
・リアキャリア ○/○ 2001年販売分に樹脂カバー付きリアキャリア装備

レッツ2 L コンビネーションブレーキ AZ50LX/AZ50LY ¥129,000-(税抜) 1999年~2000年販売
・燃料計 ○
・メットインランプ ○
・センタースタンドロック ○
・サイドスタンド ○
・前後連動ブレーキ ○
・ローシート(710mm → 685mm)
・リアキャリア ○

レッツ2 スタンダード AZ50UDK2 ¥112,000-(税抜) 2002年販売
・リアキャリアもリアフックも何も付いていない
補足:初期型および中期型において「リアキャリアが無いレッツ2」の公式画像が広く出回っているが、1999年までに実際に出荷・販売された車両にはリアフックが取り付けられている(当該パーツリストにも記載あり)。しかし上記UDK2は、公式画像のとおり「キャリアもフックも無い状態」が、正解。

■参考画像 web上で見かける機会の少ないAZ50UK2の公式写真について

2001年の前半に販売されたK2/UK2に限っては、通常仕様にもコンビネーションブレーキ仕様にも樹脂製のカバーで覆われた専用リアキャリアが付属しており、加えて、販促向けの画像にも、そのリアキャリアがしっかりと写っているのだが、その画像はweb上にほとんど出回っておらず、果たして専用リアキャリアの姿と共にK2/UK2の存在自体も、あまり知られていない。

こちらが、そのUK2の姿を収めた公式の画像(引用:スズキ二輪)。歴代のSやDXほどではないにせよ、レッツ2としては珍しい車体のひとつとなっている。

・メモ リアキャリアとリアフックの違い
後年発売のAZ50UDK3(レッツ2 スタンダード)からは、新造形の(新型レッツ2 スタンダード専用の)リアフックが装備される。
「レッツ2 スタンダードにリアキャリアは付いてないよ」
「あれ?自分が買ったスタンダードにはキャリアみたいな取っ手が付いてたけど?」

といった主張の食い違いが生じる原因は、この新旧レッツ2 スタンダードの仕様違いにある。





■レッツ2の後期型について

【後期型 CA1PA/PC】

※モデル例(画像引用:スズキ二輪)

レッツ2の長く複雑な遍歴の中で、特にシンプルな存在となっている後期型。

直前に販売されていたレッツ2 スタンダードから、更に徹底したコストカットが施されている。
その徹底ぶりは部品点数の見直しどころか、外装各部の形状を変更して樹脂の面積(=使用する樹脂の量)自体を減らすという、文字通りの「身を削る」手法にまで発展しており、正に「手段を選ばない」といった印象。外装の樹脂素材の選定と塗装の省略にまで及んだ独自のコストカット論は、当時の経済情報番組(テレビ東京系・ワールドビジネスサテライト)で、取り上げられたほど。

・メモ スペシャルカラーの設定
この時代のレッツ2は、メタリック塗装モデルを「スペシャルカラー」という特別グレードとして設定、通常車両価格に対して4,000円高で提案する、といった手法が取られている(※実際のところは、前述の通り「ソリッドカラーモデルが(メタリックカラーに対して)4,000円も安く売られていた」、というのが正解)。
なおスペシャルカラーモデルを表す文字は、「S」。ディスクブレーキ仕様の「S」と同じであったことから、この時期のレッツ2の型式は、かなり紛らわしい。
・AZ50UDK3のスペシャルカラーモデル → AZ50UD S K3
・AZ50USK3のスペシャルカラーモデル → AZ50US S K3


機能面では、「座席の下に給油口がある」という要素も、この型以降にのみ存在する特徴。
後期型はシートロックを外して座席を上げないと給油口が露出しない仕組みであり、給油の際にはシートを開ける必要がある。現行のスズキ小排気量スクーターの多くが同様の構造となっているが、CA1PA・レッツ2の後期生産車両の構造は、その造詣のルーツに近いものを感じさせる。

型式は、CA1PAがレッツ2 スタンダードおよびGシリーズ、CA1PCがレッツ2Sシリーズを示す。

・メモ 後期型レッツ2Sの型式について
後期型レッツ2 スタンダードのCA1PAという型式に対し、後期型レッツ2Sの型式はCA1PC。何故、AとCの間である「CA1PB」が抜けているか?と言うと、その理由は他でもないレッツ2の兄弟モデル、インチアップスポーツ・ZZの型式として、CA1PBが既に使用済みであったから。(CA1PB AZ50R)。

・メモ K3以降のレッツ2スタンダード/S/Gの違い
CA1PAモデルK3以降のレッツ2では、コンビネーション・ブレーキ・システムの廃止と入れ替わるように、初期型にのみ存在したバリエーション設定、SとGが復活した。旧型のSおよびGとの細かな違いはあるが、おおよそ意味するものは同じであり、Sはディスクブレーキ+センタースタンドロック機構付き、Gは盗難抑止装置(センタースタンドロック機構)付きを、それぞれ意味する。

・メモ ローシート仕様のLの消滅と、標準座席のローシート化
前項でも触れた通り、ローシート仕様のL設定は、廃止。後期型はシート造形が見直されており、全車標準で5mmのローダウン&ナローシート化を実現した新型の乗車シートを装備している。


なお、上の図表のモデル名においてSTDとは、スタンダードの意味。
STD SPカラーとは、スタンダードスペシャルカラーを意味する。

その他に特筆すべきは、そのモデル遷移の少なさ。2002年から2007年までの4年半もの間、主だった変更が僅か1度のみという点は、非常にレッツ2らしからぬものとなっている。

ただし、その代わりと言っては難だがリコールは発生している。

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2004年3月25日)
レッツ2/レッツ2Sのリコールについて(平成16年3月25日届出)
平成16年3月25日、国土交通省にレッツ2/レッツ2Sのリコールを届け出致しました。
http://www.suzuki.co.jp/about/recall/2004/0325.htm

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2009年5月25日)
レッツシリーズ、アドレスV50、アドレスV125のリコールについて
スズキ株式会社は、レッツシリーズ、アドレスV50、アドレスV125について、下記のリコールを国土交通省に届け出いたしました。
http://www.suzuki.co.jp/about/recall/2009/0525b/

■後期型(7)
AZ50UDK3/5/6 ※K4の販売は無い 2002年~2006年販売
AZ50UDSK3/5/6 ※K4の販売は無い 2002年~2006年販売
AZ50SK3/SSK3 2003年販売
AZ50GK4/5/6 2004年~2006年販売
AZ50GSK4/5/6  2004年~2006年販売

『スタンダード』という車名こそ前モデルから引き継いだ格好となっているものの、ガソリンタンクをはじめとする機能部品の構成には大きな変更が施されており、また、長らく標準装備となっていた車体前方のインナーラックやシート左脇のスタンドグリップも廃止されている。大きな変化のない外観や呼称から受ける印象に比べ、刷新された部分は意外なほど、多い。

・メモ 新旧スタンダード同士の相違点
前の項でも取り上げたが、同じ『レッツ2 スタンダード』同士でも、新旧で次の相違点がある。
①リアフック → 新型に装備。旧型は何も付いていない。ボルトだけ締めてある。
②ガソリン給油口 → 新型はシート下。旧型は車体の後部にフタが付いている。
③シート脇のグリップ → 新型はグリップが無い。旧型はグリップが付いている。
④ウェイトローラー → 新型は10.0g(注:厳密には9.8g)。旧型はインチアップスポーツ・ZZと同じ8.5g(注:厳密には8.6g)。
⑤ガソリンタンク → 新型は5.3リットルタンク。旧型の容量は5.5リットルで、若干多く入る。
⑥シート高 → 新型は、旧型より5mmシートが低い。


新スタンダードの変速装置には、直近のUDK2の仕様(※インチアップスポーツ・ZZの流用)は反映されていない。大部分は、レッツ2シリーズ本来の仕様(ふたつ前のモデル・UK2/K2までの構成)をベースに更なる変更を施した内容となっている。ただし、従来から大きく異なる部分も存在する。UDK3以降のレッツ2には、10.0g (注:厳密には9.8g)* 6個のウェイトローラーが新たに採用されている。

・メモ レッツ2のウェイトローラーの個数
上記の通り、シリーズ後期に出荷されたUDK3~7のレッツ2のエンジンに搭載されるウエイトは、全車6個が正しい。その長い販売期間のなかで、14g * 3個、15g * 3個、8.6g * 6個、そして9.8g * 6個という仕様変更を経たAZ50・レッツ2は、その整備の話題において「WRは3個が正しい」「いや6個が正解」といった主張の食い違いを引き起こす事が稀にある。

・メモ 後期型レッツ2のウェイトローラー
外径17mm 10.0g(9.8g)のウェイト部品は、あっという間にメーカーカタログから姿を消した事でファンに知られるCA1NA・UG50アドレス(※1998年に発売されたアドレス110の50cc版的な車両)の系譜以外に使われる機会が無かった、不遇の部品のひとつ。シリーズと縁が無かった特殊な重量のウェイトが急に採用された背景には、コストカットを名目とした在庫処分の目的があったのではないかと邪推したくもなるのだが、本当のところは分からない。


復活したディスクブレーキ&フロントオイルダンパー仕様のSの販売は、2003年早春の1度のみ。祖先と共にレアなモデルとなっている。特別装備のフロント周りは今も愛好家の間で語り草となっているが、この2003年発売のSに搭載されるフォーク/ステム/ホイール/アクスルといった主要パーツは、実のところ祖先となる1998年版のSV/SWと共通。こちらも、長らくメーカー側で死蔵の状態に陥っていたであろうS専用部品の放出が目的だったのではないか、と勘繰りたくもなるのだが、こちらも本当の所は不明。

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2002年9月19日)
50cc スクーター「レッツ2 スタンダード」を一部改良し発売
スズキ株式会社は、国内生産で低価格を実現した機能版50ccスクーター「レッツ2スタンダード」を一部改良し、価格を7千円引き下げ10万5千円の新価格で(2002年)10月8日より発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b020919.htm

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2003年1月28日)
50ccスクーター「レッツ2 S」を発売
スズキ株式会社は、50ccスクーターの人気車種「レッツ2」シリーズに、フロントディスクブレーキやオイルダンパー式フロントフォーク等、走行機能を高める装備を標準装着とした「レッツ2 S」を追加設定し、(2003年)2月5日より全国一斉に発売する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b030128.htm

参考情報:スズキ二輪ニュースリリース(2003年2月21日)
「レッツ2」シリーズに新色を追加
スズキ株式会社は、50ccスクーター「レッツ2スタンダード」および「レッツ2S」の車体色に新色を追加する。
http://www.suzuki.co.jp/release/b/b030221.htm

■後期型(8)
AZ50UDK7/UDSK7 2007年2月販売
AZ50GK7/GSK7 2007年2月販売

CA1PA後期型の最終販売分、レッツ2のファイナルモデルが、このモデルK7。
知る人ぞ知る最後の変更点はバックミラーであり、レッツ2は最終販売分にのみターナー(衝撃緩和装置)式10mm取り付け軸のバックミラーを搭載する。この最終モデルは、同じく派生モデルとして活躍したインチアップスポーツ・ZZと共にスズキ2サイクル50ccエンジンメットインスクーターの最後を飾る事となった。

・メモ ターナー式のバックミラー
誤解を恐れず一言で表すのならば「10mmネジのバックミラー」のこと。
真面目に表現するならば、これは「道路運送車両法による新たな保安基準に適合するために設計された衝撃緩和装置の付きバックミラー」のことで、歩行者や他の車両などとミラーが接触した場合、その衝撃や応力によってミラーの取り付け基部が(進行方向とは逆の向きに転回する事により)緩む仕組みになっている。
古くからヤマハ発動機の車両に採用されている右側の逆ネジミラーと基礎を同じくする発想だが、ターナー式ミラーは、それよりも(歩行者に当たった時点で確実に緩むように機能させる必要があるため)緩みやすく締め辛い傾向にあり、慣れるまでは案外、取り扱いが面倒。

・メモ AZ50RZ K7
インチアップスポーツZZの最後を飾ったのは、リミテッドカラー・ファントムブラックメタリック(※)。全国限定1,000台販売。ブラックのアルミキャストホイールを含め車体全体を暗色調に仕上げた硬派モデルで、グレー/ブラックの2トーンシートを装備していた。
ZZにはテレフォニカ・モビスターカラーや3,000台限定のマットブラックメタリック、そして梁明(りょう-あきら)選手の全日本ロードレース選手権スーパーバイク・クラス総合優勝を記念して生産されたスズキ・ワークスカラーといった様々な限定カラーバリエーションが存在したが、ことモデルK7リミテッドは2サイクルの最後を飾ったという意味で、より特別な車体となっている。

※ファントムブラックメタリックに関するおまけメモ
1. 実際の印象は、グレー風味の効いたガンメタリック(灰色がかった黒鉄色)。
2. 実際の書類にはファントム(幽霊)ブラックではなく、ファトムブラックと表記されたものがある。
 (そのためメーカー情報を基にするデイトナのカタログには、今もファトム~と掲載されている)


「予備知識が無いとどれがどれだか分からない」というのがレッツ2シリーズの真骨頂だが、給油口の移設とインナーポケットの有無という大きな差異にさえ気付いてしまえば、後期型自体は他モデルとの見分けがつけやすいモデルだと言える。

後期型の特徴を図にまとめると、次のようになる。


外観上の差異で目立つポイントは、フロントカバーのホーンスリットと車体側面のサイドロアカバーの形状。特にサイドロアカバーは、その形を覚えてしまえば遠目で(細かいところを観察せずに)大体の年式を判別できるため、覚えておいて損は無い。

・メモ レッツ2のキックペダル
後期型か否かを判別する要素のひとつとして頼りになるのが、何を隠そう「キックペダル」。歴代モデルの中でK3以降の後期型向けエンジンにのみ、長いアームが途中で折れ曲がっているキックペダル(部品番号:26300-43E30)が使用されている。
それとは異なり、短い棒状のキックペダルが付いているものは、K2以前の旧式レッツ/レッツ2シリーズ、もしくはインチアップスポーツZZを含む派生エンジン(※)となる。
※……AZ50RのZZエンジンには、全年式に旧式ペダル(26300-43E11)が使用されている。





後期型における装備面に関する違いは以下のとおり。
全グレードに4,000円高でスペシャルカラーが設定されていた。
なお、このモデルに関しては生産時期が長いため、イヤーコードの表記は省略する。

レッツ2 AZ50UD/UDS ¥105,000-/¥109,000-(税抜)
・リアフック装備:荷物の積載は事実上不可能

レッツ2 S AZ50S/SS ¥144,000-/¥148,000-(税抜)
・燃料計 ○
・センタースタンドロック ○
・サイドスタンド ○
・リアキャリア ○
・前輪油圧式ディスクブレーキ ○(Sのみの特別装備)
・オイルダンパー式フロントフォーク ○(Sのみの特別装備)

レッツ2 G AZ50G/GS ¥113,000-/¥117,000-(税抜)
・燃料計 ○
・センタースタンドロック ○
・リアフック装備:荷物の積載は事実上不可能

補足:後期型におけるリアフックの存在について
後期・最終型の普及グレードは専用のリアフックを装備する。これは純然たる取っ手であり、初期型のような簡易キャリアといった使い方は事実上不可能だが、そもそもPA後期・最終型はコストカットでスタンドグリップ(シートの左脇にある樹脂製のくぼみグリップ)が廃止されているため、いかに簡略化された構造であろうとも、リアフックの必要性は高いものとなっている。




かつて乗っていたレッツ2は、あらためて思い返してみても軽く小さく扱い易く、気軽に乗れる良いスクーターだったと感じる。よほどの事が無い限り自分が再び2サイクルエンジンのスクーターに乗る機会は巡って来ない訳だが、今現在、正にレッツ2を所有しているという方々には、ぜひ楽しく末永く乗り続けて頂きたいと、素直に思う次第。

とりあえずは、この備忘録の投稿が、何かしらのお役に立てば幸い。




■2013年5月2日 記事作成
■2013年5月5日 記事投稿
■2013年5月6日 図表一部修正 本文加筆修正
■2013年5月6日 図表修正 本文加筆修正 オイルポンプ変更内容詳細追記
■2013年5月7日 参考画像追加 本文修正
■2013年5月11日 本文追記
■2013年6月30日 モデル例 画像追記(引用:スズキ二輪)
■2013年6月30日 3分岐オイル供給エンジンを搭載する車体について追記
■2013年7月3日 ヴェルデ(初期型 モデルW)の判別要素に関する記述を修正
■2013年7月9日 本文加筆修正
■2013年7月29日 表現(説明)を一部見直し
■2013年8月9日 表現(説明)を一部変更
■2013年8月10日 型式とモデル名について追記
■2013年8月11日 誤字修正 一部余談を追加 
■2013年8月20日 一部余談を追加 
■2013年8月24日 モデルの大別について追記 画像追加 
■2013年9月11日 CA1KAに関する紹介を一部変更 画像追加
■2014年1月3日 文字数を減らした改訂版Aを投稿
■2014年1月3日 誤字脱字修正
■2014年1月5日 一部修正
■2014年1月8日 一部修正
■2014年2月13日 一部修正
■2014年2月15日 全面的に改訂
■2014年2月16日 中期型のヘッドライトバルブについて追記
■2014年2月18日 ウェイトローラー、バックミラーについて追記
■2014年3月9日 一部修正
■2014年4月19日 CA1KA発売当時の販売価格に関する記述と画像を追加
■2014年5月18日 文字を置き換え II → 2(ローマ数字2 大)
■2014年5月18日 ウェイトローラー(WR)に関する補足 改訂
■2014年5月25日 脱字修正、一部表現変更
■2014年6月29日 一部修正、表現変更
■2014年9月24日 オイルポンプの歩み AF50セピアM/N型エンジンについて追記
■2014年10月21日 一部改訂
■2014年12月5日 一部表現変更
■2015年5月24日 ターナー式バックミラーに関する部分など一部の表現を編集
■2015年9月21日 一部修正 暫定的に文字の色分けを実施
■2015年11月11日 ウェイトローラーに関する記述を改訂・追記
■2016年1月9日 オイルポンプに関する記述を改訂・追記
■2016年1月12日 オイルポンプに関する記述を改訂・ストリートマジックに関するメモを追記
■2016年7月22日 一部修正
■2017年1月11日 一部修正
■2017年3月12日 AZ50Uおよび同Dに関わる記述を編集 キックペダルのメモ等を追記
■2017年3月13日 一部追記 CA1KA/KBのサイドスタンドに関する記述を修正
■2017年3月15日 イヤーコードに関する記述 ほか一部を改訂
■2017年3月16日 モデルコードに関する記述を追記
■2017年4月2日 表修正 AZ50UTに関するメモを追加 ※文字数超過により本文一部削除
■2017年4月9日 CA1PAに関する案内を追加 文字数確保のために一部文章を削除
■2019年3月28日 CA1KA、およびAZ50UTなどに関するメモ他を編集
■2020年2月16日 CA1PBヘッドライト修正漏れ(誤30W → 正40W)
■2024年7月2日 スペシャルカラーモデルについて追記
■2024年12月4日 一部文章を手直し(内容に影響なし)
Posted at 2013/05/02 18:53:06 | コメント(1) | トラックバック(0) | スクーター | 日記
2013年04月04日 イイね!

2013年度 台湾ヘルメットあれこれ

2013年度 台湾ヘルメットあれこれ海外メーカー製のヘルメットに魅力を感じるようになって久しい今日この頃、日課のごとくwebであちこちを見回っていたところ、ふと某掲示板で気になる情報に遭遇。通信販売サイトなどで知られるバイクブロスが、オリジナルのシステムヘルメットの販売を2013年4月1日から開始したという。商品名はBH-0001。価格は税込で1万2千円弱。

日本国内における量販店・用品系の低価格帯システムヘルメットと言えば、MHR JAPAN/MOTOR HEADが提供するLS2系の製品が思い浮かんだりもするが、それらを遙かに上回る、もとい、遙かに下回ると表現すべきだろうか、とにかく低価格だという事は紛れも無い事実。このご時世には魅力のある提案だなあ、と思いそうにもなった訳だが、果たして実際の販売画面を見た瞬間、落胆。

このヘルメット、間違いなく、見覚えがある。

率直な指摘をさせて頂くと、このBH-0001というバイクブロスオリジナルヘルメットは、どこをどう見ても、台湾のARCヘルメットに代表されるA676系システムヘルメット(※注意・便宜名)の類似品であり、また、その類の商品は日本で1万円を大きく下回る価格で販売された実績が過去にある。つまり、BH-0001の1万数千円という価格設定に驚く必要は無かったのだ。落胆。

そんな訳で今回はBH-0001の購入を検討中の方がweb検索でこのページに辿り着く事を想定し、バイクブロスオリジナルと銘打たれたBH-0001と世界各地で販売され続けるA676系システムヘルメットの一部が、どれほど酷似しているか、その現状を備忘録として投稿しておく。



左上:PROSPEED SP-676
上中:SPEEDPIT Phantom TOP PT-1
右上:GP5 A676
左下:ARC A676
下中:バイクブロス BH-0001
右下:NEO RIDERS NR-8W(絶版)

ぱっと思いつくものが、計5種類。
新発売となるBH-0001を加えると、6種類となる。
それぞれの製品は外見こそ酷似するが、肝心の内装などに差異がある模様。

A676系は庶民向けのシステムヘルメットで、安価が何よりの真骨頂。世界的に見た場合の価格帯は日本円で8千円前後が相場の様子だが、こと日本国内の場合、SG及びPSCの取得に関わる費用、そして生産地からの輸送費用が盛り込まれる結果なのだろうか、果たして販売価格は1万円台前半~中盤程度の価格帯に落ち着く。2013年現在、TNK工業のヘルメットブランド・SPEEDPITから既に販売されているファントムトップ・PT-1と、新発売となったバイクブロスのBH-0001は、真っ向から同価格帯でぶつかる格好となっている。

これほど似通った商品が複数同時に存在する光景は一見して異様なものに思えるが、実は、上図にも掲載したARC及びGP5ヘルメットを製造する台湾の坤成実業(こんせい-じつぎょう、台湾名:坤成實業廠股份有限公司、英字表記:QUEEN KWAN ENTERPRISE → KWON CHEN MANUFACTURERS & CO., LTD.)は、かの地で知られる大手ODM企業であり、様々なヘルメットを同時多発的に世界へ向けて提案し続ける事を商売としている会社。工場のショーウインドーにはラベル違いのヘルメットが陳列されており、ヘルメット好きからするとカオスな空間となっている。

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なお、坤成実業の他にも台湾系企業は活発に活動しており、上述したA676系製品の他にも「同じ型のヘルメットが複数同時に存在する」という例は後を絶たない。昨今人気のデュアルスポーツモデルは枚挙に暇が無く、AFXブランドのFX-39デュアルスポーツヘルメットに端を発する混沌とした同型品の登場は、記憶に新しい。

■AFX FX-39DS タイプFX-39デュアルスポーツヘルメットと同型モデルの一部

左上:AFX FX-39DS
中上:FLY Trekker
右上:MSR Xpedition
左下:SPADA Sting
中下:THH TX-26
右下:Cyber UX-32

北米および日本のwebショップにおいてFLY版やAFX版を取り扱っている様子を散見するが、さかのぼると2011年のFX-39DSの以前に台湾で発表されていたTHHブランドのTX-26こそが、いわゆるオリジナルと解釈することが出来る。

(2013年4月23日追記)
2013年の春に開催された台湾の国際モーターショーにおいて、THHからTX-26の後継・TX-27が発表されている。そう遠くない未来、TX-26がそうであったように、AFX・FLYといった北米向けのブランドから仕様の異なるTX-27型の製品が発売される事は、想像に難くない。

(2013年5月30日追記)
AFXブランドより、2014モデルのラインナップとして新製品の画像が公式サイトに掲載されている。モデル名はFX-41DS、イメージカラーはハイビジ系統のオレンジ。販促の文字が製品を隠している事もあり仕様の差異は不明な状態ながら、外殻の意匠は台湾・THHが提供するTX-27の、それ。

(2014年5月12日追記)
TX-26系比較一覧画像に、SPADA Sting を追加。

(2016年7月25日追記)
日本のバイクショップはとや(株式会社はとや)が、2016年7月、上述のTX-27・FX-41DS型ヘルメットの国内販売を実施。カラーラインアップおよび細かい部位こそ、はとや独自のものが用いられているが、ヘルメットの仕様そのものはTX-27・FX-41DSの、それとなっている。
驚くべきは販売価格で、消費税込み、なんと9,980円送料無料(※追記記載現在)。
台湾におけるTX-27の実売価格は3,300台湾ドル前後であり、実質1万1千円弱。
北米におけるFX-41DSの実売価格は140ドル前後であり、実質1万5千円弱。
それが、9,980円。
後述のTS-41もそうなのだが、はとや恐るべし。


※買いました。感想文は、そのうち投稿の予定。

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こんな駄文を書いていたら今度は、あのナンカイ(NANKAI/南海部品)が、台湾・ゼウスヘルメットの最新モジュールヘルメットを日本で商品展開すると言う。

ここ数年で南海部品から提供されたオリジナルのヘルメットと言えば、フルフェイスヘルメットのCYBER DYNA(サイバー・ダイナ)シリーズやインナーバイザー装備のフルフェイスヘルメット・ZEUS(ゼウス)シリーズが知られているが、それらも例に漏れず台湾由来。なお、CYBER DYNA-MAX/MONO/NEO/DJの4種類の帽体の型はAFXのFX-16型であり、これはつまり、オリジナルであろうTHHのTS-41が該当する。

■NANKAI NCH-101 CYBER DYNA-MONOと同型モデルの一部

左上からAFX、THH、NANKAI、そして左下からAFX、Cyber、Cyberの提供する製品。ここで言う『Cyber Helmet』はAFX/THHのモデルと同型の製品を供給しているブランド。ナンカイの提供するヘルメットブランド・『CYBER』とは、また別なので、念のため。

このサイバー・ダイナシリーズは、発売を知った当時の台湾ライダーが自身のブログに「日本の南海部品からTHHのTS-41(AFXのFX-16)が発売されますよ(意訳)」と日記に投稿していた様子からも分かる通り、外殻自体は、北米および台湾で既に流通していたヘルメットがベースの模様。TS-41系は、台湾では定番モデル化している息の長い製品で、2013年現在(追記:2014年現在)も、世界各地で様々な意匠違い及び後継商品が販売されている。

ここから脱線~~~

なお、日本におけるTS-41系ヘルメットの販売として知られるものは、ナンカイの他にバイクショップはとや(株式会社はとや)の提供したオリジナルヘルメットブランド・VOID(ボイド)シリーズのフルフェイスヘルメット、Void TS-41が存在する。2013年の秋に税込6,930円という驚異的な価格で提供されたVoid TS-41は、見事に完売。その後、好評に応えるかたちで再入荷&定番商品化されてからの数年間で相当数が出荷されたと聞き及ぶが、そもそも、TS-41系は6,000円~8,000円が実売価格のヘルメット。PSCとSGが付いて7,000円弱(※新発売当時。消費税増に伴い価格変更済)というのは、正に絶妙な価格設定だったと考える。言っては難だが、ナンカイが提案したサイバー・ダイナシリーズのダイナ・モノ(単色モデル)の税込12,600円(!)とは、比べるまでも無い。

とは言えVoid TS-41にも、それなりに困ったところはあったようで、THH仕様のネックストラップ(あごひも)のまま日本に導入した事により、その異様なストラップの長さ(※)に戸惑った購入者の声は、今も楽天のレビューで確認できる。

※異様なストラップの長さ…
中国および中華民国には、二輪乗車用ヘルメットのネックストラップの丈に余分な長さを設ける、という独特の文化がある。裁断が適当だとか、個体差が生じているとか、そういう事ではなく、純粋に「ヘルメットのネックストラップとして正しく長く設計されている」。この点は本家であるTHH版に触れると、はっきり体感できる。

~~~ここまで脱線

そんなサイバー・ダイナに対し、新発売となるインナーバイザーモデルのZEUS/ARTEMISの方は?と言うと、そのアルファベットのZを模した特徴的なロゴや商品名から、自然と台湾・ゼウスブランドの既存モデルを連想しがちだが、実はそうではなく、南海ゼウス/アルテミス両モデルの帽体は、ご丁寧にも、わざわざ同ブランドのヨーロッパ・フランス向けの銘柄『アストン』(※)に準じた仕様で商品化されており、外観の印象が大きく異なっている。

※ヨーロッパ・フランス向けの銘柄『アストン』…
ゼウスヘルメットを供給する台湾のヘルメットメーカー・隆輝安全帽は、欧州市場におけるZEUSブランドへの二輪用品の提案・供給を行っている。

今回、予約販売が開始されたZEUSシリーズの最新モデルは、台湾仕様のZA-3100系をナンカイ独自のオリジナル商品名「NAZ-310 GAIA」として商品化する物の様子。こちらwebの告知画像を拝見する限り既存の既存モデルと同様の仕様のようで、日本での販売価格は税込1万7千円強(※新発売当時。消費税増に伴い価格変更済)。

NAZ-310 GAIAも、商品画像からの参照程度では、その差異は感じられない。内装などを除き、おおよそ同一の仕様である事は想像に難くない。とすれば帽体の外殻はABS、シールドバイザーはアンチスクラッチ&アンチフォグ、内装取り外し式、安全の規格はECE22-05、DOT、NBR、CNS、そしてSG。

発売は今夏という事だが、価格差を鑑みても、A676系とZA-3100系とは役者が違いすぎると思う。それはそのまま、B○-0001とNAZ-310 GAIAの差になるのではないだろうか。そんな気がする。

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あっちもこっちも新発売、新発売。
どうやら2013年は台湾ヘルメットの台頭の年なのかも知れない。

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■2013年4月23日 一部追記 修正
■2014年3月1日 一部追記
■2014年5月12日 一部追記
■2014年10月21日 一部改訂
■2016年5月4日 一部改訂
■2016年8月3日 一部改訂
■2020年9月9日 編集
■2021年9月9日 台湾ブランドの供給元を記載(某企業 → 実名)
■2024年2月18日 すっぽかしたままだった坤成實業(坤成実業)の英字表記を更新(KWON CHEN MANUFACTURERS & CO., LTD.)
■2024年10月17日 隆輝安全帽に関して一部修正
Posted at 2013/04/04 04:19:46 | コメント(0) | トラックバック(1) | ヘルメット | 日記
2012年11月20日 イイね!

2012年の冬 セーフティーメイトの販売終了と山本工業の廃業

2012年の冬 セーフティーメイトの販売終了と山本工業の廃業バイク用のハンドルカバーや防寒レッグカバーといった二輪用品ブランド・SAFETY MATE(セーフティーメイト)などの販売で知られた、あの山本工業株式会社(兵庫県丹波市氷上町)の廃業を知る。

心から残念に思う。

インターネットの匿名掲示板においてセーフティーメイト販売終了の旨が書き込まれたのは今秋のこと。自分がそれを知ったのは、11月に入って間もなく。そんな馬鹿なと思う半面、実店舗の用品コーナーの様子を振り返ると、指摘されている通り様子がおかしい。季節商品であるにも関わらず、この時期になっても(他メーカーの品は陳列されているにも関わらず)セーフティーメイトが店頭に無い(どこに行っても売っていない)。

それから数日、インターネットや電話を使ってあれこれ調べて回ってみたが、正式な情報は得られず。いつの間にか山本工業のサイトは消えており、肝心の電話も繋がらない状態。これ以上の調べ物は個人の力では、どうしようも無さそうな雰囲気となってきた。そこで思い切って、山本工業の製品と類似した商品を販売している、とあるメーカーの窓口に電話をかけて直接お話をお伺いする事に。


そして、

「ああ、山本工業さんは廃業されました」
「もう(セーフティーメイトが)販売される事は無いです」
「(廃業は)今シーズンのことです」

という回答を頂いた次第。


二輪向け防寒用品の愛好家の方々は真っ先に気付かれたようだが、今シーズンの各種ホームセンターや用品コーナーにおいて、山本工業の品物は(恐らく既存の在庫以外には)確かに存在せず、多くの場合、

・リード工業 MOTOUP
・大久保製作所 MARUTO(マルト)
・石野商会 maxBikers(マックスバイカーズ)
・ユニカー工業 unicar(ユニカー、FANCY series)
・大阪繊維資材 OSS
・パルスター

といった会社から販売されているハンドルカバーおよび防寒用品が、新旧混在で店頭に陳列されている状況にある。この現実に、上述した掲示板の利用者をはじめ、少なからずの人達が嫌な予感と不安を抱いたという訳だが、果たして製品が出荷されていないのだから商品が店に納入されるはずはなく。それを思うと、寂しくも残念な気持ちになる。


そんななか、あらためて実店舗の用品コーナーを眺めて回ると、驚かされるのは、かつて山本工業が販売していた製品の類似品が、各社から供給されているという事実。

確かにセーフティーメイトと同形の製品が他のブランドから別名で販売されていた事があった(有名どころではリード工業のMOTOUPシリーズから発売された130/160形の2タイプ、maxBikersから発売された130形、その他にも、かのコミネから発売された130形が存在する)訳だが、今シーズンに至っては一部パッケージの図版や製品の寸法などが良く似ている、ほぼ同型と見て差し支えの無い製品が散見される。某社の製品に限っては、あまりに130に酷似しているため、まるで後継商品のような印象すら受けるのだが、確認したところ「こちらはこちらで(あちらとは)別の、以前から販売している製品です」という回答。互いの関係は無い、との事だったが、どうしたらここまで似るのか不思議だ。

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■参考:130とそっくりなパッケージのOSSハンドルカバー310(大阪繊維資材)

※パッケージのイラスト図版は石野商会のMAX-06にも同様のものが使用されている

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■参考:MOTOUP版とSAFETY MATE版の関係(202A/203A共に絶版)


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■参考:現行のMOTOUP版とMARUTO版(206A/207Aと3000系/210系)


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予備知識が無ければ、どれも似た品物に見えてくる。同時に、「ここまで似ていればどれでも代替品になり得るのではないだろうか?」という考えが浮かんだとしても、何ら不思議ではない。しかし、実物の見本を手にとって品物を確かめてみると、そこには厳しい現実が待っている。

誤解を恐れず指摘するならば、各社、形こそ似せてあれど、製品は正に別物なのだ。

それは「メーカーが違う」「会社が違う」「名前が違う」といった概念的な意味ではなく、「同じ価格帯の商品として物が違いすぎる」という意味。どこのメーカーのどの品物がそうだとは書けないが、一部の品物に至っては、まるで粗悪な複製品のような印象。

最も驚かされたのは今シーズンの類似品・○○○○○版。なんとパッケージ裏面にクレーム対策とおぼしき一文があり、『本商品の耐用年数は4ヶ月です』と、製品の劣化の早さと寿命の短さが最初から宣言されているのだ。

ふと思い返すと昨今、合皮などを用いている着衣などにおいて製品タグに『本商品は水分の吸収・発散の度に素材が劣化するため、3年ほどで寿命となります』などといった注意書きを添付する手法が、確かに常態化している。しかし、それを二輪用品で目にする機会は今回が初めてのことであり、まさか実用品にそんな注意書きがされるとは考えた事は無かったため、少なからずの衝撃を受ける。もしやと思い、他の品々の裏面を確認して回る。すると、例えば某メーカーの防寒商品のパッケージに『耐用年数:○ヶ月』との記載、また、某社製品には『1年ごとに買い換えて頂いた方が良いでしょう』といった旨の記載が存在する事が分かった。どうやら、ほぼ全てのメーカーが同じ手法の元で注意書きを展開しているらしい。

結局のところ、全てに共通するのは『この商品は1シーズン限りの寿命です』という販売側の明確な主張であり、「(事実上の使い捨て商品ですから)後で文句を言わないで下さい」と開き直られていると解釈して差し支えないだろう。確かに広義で解釈すれば、実用品は消耗品とも言える存在な訳で、その観点から製品の寿命を消費者に明示する事は、決して悪い事では無く、むしろ歓迎すべきなのかも知れないのだが、果たしてメーカーから「すぐに駄目になるから覚悟しておけ」と言われているような気がしてならないというのが、自分にとっての現実。もはや、かつての(昭和の)感覚で品物を選別する事は、難しくなってきたようだ。

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自分が初めて購入した防寒用品のハンドルカバーは、たまたま、山本工業の品物だった。ただそれだけの事だったのだが、今にして思うと、それは買って正解だったと、心から思う事が出来る。



画像はセーフティーメイトのハンドルカバー160と、レッグカバーの組み合わせ。
車体も含めて、とうとう全ての品が絶版となってしまった。

『セーフティーメイトはステータスだ。希少価値だ』
と言われる日が訪れるのかと言えば、そんなことはないだろうけれど、やはり寂しいものがある。

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追記:2012年11月25日
2ちゃんねる バイク@2ch掲示板 ハンドルカバー通算19個目 287
官報に掲載されたと思われる山本工業の解散公告の引用が書き込まれています。
(公告の日付は2012年6月末、該当公告の閲覧は一般には出来ないようです)

山本工業の皆様、お疲れ様でした。

Posted at 2012/11/20 02:26:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | 防寒 | 日記
2012年09月24日 イイね!

レビュー Turtle Wax ICE シンセティック リキッドワックス T-468

レビュー Turtle Wax ICE シンセティック リキッドワックス T-468今回の投稿は、ホルツ取扱いのTurtle WAX(タートルワックス)シリーズから、ICE(アイス)シンセティックリキッドワックスを用いた作業の記録。ここ数週、保護艶出し剤のレビューを投稿してきたが、このICEシンセティックリキッドワックスは、ある意味で本命と言える商品。先に書いてしまうと「なんでもっと早くから使っていなかったのだろう」と愚痴が出るほどの逸品。

※2015年5月追記:記事投稿当時、塗装面と無塗装面へ同時に施工できる保護艶出し剤としてベタ褒めしていた本製品だったが、その後、使い心地の悪さと使用に伴う副作用的な現象に困る代物である事を経験し、今現在は、ほとんど使用していない。web通販で提案されている激安特価品があったとしても、正直、おすすめしない。いわゆる「リピは無いです」という品物。

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本題に入る前に恒例の話の脱線から。
今回の脱線は、ICEシリーズを含むタートルワックス製品の品番について。

ICEを含むタートルワックス製品は、それぞれにTから始まる商品番号が付与されている。例を挙げるとシンセティックリキッドワックスの品番はT-468、以前に投稿したシンセティックスプレーワックスはT-477。今回は、この品番を用いて文章を作成する事にする。なお、日本と海外との間でTurtle WAX商品はパッケージや商品名が異なっている(※)機会が散見されるが、品番自体は共通。

※…海外版と日本国内向けの違いの例
海外版・ICE シンセティック リキッド ポリッシュ(Ice Synthetic Liquid Polish) T-468
国内向・ICE シンセティック リキッド ワックス T-468

因みに海外の現行品は『ICE リキッドワックス (Liquid Wax) T-468R』へと更新されており、ロゴもパッケージも一新されている。付属品を含む商品の内容には変更点は無さそう。閑話休題。

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T-468の容量は473mlで価格はオープン。実売は3,800円前後と、やや高価という印象もあるが、それはボトルの大きさ(容量)によるところが大きい。事実、T-468を180mlボトルで換算すると実売価格は、おおよそ1,500円程度。それほど高い製品では無い事がよく分かる。

その外観は特徴的で、パッケージ表面とボトルと液剤は全て透明。webで公開されている商品画像は真っ白なボトルのように映っているが、実際は透明なボトル。液剤の粘度はほとんど無く、使用の際はキャップを外したボトルを傾けると、チョロロロロと液剤がこぼれて出てくる。標準の使用方法は、付属のアプリケーター(スポンジ)で塗布を行い、5分から10分ほど乾燥させた後、付属のマイクロファイバータオルで拭き取る、という指示。施工のしやすさは同シリーズのT-477シンセティックワックス(スプレー)同様。T-477とT-468との間には乾燥の工程の有無という明確な差こそあれど、複数の素材に対して同時に塗布できるという使い勝手の良さは同じ水準にある。

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実際の様子の画像と、そのコメントだけを閲覧しようとしている人は、ここまで本文を素っ飛ばして画面をスクロールさせている事と思う。という訳で、T-468を施工した様子がこちら。



前回のT-477と同じ撮影場所で、同じような時間帯に撮影。光源は自動販売機の照明なので、光の位置も強さもほとんど変わらずカメラの設定も自動で同じものだが、艶の出方は異なっている。

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やや斜め寄りの様子。



塗装面のブルーメタリックの映り方もそうだが、影となっている面の映り込みは相当な域。

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やや寄った画像。



影の面には、くっきり、はっきりと撮影者が映り込む。全体としてはすっきりとした硬質な雰囲気だが、クリアー層のあるメタリックの塗装面のため、映り込み方などには薄いクリアー層を盛ったような印象もある。ソリッドの赤や青や黒だと、脂ぎった(油ぎった)印象になるかも知れない。

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透明部品と、その周辺の外装部品の隙間の様子。
フロントカバーからレッグカバーにかけて折り込まれる面には、茶色いレンガがくっきりと映り込む。



T-477と異なりT-468には乾燥工程があるため、こういったウインカー取り付け部分などの隙間や段差の施工に若干の心配があったのだが、製品の案内どおり白い乾燥物が残る事もなく、作業は至って円滑に進める事が出来た。これは普通の保護艶出し剤では、考え難い。

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T-468とT-477との価格差は、おおよそ倍。その金額の差からも分かる通り、そもそも両者を比較することには無理がある訳だが、あえてそれを承知で比べると、同じICEシリーズの中であまりにも似た名前で存在する両者の性質は、似ているようで、かなり異なる。ICEというブランドに抱いている期待感を満足させたいのであれば、T-477ではなく、T-468を購入するべき。

また、T-477 ICEシンセティックスプレーワックスだけをあらかじめ所有して使用している場合は、別途T-468を買い足し、使用中のT-477をメンテナンス向けに転用すれば、両者の間に無駄が生じないうえ、今以上の保護艶出しが実現できるようになる。

・T-477のみの施工 (普通の艶出し)

・T-468を施工+T-477で普段のメンテナンス (高い艶出しとその効果的な維持)

T-477のみを先に買って使用中の(自分のような)人には、この組み合わせがオススメ。
今以上の艶や映り込みが楽しめるようになるし、T-477を使う楽しさも、きっと増えるに違いない。

Posted at 2012/09/24 03:51:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 洗車 保護 艶出し | 日記

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