XZ400 ジェット径拡大→問題解消!
1
※メーカーオリジナル状態の車両において、
キャブレターのジェット番手を変更して不調に対処することは通常ありません。
しかしながら、調整範囲の順列組み合わせを試してみても改善が見られないので、やむを得ずパイロットジェットを拡大加工することにしました。
走りこむことで調整が変わってくる可能性も否定できないので、純正パイロットジェットは温存しました。
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純正品と同じ種類のパイロットジェット(ミクニN151 067系統)、
あちこち通販サイトを調べたところ、アンダーサイズの#55(XZ400標準品は#60)が入手できました。
ヨシムラのパッケージで届きました。ミクニBST型キャブレター用リプレイスのパイロットジェットのようです。
2
パイロットジェットのみの交換でも一旦キャブレターを取り外す必要があります。
四輪用ダウンドラフトのように、上面から各ジェットを交換できる仕組みになっていると、細かく調整してやろうという気になるのですが・・・
不確定要素を減らしたいので、再度スロットルバルブ以外はすべて取り外して、再度薬剤を噴きこんで一晩放置。
3
頂き物の携帯用エアコンプレッサーがあったのを思い出しました。
納屋の奥から引っ張り出して、
入門用のホース・ガン・タイヤエアゲージのセットを買ってみました。
穴という穴をすべてエアブローしてみました。
小型コンプレッサーとはいえ圧縮空気は想像以上に強力です。
部品を吹き飛ばされないよう注意が必要でした。
なお、組み立ての際、油面は標準中間値に戻し、加速ポンプも1/8と1/4の中間あたりで作動(標準よりやや早目か)するようにしておきました。
4
入手したパイロットジェットは、いきなり拡大加工せず、症状を確認するために標準品と付け替えて走らせてみます。
思い込みが思考の妨げになることも往々にしてあります。
エアブローの効果か、アンダーサイズのパイロットジェットにもかかわらず、
以前より息つきの症状は改善されているように感じます。
そこで再度標準サイズのパイロットジェットに戻して試走。
加速ポンプのタイミングもいろいろ試してみましたが、改善は見られず。
ジェットを拡大加工することに決定。
※拡大加工後のジェットは、今後の混乱を防ぐため、
番手表示をやすりで消しておきました(写真)。
5
この手の整備は、作業時間よりも調査や思考にはるかに時間がかかります。
標準品#60は、0.55mmまで余裕で通ることを確認の上で、
入手した#55を加工します。0.60mmのドリルを通してみることにします。
5/100mm刻みのドリルセットを入手、
スプレー式潤滑剤を噴いてはピンバイス(ドリル刃を保持して手で回す道具)で慎重に穴を拡大します。
回りが重い時は無理せず少し戻し、給油して再度切り込みます。
右隅に写っているのはジェット穴を掃除する道具です。
針状で中間部はローレットの刻み模様になっているようで(当方の肉眼では見えない・・・)、こちらは0.04mm刻みです。
#60は、なぜか表示0.54mmの針が通らなかった(ローレット部の太り幅が、他サイズより明らかに大きい)のですが、これも通るようにしました。
0.60mm表示の針は通らないのですが、一応この状態で組み付けてみます。
6
キャブレター組み付けももう慣れたものです(笑)
チョーク作動ロッド/ホルダーは組み付けたまま、スロットルワイヤーホルダーは外した状態で、左側から脱着可能です。
フレームにワイヤーハーネスを沿わせる金具は適宜曲げて、ハーネスも浮かせた状態にすればOKです。
7
スロットルワイヤーをキャブに取り付けてから、ワイヤーホルダーのスリットに通してワイヤーホルダーを取り付ければ、脱着の都度の遊び調整も不要です。
※インマニ、エアボックスの差し込み部のバンドは、無駄に思えてもできるだけ緩めておくと抜き差しの抵抗がなく、インマニを傷めるリスクが減ります。
バンド締付は以前記したように、抵抗を感じたところまでにし、できるだけ食い込ませないようにします。
上からエアボックスで押さえられることもあり、抜け止めのある差し込み部からエアを吸うことはまずないと思われます。
8
近所を一回りしてみました。完全暖機前ですが、息つきは解消されている模様です♪
曇り空でしたが雨の予報はないので、
あらためてバキュームゲージで同調を確認・微調整の上、国道をメインに、数十キロほど田舎道をぐるりと回ってきました。
低開度、高ギヤでの試走を繰り返していたゆえ、プラグはくすぶり気味だったので、
とりあえず回転を上げ気味にして走らせると、燃焼室内のカーボンが焼けとんだのか、音(特に吸気音)やツキがだんだん変わっていきます。
まるで生き物のようです。
走行・路肩での調整を繰り返し、パイロットスクリューも加速ポンプも吐出を少なくする方向になり、排気音も吹け上がりもかなり軽やか、かつ歯切れよくなりました。
特にパイロットスクリューを標準より若干絞り気味にしたことで、変速時のブリッピング(無負荷低開度の空ぶかし)のツキが良くなり、シフトダウンのタイミングも取りやすくなりました。
ジェット加工後の燃費の測定はできていませんが、ひとまずエンジン関連の作業はここまでとしたいと思います。
9
【追記】メーカーのオプション設定として、番手違いジェットのない車両で、
ジェットの変更(加工)で対処したことは異例といえると思います。
当方所有のユーノスに装着されているDCOE型キャブを含め、試走・調整の推移を通しての私見ですが、
WEBER型固定ベンチュリーキャブにおいて吹け上がりや出力を重視した場合、傾向として燃料消費が多くなりがちなようで、
ヤマハは燃費対策として、パイロットジェットを適正範囲ぎりぎりとして出荷したのではないか?と想像します。
後のV-MAXなどのダウンドラフトキャブは、ヤマハ/ミクニとしても扱いなれた負圧式可変ベンチュリーになっていることも、
燃費や過渡特性チューニングのしやすさを考慮したものと思います。
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