前回のブログで、外気の取り込み口の一部を塞げばエアコンの排出温度が下がるかもしれないという実験をしてみました。
↓「カングーのエンジンルーム排熱エアフローについての考察(とエアコン対策実験)」まもる(mamohacy)のブログ | まもる(mamohacy)のまったりCar Life - みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/userid/145756/blog/44323268/
残念ながらこの実験は結果として「失敗」に終わりました。
・外気温計が40度を指している「猛暑日」に実施
・自宅周辺を10分程度走行
・日向に停車した状態で、22度AUTO(外気導入)に設定
・測定結果を安定させるため測定後、約5分間待機
前のブログで対策を施した状態と、それらを取り外した状態での、エアコン吹出口での温度が以下です。
↓対策実施済み状態:
約15.5℃
↓対策取り外し後:
約16℃
設定温度と外気温に対してこの吹き出し温度もどうかと思いますが、いずれにしてももっと冷えるんではないか?という目論見は見事に外れ、クーリングファンがほぼ全開で回っている状態では、あの対策は意味がなかったということになります。
しかし、今回の実験結果計測のなかで、
もっと重要な事実を知ることになりました。
カングーのエアコンコンデンサの設計温度と冷却限界
そもそも通常のカーエアコンは、冷媒で一定の温度まで冷やしたものを、ヒーターコアを通した温かい空気であっためて、設定温度に近づけて出すという、非常に効率の悪いやり方で温度を調整しています。
↓【カーエアコンの最も効率がいい温度設定は?】燃費がいいのはどの温度? - 自動車情報誌「ベストカー」
https://bestcarweb.jp/feature/column/88837
つまり、冷房で冷やした空気を、わざわざ暖房で暖め直して適温にしているのである。
〜中略〜
前述のようにオートエアコンで希望の室温に設定すると、最初はそこに合わせるように冷房を目一杯効かせるが、室温が下がってくれば徐々に風量も下げつつ、暖房をミックスして適度な温度の空気を送り出すようになる。
ここで考えたのが「じゃあ設定温度を最低にすればそのエアコンの限界まで冷やした空気が出てくるのでは?」ということ。過去のブログにも書きましたが、コレと同じようなことをディーラーでも言われていて、「15度設定、内気循環、風量全開」で、冷却限界まで持っていけると聞いていました。
↓「エアコンが効かない件 第3話〜フランスは涼しい&水ぶっかけろ〜」まもる(mamohacy)のブログ | まもる(mamohacy)のまったりCar Life - みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/userid/145756/blog/43228902/
そして同じようなことが上記の記事にも書かれています。
つまり冷房の温度設定を最低にしておけば、ヒーターを使うことはないため、冷媒で冷やした空気を再び暖めることはなくなる。
では、カングーで15度設定、ファン全開(外気温が高い状態でAUTO)にすると、吹出口付近の温度はどうなるのか?
計った値がこちら。
温度計が20度近くを示しているのがわかるでしょうか?
つまり設定温度よりも遥かに高い温度の空気が吹き出していることになります。
さすがに意味がわからなくなってきたので、以前も参照させて頂いたエアコンシステムの概略図を使って、冷静に考え直してみます。
↓エアコンの原理と仕組み
http://www.golddenki.com/acgenri.htm
・容量不足で冷媒そのものをコンデンサーで冷やしきれなくなっている状態の場合、レシーバーに送られる液冷媒の量が足りないのではないか?
・その状態でエキスパンションバルブで霧状になった冷媒をエバポレーターに吹き付けたとしてもエバポレーターの冷却が追いつかないのではないか?
・ましてやエバポレーターに当てる空気の温度が高ければなおさら設計温度までは冷やせないのではないか?
つまり、エバボレーターを冷やす液冷媒がそもそもコンデンサー容量不足により足りておらず、さらにはブロアファンによってエバポレーターに当てられる空気の温度も高すぎるせいで更に冷えないという悪循環、言ってみれば「エアコンのオーバーヒート」を起こしている状態になっているのではないか?というのが私の推測です。
ここで立てた仮説が、「風量は全開にせず逆に抑えることでエバポレーターへの冷媒放出量が減り、コンデンサー容量ギリギリまで冷やせるのではないか?」です。
ディーラーからも「15度全開で冷える」と教えられていたこともあって、疑心暗鬼ながら22度設定で風量を全開の半分まで落としてみた後に計測した結果がこちら。
私にとっては目からウロコの大発見でした。
温度計が12度くらいを指しているのが見えるでしょうか?
考えてみたら当たり前のことなのかもしれませんが、コンデンサー容量が足りない、つまり冷媒の冷却に必要になる外気温が高すぎて冷やしきれないような状況になると、コンデンサーでの冷却だけでなくエバポレーターの冷却にも影響が出ます。おそらくこの境目となるのが前にも書いた「35度付近」であり、これがフランス本国におけるカングーの設計上の外気温上限値なのでしょう。
この状態の打開策として、これまでのカーエアコンの常識ともいえる「最低温度にすればヒーターの暖気が混ざらないからその状態でファン全開にすべし」だけが知られてしまい、ディーラーからも同様の指示も出されてしまった結果、カングーにおいては「猛暑日になるとまったく冷えない」という状況がそこかしこで散見される結果になったのではないかと考えられます。
ここまで猛暑日が酷く増えたのはこの2〜3年ですし、デカングーになって我慢できる程度には冷えていてくれたクルマでも、最近になってなんかオカシイ・・と感じる人が増えたんじゃないでしょうか?実際に統計を取ってみたわけではないのでわかりませんけど、ウチのデカングーのエアコンが2度にわたるディーラーでのチェックで「正常である」と判断された以上、同様の症状で悩んでいる人は日本全国に沢山いるに違いありません。
ならばどうすればいいのか?
これまでの検証結果や集めた情報を元に、エアコンシステムをまるごと載せ替えるような派手な改修は入れない前提で、素人に毛が生えた程度の人間がDIYで取れるであろう対策を考えてみました。
①カングーのエアコンの冷却設定容量を超えないように温度と風量を調整する
(おすすめは22度、風量は半分、効果薄いけど内気循環)
②外部からの熱の侵入を抑える
・天井やドアの断熱処理
・ドアからの外気侵入のブロック
・ウィンドウへの断熱フィルム貼付
・内外気切り替えフラップの密閉化(できるのかは不明)
③室内のエアフローの最適化
・エアコンフィルターの交換
・エアコン吹出口の角度調整
・冷却空間の最小化(ラゲージと乗車席をカーテンで仕切る等)
④エアコンシステムの正常化/効率化
・ガス、コンプレッサー、ファンなどの点検(正常動作可能かの確認)
・エバポレーター洗浄
・コンデンサー洗浄
・コンデンサーとラジエターの隙間埋め(コンデンサ冷却風量アップ)
・ナンバー取り付け位置の変更(コンデンサ冷却風量アップ)
・エアコンガス添加剤の注入
すでに私の整備手帳ではこれらのいくつかは実施済みですが、まだまだやれることは沢山ありそうですね。。。。
最近ちょっとずつですが涼しくなってきたので、ひとまず来年の夏に向けてやれる範囲のことはやってしまおうかと思っています。
追伸:あくまで自動車専門家でもない素人の推測ですので、もし違ってるよ、とか、こういうのあるよ、とかあれば是非コメントをいただけると幸いです。
追伸2:ルノー・ジャポンさんへ。マジで頼みます。なんとかしてください。
Posted at 2020/09/08 23:50:39 | |
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カングー | 日記