私の991.2型911の納車時には、取扱い方法について営業さんから丁寧な説明を受けました。
自動車全般で言えば、そこら辺のお兄ちゃんなどより知識はあるのですが、何せ初めてのポルシェということもあり、営業さんの言うことを、卵から孵ったばかりのひよこちゃんの様に、一生懸命に吸収したのでした。
その中で少し引っ掛かった事がありました。「今みたいに寒い時期、暖機出来ていない状態で、ハンドルを大きく切って旋回した場合、ゴキゴキ音がします。故障では無いし、問題無いので気にしないでください」と言われるのです。「はあ〜ん、コレはノンスリ(自分ら、昔からLSDのことをノンスリっていいます、本当は結構違うモノですけど)デフのオイルが冷たくて硬くプレッシャープレートとフリクションプレートがイニシャルトルクにに抗って滑る音だな」と勝手に解釈してしまいました。
実際にPCから帰る際にも大きくハンドルを切り後輪にトルクを掛けていきますと、”ゴギゴギギッ”と、結講ハデな音とギクシャクした挙動が…。「おおう!911ともなると、ストックでこんなにイニシャル掛けるんか!スゲエ!」なーんて感心するとともに、ふつうの人はこんなんで納得すんかいな?とも思ったのでした。まあ、ワタシの場合は全く普通でないので問題はありませんが。
後から気付いたのですが、ゴギゴギ言うのは機械式LSDであって、991型であればM/T車となります。PDKの場合は電子制御式のLSDのはずですので、イニシャルは掛けていなく、音がすることは無いはずです。
まぁ、つまりはゴギゴギ音はデフからでは無く、他のところからだったのですが、ワタシの感覚もエエ加減なモンですねー、、反省。
ネットで他の事を調べていると911のサスペンションジオメトリーについて書かれた文献を見つけました。
911では(718とかも?)ステアリングジオメトリーが他のスポーツカーと違い、パラレルステアリングジオメトリーと言う方式を採用。キングピン中心距離とナックルアーム間距離が同一で、ステアしていっても左右輪の切れ角度がいつ何時でも全く同じというもの。
これは車両全体でみると、旋回の中心が1つでなく、前輪左右についてはトレッド距離分だけ離れているという事。クルマは旋回の中心がありますから、どこかでこのズレを吸収しなければなりません。アツアツ状態のタイヤですとニジリニジリと常に滑って異音とならないですが、ブロック剛性が高く、冷え冷えだと溜め込んだ応力がある一点で一気に解放されてゴギッとかバキッとかいう音と共に「パラレル」の旋回中心に戻ります。
そう言えば昔、ザウルス、ザウルスJ r.などで経験してたなー。
普通使いでは不快極まりない機構ですが、高速コーナリングなどで微小なステアリング切角でも一発でスリップアングルが付き、すぐさまコーナリングパワーを発生させるパラレルステアリングジオメトリーを市販車で採用する、ポルシェのスポーツカー哲学は運動性能こそ美徳であり、わからない人は乗らなくて良いとまで断言している潔さに心惹かれる変態、もとい男達のなんと多いことか。
ほぼ全ての市販車が採用するアッカーマン方式では内輪が大きく切れ(と、言うか同一旋回中心に合わせて切れ)、取り回しに全く問題ありませんが、反対に中高速でステアリングを切った時、遠心力とかY軸周りの慣性モーメントとかそういうのを考えずに言えば、スリップアングルは付きませんので前輪のみでコーナリングフォースを発生させるのは無理となります。それよりも普段使いでの不具合の方が、普通のメーカーには問題なのです。超高速域でのステアリングレスポンスがどうこう言うド変態さんはポルシェにでも乗ってろ!ということでしょう(笑)。ドド変態さんバンザイ!
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2023/01/11 04:48:54