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イイね!
2012年08月12日

アウト・イン・アウト

サーキット走行をする人なら誰でも知ってるアウトインアウト。
でもその本当の目的を正確に答えられる人は、僕の知る限りほとんどいないと思います。
(雑誌にも書いてあるのを見たことがない)
というか、日本サーキット走行理論学会がないので正式見解も存在していないと思います。
そこで、今日は僕の説を書きたいと思います。(真実かどうかは不明です)

以前も書きましたが、アウトインアウトの目的は、「旋回半径を大きくしてコーナリング速度を上げるため」だけでは不十分です。

わかりやすい例で言えばTC2000の1コーナ。
例えばプロドライバーの車載映像を見ると、1コーナでは、どんな車だろうと関係なく、クリッピングポイント付近はインベタで走っています。

TC2000の1コーナをインベタで走ると、最小旋回半径は約30m前後です。
逆に旋回半径を大きくする場合は最大で40mくらいまで大きな旋回半径で走ることが可能です。

インベタってことは、そのコーナを可能な限り小さい旋回半径で走っているということを意味しています。
旋回半径を大きくしてコーナリング速度を上げたかったのではないのか?
彼らは、アホなのか?
とまたしても昔の僕は思いました。

しかしよ~く走りを観察すると、必ず一度アウト側へ寄ってからインへ切り込んできます。
そして立ち上がりも必ずアウト側へ寄ります。

つまり、最小旋回半径は小さくしたいが、走行ラインとしてはアウトインアウトで走りたい。
最小旋回半径を大きくすることと、アウトインアウトで走る目的は別にあると考えられるわけです。
ここにヒントがあると考えました。

さらに、プロドライバーは旋回途中でも容赦なく減速します。
コーナ立ち上がりでも、旋回途中から全開気味に加速します。

これらの事実を整理してみると(ヘアピンコーナに限って言えば)
1、最小旋回半径はそのコーナで取れる最小旋回半径とする。(=インベタで走る)
2、コーナ入り口はコースのアウト側から、立ち上がりはコースのアウト側へ向かって走る
3、旋回途中も可能な限り加減速をする

そしてそれぞれについて考察します。
まず最小旋回半径ですが、そのコーナで取れる最小旋回半径(インベタ)よりももっと小さい半径にすると
①最低速度が低くなりすぎる
②走行距離が長くなる
という二つのデメリットが考えられます。

逆に、最小旋回半径をより大きくすると
③走行距離が長くなる
④加減速できる距離が短くなる(同じ角度に向きを変える場合、旋回半径が大きいほど走行距離が長くなり、その区間では加減速ができないため))
というデメリットが考えられます。

走行距離という観点ではインベタがもっとも有利です。
加減速という観点では旋回半径が小さい方が有利です。
問題は最低速度が低いということだけです。

つぎに”アウト側からコーナに入り、アウト側へ立ち上がる”ことの狙いを考えます。
これが難しかったです。

答えは「最低速度で走る距離を短くする」です。
もし、イン・イン・インで走れば全体の走行距離は一番短くなります。
しかし、その場合は入り口から出口までの180°向きが変わる区間はずっとインベタの旋回半径で走らなければなりません。

ところが、アウト・イン・アウトで走れば、最小旋回半径の走行ラインに対して斜めに入って、斜めに出て行くことができるので、インベタで走る区間を180°以下にすることができます。

最後の”旋回中も加減速をする”の狙いを考えます。
最小旋回半径のラインに対し直線で(直線的にではなく直線で)入ったとすると、直線なだけに旋回中ではありません。旋回は最小旋回半径のところのみで行います。

旋回中に加減速速をするためには、最小旋回半径に対し、段々曲率半径が小さくなるような曲線でつながる走行ラインで走る必要があります。

なぜわざわざ、直線で加減速をせずに曲線で加減速をするのか?
こんなことをしたら車輌姿勢が乱れて走りにくいではないか?
やはり彼らはアホなのか?
と早合点してはいけません。
最小旋回半径を曲線でつなぐことのメリットはないのか?
ありました!!
それは最小旋回半径で走る距離を短くできることです。(一番下の絵を参照してください)

長々と引っ張りましたが
アウト・イン・アウトで走る目的
1、加減速のできない距離を短くする(最小旋回半径で走っている距離を短くする)
2、走行距離をなるべく短くする
3、最低速度を低くしすぎない
この3つをバランスさせてコース一周を最も速く走れるようにする。

というのが僕の説です。

具体的でなくてわかりずらいと思うのですが、アウト・イン・アウトの目的ってわかりずらいんです。
それを雑誌などでは無理矢理一言で説明しようとするから、実態と合っていない説明になってしまうわけです。
ただ、具体的でないと、何の指標にもならず、机上の空論になって意味がないので、具体的な指標として使えるようにしたものが最小旋回半径の推奨値です。

以下は走行ライン(最小旋回半径)とラップタイムの関係をシミュレーションしたものです。
コーナはTC2000の1コーナ
車は僕のS2000
TC2000の1コーナの最大旋回半径は約40m
推奨の旋回半径最小値は28m
これよりもさらに小さい23mと大きくした35mの4種類でシミュレーションしました。
(1コーナ以外の走行ラインは全て同じです。)
目論見どおり推奨値(28m)のときが最も速く走れています。



最低速度を上げることよりも加減速ができない距離を短くすることの方が大事なことがわかります。

最小旋回半径への加減速部のつなぎ方によるタイム差

最小旋回半径の区間に対し曲線の走行ラインで加減速することが大事です。
ブログ一覧 | サーキット走行理論 | 日記
Posted at 2012/08/12 19:54:30

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この記事へのコメント

2012年8月21日 10:23
ちょっとくらいクリップ離れても半径がドンピシャならOKってことかな?

ヘアピンは結構ギリギリブレーキだもんね!
コメントへの返答
2012年8月21日 22:48
もちろん、クリップから離れると走行距離が長くなるので好ましくはないです。
でもタイム影響は小さいので、それよりもきちんと加減速ができて、最低速度が落ちすぎていないことが重要ですよね。

プロフィール

サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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