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イイね!
2012年11月18日

エンジンオイル続き

エンジンオイルの粘度は温度によってめちゃくちゃ変化すると前回書いたのですが、めちゃくちゃとはどのくらいなのかが、定量的ではなかったのでちゃんと調べてみました。

モチュールのHPには親切なことに各オイルの動粘度ν(mm2/sec)が記載されています。
このHPのテクニカルデータシートを参照ください。
http://www.motul.com/jp/ja/products?f%5Brange%5D=25

しかし動粘度ではエンジンしゅう動部への影響がわかりにくいので、(絶対)粘度へ変換します。
動粘度νと(絶対)粘度ηの関係は次式のようになっています。

η=ρ×ν

ここで、ρはオイルの密度(kg/m3)です。
オイルの密度は温度によって変化するのですが、通常使用する温度範囲ではあまり変わらないので今回は一定の値とします。(走行直後に抜いたエンジンオイルの容積が冷えたあとで見た目に変化していることはないので、粘度変化に比べて無視できると思われます)

たとえば、300V LE MANS 2000(20W-60)の場合、40℃の動粘度は168.3mm2/secで、密度(20℃)は0.867g/cm3(867kg/m3)なので、40℃の密度も20℃と同じと仮定して(絶対)粘度を計算すると、

η=867×168.3×10^(-6)
 =0.146 Pa・sec
 =146 mPa・sec

エンジンしゅう動部に影響するHTHS粘度は、この(絶対)粘度とは違い、動粘度から算出せずにTBS試験で直接算出するのですが、(絶対)粘度よりも必ず低い値になります。
しかし、(絶対)粘度が高ければ普通はHTHS粘度も高いので、とりあえず(絶対)粘度の変化を見てみたいと思います。

温度に対するオイルの粘度の関係式はWaltherの実験式というのがあり、下式のようになっているそうです。(昨日調べたらでてきた)
ちなみに、この式は実験式なので120℃以上では実際との誤差が大きく使えないそうです。

Log(Log(ν-k))=A+B×LogT

この式で、Tはオイルの絶対温度(K)、k,A,Bはオイルによって決まる定数です。
kは動粘度が1.5mm2/sec以上では0.6だそうです。

この式をνについて解き、各オイルの40℃と100℃の粘度を代入してAとBを求めてグラフを書いてみました。


80℃~150℃を拡大


この実験式は120℃以上では誤差が大きいと書いてあるものの、そこを無視して150℃まで計算した結果とMOTULのデータシートに書いてあるHTHS粘度を比較してみました。
HTHS粘度の方が少し低い値になっていて、そこそこ使えるような気がします。


今までマジメに粘度比較をしたことなかったのですが、改めてグラフを見てみると、思っていたよりも粘度番号による差が大きいということに気づきました。
0W-30と10W-40なんて大して変わらないって思ってましたが、同じ100℃で見ると
 0W-30: 8.4mPasec
15W-50:15.4mPasec
2倍くらい違います。

しかしながら、同じエンジンオイルでは、例えば10W-40で見ると
 40℃:78.9mPasec
100℃:12.1mPasec
なんと6.5倍です!
80℃でも19.9mPasecなので1.6倍もあります。

なので低水温(=低油温)でエンジンを運転するとエンジン内部のしゅう動抵抗が大きい状態で運転することになってしまいます。
部分的に境界潤滑や混合潤滑のところもありますが、高回転では全体的に見れば流体潤滑状態で運転されているので、しゅう動抵抗はHTHS粘度に比例します。
なので、80℃と100℃ではしゅう動抵抗は1.6倍くらい差があります。

でも、気温が低いとパワーが出ます。
油温は低いのでフリクションは大きいです。
でもパワーは出ます。
つまり、エンジン出力全体に対する影響度合いでは、気温による変化に対してエンジンオイルのしゅう動抵抗の割合が十分小さいってことです。

ってことなのですが、実は僕のS2000には油温計ついてないんです。
なので、油温とエンジン出力(加速)の相関を実測したことがありません。
机上の空論を述べていても意味がないので、次回の走行会までにできれば油温計と油圧計をつけて色々確認できるようにしたいと思います。


写真と本文は関係ありません
ブログ一覧 | S2000 | 日記
Posted at 2012/11/18 16:57:16

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この記事へのコメント

2012年11月20日 0:40
これは勉強になります。

80℃も100℃もそれほど変わらないと思ってた。

全開時には数字ほど差がでるかどうかは別だけど、燃費走行なんかには
影響があるんだろね。

ポルシェの新型ボクスタは通常走行時に水温105度
高負荷時は水温85度にサーモをコントロールして
オイルの温度も調整してるらしい。

ディーゼルエンジンにはオイルパンを2重底にして
ウォームアップを早めるのもあるらしい。

オイルって、正直何が良いのかわからないけど
こうやって数値を出すとなんとなく見えてきますね。



コメントへの返答
2012年11月20日 23:01
オイル粘度は見た目以上に変わるんです。
でも燃費影響はいろんな文献読んでも1~3%くらいしかないとも書いてある。

負荷によって水温コントロールするのは良いね。僕も真似したい・・・。

オイルは何がいいのかわからないから、それなりのメーカのそれなりの値段のそれなりの粘度のものを買うしかないんだろうね。

そんなわけで僕は信頼と実績と低価格と高粘度のカストロールRSを愛用してます。

プロフィール

サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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