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イイね!
2013年06月02日

欧州式の補足

昨日の補足です。

まず、欧州式のおさらい。
オートスポーツで紹介されている欧州式は

①ブレーキは直線で終わらせる
②コーナは定常円旋回

ということで、これを具体化してシミュレーションしてみます。
場所はツインリンクもてぎの東ヘアピンで車はN1のEK9シビックです。
(摩擦円の条件は、最大横G:1.28、最大減速G:0.9G、最大加速G:0.75)

欧州式の走り方で最も速く走れるようにするためには、そのコーナで取れる最大の旋回半径で走る必要があります。
東ヘアピンの場合は旋回半径を最大で36.5mにすることができるので、この旋回半径で計算してみました。

また、日本式と比較した方がわかりやすいので、日本式の走行ラインでも同じ条件で計算しました。
ちなみに今回の計算条件は、N君Bの実測データに合わせ込みをしています。

走行ラインはこちらです。

欧州式



日本式=N君Bの実走ライン(赤線)


シミュレーション結果
赤:欧州式、青:日本式、緑:N君B実測
黒線は欧州式と日本式のタイム差です。


区間タイムの差を見てみると、3250~3500mの区間では、欧州式のほうが0.31秒も遅いです。
ダウンヒルストレートの終わりでは0.57秒の差です。

ハッキリ言って、どんだけ完璧に欧州式で走らせることができても日本式と比べると圧倒的に遅いです。
コーナ前後の直線の長さとかそういうことではなくて、入り口から出口まで一貫して遅いです。

あまりに遅すぎるのでもてぎヘアピンの実測結果はありません。
でも実測結果がないと納得できない人もいると思うので、TC1000の実測結果をご覧ください。
こちら→https://minkara.carview.co.jp/userid/1494795/blog/26349663/

欧州式は前後方向と横方向のグリップを同時に使わないから、実際はもっと摩擦半径が大きくなるのではないか?
とか思う人もいるかもしれませんが、少なくとも過去に僕が実測した結果にはそんな結果はありません。

今回のシミュレーションの例では、横G1.28で計算しているのですが、仮に欧州式の場合は横Gが大きくなると想定して計算してみました。
ダウンヒルストレートの終わりのタイム差が無くなるために必要な横Gは1.47Gになりました。


最低速度は日本式が65km/hであるのに対し、同じ区間タイムで走るために必要な欧州式の速度は82km/hです。
でも、これでやっと同じ区間タイムです。

しかしながら、ダウンフォースの効くクルマの場合は、速度が上がると摩擦円が大きくなるのではないか?と思ったと思います。
僕もそう思います。

例えば、今回の例では、日本式の走行ラインでは最低速度が65km/hなのですが、欧州式では77km/hです。
ダウンフォースは速度の二乗に比例すると仮定すれば
(77/65)^21=1.40
なんと!、1.4倍もダウンフォースが発生します。

ダウンフォースが増えればその分、摩擦円は大きくなります。
以前紹介した、「F1解剖講座」によれば、65km/hで走行中のマクラーレンMP4は大よそ80kgfのダウンフォースを発生させているようです。(目読み)

車輌重量を600kgとすれば、
65km/h走行時のタイヤ荷重=600+80=680kgf
77km/h走行時のタイヤ荷重=600+80×1.4=712kgf

最大摩擦力はタイヤの垂直荷重にほぼ比例するので
712/680=1.047
約4.7%の摩擦円の拡大が見込まれます。

65km/hの最大横Gを1.28Gとすれば、77km/hの最大横Gは
1.28×1.047=1.34

ダウンフォースの効くクルマの場合は、コーナリング速度を上げた方が摩擦円が大きくなり、さらに摩擦円が大きくなった分だけ、コーナリング速度が上がるので、実際は1.34Gよりも大きい最大横Gを発生できるはずです。

それでも、区間タイムを同じにするために必要な最大横Gの1.47Gには達しないと思うので、やっぱり定常円旋回をするような走り方は有効ではないと思います。

くどくど書きましたが、基本的には日本式の走り方しかサーキット走行で用いられることはなく、どちらかと言うとコーナリング速度を高くすることを重視した走り方が欧州式ってことだというのが僕の考えです。
ブログ一覧 | サーキット走行理論 | 日記
Posted at 2013/06/02 20:06:42

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この記事へのコメント

2013年6月2日 22:44
欧州式でもハンドル切ってる以上はステアリングブレーキ効いてますし…それを相殺するためのバランススロットルなら、相殺分で無駄なグリップ使ってるわけで…横Gが極端に大きくなるとは考えにくいですね^^;

でもこのシミュレーション結果は興味深いですね。
こんなに差が出るとは思いませんでした。
コメントへの返答
2013年6月3日 0:53
TC1000のN君Bの走らせ方は、バランススロットルを用いた欧州式なのですが、横Gは同じなので、やっぱり1.47Gも出るとは思えないですよね。

そもそも完璧な欧州式の走らせ方はできないのと、走行距離の差があるので、実際はもっと差がつくと思います。

今度タカスの最終コーナで試しにやってみるといいと思います。
2013年6月2日 23:18
だから土屋圭市はダウンフォースを使いきれなかったのか(´-ω-`)>

今日気づいたけどうちのオヤジはコーナーでも躊躇なくブレーキ踏む( ̄▽ ̄;)
コメントへの返答
2013年6月3日 0:56
トヨタのTS020はバリバリダウンフォース効いてたけど、十分速かったので、ドリキンはどちらかと言うと、フォーミュラのクイックな動きに対応できなかったのではないかと思います。

コーナで踏むのは問題ないけど、踏み増しするのはダメですね。
踏み増ししたらパンチしてあげてください。
2013年6月3日 16:38
富士Aコーナーや鈴鹿130Rなんかは
どうでしょうかね〜?!
フォーミュラでは全開かもしれませんが
ハコ車ではブレーキ早く終わらせて
加速しながら抜けたい感じのコーナーですよね。
ついビビって減速しすぎちゃいますけど・・・
コメントへの返答
2013年6月4日 0:12
フフフフッ
Hozさんからそういう質問が来るんじゃないかと思ってましたよ!

走行ラインの説明ってだいたいがヘアピンなのですが、その理由は違いがわかりやすいからなのです。

補足その2として90°コーナを取り上げるのでしばしお待ちください。
2013年6月3日 22:48
踏み増しかわからないけど、ぐぐーっと踏みます(笑)
タイヤがよれてタイロッドエンド曲がる勢い(笑)

オヤジ曰く、運転は減り張りよく、ぐっと加速したらあとは惰性で行くからアクセルは離せ、です♪ヽ(´▽`)/
コメントへの返答
2013年6月4日 0:14
それはきっと踏み増しですなぁ。
いきなりパンチするとビックリされるので、注意してあげてください。

メリハリは大事です!
アクセルは常に全開でお願いします。
2013年6月5日 11:00
はじめまして、初コメ失礼します。
タツゥさんのブログは、以前から拝見して勉強させてもらっていました。

昔、シルバーストーンレーシングスクールの校長先生がオートスポーツに寄稿していた記事によれば、欧州式でも単純に旋回半径を最大にしたライン取りだけでは駄目で、「コーナーの頂点を中心としたアウトインアウトを少しだけ歪め、前半を少しタイトに、後半を少しワイドにした(入り口のカーブ曲線が一定なのに対し、出口の曲線が徐々にゆるくなっている)」と書かれていました。
自分の解釈ではクリップ以降は欧州式も日本式も変わらないと思っています。
また、ヘアピンのような低速コーナーでは、「クリッピングポイント直前までブレーキングをしながらターンインさせることもあることから、バランススロットルの使用は短めになります。これによってブレーキングポイントを奥にすることができ、脱出の速度を高くキープしながらコーナー前半で費やす時間を短縮することができる」とも書かれていました。

それから、「クリッピングポイント付近までブレーキングをしながら、同時に旋回するスタイルに合わせたスタイルに合わせたセッティングでバランススロットルを試すと、ターンインと脱出の両方でアンダーステアになってしまうでしょう。」と書かれており、欧州式で知られる?谷口選手のマシンセッティングは知り合いのレーシングドライバーによれば凄いオーバーステア・セッティングらしいです。
コメントへの返答
2013年6月5日 22:45
はじめまして!
僕もそのオートスポーツ読みました。
(内容はほとんど忘れました!)
何年の何月号でしたっけ??

確か実測事例がなかったように思うんですよね・・・。
理論を1ページ使って書くより、実測事例を10個載せて欲しいなって気がしました。
2013年6月6日 14:42
2004年のオートスポーツ№975(7/22)~№977(8/5)号です。
日本のサーキットのようにフラットな路面でミューが高く、高性能タイヤを使用する環境では日本式の方が速いような気もしますが、可夢偉 vs ペレスを見ててもパンピーで一定しない路面コンディションではペレスに負けることが多かったことからも、場合によっては欧州式の方が有利なこともあるように思います。
コメントへの返答
2013年6月6日 22:54
ありがとうござます!
どうも2004年はレーシングオンだけ購入していたらしく、オートスポーツは975号だけ持ってました。

ちなみにペレスはいわゆる日本式です。
ペレスの車載映像を見ると、エンジンの音が一定回転に聞こえることはないので、コーナ途中でも必ず加減速をしています。

なにがどうだと欧州式なのか?
まずはこの定義がないと具体的な話ができないと思います。
2013年6月6日 15:00
悪路では欧州スタイル((φ( ̄ー ̄ )メモメモ

確かにバイクはバランススロットル命な
コメントへの返答
2013年6月6日 22:55
悪路では欧州スタイル→×

悪路では徐行→○

プロフィール

サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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