車高は低ければ低いほどいい。
これは昔からそう決まっていて、今さら疑う余地もない気もするのですが、今日はサーキット走行車輌の車高の決め方について書きたいと思います。(今回は車高の前後バランスについては言及しません)
まずは車高を決める要素を挙げてみましょう。
1、カッコよさ
2、縮み側ストローク
3、重心高
4、最低地上高
5、サスストローク時のキャンバ変化
6、サスストローク時のトー変化
7、空力影響
他にももっとある気もしますが、とりあえずこの辺にしておきます。
この中で僕がわかるのは、1~4だけです。
アーム角度は見ればわかるけど、それがいいのか悪いのかはわかりません。
トー変化もちゃんと計測しないとわかりません。
空力は車高が低ければ低いほどいい気もしますが、いまいち影響度合いがわかりません。
とりあえず、わからないところは放っておいて、順番に考えていきます。
1のカッコよさについては低ければ低いほうがいいに決まっているので低い方が良い。
2の縮み側ストロークはショックが底付きしたり、タイヤがホイールハウスに当たったり、アームが動かない角度にならないようにしなければなりません。
縮み側ストロークは多ければ多いいほどいいわけではなく、実際の走行で縮むストローク分だけ縮むことができればいいので、実走で確認します。
ショックのストロークはタイラップの位置で確認し、タイヤとホイールハウスの干渉はホイールハウスにガムテープなどを貼って確認します。
干渉しすぎるとタイヤが切れたりする場合があるので、必ず実走後に確認しましょう。
3の重心高は当たり前ですが車高が低ければ低いほど低くなります。
また、重心高が低いほうが加減速や旋回に伴う荷重移動量が減少します。
荷重移動が少ない方が、4輪合計のタイヤグリップ力は大きくなります。
タイヤのグリップ力は大きければ大きい方がいいので、重心高は低ければ低い方がいいということになります。
4の最低地上高は空力影響の大きいクルマ以外はあまり気にしなくても構いません。
ダウンフォースが大きいと、最低地上高が低くすぎる場合スポイラーなどを地面に擦ってしまうので、擦らない程度の最低地上高を確保する必要があります。
これらを総合して車高を決める順番考えると
1、車高は可能な限り下げる(ショックストローク、最低地上高はある程度確保する)
2、一度サーキットを走行する
3、縮み側ストロークなどを確認する
4、縮み側ストロークが足りなかったり、タイヤがホイールハウスに干渉している場合は、その分だけ車高を上げる。
縮み側ストロークが十分ある場合でも、もう少しだけ(5mmくらい)車高を上げて走行する
(トーやキャンバは調整しなおす)
5、ラップタイムが良くなる、または明らかに車輌挙動が良くなる場合はもう少し上げて走行する。
普通は車輌挙動が明らかに良い場合は、必ずラップタイムも良いので、基本はラップタイムで判断します。
6、ラップタイムが悪くなるところまで車高を上げて、一番いいところに戻す
そんなの当たり前じゃん!と思ったあなた。
そうです、当たり前のことを当たり前にやる。
クルマのセッティングとはそういうものです。
”手間をはぶくと、得るモノもはぶかれる”(by湾岸ミッドナイト26巻)
これをやると、おそらくほとんどのクルマが4の状態、つまり縮み側ストロークが十分確保された状態のラップタイムがいいと思います。
ここで言う十分ストロークがあるという状態とは、ショックにつけたタイラップとバンプストップラバーの距離が1~2mmある状態です。
実際は多少のバンプストップラバー干渉は走行上の支障がないので、さらに5mmくらい車高を下げた状態も再度確認します。
もし車高を変えてもラップタイムや車輌挙動に変化がない場合は、車高の低い側を選択するのが基本ですが、最低地上高が低すぎると街乗りで支障が出るので、具合のいいところに調整します。
最近は当局に検挙されることはないのですが、踏切で動けなくなるとマズいので、下げすぎは禁物です。
車高の前後バランスについては、症状を見ながらストロークや最低地上高に余裕のある側で調整します。
この前ホットバージョンの峠バトルを見ていたら、ペタペタのS2000がギャップの多い路面を凄い勢いで走ってました。
WRCのターマックを走るラリーカーもペタペタです。
サーキットを走るハコ車は問答無用でペタペタです。
ニュルブルクリンク北コースをジャンプして走るクルマもペタペタです。
車高の高いレーシングカーなんて世の中にないのです。
僕の知る限り、車高は低い方が速いです。
なので車高はまず可能な限り低くして、そこから徐々に高い側に調整するという方法がオススメです。
ちなみに、初心者は”低い”のレベルがわからないと思うので、そういう人はサーキットで一番速い人のクルマの車高をパクるのがいいと思います。
もちろんその状態で、ショックのストロークが20mm以下しかないと底付きが目に見えているので、最低でも20mm以上はストローク量を確保しましょう。
サスペンションアーム取り付け点を変えることができないスーパー耐久車輌もペタペタが基本です。
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クルマ | 日記
Posted at
2013/08/13 22:16:02