
今日は低反発スプリング3回目です。
はじめに前回の記載に間違いあったので訂正です。
バネ反力の計算は、中学で習うようです。
中学生時代は教科書にクルマの絵を描いていた記憶しかないので、すっかり忘れておりました。申し訳ありません。
そして、ふと思ったことがあります。
プレイドライブに書いてあった”反発力”と中学で習うフックの法則に出てくるバネ反力は同じことを意味しているのだろうか?ってことです。
まずは低反発といえばマットレスなので、マットレスにおける低反発の定義を調べてみました。
そうすると、マットレスというより、軟質ウレタンフォームやゴムで低反発、高反発を”反発弾性率”という言葉を使って定義していることがわかりました。
軟質ウレタンフォームの反発弾性率の測定方法はJIS K 6400-3で決められており、試験片に500mmの高さから鋼球を落下させ、跳ね返った高さから反発弾性を求めます。
こちらから引用しました。写真があるのでご覧ください。
https://www.boken.or.jp/find_items/lifestyle_goods/daily_items/urethane_foam/1217/
この定義の反発とは反発弾性率なので、力ではないのですが、反発弾性率が高い=反発力が高いと言い換えることができそうです。
しかし、この反発弾性率が低反発スプリングの反発を示しているわけではなさそうです。
軟質ウレタンフォームやゴムに当たった鋼球が元の高さまで跳ね返らない理由は、
軟質ウレタンフォームは内部摩擦が大きく、鋼球の運動エネルギーが熱エネルギーに変わることが原因ですが、これは材料の物性値で決まります。
仮に鉄鋼材のコイルスプリングで同じ試験をしたとしても、使っている鉄鋼材が同じであれば内部摩擦が同じなのでコイル線の太さや、コイル巻き径、巻き数が違っていても、同一バネ定数の場合は同じ結果にしかなりません。
低反発スプリングの説明には鋼材ついての記載はなく、巻き数や重量が違うと書いてあるだけなので低反発スプリングの反発は反発弾性率の大小のことを指しているわけではなさそうです。
もう少し考えます。
反発弾性率と似たような感覚ですが、バネ単品を縮めた状態からビヨヨ~ンって元に戻るときの速さが速い(=時間が短い)ものを高反発、戻る速さが遅い(=時間が長い)ものを低反発と定義してみます。
こう定義すると低反発スプリングはエネルギーを貯めている時間が長いという説明にも合います。
そこでバネ単品を縮めた状態から元に戻るときの速さを計算します。
でも、これも真面目に計算すると難しいので、かなり乱暴に簡略化し、バネ質量が全てバネ端に集中して分布しているモデルで計算します。
図1:コイルバネの簡略モデル
このようなバネをx(m)縮めた状態からパっと手を放します。
そすると、バネ端に集中しているバネ質量が加速します。
このときのバネ反力はフックの法則より、k・x(N)です。
このときのバネの加速度 as(m/sec2)は、ニュートンの運動の第一法則より
as=k・x/m (m/sec2)・・・式1
式1より、バネ質量mが大きいほど加速度asは小さい、つまりバネが元に戻る速度が遅いということになります。
したがって、低反発スプリング→巻き数多く、バネ質量が大きい→バネを縮めた状態から元に戻る速度遅い→反発力が小さい ということになりました。
でもこの考え方も違うと思います。
まず自動車のサスペンション用のバネをバネ単品で使うことはありません。
バネをお店で買って来た帰り道に、助手席の上から落ちたスプリングはバネ単品でビヨヨ~ンと伸び縮みしてるかもしれませんが、普通は車体に組付けた状態で使うものなので、図1のようにバネ単品で使われることはないのです。
自動車のサスペンション用バネの動きを考えるときは図2のように車体の質量で計算します。
・バネ端はアッパーマウントと一緒に動く
・アッパーマウントはボディ(車体)と一緒に動く
バネ端はボディ(車体)と一緒に動いておりバネ単独で伸び縮みすることがないので、バネ単独の質量で計算はせず、車体の質量で計算をしなくてはなりません。
図2:自動車バネ-マスモデル
このモデルで計算すると、前回計算したとおり、バネ質量の影響は微小で無視できるレベルでしか変化しません。
ついでにバネ下側でも計算してみます。
バネ定数を100N/mm、バネ下質量を30kg、バネ質量を2kgとすると
バネ質量を考慮せず・・・9.19(Hz)
バネ質量を考慮する・・・9.09(Hz)
約1%の変化で、バネ下も無視できるレベルでしか変化しませんでした。
仮にバネ質量がもっと大きいと無視できないくらい固有振動数が変わりますが、わざわざバネの質量を変えなくても、車体にオモリ積むとか、ご飯をたくさん食べて体重増やすとか、重いホイールに変えても同じ結果になるので、わざわざ低反発スプリングという名前をつけて売り出す理由が見当たりません。
ということで、今日は反発の意味を考えてみましたが、結局はよくわかりませんでした。
長くなってきたので、ばねのサージングは次回書きたいと思います。
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Posted at
2023/09/02 12:50:17