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2013年02月13日 イイね!

ホイールバランスその2

自動車用ホイールの位置決めはセンターボアですることになっているのですが、アフターマーケットのホイールの場合、センターボア径がハブ側と合っていないので、テーパナットで位置決めをするというおかしな状態になっています。(機械工学の基本として、ボルトを位置決めに使ってはいけません)

さて、位置決め方式はとりあえずおいといて、今日は位置決めがズレたときの影響を計算してみます。
タイヤとホイールの合計質量をm(kg)、ホイールセンタズレをr(mm)とします。
ここで言うホイールセンタとは、バランス取りをしたときの回転中心のことです。

このときのアンバランスにより発生する力F(N)は昨日と同じで

F=m × r × ω^2

昨日はちゃんと計算しましたが、今回はその他のアンバランスとの影響比較をします。
例題として昨日計算をしたバランス修正用オモリと比較をしてみましょう。

1)タイヤ+ホイール質量:15kg(=15000g)、ホイールセンタのズレ量:0.1mm のアンバランス
2)リム半径300mmに貼っていた20gのオモリが取れたときのアンバランス

アンバランスの式を見てみると、角速度の項目でω^2というのがあるのですが、同じ回転数で回っているときはどちらも同じ値になるので、同じ回転数で回る物同士のアンバランス比較をするときは計算を省略します。

したがって1)の場合は
15000g×0.1mm=1500g・mmのアンバランス
2)の場合は
20g×300mm=6000g・mmのアンバランス

ホイールセンタが0.1mmズレると20gのオモリが取れたときの25%のアンバランスが発生することになります。
昨日書いたようにオモリの場合±5gくらいなら影響がほとんど感じられないのでホイールセンタズレも0.1mmくらいなら影響はないと考えられます。

ホイールの脱着を繰り返していると、0.2~0.3mmくらいは普通にズレている気もするのですが、ホイールの脱着後にステアリングシミーが発生したことはないので、意外にズレないのかもしれません。


ところで、クランクシャフトのバランス取りをしてくれる加工屋さんがいますが、アンバランスの単位が”g”なのは間違いです。
正しくは、アンバランスを修正する部分での質量を示す必要があるので、半径○○mm上で△gのアンバランスがある。と言わなければなければなりません。(実際はさらに軸方向も重要です)

仮にアンバランスによる力を示しているのであれば、○○rpmで回転させたときのアンバランスは△gfだった。と言う必要があります。

この辺をきちんと書かずに、「当社では、アンバランスを0.01g以下に修正します!」などとエラそうに書いているお店はアンバランスについて理解できていないので、バランス修正をお願いするのは止めた方がいいと思います。
Posted at 2013/02/13 23:27:31 | コメント(1) | トラックバック(0) | いろいろ計算 | 日記
2013年02月12日 イイね!

ホイールバランス

ガレージK氏がホイールバランスについて書いているので、ホイールバランスが悪化したときの影響を具体的に計算してみましょう。

ホイールのバランスを取るときは10gとか20gもオモリをリムに貼り付けます。
ここで、このオモリが取れてしまった場合の影響を計算してみます。

バランスが悪化したときの影響と言うと具体的ではないので、何を計算するかを決めます。
バランスが悪化すると起きること、それは振動の発生です。
特に前輪のバランスが崩れるとステアリングホイールがブルブル震えます。
これをステアリングシミーと言います。ジミーではありません。Shimmy Motion のシミーです。
日本語にすると舵取り装置の振動です。

なんでブルブル震えるかと言うと、タイヤが前後に動こうとするからです。
重い側が前方に来たときには前方へ引張られ、後ろに来たときは後ろへ引張ります。
バランスが崩れると、このようにホイールが前後に動こうとするので、その力がタイロッドを伝わりステアリングホイールを振動させます。
そこで今回は、このときに前後方向に発生する力の大きさを計算します。
(実際はさらに共振現象が大きく関係するのですが、今回の計算では割愛します)

では早速計算
計算には次の式を使います。
アンバランス力をF(N)とすると
F=m×r×ω^2 ・・・ ①
ここでmはアンバランス量(kg)、rはアンバランス部の回転中心からの距離(m)、ωはホイールの角速度(rad/sec)です。

時速V(km/h)で走行しているクルマのホイール角速度ωは、タイヤの半径をR(m)とすると
ω=V×1000/3600/R(rad/sec) ・・・②
ちなみに角度は360°が2π(rad)です。

②を①に代入すると
F=m × r ×(V/3.6/R)^2 ・・・③

今回は20gのオモリが取れた場合を計算します。
理由はこのくらいのアンバランスがあるとステアリングシミーが発生するからです。
ホイールはS2000の標準ホイールサイズである17インチとします。
リム部の直径は17インチなだけに17×2.54=43.2cmです。
速度はサーキット走行を前提として120km/hとします。
m=0.02(kg)、r=0.432/2(m)、V=100(km/h)、R=0.305(m)を③に代入します。

F=0.02×0.216×(100/3.6/0.305)^2
 =35.8(N)=3.65(kgf)

意外に小さく3.65kgfで前後に引っ張られていることになっているようです。
停止中のクルマのタイヤに3.65kgfの力を前後に与えてもステアリングには力はほとんど伝わらないと思うので共振時にしかステアリングがブルブルしないのも理解できます。

また、このくらいの力であればタイヤが路面から受ける前後力の方が遥かに大きいと思うので、ステアリングシミーの発生しない速度であれば、ホイールハブ等の強度的にもなんら影響ないと考えられます。

僕はタイヤ組替えを自分でやらないので、どのくらいのオモリの設定があるのか詳しく知りませんが、5gか10g刻みのオモリしか見たことがないので、実際はリム上で5gくらいなら振動影響はないようです。
Posted at 2013/02/12 23:55:08 | コメント(1) | トラックバック(0) | いろいろ計算 | 日記
2013年01月27日 イイね!

スタビは効いているか?

というガレージK氏の質問に答えるべく、今日はストロークセンサとは反対側のタイヤを持ち上げてみました。
ジャッキアップはボディのサイドシル下面にある後ろ側のジャッキアップポイントで行いました。
ストロークセンサは左側につけているので、反対側である右側の後輪を持ち上げてみると、センサ出力は-13mmと表示されました。
このとき持ち上がった右側後輪のダンパーは伸び切っているので-26mmです。
この状態ではスプリングは6mmくらい遊んでいます。

右側後輪を持ち上げると、同時に少しだけ左側後輪も持ち上がるので左右のストローク差は
26-13=13mm
となっていることがわかりました。

タイヤのところに換算すると、20mmくらいの差です。
こんなに差があってスタビが効かないなら、捨てちゃった方がいいのではないか?
と思いましたが、効いているのは運転している感覚から間違いないので、もう少し考えてみました。

伸び側のスプリングは全く効いていないので、ダンパーを伸ばしているのは地球の引力か、その他の何かによらなければなりません。
ニュートンによれば引力はバネ下の質量に比例するので、約20kgfです。
(バネ下質量からタイヤとホイールを引いた値)
さらに誰か下向きにダンパーを押している人はいないのか?と考えてみました。
いました!
ダンパー内部のガスです。(多分窒素ガス君です)
KYBのSpecTRとザックスではガス圧に違いはあると思いますが、こちらのグラフから読み取るとガス圧による反発力は25kgfくらいあるようです。
http://autobacs-asm.com/blog/asm/index.php?mode=res_view&no=2082

ダンパーを単品状態で手で縮めようとすると、確かに10~20kgfくらいの力をかけないと動き始めないので、とりあえず25kgfとして計算してみます。

ダンパーを下向きに押して(引っ張って)いる力は
地球の引力:20kgf
ダンパガス圧:25kgf
合計で45kgf

一方
スタビライザーの効きは以前計算したこちら
https://minkara.carview.co.jp/userid/1494795/blog/28296958/
の結果から、ホイール端(タイヤのところ)では、4.6kgf/mm相当です。

従って、ダンパーを上向きに動かすために必要な左右のタイヤ位置差を計算すると
45/4.6=9.8mm
この値は片側の値なので、左右ではこの倍である19.6mm差がないとダンパーは上向き(縮み方向)に動きません。

ジャッキアップ時のタイヤ位置左右差は20mmくらいなので、微妙にダンパーを持ち上げている(縮んでいる)状態のようです。
結論としては、スタビは効いているが、バネ下重量およびガス圧による反発力の方が大きいため、ダンパーは、ほぼ伸び切っている。ということになりそうです。

今度ダンパー交換をする機会があるので、その時にどのくらい左右差がつくと伸び側も縮み始めるか確認したいと思います。

追伸
ガス圧による反発力にレバー比を考慮するのを忘れてました。
レバー比を考慮するとガス圧反発力は20/1.4=18kgf
合計で38kgfなので
38/4.6×2=16.5mm

バネ下質量が予測値なので、次回測定してみたいと思います。
Posted at 2013/01/27 16:34:54 | コメント(2) | トラックバック(0) | いろいろ計算 | 日記
2012年12月19日 イイね!

油圧とエンジン出力

今日はオイルポンプ仕事を計算してみます。

オイルポンプのする仕事率Lは下式で求めることができます。

L=P×Q (W)

ここでPはオイルポンプ出口の吐出圧力(Pa)、Qはオイルポンプ吐出流量(m3/sec)です。

吐出圧力Pは先日の測定で5~6kgf/cm2=500~600kPa

吐出流量はサービスマニュアルなどを見ても載っていないので、ここではニサーンスカイラインGT-RのRB26のオイルポンプ流量で計算してみます。
RB26は鋳鉄ブロックの6気筒で、S2000のF20Cはアルミブロックの4気筒という違いはあるものの、アルミの方が熱間時のオイルクリアランスが大きくオイル洩れ量が多くなるので、気筒数分の影響はちょうど相殺されると考えられます。

GT-Rレース仕様車の技術開発(グランリ出版)によれば、量産車のオイルポンプ吐出量qは11.5cc/revとのことです。
RB26の場合、オイルポンプのロータはクランクシャフト前端に付けられているので、エンジン回転数とオイルポンプ回転数は同じです。
エンジン回転数をN(rev/min)としたときのポンプ吐出量Qは

Q=q×10^(-6)×N/60

この式から各エンジン回転数に対するオイルポンプ仕事を計算したものがこちらのグラフです。


油圧が600kPaのとき、9000rpmでは約1000Wくらいの仕事率になっています。
1馬力は735Wなので、1000/735=1.36馬力
つまりオイルポンプは1馬力前後のパワーを使っています。

ここで油圧違いを見てみると、500kPaと600kPaでは9000rpm時で約170Wの差があります。
馬力換算では0.23馬力
S2000は公称馬力が250馬力ですから、約0.1%の差に相当します。

オイル粘度が高くなると
1、各しゅう動部のオイルのせん断抵抗が増える
2、吐出圧力変化に伴うオイルポンプ仕事が増える

という二つの変化があるわけですが、2のオイルポンプ仕事については計算上も無視できるくらいの変化しかないということがわかります。

Posted at 2012/12/19 01:17:08 | コメント(2) | トラックバック(0) | いろいろ計算 | 日記
2012年12月12日 イイね!

バネレートの設定方法

先日、飲み会の帰りにS2000を最近購入したFJK君(不二子ではない)からバネレートはどうやって決めればいいのか?という質問がありました。
そこで今日は、バネレート設定方法について書きたいと思います。

ただし、僕はサスペンションの専門家ではないので、より勉強したい人は以下の本をお読みください。
1、車輌運動性能とシャシーメカニズム
2、GT-R レース仕様車の技術開発
どちらもグランプリ出版です。

さて、バネレートですがS2000なら普通スポーツタイヤでサーキット走行をする場合、14~20kgf/mmを選択するのが一般的です。
一方、シルビアでは8~12kgf/mmくらいと半分くらいのバネレートです。

バネレートの設定をするにあたり、大事なことはスプリング単品のバネレートではありません。
大事なのはバネ上固有振動数です。
普通スポーツタイヤでサーキットを走る場合は2~3Hzくらいにバネ上固有振動数を設定します。
○子供向けの一般車は1Hz前後です。
レーシングスリックタイヤの場合は3~4Hzくらいだそうです。
(理論的根拠は知りません)

ここでバネ上というのは、要は車体(エンジン、人含む)のことです。タイヤとホイールはバネ下です。
固有振動数というのは、バネを縮めたときに、ビヨヨ~ンと伸び縮みするときの1秒間あたりの回数です。
例えば、バネ上の固有振動数が3Hz(ヘルツ)のクルマがあったとします。
そのクルマの天井を下向きに押し付けて、パっと手を離すと1秒間に3回ビヨヨ~ンと上下します。

では早速いつもの計算をしてみましょう。
題材はS2000とシルビアです。
面倒なので車輌質量はどちらも1320kgとします。
※以下12.12.12修正
かつ前後重量配分は崇高な50:50とします。
計算は1輪当たりのバネ上質量で行うので、バネ下質量として
 タイヤ、ホイール、ブレーキ一式、ナックル、サスアーム これらを合計で約40kgを引いた
一輪当たりのバネ上質量m(kg)を計算すると
 m=1320/4-40
  =290(kg)

固有振動数:f(Hz)の計算式は、バネレートをk(N/m)とすると

f=(k/m)^0.5/(2×π)

今回は狙いの固有振動数にするためのバネレートを計算したいので、上式をkの式に変形すると

k=(2×π×f)^2×m (Hz)

とりあえずf=2.5Hzを代入してみます。
k=(2×π×2.5)^2×290
 =71554 (N/m)
 =7.3 (kgf/mm)

従ってS2000もシルビアもバネ上固有振動数の狙い値を2.5Hzにしたい場合は約7~8kgf/mmのバネレートにすればいいということになります。
しかし、シルビアはそれなりに合うのですが、S2000には全く合わないことがわかります。
それは、シルビアとS2000ではアームに対するダンパーの取り付け位置が異なることが原因です。

シルビアのフロントサスペンションはストラット式で、タイヤの上下する移動量とスプリングの伸び縮みする量はほぼ同じです。
ところがS2000の場合はサスペンションアームの中間にダンパーが取り付けられているので、タイヤが上下する量とスプリングの伸び縮みする量は異なります。
ここで、スプリングの伸び縮みする量:δsとタイヤの移動量δtとの比をレバー比言い、ρで表すと

ρ=δs/δt

となり、S2000ではρ=0.7くらいです。(タイヤが10mm動いてもバネは7mmしか縮まない)
先ほど計算したバネレートはレバー比が1のときの値なので、レバー比による補正をしなくてはなりません。
面倒なので途中の計算を割愛すると、レバー比による補正後のバネレート:k’は

k’=k/ρ^2

この式にk=7.3(kgf/mm)とρ=0.7を代入すると
k’=7.3/0.7^2
 =14.9 (kgf/mm)

となって、2.5Hzのバネ上固有振動数にしたい場合は
シルビアでは7~8kgf/mm
S2000では15kgf/mm(15kgf/mmは一般的でないので14か16kgf/mm)
にすればよいという結果になり、市販車高調のバネレート設定はバネ上固有振動数を2.5Hz前後を狙っているということがわかります。

まとめると、バネレートを設定するために必要な要素は次の3つになります。
1、狙いのバネ上固有振動数(使うタイヤと走行の用途によって決める)
2、車輌質量 → 重いほど同じバネ上固有振動数の狙いでも、高いバネレートが必要
3、レバー比 → レバー比が大きいほど同じバネ上固有振動数の狙いでも、高いバネレートが必要

スプリングは単品のバネレートは気にせず、バネ上固有振動数で選ぶことが大事です。

F1解説でおなじみの森脇さんがブリジストンのHPでサスペンションについて書いているので、こちらも参照ください。
http://ms.bridgestone.co.jp/hp/bsms_contents?coid=548
Posted at 2012/12/12 00:57:45 | コメント(3) | トラックバック(0) | いろいろ計算 | 日記

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サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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