• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

タツゥのブログ一覧

2025年04月30日 イイね!

オンボード映像とテレメトリデータのズレ補正方法

走行分析をするために、YOUTUBE等にあるオンボード映像から速度などのデータを取り込む際、悩ましいのが映像と映像に映っているテレメトリデータの時間ズレです。

ここで、どうにかしてこのズレの補正をしたくなるので、その方法の紹介します。

スーパーフォーミュラの場合は舵角がテレメトリデータに含まれているので、この舵角と映像の舵角を比較することで、おおよその時間ズレがわかり、補正することができます。

例えば、坪井選手のオンボード映像ではこのグラフのように、映像の舵角と映像に表示されている舵角にズレがあります。

紺色が映像に映っているハンドルの角度を読み取った値、灰色がテレメトリの値です。


映像ではハンドルを斜め上から映しているため、読み取った舵角の絶対値は正確ではありませが、コーナ入口から出口までを読み取ると変化の具合は大体合います。

今回の例では、時間ズレが約0.4秒あるので、0.4秒補正が必要です。

時間ズレがあると混乱の原因になるため、オンボード映像からテレメトリデータを取り込んだ際には必ず確認して補正をしておくのがおすすめです。
Posted at 2025/05/01 00:13:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2025年04月30日 イイね!

欧州式コーナリングのまとめ その4(SF TRM)

今日は、速度変化折れの仮想点による分類をもてぎ東ヘアピンとハンガロリンク1コーナに適用してみます。

①2022 SF Rd.8 モビリティリゾートもてぎ 大湯選手
②2025 SF Rd.3 モビリティリゾートもてぎ 牧野選手
③2019 F1 Rd.12 ハンガロリンク フェルスタッペン選手

①2022 SF Rd.8 モビリティリゾートもてぎ 大湯選手




見た目的には日本式で、その2でも日本式に分類しましたが、今回の仮想点の位置も実際の折れ点も3164mと同じ位置でコーナ中央寄りのため、変わらず日本式ということになりました。

②2025 SF Rd.3 モビリティリゾートもてぎ 牧野選手




富士の1コーナでは日本式寄りの欧州式という分類となりましが、もてぎの東ヘアピンも見た目的には欧州式に見えます。

速度変化折れの仮想点は3152mで、とちらかと言うとコーナ入口側で、どちらかと言うと欧州式ということになりそうです。

ブレーキの変化を見ても大湯選手とは違いがあり、ドライビングスタイルの違いがありそうだということがわかります。

③2019 F1 Rd.12 ハンガロリンク フェルスタッペン選手

最後はタッペン選手です。
その2では日本式ということでしたが、今回の仮想点を適用するにあたり、舵角のグラフが速度変化に対してズレているということがわかったので、改めて確認します。

速度、ブレーキ、スロットルはF1公式アプリのテレメトリーデータから持ってきて、舵角は車載映像から持ってきており、組み合わせるときに0.4秒くらいズレた位置で組み合わせていたため、正しく直しました。

また、580m付近の速度変化が不自然だったので、自然な変化になるように修正しました。




修正したグラフで速度変化折れの仮想点の位置を確認すると598mで、コーナ入口側になっていました。

したがって、分類としては欧州式ということになりました。

F1はエンジンブレーキ含めて減速Gが高く、速度変化のグラフがとがっているため、スーパーフォーミュラのグラフを見ていると日本式に見えてきたのですが、速度変化折れの仮想点を確認すると実際は欧州式で走っているという結果になりました。

今までは速度変化を客観的に判断する手法がなく、なんとなくの見た目でレーシングドライバーの走り方はどれも同じと考えていたのですが、今回多くの走行データの速度変化、ブレーキ、舵角および速度折れの仮想点位置を比較することで、ドライバーによって実際はかなり走り方が違うということがわかりました。

角田選手がレッドブルに慣れてきたら同様にタッペン選手と比較してみたいと思います。
Posted at 2025/04/30 11:32:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2025年04月29日 イイね!

欧州式コーナリングのまとめ その3(SF FSW)

ゴールデンウィークは気候がいいので、いろいろやる気が出てきます。
後半に予定があるため、前半はおとなしく家でみんカラです。

欧州式コーナリングのまとめはその2で終わる予定でしたが、スーパーフォーミュラのオンボード映像がYOUTUBEにいくつかあったので、欧州式と日本式に分類してみることにしました。

その結果、「欧州式コーナリングのまとめ その2」に書いたことがいまいち当てはまらないところがあったので、その修正も兼ねてその3を追加することにしました。

そもそもがんばって分類することに意味があるのか?と言われると分類そのものには意味はないと思いますが、その選手がどういう走り方をしているのかを理解することには役立ちそうなので分類してみます。

まずは今回分類した走行動画の紹介です。
いずれもポールポジションの動画です。
①2022 SF Rd.1 富士スピードウェイ 笹原選手
②2024 SF Rd.7 富士スピードウェイ 坪井選手
③2023 SF Rd.6 富士スピードウェイ 牧野選手
④2022 SF Rd.2 富士スピードウェイ 野尻選手

これらの動画をサ走研の最新技術によりエクセルグラフ化したので、順番に見ていきましょう。

①2022 SF Rd.1 富士スピードウェイ 笹原選手(1’21”404) TGRコーナ


笹原選手の速度変化は全体的になめらかで明確な折れ点がありません。
その2では折れ点の位置が重要だと書いたのに、折れ点がないため分類ができず困ってしまいました。

ただ、速度変化を見る限り、見た目が欧州式っぽかったので、どうにか分類する方法を考えました。

その結果、ハンドルを大きく切り始めたときの速度変化の傾きを直線上に延長した線とエンジンブレーキの速度変化の交点(図中の赤点線の交点)を速度変化折れの仮想点とし、この仮想点の位置で判断すると応用が利きそうなので、この方法で分類してみます。

この仮想点の意味ですが、
ハンドルを大きく切り始めたときの速度変化≒フルブレーキ
エンジンブレーキの速度変化=エンジンブレーキ
どちらも車輛の性能で決まり、走り方によって変化しない速度変化がコーナに対してどのような位置関係にあるかを示したのが、速度変化折れの仮想点です。

ブレーキ開始が手前で、最低速度が高いと仮想点がコーナ入口側になり、ブレーキ開始が奥で、最低速度が低いと仮想点がコーナ中心寄りになるため、この仮想点の位置により欧州式と日本式が判断できるという考え方です。

笹原選手の富士TGRコーナでは、724mくらいのところに速度変化折れの仮想点がきました。

この位置を走行ライン上で確認すると、下図のようにコーナ入口側となっているため、欧州式に分類されることになり、見た目どおりの結果になりました。


②2024 SF Rd.7 富士スピードウェイ 坪井選手(1’21”880) TGRコーナ




次は昨年のシリーズチャンピオンの坪井選手です。

速度変化の見た目は日本式ですが実際どうなのか確認します。

坪井選手の速度変化では仮想点が738mくらいのところにあり、走行ラインの位置を確認するとコーナ中央寄りとなっているため、こちらも見た目どおりの日本式に分類されることになりました。

ちなみに、仮にこのときの坪井選手のクルマを欧州式風に走らせたときの速度変化のイメージを描くとこうなります。(赤線が坪井選手実測、黒線が欧州式イメージ)


ブレーキ開始がちょっと手前になり、最低速度が上がるため、速度変化折れの仮想点が手前に移動します。

③2023 SF Rd.6 富士スピードウェイ 牧野選手




次は今年のRd.3もてぎでポールポジションを獲った牧野選手です。

牧野選手は仮想点が728mにあり、走行ラインの位置では入口側となっているため、分類としては欧州式ですが、④区間の減速Gが高く、エンジンブレーキ区間も短いため、日本式寄りの欧州式という分類になりそうです。

④2022 Rd.2 富士スピードウェイ 野尻選手




最後にその2でも取り上げた野尻選手です。
今回の仮想点で確認してもやっぱり仮想点は727mにあり、コーナ入口側となるため、変わらず欧州式ということになりました。

今回確認した中では昨年のシリーズチャンピオン坪井選手のみがわかりやすい日本式の走り方になったわけですが、これはドライビングスタイルによるのかそれともクルマの特性に合わせた結果なのかはわかりません。

いずれにせよ、昨年のシリーズチャンピオンを獲っているので、昨年のスーパーフォーミュラに対しては最適な走り方ということになり、日本式だから遅いということはなく、そのクルマの特性に合わせた最適な走り方をすることが重要ということになると思います。

ということで、これで終わると思いきや、その4でもてぎの東ヘアピンも見てみることにします。
Posted at 2025/04/29 23:54:18 | コメント(1) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2025年04月20日 イイね!

欧州式コーナリングのまとめ その2

欧州式コーナリングのまとめ その2写真は4月5日に行ってきたF1 TOKYO FAN FESTIVAL 2025に展示されていたレッドブルRB16Bです。

僕は予選の日のみ行ってきました。
この日は角田選手初のレッドブルでの予選ということで、パブリックビューイングでの観戦は大いに盛り上がりました。

では、前回の続きです。

今のところの結論は
日本式:最低速度までブレーキで減速する走り方
欧州式:コーナの途中から最低速度までをエンジンブレーキのみで減速する走り方
ということになっていますが、オートスポーツに書かれていた欧州式では①ブレーキは直線で終わらせる、②コーナは一定速度という二つの特徴があります。

しかし、僕の考える欧州式ではコーナ中もブレーキで減速していて、途中からエンジブレーキで減速することになっているので、①②どちらにも合っていません。

ところで以前、僕がこの問題で悩んでいるときに、僕の知り合いで一番速い人に、どういうことなのか聞いてみたことがあります。

すると以下のような回答をもらいました。
「ブレーキを急に弱くする間に大きくハンドルを切るので、そこから先がその人にとってはコーナと考えている可能性がある」

つまり、実際にはクルマは曲がっていて、コーナでも減速しているが、「ブレーキを強く踏んでいて舵角が小さい間はコーナではなく、直線である。」という考え方です。

そんなことある??って最初は思いましたが、あらゆる可能性を排除しないのが最近の世の中の流行なので、この考え方を取り入れると、①の「ブレーキは直線で終わらせる」については「舵角が小さく、ブレーキを強く踏んでいる区間を直線とする」と置き換えることができます。

同様に②の「コーナは一定速度」についても、これは「ブレーキを非常に弱く踏んでいる区間はほぼ一定速度である」と考えれば説明ができます。

実際にコーナ(走行ラインが曲線)かどうか、一定速度かどうかではなくて、そのドライバーがどう考えているかで判断します。

これを速度変化グラフで表す下図のようになります。


走行ラインで表すとこのようになります。
桃色線がドライバーの考えるコーナです。


このような速度変化をしていれば、欧州式コーナリングだということにして、スーパーフォーミュラ野尻選手の富士スピードウェイ TGRコーナの走行データを見てみることにします。


※走行ラインは僕の推測で多少ズレている可能性があります。


野尻選手のTGRコーナの場合は②の区間の舵角が小さく、③の区間で短時間でブレーキを弱くして舵角が大きくなっているので、③区間の途中までが直線で、③区間の途中と④⑤区間をコーナということにすれば、ブレーキは直線で終わらせて、コーナ中は一定速度(実際はブレーキが弱いだけ)と言えるので、欧州式コーナリングに分類されると考えられます。

次に、エンジブレーキ区間が短い大湯選手のもてぎ東ヘアピンの走行データを見てみます。



大湯選手の走行データでは、エンジブレーキ区間が短いという特徴があるのですが、もうひとつ特徴があります。
それは、速度変化の折れ点(③と④の変化位置)がコーナ中央寄りにあるということです。

今まではエンジンブレーキ区間の長さの違いが欧州式と日本式の違いだと考えていましたが、エンジンブレーキ区間の長さの違いは、速度変化の折れ点の位置の違いによる結果であって、速度変化の折れ点の位置の方が大事なのではないかと気が付きました。

速度変化の折れ点がコーナ入口側に寄っていると、残りのコーナをブレーキが弱い状態で減速することになり、その分エンジンブレーキ区間も長くなるので、本質は速度変化の折れ点位置の方ではないかと思います。


またまた結論が変わったので、これまでの欧州式と日本式の違いに関する結論に出てきたキーワードを表にまとめてみました。


以前、日本式も欧州式も最低速度に差はないと書きましたが、コーナ中の最適速度からの差を全体的に小さくしようとすると、日本式では最適速度よりも最低速度を少し低くしないとコーナ中央寄りに速度変化の折れ点を設定できないので、恐らく日本式コーナリングでは最低速度が最適速度よりも少し低くなっていると思います。



さらに欧州式と日本式の速度変化を模式図で表すと下図のようになります。

欧州式の速度変化(桃色点線が日本式)


日本式の速度変化(青色点線が欧州式)


ブレーキ強さ変化


速度変化は、ぱっと見はどちらも同じで、どちらもコーナ中に減速してるし、コーナ中の速度変化に折れ点もあるし、最低速度の差も小さいので、片方だけ見てもすぐにはどちらがどちらか判断しにくいのが実態です。

しかし、コーナ中の速度変化の折れ点がコーナの入り口側に寄っているか、コーナ中央側に寄っているかを確認すると、どちらかを判断しやすくなります。

では、例題として欧州ドライバーのフェルスタッペン選手のハンガロリンク1コーナの走行データを見てみましょう。




見てわかるとおり、タッペン選手の走行データでは、速度変化の折れ点(③と④の変化位置)がコーナ中央寄りになっています。

したがって欧州人のタッペン選手は日本式コーナリングで走っているということになります。

ここで、さらによく見てみるとタッペン選手の場合速度変化の折れ点以降の④と⑤区間の速度変化がほぼエンジンブレーキの速度変化になっていることがわかります。

エンジブレーキ区間の長さだけで判断すると、このタッペン選手の走行データは欧州式になるのですが、速度変化の折れ点の位置で判断すると日本式となり、速度変化や舵角変化を見る限り野尻選手よりも大湯選手に近い走り方になっているので、エンジンブレーキ区間の長さではなく、速度変化の折れ点位置で判断する方が正しいように思いました。

ではなぜ大湯選手はエンジンブレーキ区間が短いのか?と疑問に思う人もいると思うので、大湯選手の走行データにRB15のエンジブレーキ相当速度変化を重ねてみます。


こうやって見ると、大湯選手は④区間をRB15のエンジンブレーキ相当の減速Gで減速しているということがわかります。

クルマもコーナも異なるので、実際のところはよくわらないのですが、恐らくどちらも求められる最適な速度変化は同じで、速度変化の折れ点以降の減速Gもほぼ同じ減速Gで減速したいけどF1の場合はエンジブレーキが強いので④区間がほぼエンジブレーキ相当の減速になり、スーパーフォーミュラの場合はエンジブレーキが弱いので、④の区間もブレーキで減速するという走り方になっているだけで、目指している走り方はほぼ同じであるというのが僕の推測です。

では最後にまとめです。
基本的には前述の一覧表や速度変化そのものが日本式と欧州式コーナリングの違いですが、要点を短くまとめると以下になります。
日本式:コーナ中の速度変化折れ点がコーナ中央寄りにある走り方
欧州式:コーナ中の速度変化折れ点がコーナ入口側にある走り方


という結論になりましたが、本当は日本式と欧州式の二つに分類することの意味はあまりないと思ってます。

本来の目的は「コーナ中の最適な速度変化に極力近づけること」なのであって、日本式とか欧州式というのはその方法論のひとつに過ぎないと思うのです。

どちらの方法でも結果的にコーナ中の最適な速度変化に近づけていないのであれば遅いし、近づいていれば速いので実際のクルマやタイヤの特性に合った方法を選ぶべきだと思います。

ということで、やっぱり「コーナ中の最適な速度変化とはなんぞや?」ということが一番大事だということを再認識したので、再び走行ラインの最適化について考えたいと思います。
Posted at 2025/04/21 16:46:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2025年04月09日 イイね!

欧州式コーナリングのまとめ その1

欧州式コーナリングのまとめ その12013年2月のオートスポーツ1349号の記事から始まったこのコーナーも昨年ようやく自分の納得できる結論を導くことができました。

その後すぐにコーナ走行ラインの最適化に関する新知識を得たことで、まとめを放置しておりましたが、走行ライン最適化に戻る前に欧州式コーナリングのまとめをすることにします。

オートスポーツの記事を読んだ当時は、オートスポーツに記載されているような欧州式でサーキットを走るプロドライバーは僕の知る限りどこにもいないため、「オートスポーツはいったい何が言いたいんだろう???」と疑問だらけでイラっとしてましたが今にして思えば、このオートスポーツの記事をきっかけとしてサーキット走行理論の理解が大きく進んだのでオートスポーツに感謝です。

まず今回は僕が過去に書いた内容を振り返り、次回まとめをしたいと思います。

【2013年6月】(ドライビングスタイル

ここでは最初にオートスポーツ1349号に記載されていたことを以下のようにまとめました。

日本式・・・加減速を重視し、ブレーキはクリッピングまで残す走り方
欧州式・・・コーナリング速度を重視し、減速は直線で終わらせて、コーナは一定速度で走る走り方

この内容に対する僕の考え
1、日本も欧州も大きな違いはなく、そもそもサーキット走行にはいわゆる日本式しかない
2、比較的コーナリング速度重視なのが欧州式で、比較的加減速重視なのが日本式

このときは本当にオートスポーツが何が言いたかったのかさっぱりわからなかったので、日本式と欧州式という違いがあるとするならば、その差は非常に小さいのではないか?という考えを書きました。

ちなみにグランツーリスモのHPでは欧州式という言葉は出てきませんが、コーナの絵と加減速についてオートスポーツ1349号と同様のことが記載してあります。
コーナリングの考え方

【2014年6月28日】ドライビングスタイル2
【2014年6月30日】ドライビングスタイル2の続き

このときは最適な走り方に違いはないが、最適な走り方への合わせ込み方法に違いがあるのではないか?と考えて、日本式と欧州式の違いを以下のように推定しました。

 日本式・・・最適な走り方に直接合わせ込もうとし、加減速を重視する
 欧州式・・・最適な走り方に速度が高い側から合わせ込もうとし、コーナリング速度を重視する

さらにコーナ最小半径違いでの区間タイムをサーキットシミュレーションで計算し、以下の結果を得ました。

1、最適な最小旋回半径からの差が大きくなるほどラップタイムは遅くなる。
2、最適な最小旋回半径よりも小さい半径を当初目標とすると、減速の途中で修正できない。
3、最適な最小旋回半径よりも大きい半径を当初目標とすると、ラップタイムの落ち幅が小さく、減速途中でも最適な走行ラインに修正できる。

【2014年7月12日】ドライビングスタイル2の続きの続き

ここでは少し考え方を変えて、日本式と欧州式の違いは、コーナ中の最低速度位置の違いであるという説に基づいた計算をしました。

このときの計算結果では、コーナ中の最低速度位置を奥にした方速いという結果とともに、最低速度位置を奥にするためにはブレーキを残さないような走り方にする必要があるということがわかり、これが欧州式を指していると推定しました。

【2019年7月21日】ドライビングスタイル3

このときはジェンソン・バトン選手が市販車のシビックタイプRをハンガロリンクを走行したときのデータから以下の推測をしました。

欧州式コーナリングとはコーナ中の減速Gが急に低下するような走らせ方のことを指していて、実際にはブレーキを踏んでいるもののコーナ中に急激にブレーキを緩めるためブレーキを踏んでいないと思い込んでいる可能性がある。

【2021年12月15日】S2000エンジンブレーキ減速G

ブレーキを踏んでいるかどうかを速度変化から読み取ることができるように、S2000のエンジンブレーキの減速時速度変化を確認しました。

【2024年3月20日】最低速度位置とラップタイムの関係(HGR CIVIC TYPE-R再計算)
【2024年3月28日】最低速度位置の向きとラップタイムの関係(SF19 FSW再計算)

ドライビングスタイル3で欧州式コーナリングについて一応の結論を得たものの、「コーナ中の最低速度位置を奥にした方速い」という理論の根拠が乏しかったため、再計算をした結果、以下のことがわかりました。

1、最低速度位置はコーナ中央の方が速い
  また、以前の計算でコーナの奥側とした地点は実際はコーナ中央付近だった。
2、減速Gが急に低下するような走り方をしなくても最低速度位置を奥(実際はコーナ中央)にすることは可能。

ここでは減速Gが急に低下するような(=減速時の速度変化に折れ点があるような)走り方は理論上最適な走り方ではないということがわかりました。

【2024年4月3日】レーシングドライバーの減速区間走り方分析(シビックタイプR)

理論上の最適な走り方ではないにも関わらず、多くのレーシングドライバーが減速Gが急に低下するような(減速時の速度変化に折れ点がある)走らせ方をしている理由を最速ラインとの速度、半径変化の比較を行い以下の推測をしました。

①最低速度直前の減速Gはエンジンブレーキの減速Gよりも低く走れない。
        ↓
②最低速度直前の半径が最速ラインよりも大きくなる。
        ↓
③最低速度直前の向き変化が少なくなるため、コーナ入り口の半径を小さくする必要がある。
        ↓
④フルブレーキ区間の後に急に半径を小さくする必要があるので、速度変化に折れ点ができる。

つまり、エンジンブレーキより低い減速Gで走行することが困難なために、レーシングドライバーは減速時に折れ点があるような走り方をすると推定しました。

【2024年4月11日】レーシングドライバーの減速区間走り方分析(SF19 TRM)

そしてついに”欧州式コーナリングとは何を指しているのか”がわかりました。

日本式:最低速度までブレーキで減速する走り方
欧州式:コーナの途中から最低速度までをエンジンブレーキのみで減速する走り方


なぜこんな簡単なことが10年以上わからなかったのか考えてみました。

その理由は
オートスポーツには欧州式ではコーナ入口か中央までを一定速で走ると記載されており、かつF1やスーパーフォーミュラのエンジンブレーキのみの減速Gが予想以上に大きく、エンジンブレーキ区間もブレーキを踏んでいると思っていたからです。

しかし、最近時はF1もスーパーフォーミュラもテレメトリーデータが公開されていて、速度変化、アクセル開度、ブレーキのon、offがわかるようになり、どこでブレーキを踏んでいて、どこがエンジンブレーキのみの減速で、どこでアクセルを踏み始めているか が具体的にわかるようになりました。

その結果、エンジンブレーキ区間の長短、減速Gのアクセルコントロール有無などがドライバーによって少し異なるということがわかり、ここの違いのことを日本式とか欧州式とか言っているのだろうと推定できるようになりました。

ということで、次回は実際のデータを比較しながら日本式と欧州式コーナリングの違いを説明したいと思います。
Posted at 2025/04/10 00:08:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記

プロフィール

サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

愛車一覧

ホンダ S2000 ホンダ S2000
最新型のS2000が欲しくなったので買い替えました。
アウディ A3 アウディ A3
プレミアムコンパクトです。 コンパクトなのにプレミアム プレミアムなのにコンパクト マ ...
日産 180SX 日産 180SX
いまいち乗っていた記憶がないのですが、いい車でした。 だけど、いろいろやっていたらしい ...
日産 フェアレディZ 日産 フェアレディZ
バツグンのカッコよさを誇るZ31です。 電動ファンがいまいちだったせいか、ラジエータの冷 ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation