最近仕事が忙しくなってきました。
家に帰ってくるのは23時過ぎで在宅勤務も週に1回あるかないかなので、みんカラを更新する時間が取れません。
そんなわけで更新遅くなりましたが、今日はスペインGPカタロニアサーキット予選の角田選手とフェルスタッペン選手の比較の続きです。
その1では空力的な関係で直線が遅いわけではなさそうだということを書きましたが、ではどこで差がついているのかを今日は見ていくことにします。
まずはブレーキです。
ブレーキは①ブレーキ開始区間②フルブレーキ区間③ブレーキ弱め緩め区間(コーナリング区間)の3つに分けることができます。
③はコーナリング区間で確認することにして、①と②を確認します。
コース図、走行位置についてはこちらを参照ください。
では走行データを見てみましょう。
角田選手の方が速いところを緑色、角田選手の方が遅いところを赤色の矢印で示しました。
【1~3コーナ】
【4~9コーナ】
【10~14コーナ】
グラフを見てわかること
1)1、4、5コーナの角田選手のブレーキ開始地点が手前になっている
2)4、5コーナは角田選手のブレーキ開始時の減速Gが低い
3)4、5、7コーナの角田選手のフルーブレーキ区間が手前になっている。
4)どのフルブレーキ区間も減速Gに差はない
1コーナはブレーキ開始の減速Gは低くないものの、途中で一度ブレーキを弱めて再度フルブレーキをするような速度変化になっています。
カタロニアサーキットでフルブレーキが必要なコーナは1、4、5、7、10コーナで、10コーナを除きブレーキ開始時、フルブレーキ位置で差がついているということがわかりました。
それと、F1にはABSがついていないのでフルーブレーキ区間の減速Gに差があると思っていたのですが、今回の走行データを見る限り減速開始直後を除き減速Gには差がないということもわかりました。
次はコーナ区間です。
※グラフに時間差が書いてありますが、サンプリングタイムの関係上あまり正確とは言えないため、参考程度に見てください。
【1~3コーナ】
【4~9コーナ】
【10~14コーナ】
1~2コーナでは入口から出口まで角田選手の方が速く走れています。
ただし、その1で書いたように2コーナ出口のスロットル全開にするのが遅く途中で追いつかれています。
4、5、7、10、12コーナは角田選手の方が入口のブレーキを弱める位置が奥になっており、最低速度までの速度が低くなっています。
角田選手の方がコーナ最低速度が低いコーナは4、10、9、14コーナです
特に9、14コーナは250km/hオーバーの高速コーナでここでは明らかにコーナリング速度に差があり、かつその差がコーナ後の直線速度にも影響を与えラップタイム影響も大きくなっています。
9~10コーナで約0.1秒、14~コントロールライン+コントロールライン~1コーナで約0.16秒、この2つのコーナとその後の直線だけで全体0.587秒の内、約44%相当の0.26秒の差がついていました。
コーナ出口は4、5、8コーナで角田選手の方が早く加速できていて速度も高くなっていますが全てのコーナでコーナ出口以降に速度で追い越されているか、ほぼ同じ速度に追いつかれており、コーナ出口速度が高いことが生かされていません。
ここで不思議に思いました。
角田選手の方がコーナ出口速度が高いコーナがあって、かつ出口ではスロットル全開なのに全てのコーナ後に速度で追い越されるか追いつかれているのか?
普通はこういう場合、ウイング等の違いによる走行抵抗差による加速の違いと考えるのですが、その1で確認したように走行抵抗差があるようには見えません。
4コーナ出口についてはスロットル全開が遅いことが原因に見えるのですが、2~3コーナ間の1030m付近や5~6コーナ間の2240m付近など明らかに全開であるにも関わらず追いつかれているところがあります。
そこで、どうのようなところで加速が悪化しているのかを確認しました。
すると、今までサンプリングタイムの関係でカクカクしているように見えると思っていた速度変化はその1で気が付いた1030m付近の謎の加速悪化のような速度変化になっていて、それは角田選手だけでなく、タッペン選手にもあることがわかりました。
ただし、その発生位置は同じではなく、かつ発生頻度は角田選手の方が多いこともわかりました。
その原因は今のところよくわからないのですが、発生位置の傾向として①ハンドル切り始め②縁石乗り上げ時③シフトアップ時 のどれか、または①②と③が同時の時に発生しているように見えました。
シフトアップ前のエンジン出力がシフトアップ後より低い場合、シフトアップ前の加速が悪く見えるのは当たり前で、シフトアップ中は加速しないことも当たり前なので、その影響なのかと思いましたが、F1のシフトアップはセミオートマだしもしそうであればタッペン選手でも同じように発生していなくてはなりません。
しかし、発生頻度が角田選手の方が多いのは不思議です。
F1のTV中継を見ているとタッペン選手がたまに「シフトアップが遅い」と文句言っているのでなにか関係ある気もしますが、体感できるくらいシフトアップが遅かったら角田選手も何かコメントしそうな気がするので違う気もします。
謎の加速悪化については謎のままなのですが、それは2~3コーナの間だけでなく、各コーナ間で発生していてそれが角田選手の加速が悪い原因のひとつになっていることがわかりました。
赤矢印で指したところが加速が悪いところで、シフトアップタイミングと合っているようにも見えるし、関係ないようにも見えます。
加速が悪く見える位置
※コース幅に対する位置のズレが大きいので実際の位置は車載動画で確認してください。
【1~9コーナ】
【10~14コーナ】
まだまだよくわからないとこもありますが、カタロニアサーキットの差をまとめると、角田選手はフェルスタッペン選手比べて
1、ブレーキ開始時の減速Gが低い場合がある
2、ほとんどのコーナでフルブレーキ位置が手前になっている、
3、コーナ出口の全開が遅い場合がある
4、高速コーナが全体的に遅い
5、スロットル全開区間で加速が悪くなる頻度が多い
以上のような差が原因で0.587秒の差となっていました。
以前も書いたようにタッペン選手は高速コーナがやたらと速い傾向があるので、そこは追い付けないとしても、ブレーキ開始時の減速Gが低いというのは具合が悪いと思います。
正直、このスペインGPの予選走行データを見る限り車輛の違いよりもドライバーの操作による差のラップタイム差の方が大きいように見えました。
もしかするとブレーキの差については選手の好みみたいなものがあってそれが合っていないだけなのかもしれませんが、角田選手から「ブレーキが好みに合っていない」というコメントが出てきていないので、このままでは改善しない可能性大です。
チーム側は今日見た走行データの100倍以上のデータを取っているはずで、担当エンジニアは何が原因なのかわかっているはずです。
しっかり担当エンジニアと走行データを見ながら話しをして改善して欲しいものですね。
昨日のオーストリアGP予選でも角田選手は厳しい状況が続いているので次回はオーストリアGPが遅い原因を確認したいと思います。