昨日は有休を取ってリアデフの異音修理をしました。
せっかく新しいS2000になったのに、リアデフと思われるところから、「コーッ」という異音がして、いまいち新しくなった満足感がなく、かつ高周波の音が気になってしょうがなかったので、修理することにしました。
今回購入した部品(全てAP2用)
1、中古のリアデフASSY
2、ボルトソケット10X62:90182-S2A-A00(6個)
3、ワッシャ :40140-S2A-A01(3個)
注意! AP1とAP2はボルトサイズが異なるので、適合を確認して購入してください。
作業順番
1、ジャッキアップ(リジットラックに載せます)
普通はガレージジャッキにリアデフを乗せて降ろすことになるので、その状態で車体下側から引き出せるくらい高く上げます。
2、タイヤを外す
3、プロペラシャフトのボルトを外す
これが難関です。
ほとんど設計ミスとしか思えない設定となっているので苦戦します。
このボルトが外れないと先に進めないので、最初に外します。
また、プロペラシャフトが回転しないようにサイドブレーキをかけて固定をするので、ドライブシャフトを外してしまうとプロペラシャフトの回り止めがなくなってしまいます。
使う工具
8mmの六角レンチのロングソケット(差し込み角12.7sq)
KTCなら「12.7sq.ロングヘキサゴンビットソケット BT4-08L」を使います。
ロングでないとプロペラシャフトに干渉するので必ずロングを購入します。
また、差し込み角が12.7sqでないと、工具が先に壊れそうなので、12.7sqを使います。
(AP1の場合は、ボルトがM8、6角部が6mmで、9.5sqを使っても、先にボルトの頭がなめるので、どちらでも構いません)
ここはソケットボルト(六角穴付きボルト)で締結されています。
L字型の六角レンチは入りますが、猛烈に強く締まっているので、トルクがかからず全然緩みません。
したがって、ロングソケット+エクステンション+スピンナハンドルを使います。
過去にAP1の作業をしたことはあって、そのときはボルトの頭が3本なめました。
頭がなめただけだったので、1度クルマを降ろしてホンダ純正部品へ行き、ボルトとワッシャを購入してきて、ボルトを切断して交換しました。
今回も同様に緩まない、または頭がなめる可能性が高いと考えて、事前にボルトとワッシャを購入しておきました。
ということで、緩め作業開始です。
びくともしません。足で押すと、工具が壊れそうにしなります。
6本あって、1本も緩みませんでした。
クレ556をかけてしばらくしてからもう一度試してもやはり一本も緩みませんでした。
しょうがないので、ディスクグラインダでボルトを切断します。
がしかし・・・前回と比べて、時間がやたらとかかります。
前回はAP1でボルトがM8、今回はAP2でボルトはM10です。
面積で約1.4倍、しかもプロペラシャフトの際までボルトがあるので、プロペラシャフトに傷がつかないように切断するのに苦労しました。
仮にボルトの頭を切断しても、ねじ部が固着していると緩みません。
しかも頭がなくなっているので八方塞がりになってしまいます。
ではどうするか?
神に祈ります。
神に祈りながら、2本切断しました。

2本ともねじ部は固着しておらず、スルスルと手で回して緩みました。
続けて、残りも切断します。
本来は、ワッシャとボルト頭の境目で切断できれば効率がいいのですが、気が付くとワッシャから少し離れたところで切断されてしまうので、この後さらにディスクグラインダで削りました。
したがって、ディスクグラインダは切断用と削り用の2つの砥石を準備しておきます。
この作業がとにかく、暗くて見えない、狭い、火花が飛んでくる、うるさい、首痛い、とひどい環境の中でクルマの下に潜って2時間くらい格闘してました。
途中から首が疲れて頭が上がらなくなり、クルマの下から這い出るのもままならなくなってきたのですが、とにかく気合と根性だけでがんばりました。
途中で他の方法はないのか?とスマホで検索したものの、プロペラシャフトごと外すと書いてあり、でもどうやったらプロペラシャフトが外れるのかがわからなかったので、心を無にしてひたすら切断しました。
神に祈ったおかげで、すべてのボルトのねじ部に固着はなく、手で緩み、プロペラシャフトを取り外すことができました。
ディスクグラインダで切断するなら、六角レンチを買う意味はなんなんだ?と思われるかもしれませんが、締め付けに使うので、買って損はありません。
L字型の六角レンチだとトルクがかけにくいので、いずれにしても差し込み角12.7sqの六角レンチを購入するのをオススメします。
4、ドライブシャフトとサイドフランジボルトを外す
長いめがねの14mmが2本あると作業しやすいです。
KTCなら「超ロングストレートめがねレンチ」があると腕力に自信のない人でもなんとかなります。
5、リアダンパを外す
ドライブシャフトをデフから抜くために必要です。
6、リアサスペンションアッパーアームの車体側取り付け部ボルトを外す。
ABSセンサコードがアームについているので事前に外します。
整備書ではナックル側のボールジョイントを外せと書いてありますが、外すときの”バキンッ”という音で寿命が縮まるので、僕はアーム側を外すことにしています。
7、ドライブシャフトをリアデフのサイドフランジから引き抜く
この作業は車体の外側からやります。
下からでもできなくはありませんが、力が入らないので、外側から作業するのがオススメです。
初めてS2000のリアデフ交換をしたときに、先にリアデフを降ろそうとして、ドライブシャフトが抜けなくて困ったので、ドライブシャフトは先に抜いておきます。(ドライブシャフトが抜けない理由は
こちらを参照ください)
8、プロペラシャフトプロテクタ(脱落防止みたいなの)とリアサスペンションスティフナを外す。(この二つは始めに外しても構いません)
9、デフマウントボルトを緩める(外さない)
整備書によれば、マウントとボディの固定ボルトを外すことになっているのですが、僕は、デフキャリアとマウントのボルトも両方外しています。
ここのボルトが猛烈に強く締まっていて、苦労しました。
プロペラシャフトボルトもそうなのですが、恐らく前回作業した人が、「ボルトは強く締めれば締めるほど良いのである」という考えでとにかく強く締めたんだと思います。
10、ジャッキをデフキャリアに当てる
場所はジャキアップポイントと鉄の部分の間くらいのところがバランスがいいです。
11、デフマウントボルトを外す
12、リアデフキャリアを前方に引き抜く
ジャッキから落ちそうになるので、初めて作業する場合はお友達と二人で作業するのがおすすめです。
今回僕は一人で作業したのですが、SPOONのデフカバーがついていたため、ジャッキの当たりどころが悪く、かつプロペラシャフトボルトの切断で体力を使い果たしてしまっていたため、なかなか抜けませんでした。
途中でびくともしなくなったので、タイヤレバーで強引にグイグイ押したらなんとか動いて抜くことができました。
13、デフを降ろしてジャッキごと引き抜く
デフを降ろす際に、ドライブシャフトやプロペラシャフトと干渉していると降りてこないので、事前に避けておいて、干渉に注意して降ろします。
以上でデフ降ろしは終わりです。
とにかく、設計ミスのプロペラシャフトボルト外しが一番苦労するので、ロングソケットレンチやディスクグラインダなどの準備をしっかりしておくことが大切です。
組付けはとくに苦労するところはないので、逆の手順で作業します。
結局合計8時間の作業でなんとか作業終了しました。
最後にクルマを降ろそうとしたとき「この中古デフにオイルは入っているのだろうか?」と疑問が浮かびました。
もし入っていないと、せっかっく買ったデフが壊れてしまいます。
なので、歩くのもフラフラな状態でしたが下に潜ってオイル量を確認しました。
結果、入ってなかったので、交換する予定だったオイルを入れました。
あまりに疲れていたので試走もせずにそのまま帰ることにしました。
これで直ってなかったらめまいがするところでしたが、無事直ってました。
静かになって、音楽が良く聞こえるようになりました。
ところで、普段運転していて、たまに内側のタイヤが”ザザザッ”と地面を擦る音が聞こえてきて「純正トルセンってこんなに効き強かったっけ?」と思っていたので、今回購入した中古品と比較しました。
すると、中古品(純正トルセンLSD)はイニシャルトルク0で、元々ついていたLSDはイニシャルトルクがあったので、元々ついていたデフには恐らく多板式が入っていたようです。
元々ついていたデフは多板式と思われるのですが、街乗りでは差動制限感はほとんどなく、チャタリングも一切ありません。
どこのメーカのものかもさっぱりわからないのですが、なんか良さそうな気がするのでで中を確認して再利用するかもしれません。
SPOONのデフカバーは今回の作業で苦労したので、今後のことを考えて使うのはやめることにしました。
次の作業は幌とハードトップ交換です。