
角田選手がレッドブルに移籍し、すでに7戦が経過したものの現状は苦戦が続いています。
一方、フェルスタッペン選手と比べてどこがどう遅いのか?について走行データを詳しく分析した記事はほとんどなく、旧フロアの影響だとか、ダウンフォースの大きいウイングを使っていることが原因だとか、データに基づかない意見が散見されます。
角田選手の実情を知るためには走行データを詳しく見る必要があるのですが、F1のテレメトリデータはF1公式ではLIVEの画像データのみで、先日紹介したF1 Tempo(現在は
GP Tempo)ではグラフによるデータを確認できるものの、デジタルデータを得ることができなかったのでEXCELによる分析ができない状態でした。
そこで、なんとかテレメトリのデジタルデータを入手する方法はないものかとネット検索しました。
その結果、F1 TempoはFastF1というところのデータを使っているということがわかり、今回紹介する
OpenF1というところにもFastF1と同じデータがあるということもわかりました。
FastF1の走行データを入手するためにはPythonというプログラムを使う必要がありますが、OpenF1では直接csvファイルを入手できることがわかったため、OpneF1からデータ入手することにしました。
ということで、本日はOpenF1からテレメトリデータを入手する方法を紹介したいと思います。
今回は例として、2025年の日本グランプリ 予選ポールポジションのフェルスタッペン選手の走行データを入手してみます。
OpenF1ではカーナンバー(OpenF1内ではdriver_number)を指定する必要があるので、まずはカーナンバーを調べます。
カーナンバーはどこで調べてもいいのですが、F1公式サイトの予選結果を見ると、同時に予選タイムもわかるので、今回は
F1公式サイトで調べました。
2025年のフェルスタッペン選手のカーナンバーは1で、日本グランプリ 予選ポールポジションタイム(Q3タイム)は1分26秒983ということがわかります。
次はセッション番号(OpenF1内ではsession_key)を入手します。
ここからOpenF1を使います。
センション番号の入手方法はインターネットブラウザのURL欄に下記のURLを張り付けるだけです。(OpneF1を開く必要はありません)
https://api.openf1.org/v1/sessions?year=2025&csv=true
今回は2025年のセッション番号を入手したいので、”2025”と記入します。
2023年なら”2023”と記入します。
すると”session”という名前のcsvファイルがダウンロードされ、エクセルで開くと下図のように表示されます。
K列の”session_key”に記載されている番号がセッション番号です。
今回は日本GP(Suzuka)の予選(Qualifying)なので、セッション番号は”10002”ということがわかりました。
次は予選のテレメトリデータの入手です。
テレメトリデータは①速度、エンジン回転数、アクセル開度などがセットになったものと②走行位置座標の二つに分かれています。
入手方法はセッション番号と同様にURLに張り付けるだけです。
①速度、エンジン回転数、アクセル開度、ブレーキ、ギア段数
https://api.openf1.org/v1/car_data?driver_number=1&session_key=10002&csv=true
今回は日本GPのQ3なので、セッション番号は”10002"、フェルスタッペン選手はカーナンバー1なので、”1”を入力しています。
セッション番号と同様に"car_data"という名前のcsvファイルがダウンロードされます。
②走行位置
https://api.openf1.org/v1/location?session_key=10002&driver_number=1&csv=true
"location"という名前のcsvファイルがダウンロードされます。
①速度、エンジン回転数、スロットル開度、ブレーキ、ギア段数など
②走行位置
あとはこれを加工してグラフ化などすれば良いのですが、入手したデータそのままでは、走行距離が不明なため計算が必要です。
僕はこんな計算式で距離計算しました。(K~N列を追加)
鈴鹿サーキット1周の公式距離は5,807mでこの計算では1周が5,791mになりました。
公式の距離はコース中央の距離で、走行ラインはアウトインアウトで少し短くなるはずなので、ほぼ合っていると思います。
距離が計算できたら、グラフ化して確認します。
コントロールラインの位置を確認するのが面倒だったので、今回はGP Tempoを見て、スタートとゴールの速度で1周を区切りました。
GP Tempoに表示されるグラフと重ねてみたところピタリと重なったので、距離の計算方法などは間違っていなさそうでした。
走行ラインはこんな感じです。
走行位置にはZ、つまり高さの情報も入っているので、アップダウンのあるコースでは走り方の分析に使えそうです。
また、走行ラインはまだしっかり見ていないのでなんとも言えないのですが、走行ラインがわかると、コーナの曲率半径がわかり、曲率半径がわかると速度と組み合わせて横Gを計算することができます。
という感じで今のところ欲しい走行データは入手することができました。
強いて言うと、サンプリングタイムが一定ではなく、間隔も0.16~0.44秒と長めなので、サンプリングタイム0.05秒一定くらいになると嬉しいのですが、そもそもF1のテレメトリデータが走行翌日くらいにフリープラクティス~決勝まで全ラップ入手可能なことの方が奇跡的なので、まずはこの入手できた走行データを分析してみたいと思います。