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2024年08月10日 イイね!

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その9

暑い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
僕は・・・扇風機の前でパソコン見ながらダラダラしてます。

そんなわけで、今日はその9です。(8月30日に大幅修正しました)

前回は180°ヘアピンコーナの最適化をするためにはコーナ最小旋回半径はコース内側の半径と同じR20にすれば良さそうだというところまでわかりました。

現在は減速側しか計算していないので、加速側を計算をすると結果が違う可能性もありますが、今のところはR20が最適ということにして計算を進めます。

前回の計算ではコーナ最小旋回半径をR20まで小さくしても、少しコース外側からはみ出していたので、はみ出さないようにコーナ中心線直角方向加速度を調整します。

調整するにあたり以下の2つを考慮して調整します。
1、中心線方向加速度が最大になる直角方向加速度からの差が小さければ小さいほど中心線方向加速度が大きくなる

2、加速度が途中で変化する場合、加速開始の加速度を高くした方が速い

1は書いていることそのままなので説明を省きますが、2について図で説明します。

まずは下図をご覧ください。


上図で0~5秒までの青の加速度と5~10秒までの赤の加速度は同じです。
また、5~10秒までの青の加速度と0~5秒までの赤の加速度は同じです。

同じ時間を同じ加速度で走行しているため、10秒後の速度はどちらも同じです。

一方、0~10秒の間で走行する距離は図の色塗りした面積に等しいので、青の方が長い距離を走行することになります。

同じ時間で長い距離を走行する=区間タイムが速い ということです。

したがって、もし途中で加速度を変える必要がある場合は、極力 加速開始時の加速度を高くした方がより速く走ることができる ということになります。

これを減速時に適用すると、コーナ中央からコーナ入口に向けて加速しているのと同じ状態になるため、コーナ中央の加速度を高くした方が速いということになります。

コーナ中央の加速を高くするためには、1の中心線方向加速度が最大になる直角方向加速度からの差を小さくすればいいので、コーナ中央の直角方向加速度は極力 低くします。

一方、コーナ中央の直角方向加速度を低くすると、その分それ以外の区間の直角方向加速度を大きくしないと走行ラインがコース内に収まらないので、必ずしもコーナ中央の直角方向加速度を低くすればいいとも言えないと考えられます。

という前提はあるものの、結局のところ計算してみないと何もわからないので、何パターンか走行ラインを作って比較してみました。

直角方向加速度


走行ライン


この走行ラインで計算した減速開始位置からコーナ中央までの減速時間
減速時間そのもので比較するとわかりずらいため、以前作ったR25 140との差をグラフ化しています。


結果を見てわかるように、”コース中央寄り”を除いてどれもほぼ同じ走行ラインで、減速時間もほぼ同じになりましたが、"全体最小”がどの減速開始位置からでも最も減速時間が短い=速いという結果になりました。

ところで、90°からの直角方向加速度の傾きをもっと大きくした方が、全体の加速度を低くすることが可能なのですが、コーナ中央付近の直角方向加速度をどんどん大きくすると、コーナ中央付近の旋回半径は小さくなり、あるところからコーナ中央よりも小さくなるということがわかりました。

そうすると最小旋回半径位置が手前に来てしまうので、コーナ中央よりも半径が小さくならないギリギリ走行ラインとなるように直角方向加速度の設定をしています。

今回のまとめとしては、減速側では直角方向加速度をコーナの入り口から中央まで均等に低くした(中心線方向加速度が最大になる直角方向加速度からの差を小さくした)ときに最も減速時間が短くなるということがわかりました。

次回は旋回半径が今回のR20よりも大きい走行ラインでも計算してみます。
Posted at 2024/08/30 20:00:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年07月15日 イイね!

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その8

今日は、前回の補足と最小旋回半径についてです。

前回はコーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインを描き、この走行ラインではコース内に収まらないことがわかりました。

じゃあ、あの走行ラインはなんなんだ?ということになるので、コーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインの意味について考えます。

まずは前回の走行ラインのおさらいです。
コーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインは下図のようになりました。


この走行ラインはコーナ中心線に対し、コーナ入口進行方向に角度がついているので、走行ラインに合わせてV字コーナとしてコースを作り直しました。



上図のようにコーナ入口と出口の方向変化が約166°、コース幅15m、コーナ内側の最小R25mのV字コーナとすると、ちょうどコース内に収まりました。

もともと想定していた180°ヘアピンコーナも作り直したV字コーナもコーナ中心線方向は同じ方向になっているので、前回作ったコーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインは、上図のようなV字コーナに対しては最適な走行ラインになっているということを意味しています。

次に、ではどうすればもともと想定していた180°ヘアピンコーナに対する最適な走行ラインが得られるのかを考えます。

ところで、今までの走行ライン最適化の説明の中で、最小旋回半径の値については、おおよそ適当と思われる値としてR25で固定して計算していました。

今回はこの最小旋回半径を変化させてみます。
R20、R25、R30の3種類でコーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインを計算しました。


計算結果を見ると、R20のときが最もコースからのはみ出し量が小さいことがわかります。

そこで、もっと最小旋回半径を小さくすればコースからはみ出さなくなりそうですが、現在想定している180°ヘアピンコーナのコース内側RはR20で、これ以上小さくするとコーナ内側のラインからはみ出すため、R20より小さくすることができません。

したがって、現在想定している180°ヘアピンコーナでは、最小旋回半径はR20とすればより最適な走行ラインが作れそうなことがわかりました。

ここで、僕が過去に書いた最小旋回半径の推奨値について覚えている方もいらっしゃると思いますので、その補足です。
(読んでいない、または覚えていない方はこちら→最小旋回半径推奨値)

ここでは、最小旋回半径の推奨値は下式で求めることにしています。

R=R0-Δθ(1/9-5/(3×R0))・・・式1

(R:最小旋回半径の推奨値、R0:コース外側と内側に接する最大円の半径、Δθ:コーナ入口と出口の進行方向角度変化)

例えば、今回の180°ヘアピンコーナの最小旋回半径推奨値を計算すると、
R0=40m、Δθ=180°を式1に代入し

R=40-180(1/9-5/(3×40))=27.5m

となって、コーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインから求めナ最小旋回半径のR20とは7.5m差があります。

7.5m差は無視できない差なのですが、恐らくその原因はコース幅の設定を実在するコースよりも広く設定していることが影響していると考えています。

富士スピードウェイやもてぎの1コーナはコース幅が14mくらい、もてぎ東ヘアピンは11mくらいなのに対し、今回の180°ヘアピンはコース幅20mもあるのでその分R0が大きくなり、最小旋回半径推奨値も大きくなっています。

例えば、もてぎ東ヘアピンと同じコース幅11mで計算すると、R0が31mとなりこのときの最小旋回半径推奨値は20.7mとなって、コーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインから求めたコーナ最小旋回半径とほぼ同じ値になりました。

ということで、以前書いた最小旋回半径推奨値の計算式には”実測データと合う”以外の根拠がなかったのに対し、今回のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような走行ラインから最小旋回半径を求めることで、より根拠のある最小旋回半径推奨値を求めることができそうなことが今回わかりました。

次回はコーナ中の最小旋回半径をR20にしてコース内に収まるような走行ラインを考えたいと思います。
Posted at 2024/07/15 23:35:42 | コメント(1) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年06月23日 イイね!

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その7

今日は前回の続きで、最適化に向けての準備です。

前回はコーナリング中のコーナ中心線方向加速度が常に最大になるような車輛進行方向に対するコーナ中心線直角方向加速度を求めました。

しかし、この加速度で走ったときの走行ラインがコースからはみ出ている場合、この加速度では走れないということを意味しているので、どのような走行ラインになるのか確認します。

走行ラインは以下の順番で作成します。

1、コーナ中心線直角方向加速度を決める。
2、コーナ中心線方向加速度と直角方向加速度の合力がタイヤ摩擦円の縁になるようにコーナ中心線方向加速度を算出する。
3、1、2で求めた加速度から速度を算出する。
4、3で求めた速度から距離を算出する。
5、4で求めた距離から座標(=走行ライン)を算出する。

なんのことやらわからないと思いますが、実際にやっていることはほぼサーキットシミュレーションと同じです。

・サーキットシミュレーション
 予め作成した走行ラインを摩擦円の縁に沿って走ったときの速度を計算する。

・走行ラインの最適化
 予め作成したコーナ中心線直角方向加速度で摩擦円の縁に沿って走ったときの速度と走行ラインを計算する。

では実際に走行ラインを作成してみます。

まずは常にコーナ中心線方向加速度が最大になるようなコーナ中心線直角方向加速度を車輛進行方向に対し決めます。

橙色:コーナ中心線方向加速度が最大になるコーナ中心線直角方向加速度
青色:橙色の近似線(走行ラインはこの近似線で計算)
灰色:今のところ最適化された走行ライン(R25 140)のコーナ中心線直角方向加速度



実際は3の「1、2で求めた加速度から速度を算出する。」を行わないと車輛進行方向が決まらないのでこのグラフを作る前にタイヤの摩擦円の縁に沿うようなコーナ中心線方向加速度も算出されています。

そこでこの直角方向加速度から算出されたコーナ中心線方向速度も見てみます。
点線は今のところ最適化された走行ライン(R25 140)での加速度と速度です。



今のところ最適化された走行ライン(R25 140)よりもコーナ中心~200km/hまでの減速時間が短いので、今回の加速度変化の方が速いことがわかります。

最後に今回の加速度変化で走行したときの走行ラインです。
今回は減速側のみ計算しています。



見てわかるようにコースからはみ出ています。

つまり前回考えた「常にコーナ中心線方向が最大になるようなコーナ中心線直角方向加速度変化」では減速時間は短くなるが、今回設定しているコース内に収まらず走行ラインとして成立していないということがわかりました。

次回はコース内に収まるような加速度変化の計算を行います。
Posted at 2024/06/23 19:20:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記
2024年05月24日 イイね!

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その6

いつまでも続くこのシリーズ、いつになったら終わるのか?と思われる方もいるかと思いますが、たぶん当面続きます。

今のところ考えている流れ

1、最適化の基本的な考え方の説明
2、サーキットシミュレーションの結果確認
3、実測走行データの確認
4、最適化に向けての準備
5、最適化した走行ラインによるサーキットシミュレーション
6、ダウンフォースを考慮した最適化
7、レーシングドライバーの実測走行データとの比較
8、一般車両のサーキット走行への適用

今日は4番目の最適化に向けての準備です。

具体的には、コーナ中心線方向加速度の最大値の変化ついて考えます。

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その4で書いたように、実際の摩擦円(Gサークル)は左右Gの方が大きい横楕円になっていて、左右G:前後G=1.2~1.3:1くらいです。

先日のシビックタイプR EK9のSタイヤの場合、下図のような形状で、左右G最大が12.5m/sec2、減速G最大が-9.5m/sec2くらいになっています。
灰色線が実測データで、青色は近似線です。


今回はこの摩擦円を持った車輛の進行方向とコーナ中心線方向の角度差に対する中心線方向加速度の発生可能な最大値の変化を見てみます。

まずは直線からフルブレーキをする状態です。
この時は車輛の進行方向とコーナ中心線方向は等しいので、角度差は0です。



角度差が0なので、車輛の減速方向加速度が最大の-9.5m/sec2のときコーナ中心線方向でも最大の加速度になります。

ここから20°進行方向が傾いた状態。


この状態では加速度の前後左右の合計が赤線の方向のときがコーナ中心線方向の加速度が最大になることがわかります。

また、この状態ではコーナ中心線方向の加速度が最大であると同時に、コーナ中心線直角方向にも加速度が発生できることがわります。

40°進行方向が傾いた状態


20°よりもコーナ中心線方向も直角方向も両方加速度が増加します。

80°進行方向が傾いた状態


この状態では左右Gの最大に相当する-12.5m/sec2に近い-12.4m/sec2をコーナ中心線方向で発生できますが、そのときの直角方向は0.8m/sec2となっています。

これを横軸を「車輛の進行方向とコーナ中心線方向の角度差」、縦軸を「発生可能な最大のコーナ中心線方向加速度とそのときの直角方向加速度」としてグラフ化したものが下図になります。



車輛の向きが変わるに伴い発生可能な最大のコーナ中心線方向加速度が大きくなることと、40°前後のときが直角方向の加速度が大きいことがわかります。

もうひとつ見方を変えたグラフを作りました。
これは、各進行方向角度差毎のコーナ中心線方向加速度と直角方向加速度を表しています。


黒線は各進行方向角度差でのコーナ中心線方向加速度最大値を結んだ線です。

この黒線から離れた状態ではコーナ中心線方向加速度最大値が低下するということを意味しています。

一方、このグラフを見てわかるとおり、赤丸で囲った範囲であれば、コーナ中心線方向加速度最大値の低下を最小限にしつつ直角方向の加速度を増すことができます。

したがって、走行ラインの最適化を行うためには、この赤丸の範囲で直角方向の加速度を大きくし、それ以外の範囲ではコーナ中心線方向加速度が最大になるときの直角方向加速度でコーナを曲がれるような走行ラインを選べばよさそうだということがわかりました。

絵的に見ると、下図の進行方向角度差が30°~50°付近で直角方向加速度が大きくなるような走行ラインにすればよいということになります。



なんとなく傾向はわかってきたものの、このような加速度変化でコースから走行ラインがはみ出すことがないのかどうかがさっぱりわからないので、次回は実際に走行ラインを書いてみたいと思います。
Posted at 2024/05/24 22:41:15 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2024年05月19日 イイね!

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その5

180°ヘアピンコーナの走行ライン最適化 その5今回はコーナ中心線方向加速度の最大値の変化ついて考える予定でしたが、その前に各位置で中心線方向と直角方向の加速度の大きさと方向がどのように変化するのか絵的に確認することにしました。

まずはシミュレーションの結果です。
下図の赤色の線は各地点における車輛前後方向と左右方向を合計した加速度の大きさと方向を示しています。
オレンジ色の線はコーナ中心線方向、桃色線がコーナ中心線直角方向成分です。

①現状の最適化された走行ライン(R25 140)


②半径最大の走行ライン(R40)


最後に前回の実測走行データです。

③シビックタイプR EK9のツインリンクもてぎ 東ヘアピンコーナ


各位置で中心線方向と直角方向の加速度の大きさと方向がどのように変化するのか絵的に確認できたので次回はコーナ中心線方向加速度の最大値の変化ついて考えたいと思います。
Posted at 2024/05/20 00:31:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーキット走行理論 | 日記

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サーキットで車を速く走らせるために必要なこととはなにか?を研究するのが趣味です。 日光、TC1000、茂原、を毎年走行してます。 2010年まではもてぎで開...
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