
「ウインチング」というと、どうしても「リカバリー用」だとか、「レスキュー用」という考えを持っている人が多いのではないでしょうか?
僕からしてみれば、ウインチがないと出来ないクロカンもあると思ってるし、またこれは特に重量級の車に言えることなのだが、ウインチがないとお話にならないってことも結構ある。
では、「ウインチは単に危険な体勢になってしまったのをリカバリーしたり、難所を前進させたり、自車や他車をレスキューするためのものか?」というとそれだけではない。
積極的に「楽しむためのツール」だとおもっています。
ちょうど、運転することが好きな人が、ハンドルを握っているだけで楽しいとか、ドリフトしてるだけで楽しいとか、それと似た感覚なのだろうと思います。
今回は、ある方から「かじはらさんの話によく”ベクトル”が出てくるけど、イマイチ考え方がわからないんだよね」って話を聞いたので、ちょっと詳しい説明をしたいと思います。
※ナレーションが付いているのでボリューム調整をしてご覧ください
この動画を作っていて思ったのですが、僕としてはわりと当たり前でこんなふう頭の中で作用点がどうたら、ベクトルの和はこれくらい、みたいに考えて引っ張っていたりしてたのですが、ウインチングの経験が結構ある人も、案外ここまで考えてやっていない人が多いみたいです。
たとえばコレ。
駆動をした場合、車のどこにどの方向に力がかかっているか?をあらわした図ですが、作用点はこんな感じで、タイヤ4つのちょうど中間点になります。
まぁ、車の真ん中付近になりますね。
次に、ウインチだけで真横に引っ張った場合ですが、このようにウインチに直接作用します。
この2つを合わせるとこうなります。
ウインチと、牽引力を合わせたベクトルの和が作用するポイントというのは、案外手前の方で、ちょうどエンジンが乗っている辺りだったりするわけです。
まず、これを理解するだけでも随分と牽引と駆動を同時にかけたときに、どのように車が動いていくかを想像する上で違ってくると思いますね。
それから、ウインチの牽引力と駆動力を変えるとどうなるか?ですが、仮に同じくらいの力で引っ張った場合、ベクトルの和はこうなります。
(タイヤは左に切り、リバースに入れてタイヤを逆転させています)
ウインチの牽引力を減らすと、このようにベクトルの和の向きはさらに後ろ向きになります。
逆にウインチの牽引力を大きくし、車の駆動力を半減させるとこのようにほぼ真横方向に作用することがわかります。
仮に四輪が同じミュー(走行抵抗)の路面に接触していて、全く同じグリップを発揮していることを前提で考えているので、実際はタイヤが空転したり、牽引したりタイヤを回転させることで穴を掘ったり、タイヤの側面に雪や泥がたまったり、
車を移動させることで地形の変化が入ってきたり、動画の中でもやってるように45度付近まで傾けてしまうと、これはこれでまた別の考え方をしないといけなかったりするので、結構「頭脳労働」が多くなると思いますね。
これは自走しているときにも共通することですが、地形を見ながら「ここをこう落とすと、転倒するかな?」「この角度であてがうとグリップしないかな?」などと考えながら走っていることが皆さんもあると思いますが、
同じように想像力を最大限駆使しながら、ウインチングもアンカーをどこに取るか、車を傷めないようにリカバリーしたり、タイトターンしたりするにはどうしたらいいか、弱いアンカーを保護しつつ牽引するにはどうしたらいいか、手持ちの少ない道具やワイヤー長でまかなうのはどうしたらいいか、などをあれこれ考えて実行してみて、
「上手くいった~!」とか、「失敗した~~!」みたいな経験をすることは僕にとってはすごく楽しいことだと思います。
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クロカンテクニック | クルマ
Posted at
2013/01/04 09:35:05