
SOCCER DIGEST Web 8月5日(金)15時45分配信
リオ五輪グループリーグ第1戦(現地8月4日/アマゾニア)のナイジェリア戦は、4-5で日本が敗れた。ひと言で総括すれば、これが手倉森ジャパンの実力だね。
ナイジェリアは4日午後2時半頃、試合会場のあるマナウス空港に到着して、試合開始の6時間半前に、ようやく現地入りした。もともとナイジェリア戦は厳しいと思っていたけど、それでもコンディション面から日本に分があると期待していたんだ。
ところが、蓋を開けてみれば、あまりにもお粗末な内容だったね。コンディション的に不利でも、それをカバーできる技術がナイジェリアにはあった。逆にコンディション的に有利でも、それを活かす技術が日本には足りなかった。
果たして、これが逆の立場だったならば、どうなっていたのか。おそらく日本が完敗していただろう。
相手はコンディションが悪いはずなのに、日本はそのアドバンテージを活かせないまま、試合の立ち上がりから撃ち合いになってしまった。相手の足が止まり出した終盤から、ようやく日本の良さが出始めたけど、3点リードされてからの反撃では遅すぎるよ。
日本は久保を招集できなかったとはいえ、ナイジェリアはプレミアリーグに所属する複数の選手を招集できなかった。そのうえ、発券トラブルにも見舞われた。
こんなビッグチャンスを逃す手はない。しかし試合中、どっちのコンディションが良いのか、分からない時間帯もあったぐらいだ。今回の恵まれたシチュエーションを考えたら、試合開始と同時に“叩き潰す”勢いでいかないと。
先制されて追いつき、リードされて再び追いつく。そこまでの展開は良かったけど、2-2になってから、日本はどこか落ち着いてしまった。
この時間帯こそ、相手を叩く格好のチャンスだったのに、振り出しに戻ったから慎重に進めようと思ったのかな。まったくの逆だよ。あえて攻撃の意識を強めて、相手を少しでも走らせ、体力を早めに削ぐべきだった。
日本は試合の入り方に失敗したのが痛恨だった。それから、同点に追いついた後の試合運びも悪かった。2-2に追いついても、まったく試合のテンポが変わらなかったし、日本は様子を見た感がある。
同点の状況でも引いて戦うという習慣のチームだから、追い込まれてようやく前に出る。2-2の時、「ここがチャンス」とばかりに一気呵成に追い込めば、相手はもっと早く足が止まったはずだ。
あそこで勝負に行く積極性がほしかった。コンディション面のアドバンテージを活かすというのは、ナイジェリアに息をつく余裕を与えないということだ。
それを、まるで「体力を回復してください」とばかりに様子を見ているんだから、日本は優しい国だね。これほどホスピタリティに溢れている国は、世界を見渡してもないよ。
試合の途中で「我慢、我慢」という声がベンチから飛んでいたけど、逆に「行け、行け」という声がほしかった。ナイジェリアがボールを回している間、相手はそれほど疲れないけど、逆に日本がボールを回せば、相手を疲弊させられるわけだから。
終盤にようやく相手は疲れが見え始めた。本来なら、そういう状態にもっと早く追い込むべきだったんだ。
手倉森監督は「手倉森ジャパンらしくない撃ち合いになった」と語っていたけれど、リードされて点を取りに行くのは当たり前。5失点して守備が崩壊した以上、4点を取っても、まったく慰めにはならないよ。
それに5-2とリードを広げた66分以降、ナイジェリアは「もう守ればいい」というスタンスで無理をしなかった。日本が4点を決められたのは、相手が流し始めたからであって、攻撃の課題も山積しているよ。
結局、リオ五輪世代は「世界との距離感」が、まったく掴めていないんだ。言い方は悪いけど、所詮はアジアレベルということ。少し高いレベルの試合になると、途端に日本の脆さが浮き彫りになってしまう。
試合後、手倉森監督は「失点があまりに多すぎた」と漏らしていたね。大会直前の親善試合・ブラジル戦では、スコアこそ0-2だったけど、5、6失点してもおかしくない試合だった。ブラジルが攻撃の手を緩めたから、2失点に止まっただけ。
つまり、2試合連続で5失点という内容の試合が続いた。手倉森ジャパンは、強いチームと対戦して、結果を出したことはない。ある程度、実力が拮抗した相手に対しては、手倉森監督の志向するスタイルがハマったけれど、どれだけ守備から入っても耐えられなかったら意味がない。
詰まるところ、監督の手腕以上に、チーム全体のレベルが問題だった。冷静に考えると、Jリーグで活躍していない選手、J2やJ3でプレーしている選手が先発していたんだから、それじゃ世界の舞台で勝てるわけがないよね。
決してナイジェリアが強かったわけじゃない。日本がただ弱いだけ。リオ五輪グループリーグ第1戦で、途中から10人と劣勢になった南アフリカに0-0と引き分けたブラジルも、日本と対戦すれば遥か格上に見えるからね。
ナイジェリアと日本を比べても、個人のレベルに差があった。対等のコンディションで対戦したら、実力差がさらに顕著になったはずだよ。
少し寄せられると、簡単にボールを失ってしまう。自由にやらせてくれたら、日本のレベルもまずまずの水準だろうけど、こういう拮抗した戦いでどれだけやれるかが重要なわけでしょ。1対1の攻防において、日本の脆さだけが目立った。
ナイジェリア戦では、オーバーエイジがまったく機能していなかった。興梠にしてもPKで決めただけで、さしたる存在感はなかったよ。CBの塩谷はPKを献上するし、左SBの藤春は何度も攻められていた。
7月30日(現地)のブラジル戦後、浦和の興梠は「今日の試合が大事なわけじゃない」と力説していたけど、このナイジェリア戦はどうだったの? この一戦は「大事な試合」だったはずだけど、今回はなんて言うのかな。
オーバーエイジ枠をフル活用したうえ、コンディション面で日本が圧倒的有利だと分かっていたはずなのに……。これだけのアドバンテージを活かせないなら、日本が試合当日に現地入りしても同じだったと思ってしまうよ。
だって、まるで日本も試合開始の6時間半前に会場入りしたように、終盤までコンディションの差がさして見えなかったからね。
今日のナイジェリア戦を見て、ブラジル・ワールドカップのグループリーグ第2戦を思い出したよ。日本対ギリシャ戦で早々と相手がひとり退場し、数的優位になりながらも、日本はそのアドバンテージを活かせないままドローに終わった。
アドバンテージの活かし方が下手なのは、A代表も、五輪世代も同じ。日本の悪癖が出たね。仮にナイジェリアが万全の状態で日本戦を迎えていたら、2-0、3-0で完勝していただろう。しかも、体力を十分に温存しながら。無理して5点も6点も取る必要はないからね。
好条件が揃っても、勝てなかったのが現実だ。ひょっとすると、試合の2時間前に現地入りしたナイジェリアだったら、ぎりぎり勝てていたかもしれないね。
今になって、7月30日(現地)のブラジル戦で見せた、日本の戦いぶりが悔やまれるよ。あの時は0-2の劣勢でも、日本は攻撃色を強めなかった。ビハインドの状況を想定し、「負けている状況からいかに攻めるか」にトライするべきだったんだ。
ナイジェリア戦の結果を受けて、都合良くそう言っているわけではないよ。僕はもともと、ブラジル戦後にその点について厳しく言及していたからからね。「意味が分からない」と。
アジアレベルでは耐えられた守備も、世界レベルでは、ただ後ろに人数を揃えるだけでは守り切れない。今のスタイルを貫くなら、第2戦、第3戦も先制されると苦しい戦いになるだろうね。
第1戦を落として、日本はもう後がない。第2戦に負ければ決勝トーナメント進出は絶望的、引き分けでも厳しい状況に変わりはない。
負けられない第2戦も、守備重視で入る形になるだろう。日本のスタイルが上手くハマれば問題はない。だけど、リードを許す展開となった時、果たしてリスクを冒して、攻撃に転じられるか。ここまでの戦いぶりを考えると……不安しかないよ。
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さすがに昨日の試合は観れなかったよ‥
だってサラリーマンが午前10時にテレビ観るって無理だから。(>_<)
自分の目で試合観てないから、今回は最初にセルジオさんの言葉を借りた。
ま、セルジオさんの言われることはいつも正論。
予選リーグ突破には次のコロンビア戦を勝つしかない。
けどコロンビアは、2年前のブラジルW杯でA代表もボコボコにされた相手。
正直、勝てないと思う。若い彼等を信じたいのはやまやまだけど。(+_+)
良くてスウェーデンと引き分け。最終的に0勝1分2敗のグループ最下位、予選敗退だと私は思う。
手倉森監督はベガルタの監督時代から好きだった。けど今回の采配に関しては、鹿島で試合に出てない櫛引選手を第一GKにしている時点でダメだと思う。矢島選手も控えでは勿体無い。
次のコロンビア戦も月曜日の日中だから我々サラリーマンには厳しい。
なので今回の五輪サッカーについて、先に当方の見解を述べてしまおう。
オリンピックは参加することに意義がある‥とは言いたくない。
ただ、日本サッカー界のことを考えれば、世界との差を“見せつけられる”ことが、今回唯一にして一番大事な収穫かもね。