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2016年08月30日

トヨタ、世界市場から締め出される危機発生…「生命線」新プリウスが想定外の販売延期

トヨタ、世界市場から締め出される危機発生…「生命線」新プリウスが想定外の販売延期 ●新型プリウスPHVに失敗は許されない

 今秋に発売が予定されていたトヨタ自動車のプラグインハイブリッド車(PHV)、新型プリウスPHVが今冬に発売延期になった。トヨタの次世代車戦略は、出鼻をくじかれたようだ。

 発売延期の理由についてトヨタは、同社の基準に照らして品質を十分なものにするには、生産ペースを当初の予定よりも抑える必要があり、そのための処置だとしている。直接の理由は、車体軽量化のために採用した新素材のドアの生産が遅れているためだ(8月4日付朝日新聞より)。

 PHEVあるいはPHVと表記されるプラグインハイブリッド車は、しばらくの間は次世代車の本命と考えられている。二酸化炭素(CO2)削減の規制を強める欧州、米国そして中国は、ペナルティやインセンティブ(補助金)を用意してPHVの普及を後押しする。PHVの発売は、いまや自動車メーカーの義務である。それに応えるべく、トヨタはプリウスPHVを用意したのだが、問題を抱えたようだ。

●PHVの導入を待ち構えるEU

 EUでは、2021年に企業平均燃費をリッター24.2キロメートルに強める。現行の19.3キロメートルから24%も強化することもあり、PHVのCO2排出量の計算方法を優遇までして、導入を促進する。それを受けて、ほとんどの自動車メーカーがPHVを取り揃える。BMWは全モデルにPHVを用意し、独メルセデスベンツは17年までに10車種のPHVを揃える。

 トヨタは14年のデータで、EUにおいてCO2排出量の少ない自動車メーカーの順位が第4位である(注1)。もっともCO2排出量が少なかったのは仏ルノー、続いて仏プジョー、仏シトロエンと続く。そのトヨタにしても21年の規制に応えるには、EVあるいはPHVの販売が必要に違いない。

●プリウスなくしてトヨタの米国戦略なし

 一方、全CO2排出量のうちに占める自動車のそれの割合が30%以上の米国は(日本は同18%ほど/注2)、カリフォルニア州を中心に10州が排ガスゼロの自動車販売義務化を18年モデルから強化する予定である。いわゆる「ZEV規制」だ。義務販売台数は20年にはEV、PHV合計で50万台、24年には100万台近くに及ぶ。義務化された州では販売台数の5台に1台がEVかPHVになる。

 プリウスPHVの開発は、まさにこのZEV規制に向けたものだ。17年モデルまではHVが認められるが、18年モデルからは認められない。プリウスPHVなくして、トヨタの米国戦略はあり得ない。

 ZEV規制が10州に広がると、20年のトヨタのPHV販売義務台数は約2万5000台となる (注3)。義務台数を販売できないと1台あたり5000ドルの罰金を取られる。トヨタとしては、是が非でもプリウスPHVは売らなければならない。
                                                               ちなみに、20年のトヨタのEVの販売義務台数は4万3000台ほどである。FCV(燃料電池車)で代替可能だが、現在で年間700台程度の生産台数を数年間で4万台以上に引き上げられるだろうか。また、FCVは家庭で水素を充填するわけにはいかない。4万3000台のFCVに対応できる水素スタンドの設備が必須である。EVの開発、販売には距離を置くトヨタだが、米国ではEVの販売は絶対なのだ。

●中国では300万台のEVとPHV
 
 中国では1台あたり100万円近い補助金を用意してEV、PHVの販売台数を急ピッチで増やす。15年にはおよそ48万台だった累計販売台数を20年には200万台、30年には1500万台へと増やす計画だ。中国におけるEV、PHVの販売は必須である。もし販売できなければ、必ずやシェアを失うだろう。トヨタにとってプリウスPHVの中国での販売は、この地の生命線である。

 かたや日本では15年4月~6月のEV販売台数は対前年比マイナス20%である(注4)。このため、EVやPHEVに対する見方は冷ややかだが、上記のように欧米中では急速に増やさなければならない。これらの国々での販売に頼る日本の自動車産業にとって、EV、PHVの開発、販売は生命線である。それにもかかわらず、日産(リーフ)、三菱自動車工業(アウトランダーPHEV)を除く国内メーカーの開発の槌音は、さっぱり聞こえてこない。

 そこに救世主のように現れたのが、新型プリウスPHVであったが、販売が今冬に延期されるという。果たして新型プリウスPHVに、日本の自動車産業に活路は開けるのだろうか。
(文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表)

(注1)日本EVクラブ「EV入門塾」講演資料。5位はハイブリッド車を用意したレクサス、6位は三菱、7位が日産で、ホンダは22位と大きく出遅れている。
(注2)筆者「大阪府立大学」講演資料。世界の全CO2排出量のうち自動車のそれが占める割合は20%。米国のそれは同33%である。環境省・経産省資料
(注3)14年のトヨタの米国での販売台数は237万3771台であった(MARKLINES)。ZEV規制が実施される10州の自動車販売台数はこのおよそ30%。トヨタは10州でおよそ71万2000台販売すると考えられる。PHVの販売義務台数はこの3.5%、EVあるいはFCVの販売義務台数は6%で4万3000台ほど。
(注4)日本EVクラブ「EV・PHV東京―伊勢志摩キャラバン実施背景」(至経産省)講演資料
:ビジネスジャーナル 
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Posted at 2016/08/30 09:35:03

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この記事へのコメント

2016年8月30日 19:13
3DAIMEのコストダウンとラインオフ早出の重大な経営判断ミスを考慮したのかも???

 技術者なら当然の問題を理解して、意見具申出来ない体質にもあったのじゃないかと・・・

  せめてEVで数百km走り、補足のエンジンで1000km走れる車なら良いのですが・・・


コメントへの返答
2016年8月31日 2:18
製造・生産段階で、解決されるべき問題で、ここに至って、表面化すること自体が異常です。 ( 笑 )  
2016年8月31日 19:28
研究開発段階での技術者の問題です。

 製造生産段階では遅いのです・・・

  Noと言えるクルマ選びが出来ないようでは・・・
コメントへの返答
2016年9月1日 0:11
おっしゃるとおりです。発売即「リコール」では、どこかの「K国」と、同じです。それは、避けなくては ・・・・ 。   ( 笑 ) 

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「発車3分前の列車でも余裕で乗れる日本の鉄道、中国じゃ絶対あり得ない! =中国メディア http://cvw.jp/b/1528111/42009436/
何シテル?   09/30 18:04
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