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2011年09月23日 イイね!

路上のMIURA

路上のMIURA









1980年代の頃、日本国内で神戸が一番輝いた時代があった。
この繁栄は、本当に泡沫(うたかた)のような光芒であったが、
私はその時に東灘区の深江という芦屋に隣接した町に住んでいたので
こそばゆいような感触を、やや憶えている。

神戸はバブルを先取りした感がある。
神戸市長・宮崎辰雄という行政官が先頭に立ち、土地のデベロップメント
を次々と成功させたのである。
神戸市は昔から、海と山に挟まれた狭い土地に広がる港町であった。
人口も開発も、早くから限界が見えていたので、思い切った政策を
宮崎は執った。
六甲山の北側に鉄道を延ばし、山を削り取って、海を埋め立てる。
単純な発想のようだが、宮崎は昭和40年代以前から着想していたと
思われる。

1981年に完成したポートアイランドまで、巨大な橋で陸路を結び
空を超えるような感覚で、自動車ですいすい渡れるようにしたのである。
前回の投稿中、少女隊の「forever」曲中にこんな歌詞がある。
♪「アクセル踏めば、空を飛べそう」たぶんこんな感じであったのだ。
80年代は日本人がどぎまぎしながらも「俺たちってひょっとして
世界一?」と自信を持てた時期であった。

そんな時代の先を走った神戸で、81年にポートピア博覧会が開かれた。
辣腕市長の面目躍如、大阪の万博の9年後で、その間に石油ショックが
あったが、関西には底力があり、このイベントは大成功であった。
味をしめた神戸市はその後、ユニバーシアード学生競技大会の施設を
潤っていた地元の企業につくらせた。

颯爽と時代の風を肩で切る神戸で、同じ1985年に、日本初の本格的な
クラシックカーイベントが開催された。「六甲モンテ・ミリア」の幕開けである。
第1回は告知も少なく、初夏の6月に開催されたと記憶する。
翌年からは、六甲越えでオーバーヒートする車も多いことから、秋の後半、
11月に開催されるようになった。
ビンテージカーの基準もそれまでは曖昧であったが、漸くこの頃から
きちんとした規格が定まり始めた。

また展示だけのイベントでなく、実車がエンジンから出す力強い音や排気音、
走り去る姿の美しさに、やっと日本人の半分くらいが、妙味に気づき
始めたのが、このイベントからではないだろうか。

神戸ではその5年くらい前に、「神戸祭り」に集まった暴走族が興奮し、
機動隊の車を神輿のように押して、新聞社のカメラマンが死亡する事故が起こっている。
車にまつわるマイナスのイメージを払拭するのに、マナーある大人のイベントが
提唱され、神戸のお洒落なイメージも、うまく効果を発揮した。
大きな排気音の車に伴うマイナスなイメージが、変わり始めたのである。

「外車」に乗ること=「893」ばかりでなく、日本車と輸入車の長所や短所が判る
ようになり、古いクラシックカーに抱いていた、お金持ちの道楽、コレクションの
イメージから、比較的新しいと思っていた60年代の車にも素晴らしいものがあり、
実際に走らせるために所有することのプレジャーを知ったのが、このイベントで
あったのである。

それから、複次効果として、会場までこのイベントを見にくるための
珍しい車が集まるようになったことがある。
私も本の中でしか知っていなかった車や、日本の珍しい古典車に何台も
遭遇することが、本当に楽しみになった。

このモノクロ写真はたぶん1987年の第3回である。
私もこの年からフィアット850クーペに乗るようになり、会場のポート
アイランドから出た途端に遭遇したランボルギーニ・ミウラに矢のように
追い抜かれながらも、追いかけ回して、途中の2ポイントで写した写真が
きょう、お見せする写真なのである。



これは「白日夢」と当時は思えるくらい、びっくりすることであった。

いまでも、ミウラが走っている所に遭遇するのは、イベント以外では
オーナーか、よほどの幸運でない限りレアな体験であろう。

周囲のふた昔以上前の車群が色褪せても、
MIURAの残像は、今も鮮やかにのこっている。
Posted at 2011/09/23 11:39:33 | トラックバック(0) | オンザカー | クルマ

プロフィール

「暴論と思うが日産をトヨタが救済することは無理だろうか http://cvw.jp/b/176891/48492730/
何シテル?   06/18 16:04
車は殆ど処分して、1971年登録のフィアット850クーペに 1987年以来、乗り続けています。 住居は昭和4年築の、古い日本家屋に、現状で住んでいます。
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