
東北の震災で、3月と4月が飛んだ、
今年の高雄ミーティングが終了した。
なんで直接の影響の無い関西が、2ヶ月休んだのか
理由は計りかねるが、5月に再開した2011年の初回は
参加無料のオフミであったのが、カンパを募るということで
特別に1000円徴収された。
手製のステッカーが配られたそうだが、いつも遅めに
到着する私の着いた頃には、ステッカーも無く、白黒の
コピー1枚(2.5センチ×5センチ程度)を領収代わりにもらってそれだけ。
「愛は地球を救う」という某テレビの24時間テレビが始まったのは
ニッパチといい、営業局の数字が上がらぬ8月対策であった
らしいのだが、私はチャリティーという言葉を聞くと、
子供の頃からまず疑う。
師走である。
寒いから出て行くのはどうしようと、思った。
それでも家の中を久しぶりに掃除機を掛けて(ドイツのミーレ製)
こたつからでて、850スパイダーの初お披露目で、
京都まで出かけてみることにした。
9時くらいに始動したので、着いたのが11時くらい。
普段は11時半までは、公式開会中であるのが
もう解散式をやっていた。
寒いからだろう。
それでも下界は、ましな日で、雪も散らつかずに最後の
茶色くなる手前の紅葉が楽しめた。
嵐山も、帰りの奥能勢の山々も美しかった。
着くと、このイベントで、友達になった、のんび君からいきなりプレゼント。
いつもの「うまい棒」でなく、
850スパイダーの透視図である。
これは嬉しかった。
そのあと次々帰っていく参加車を見送っていると
大分遅れてアルピーヌ310の知っている人が来られた。
「遅刻」「遅刻」と笑っておられたが、こういう日は
夏や初夏なら、早朝も気持ち良いが、開会時刻も解散時刻も
少し繰り下げたら良いのに、と個人的に思った。
このあと2時間近く、のんび君の乗って来たホンダS600や
私のフィアット850スパイダーの助手席乗り比べをやったり、
くだらないギャグ話を付き合ってくれて、久しぶりに腹の底から
大笑いをした。
歳末にヒマなのは、私らくらいだろうと、同調してくれたが
彼のクルマ友達としての、付き合いの良さに
本当に感謝する。
大池横の大会場では、先週「フロムセブン」が開かれたが
今週は「とにかくスカイラインを並べてみよう」が開かれており
遠くの各地からの参加も含めて、150台くらいのニッサン
スカイラインが並んでいた。
その中にはオリジナルの綺麗なのも、笑える改造車。
アニメステッカーの痛車まで、いろんなスカイラインが
並べられていた。
箱スカは数台。ケンメリは無し。ジャパンが今は結構“刺さる”
鉄仮面31も少ないが、営業車用の(バンワゴンがあった)
丸4灯グリルのコンバージョンを発見。
ふたりでクルマうんちくでつっこみ大会。
私の方が年上で、ハコスカくらいから新車で覚えている。
ジャパンは免許を取り、新車で買って乗る同級生もいた。
GT-ESとGT-EXの違い。
日産のターボ車の出た順番は、430セドが一番最初で
次がブルーバード、満を持してのスカイラインだった。
この頃の日産は元気だったし、面白かったなあ。
突っ込みどころ満載の、スカイライン祭り。
この中に1台ラングレーが交じっていたら面白いですね。
のんび君が面白いことをいう。
「宮崎勤の愛車か、」 (のんび君絶句)
角2のジャパン顔で、Sバッジの代わりにLが着いていたっけ。
いや、ローレルスピリットもいいですね。
そんなオフ会、誰が来るんだと、ずっと爆笑しっぱなしであった。
高雄の旧車会は、悪くはない。
芦屋のヨットハーバーあたりで開かれる、フェラーリオーナー
ばかりの「スカした」ランチ会の雰囲気。
(彼らは「お馬さん」オーナーと称して、決して不用意なことを言わない)
それに比べれば、まだ人間的に暖かいものを感じるし
若い蘭陵王君らのような、新人たちのクルマ好きの萌芽や
伸びる部分がいくつも感じられる。
しかしこのスカイライン祭りのような、「祭り」の
感覚が薄いと思う。
何でだろう、と思うのは「祭り」の中に「ビジネス」が入って来ている
と、時々感じるからである。
のんび君も僕も、やれたクルマが大好きである。
旧車は、ピカピカに乗らなくてもいいじゃないか。
7000回転でキーキー回るホンダツインカムの音を
久しぶりに聴いたあと、僕のフィアットへ。
どうや?と訊くと、「このどろーっとしたOhvのフィーリング、
堪りませんね」と、ウレシイ応答が。
いま見つけたプジョー205の安いオートマ5ドアの話をすると
「欲しい」という。カッコ良いGTiの最終1.9あたりより
これだよな、というと、そう、そう、と答えてくれる。
それは身の丈で似合うクルマについて、いつも考えているからだ。
駐車場に戻って、2台の古いオープンを並べていると、
エンスーが帰ったあとの一般駐車客が次々と質問や
「車見せて」に来る。
そう、「高雄」の浮いている部分と緊張や警戒心が結界を
作ってしまっているのである。クルマってそれでいいんだろうか。
赤い初代Aクラスが近くに停まって、元若かったお姉さんが降りて来た。
お手洗い目的の筈が、僕らに話しかけて来る。
ある程度の車の知識もありそうだ、雑談途中に「どう、こういうの」と
勧めると「10年これ(ベンツA160)に乗るのが精いっぱい」と
笑っている。助手席では、歳をとられたお母さんが寂しそうな微笑みで
ずっとこちらを見られている。
こういうナンパって、好きだなあ。
上品そうで嫌みのない元お姉さんの暮らしぶりを勝手に想像する。
連れて来た手入れの良いプードル。
降りて来られないお母さんは、もう体が自由に動かないのかも
しれない。寒いこともあるし。
私も10年前に、認知症の母を、タルボサンバに乗せて、「転地療法」
で九州のあちこちの温泉地に行ったことを、思い出していた。
友と別れて、高雄のドライブウェイを抜けて、162号に出ると、
数台前に、リヤウインドウにリースを飾った、彼女の
赤いAクラスが走っているのに気が付いた。
中川で彼女は側道に入り、京見峠を通って市内に帰るのだろう。
多分独身の、彼女にもきっと素敵なクリスマスが、ありますように。
ああクルマっていいなあと思った、寒い日曜の午後だった。
私の心にも、少し暖かいものが、流れていたのは、
寒さのせいばかりでは、ないだろう。