ｋｏｔａｒｏのブログ一覧

正直、さいきん、わかんないのよねえ。
昔は町を運転していて、一日に最低１回くらい、
「ピン」とくる車を見掛けたものでした。
追っかけたくなるような、後ろ姿とか。ありませんでした？

これは個人の主観だけだったなら、自分の感性が鈍くなった、
もしくは歳をとり、目が悪くなったせいかとか、理由を
思いつけそうなのだけど。

どうしてだろう。

実車でなく、雑誌でもあったのが、雑誌を買いたくなくなった。
それはたぶん、
インターネットの普及により「珍しさ」が薄れたからか。？？

ふた昔前だったら、超希少な外国の自動車、それがいとも簡単に
輸入出来ている。そんな事実もあるから？？



たとえば１９８０年代の街中で、フィアット131などを見掛けたら
その車が気になってしようがない日があった。
これは２００４年にイスタンブールの街角で撮った写真で、
トルコ版のフィアット、ムラートの１３１である。やっぱりこれを
見た時はドキンとした。

そこでいろいろ考える。
昨日も車趣味の仲間たちとカフェで議論をしていた。
仮定法で私だけの退化現象でなかったら、それは何だろう。

10年くらい前に、男性の精子が薄くなっている、女性が妊娠しにくなっているとして
出生率の現象の理由のひとつとして、環境ホルモンのことがひときわ
話題になったことがあった。
私の家は複数の子供がいるのであまり気にしなかったが、
クルマ不感症がもし蔓延しているとしたら、原因は一体なんであろう。



これはルノー８によく似ているが、ルーマニアの駅前で写した写真で
エンブレムをみたら、違っていた。
国産のダキアなのである。　ダキア（DACIA）というのはルノーの古い機械を
チャウシェウスク政権時代に譲り受けて、政権が１９８９年のビロード革命で
倒されても、その後２００６年くらいに新しいロガンが出来るまで、延々と
ルノー１２を作り続けていた。
だが12を作る以前は８だったのである。それを知ったのは日本に帰ってからであった。



気が変わったので、きょうはルーマニアの話題をしよう。
この国はEU加入の最後発にあたる、バルカン半島にある、いにしえの大国である。
首都はブカレスト（ブカレスク）、女は美しく、農村部の家はメルヒェンのように可愛らしい。
しかし共産圏時代にチャウ氏一族が長く国家を私物化し、
東側の“優等生”として、虚勢と無理を続けて、国土と人心が荒廃した。




国土を大陸横断の列車で二日かけて旅行しただけであるが、その風景は
私が育った頃の筑豊や、炭坑閉山後に旅した、北海道の旧産炭地のように
荒れた風景、痩せた耕地が広がるだけで、非常に貧しく悲しい。



これは中部にあるブラージと言う小さな、急行停車駅のある町である。
背景の特徴のある教会はギリシャ正教のもので、少しイスラムっぽい塔宇を持つ
東方教会のものであるが、駅前に停まっている自動車は殆どがダキアの12である。
秋の雨の降る寒い日であったが、私のいる１等コンパートメントに同室であった
老夫婦が１組降りて行った。



社会主義圏の風景というのは飾り気が無く、旧公団の古いアパートなどを思わせる。
青はダキア、赤は多分フィアット８５０系９０３ccＯHVを積むユーゴであろう。




人気の無い駅。広告の無いプラットホーム。
キオスクがあるのがわかるだろうか。１時間に１度くらい、こういう停車があると
私は荷物を席に置いたまま、まっしぐらに水を買いに走った。
食物は前夜に買ったパン一切れや、持ち歩いているお菓子だけということも
あった。夜になり、どこかの町について、何かが食べられたらいいや、と思うだけ。



ハンガリー国境の町の駅でも、この程度の人口密度である。



ハンガリーに入ると、町も駅員も、雰囲気が明るくなった。
写っているクルマにもバラエティが増えたことで、私の気分も明るくなった。
この中にザスターヴァ（フィアット１２８の５ドア車、ユーゴ製）がいるのが
わかるだろうか。
私は子供のように、車窓風景を楽しんでいたのである。

右はシュコダ、その隣はクロマだね。




異邦人として極東の島国に渡来して４０有余年。

私の旅は、まだ続く。



（トップの写真は、下記から借りました）